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242 邂逅

◆ 加賀利城・南の森 ◆


「なんだかリンネさんとパーティを組めるのは久々な気がしますわ!!」

「ペルちゃん、一応隠密活動中なんだけど」

「あっ……」

『(;´∀`)』

「しー、ですよっ」

「ティアちゃんもこう言ってるんで」

「はい……申し訳ありませんわ……」


 ギルドポータルを開通させて、ペルちゃんとつくねちゃんときぬちゃん、同盟ギルドからラブマッチョクラブの皆様、もふもふキングダムからギルドマスターのもってぃさん達6人と18体の従者モンスターがなだれ込んで来ました。

 今はラブマッチョクラブの皆さんで崩れた城壁の修理とか力仕事 (筋肉を見せる時が来たって喜んでやってた)、西側の城下町の奪還作戦でもってぃさんが指揮をしてつくねちゃん、きぬちゃんも混ざって城下町のモンスターを殲滅中。今日中に城下町の奪還は行けるかもしれない……。一応奪還しておかないと、城下町側から回って奇襲してくる可能性もあるし。人攫いの化け物の話も気になるしね。

 あ、それで今はペルちゃんとおにーちゃん、ティアちゃんを連れて4人で南側の森から回り込んで敵陣の様子を探りに来てるところ。隠密活動中なんだけど、ペルちゃんがテンション高すぎて隠密に絶望的に向いてなかったのを後悔してるところ。多分きぬちゃんとか『オーウ! ニンジャスニーキングミッション!』とかノリノリでやってくれそうだから、逆のほうが良かったかも。そう、絶対そのほうが良かった。


「それにしても、プレイヤーがゾンビアタックでは駄目ですの? 無限にリスポーンしてゴリ押しで良いのでは?」

「それは考えたよ。でもプレイヤーは死ぬと最初は30分、次から更に10分ずつ復活出来るまでの時間が伸びるの。加賀利の国以外で、例えばローレイで復活ならすぐに復活出来るんだけど、加賀利に立ち入りが出来ない【汚染状態】ってなっちゃうから、ゾンビアタックは出来ないみたい。復活スキルもかなり効果量が減ってて、瀕死復活にステータス減少までつくよ」

「そんなのあんまりですわ~……」


 ペルちゃんさすが、その発想に至るまでが早いね。でも残念ながらゾンビアタックは実質禁止されてて、オロチを倒さない限りデスペナが激重なんだよね~加賀利限定で。


『――お姉ちゃん、エリスさんが拒んでも嬉しがるようになりました! 楽しいです!』

『あ、そうなんだ……。あんまり、いじめないようにね……』

『はーいっ! ふっふふ~!』


 ん、リアちゃんから定期報告が入ったわ。実はリアちゃん、表向きはエリスさんを嫌ってるように振る舞ってるけど、何をしても喜ぶから悪い気はしてないらしいんだよね。むしろ割と好きな方らしいよ。リアちゃん…………悪い子だね。


『(`・ω・)!』

「ん……全員静かに」

「静かにしてい――――むぐぐぐ……」

「しーーっ……!!」


 ティアちゃんに口押さえられてら、ペルちゃん……。ゲームになるとなんか途端にIQが下がる気がするんだよね、この子……。普段とのギャップがあって可愛いから良いけど。でも今私かなり本気でやってるから、本気で邪魔になったら最悪ぶん投げていこう。それより、おにーちゃんが何か感じ取ったらしいね……確かに、何か嫌な感じがする。茂みに隠れて様子を見よう。


『――――あ~あ。サッサと加賀利の虫どもをプチプチ潰したいわ~。なぁ~んでこのデロナ様が様子を見てこなきゃいけないのよ、ガキの使いじゃあるまいし~?』


 なん、だ……。こい、つ……!?


挿絵(By みてみん)


『つまんな~い。見つからないようにコソコソなんて、いっそ言いつけを破って正面からぶっ込んでやろうかしら~~??』

『…………ァ゛ァ゛……』

『あ? 臭う? どうせ動物か魔物の臭いでしょぉ~? てきとーに食えばいいじゃないの』

 

 臭う……? 鼻が利く奴が居る! しまった、こっちの存在がバレてる! ボスにはまだバレてないけど、下僕の――――ゾンビだ……。ゾンビ兵にはバレてる!! こっちに来る!!


『(おにーちゃん、ティアちゃん! あのボス格の奴を一撃で! 失敗したら即離脱!)』

『!!!』

『(は、はいっ!!!)』

『パーティチャット:攻撃! 失敗したら離脱!』

「!?」


 こうなりゃもう、一撃必殺先手必勝よ!! ぶちかましちゃれ~~!!!


『フリオニールが【極光爆滅波】を発動、複数体の混沌兵に平均4,880Kダメージを与えました』

『ティアラが【カオスストライク】を発動しました』

『――んなぁ!? 奇襲!? 嘘ぉ!! こ、こっちを狙って――!!!』

『九尾のデロナ(Lv,????)が【混沌障壁盾】を発動、聖属性貫通! Weak!!! ティアラから9,554Kダメージを受けました』

『っちぃ!! この程度の掠り傷!!!』


 ――――あ、これで掠り傷なのはヤバい。ティアちゃんのそれ、全力に近い攻撃スキルなんだよなあ……。


『(退却!!!)』

『ペルセウスが真覚醒スキル【アポカリプス】を発動! パーティ全員が【ペネトレイト・15】状態になりました! ペルセウスが【ペネトレイト・105】状態になりました! PPが10回復しました』

『まだ居るの、なに、これは――――お前達、散れ!!!』

『九尾のデロナ(Lv,????)に終焉の魔剣が振り下ろされます……。クリティカル! 九尾のデロナ(Lv,????)に40,000Kダメージを与えました!』

『ぐが……ぁああああ!! やって、くれるわねえ……!!!』

『九尾のデロナ(Lv,????)が【混沌兵吸収】を発動、周囲の混沌兵を吸収し始めました……』

『(;´∀`)……』

「リンネ様! あんまり、効いてないみたいです!」

「嘘ぉ!? 嘘ですわよねぇ!?」

「嘘じゃないから退却!!」

『アビスウォーカー状態になりました。ティアラの影に移動します』


 これは退却しかないわ、真覚醒スキルをまともに受けてまだピンピンしてるもんアイツ。絶対ヤバい、なんだあれ。タフ過ぎない?? え、レベル差ありすぎなのでは?? これ逃げ切れるかな……。


『逃がすな、追え――――待て! 私を守れ!!!』


 追って……来ない? 何かの作戦? 本当に追ってこない……。ステータスには? 何にも異常なし……。別に何かを取り付けられて追跡されてる様子もない。え? なんで? 不気味過ぎるぐらいあっさり逃げられたんだけど。もしかしてアイツ、尻尾がデカすぎて機動力自体は終わってる?? 終わってそう。


「に、逃げられましたの!?」

『(´・ω・`)……?』

「追ってきて、ないみたいです……」

『(そのまま走り続けて。もしかしたら一気に移動出来る手段があるかも。すぐには城に入らないで、リアちゃんが到着したら裏口じゃなくて正面から門を飛び越えて入って)』

「すぐに城に入らないで、リアさんが来てから裏口じゃなくて表から入った方がいいみたいです!」

『(*´∀`*)b』

「わ、わかりましたわ!」


 まだわからない。もしかしたら裏口を探しているかもしれないし、私達をポイントにして急に出現! とかあるかもしれない。リアちゃんにディスペルとかディストラップを掛けて貰ったり、マナをトラッキングされてないか調べて貰ってからにしたほうが良さそう。相手、恐らく術師タイプだろうし。やって来ててもおかしくはないよね。


「なんですのアレ、全然手応えがありませんでしたわ……」

『(;´∀`)……』

「なんだか、気持ち悪かったです……」


 九尾のデロナ……。混沌兵、あのゾンビ兵を瞬時に移動させたり吸収して回復したり、ゾンビ兵の索敵能力が優秀だったり厄介だわ……。本体も防御スキルをしっかり持ってたし、しかもティアちゃんとペルちゃんの大技を見られたのもちょっと痛い。警戒度は間違いなく上がった。やる気がなさそうな相手だったけど、これでやる気を出される可能性があるかも。ううん、もうやっちゃったんだし、これからを考えないと。まずは、リアちゃんを呼び出して合流しよう……!




◆ ◆ ◆




「――――本当です!!! あの女、あの女……!! 許せない!!!」


 まさか、デロナの奇襲がバレていたとは……。いやしかし、デロナに深入りするなと釘を刺しておいたのは正解だったな。恐らくあの導師リンネの初手の奇襲は誘い込み。デロナが追跡して来たところを伏兵が取り囲み――――という作戦だったのだろう。危なかった、こんなに早くデロナを失うところだったな。油断も隙もない……。


「わかったわかった。デロナ、深入りせずに退却したその判断、褒めてやろう。今回はあちらが一枚上手だった。お前には新しいオモチャをやる。ぽこんこが用意している故、存分に愉しむがよい」

「……! まあまあまあ、それはそれは……! 有難き幸せ、ではこれにて……」

「ああ」


 導師リンネ、なかなかの策士のようだな……。それに自ら囮役を引き受け、それを実行する胆力もある。油断できぬな、より一層警戒する必要がある。ホウエンにはアレを重点的に監視するよう伝えねばならぬな……。


「…………此度の戦、長くなるやもしれぬな」


 この戦を乗り越えねば、我が封印を断ち切るなど夢もまた夢。気を引き締めて掛からせて貰うぞ、零姫。そして……導師リンネ!!!



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