表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

234/601

233 まったりタイム

◆ ローレイ・ギルドルーム ◆


「いや~これは凄いねぇ~……」

「わ~……わ~……」

「こういうの好き。多分余ったパーツはオプション装備」

「あ、本当だ。余って待機中のやつありますね……」

「おお、すっげえな! すっげえな!! なあ、レイジなあ!!」  

「わかった! わかったっちゅうねん! 何回背中叩くねんハゲ!!」


 一応皆に見せようと思って動画撮影しておいたのをシェアしますってギルド宛てにチャットを送ったら、もう皆全てを投げ出してこっちに来ましたね。ビックリよ。目を輝かせる人も居れば大笑いする人も居るし、ドン引きする人も居てみたり言葉を失うぐらいビックリする人も居たり。とにかく全員共通してるのは衝撃的ってところですね。


「今作ってるデカい船にも合体機能つけようぜ!」

「ダメ。3体合体でも予算5倍ぐらいかかる」

「お、おう……。今度、今度な……」

「ほんま金かかるなぁ~」

「しょうがないよ~~現実世界でも飛行機はすっごい高いでしょ~?」

「あぁ~~……現実で飛行機に乗る前にVRで乗る日近いとは~……」

「なんや、エリス乗ったことないんか?」

「ないよ~~」


 ちなみに、全員の反応が微妙に薄いというか、そこまで『うぉおおお~~~すご~~~い』ってならない理由がですね……。


『(´;ω;`)』

「おにーちゃん、アレは性能差がありすぎたんだよ……。今度もうちょっとパワーアップして、再挑戦しようよ。ね?」

『(´;ω:;.:...』

「あらら……。負けたのが相当ショックだったのね……」

「まあこりゃあしゃーないやろ。元気出しとき?」

「こればっかりはね~~」


 おにーちゃんがガチ凹みしてるからだね。ストロンガーに負けたのが相当にショックだったらしい。完全に格上どころか、遥か上位の敵だからあれは……しょうがないよ……。


「あ。そういえば、飛空艇は出来てないけど……ちーちゃんの故郷に行くぐらいの船なら、出来るよ。パーツ流用で」

「えっ! 出来るんですか!?」

「――――できぅ……!! でき……改造、つく……」

「うわ、ビックリした~……。マリちゃん、この手の話になると一瞬起きるんだもん……」

「かわいい。でも全然寝てないから、無理にでも寝かせるべき」

「リンネちゃんの膝の上でスヤッスヤだ~。さっきまで絶対寝ないって言ってたのね~」

「なんか安心しちゃったんだろうねぇ~」


 それとマリちゃん、案の定全然寝てないしフルで活動してました。ストロンガーの映像を見せた途端テンションが上限を突破して、逆に一周回って悟りの境地に達したのか急に大人しくなって、膝をポンポンっと叩いて『おいで』って言ったら膝を枕にして寝始めましたね。なんだろう、このかわいい生物。美人の容姿とのギャップが激しいね。

 

「……乗り手のない船を買い取ったから、それを改造してエンジンを取り付けて海を走らせるの。要するに近代化改修工事? みたいな感じ」

「あ~、なるほど。レーナちゃんが使ってる装備みたいな感じに、ジェットを取り付けるみたいな?」

「そう。しっかりした大きい漁船があったから、それを使う。製作速度が現実の比じゃないから、明日には出来るよ。やる?」

「え、明日には、ですか!?」

「――しょう! あひ……た……んにゃ……」

「マリにゃんにゃんがしっかり休んで起きたら、明日には出来てると思う……よ? 燃料は、パナシーアクリスタルが何本かあれば良い。今、同盟ギルドの人達に大穴の仕組みを教えたから、皆採掘に行ってると思う」

「初見のインパクトが味わえないのは残念ですけど、それなら素材が沢山集まりますね……」

「興味本位で欲を出した人が阿鼻叫喚で帰ってきてた。愉快」

「カウントが進んだって表示が出た時にヤベえなこれって思ったが、アレは想像以上に酷かったな……」

「ね~。ホラーダンジョンだよあれは~」


 そっか、レベル100超えてる人が結構居るから、大穴の探索に行ってる人も居るんだ。あの初見の感動を味わえないのは残念だけど、興味本位で突っついて神系出した人も居るのね。ご愁傷さまです!! あの神系が出てきた瞬間の鳥肌が立つ感覚、たまらないんですよね~。


「ウルフ系が居た時なんて、逃げたウルフがトラップを起動させて全部鉱石宝石が採掘されちゃって、その瞬間に原初の魔狼神だったかな、それが出てきて楽しかったですね~」

「はい?」

「そんなのは出てきてない」

「なにそれこわい」

「おいおい、そんな罠あんのかよ……」

「は、なんやそれ!? ウルフ出るんけ!? ワイはフロッグしか出てきとらんが?」

「俺はラビット系だったな。最後まで進んでもレベル120ぐらいだったが」

「僕はバード系だったけど~?」


 え、あのダンジョンやっぱりというか、出てくるモンスターランダムなんだ。ほえ~……。その系統の強い奴っていうか、原種系モンスターに近づいていくダンジョンなのかな~?


「植物系だった。後半、マンドラゴラが勝手に引っこ抜けて失神した」

「あ~ランダムで出てくるんですね~モンスター……」

「なるほど! もしかしたらモンスターによっては、最終的に到達する強さに差があってさ、全部採掘しても問題ないランクしか出てこないモンスターも居るのかもね~」

「モンスターの原種が弱い場合があるってことか。じゃあ俺のラビット系はまだ当たりだったってことか? 全採掘してもレベル120だったしな」

「は~~! 場合によっては当たりモンスターもおるんか! おもろいな~~!! 明日リセットやったな、早速明日行ってみよ!」

「あ~……じゃあ、私が当たったの全部ハズレかもしれないですね。スライムと、ゴブリンと、ウルフと、ゾンビ系。多分全部ヤバイ原種に到達すると思います。ウルフとゴブリンは神まで出ましたし」

「そいつらだけはやめとくわ!」


 原初に続く大穴、単純に強いモンスターになっていくだけじゃなくって、こんな面白いルールがあるとは。明日は水曜日、リセットがかかる日だし……よし! 明日は大穴に行ってモンスターを見極めつつ、出来る限りいっぱい持ち帰りが出来るように潜ってみようっ!


「……そういや、本戦進めそうか? エリスは、今の環境で大丈夫なのか?」

「僕とエリスは8000近いから問題ないと思うね」

「うん~。明後日かな? VRダイブシステム、新しいのに買い替えたのが設置されるから、ラグも減ると思う~。本戦楽しみだよ~」

「お、買い替えるんか! 前から接続怪しい時あったし、ええな!」

「古いやつだとリアモジュ使ってても若干ラグがな。新しいのが買えて良かったな!」

「どれにするの~?」

「メイガス社のVR3040-βかな~。感覚フィードバックが優秀だって聞いたから~」

「前はモリス社の004ちゃうかったか? 一気に10年ぐらい進んどるやん!!」

「2年ぐらいでも別モンなのに、10年ったらそりゃあ……凄すぎて失神するかもしれねえぞ」

「そんなに~? 今でも十分凄いと思うけどなぁ~」


 おお~エリスさんが、新しいVRダイブシステム買ったんだ~。メイガス社って言うと、真弓のところのグループ系列かな? 従来の3040型より高性能軽量化がされてるってやつだ~。私が使ってるVR4090-Hi-Proが最新だから、2年前に発表されたモデルの改修型だね。


「そういやリンネちゃんは全然ラグとかなさそうやけど、何使っとるん?」

「同じぐらいのやつですね」


 うん、嘘だけど。そうしておこうね。


「つまり、エリスちゃんは明後日から、リンネちゃんと同じ感じで吸えるって……こと!?」

「ねえ変態~~? そうやってリアちゃんを真っ先に吸いに行ったらぶっ飛ばすからね~??」

「す、吸わないよ? 大丈夫大丈夫。本当本当」

「ま、まあ、程々にしとき……」

「吸ってもいいよ」

「合法ロリからは摂取できない栄養素が……」

「ぶ~~~~」


 前は、こうやって誰かと集まって会話するのなんてつまらないし、絶対やりたくないし、一人で居るほうが楽だと思ってたけど……。ここの皆とおしゃべりするの、楽しいなぁ~……。あ、一応皆が何をやってるかだけ確認しておこ。



・どん太:疲労 (頑張ってる!)、バビロニクス・地獄オアシス、お腹すいた!

・オーレリア:疲労 (お姉ちゃんは来ないで!)、バビロニクス・地獄オアシス、お姉ちゃんを超えたい。

・フリオニール:(´・ω・`)、ローレイ・ギルドルーム、今日は散々だったなぁ……。

・姫千代:疲労 (手出し無用!)、ローレイ・戦術指南所、心の底から愛しております

・マリアンヌ:熟睡、ローレイ・ギルドルーム、この世で一番安心する

・ティアラ:熟睡、リュース・ギルドルーム、好きです。大好きです。



 なんか全員の表記が物凄くフランクになってるんですけど。もしかしていつの間にか、全員の親密度が究極超えて、私に対して何を考えてるかに変わってる? あ、どん太だけ許せないからなお前。


「おにーちゃん、明日は大穴に行こうよ。格好いいところ、期待してるから」

『(*´ω`*)b!!!』

「私達も大穴、行こ。パナシーアクリスタルが絶望的に足りない」

「だねぇ~。それと真覚醒の証も集めに行きたいなぁ~……」

「地獄覚醒の書であんなに使うとはなぁ~」

「やること多くてたまらんなぁ~」

「やることが何もない過疎ゲーで引退するより何億倍もマシ」

「だな! 前のはやることなくて引退したもんな!」

「そう。やることなさすぎ。空虚」

「それもそれでアカンなぁ~」


 私もやることいっぱいだなぁ~……。金策に、レベリングに、巨大モンスター対策に、あ~報復の侵略戦対策もか~。いやぁ~……ある!! あるなぁ!! じゃあ、とりあえず今日は~……。


「ん~……リンネぇ~……お金がぁ……お金、が……ぁ~~~……」

「……酷い寝言過ぎる」

「寝かせてきたらどうだ?」

「ん、そうですね。そうします……よい、しょ」

「羨ましい。私もお姫様抱っこされたい」

「してやろうか?」

「ハッゲは嫌」

「そこまで即拒否らなくっても……」

「すみません、寝かせてきます~。お先です~」

「またね~今日はまた新情報ありがとう~これギルド内で拡散しておくね~」

「は~~い」


 マリちゃんを202号室に寝かせてくるか~。それじゃ、皆さんお先で~す…………。え~っと、ここは201号室だったわ。こっちだね、202号室っと……。ほらマリちゃん、ちゃんとねんねするんだよ~。


「んっっ!!」

「わっ……?!」


 離そうとしたら抱きついてくるじゃん……。え、どうしよ。振り払ったら起きそうだし……。離してくれるまで待つ? 待つにしても体勢がキツイなぁ……。一緒に横になっちゃお~。


「マリちゃ~ん……離してくれるかな~……?」

「やぁ……」

「やぁ、か~」


 あ~……。寝てるマリちゃんの体温が絶妙に温かいっていうか、う~ん……。ふかふかのベッドが気持ちいい……。あ、これヤバイ。寝る……かも……。




◆ ◆ ◆




「…………!?」


 ――――慌てるな、冷静になろう。我は、ええと……? どうしてリンネと一緒のベッドで寝ているんだ……?!


「ぁ……わ……え、我……どういうこと……? 記憶がないんだが……?」

「んぅぅ~~……」


 え……? 一緒に? リンネと……? 一晩、まで行ってないな。まだ夜中の3時だから、まだ一晩寝てない。大丈夫だ、まだセーフのはずだ。シャワーを浴びて、建設施設に戻ろう。そうしよう。


「……!? …………!?」


 どうしよう。本当に覚えていない……。我ってもしかして……? 一線を、超えちゃったの? やだぁ、嘘ぉ~……? いやいや、そんなことはないはず。きっとリンネが眠すぎて倒れたのを担ぎ込んで、心配して見ているうちに一緒に寝ただけなんだ。そうに違いない。冷静に考えてその、はず。そのはずなんだ……!!!


「リ、リンネ、我は向こうに戻る、よ……? 風邪を、引かないように、ね……」


 そういえば、寝る前に合体がどうのこうの言ってた気がする……。え? 合体って、そういうことか? いやいや、まさか……違うだろう、流石に。


「あ、起きたんだ~。あんまり無理し過ぎると、リンネちゃんが悲しむよ~」

「おはよう、ございます。あの……失礼なのだが、寝る前に我は、ええと……?」

「この合体ロボ、ストロンガーの動画を見た後寝落ちしてたね~。リンネちゃんの膝枕で寝てたから、リンネちゃんが部屋に連れてったらマリちゃんが抱きついちゃって、そのまま一緒に寝てたよ~?」

「あ、そう、そうか。それは、その、ありがとう……」


 ――――我の、考え過ぎだった。ふう、よかった……。我はなんてことを考えているんだ、全く……。ん? これは……?


「それね~漁船を買い取って改造して、千代ちゃんの故郷まで行ける船を先に作ろう~って計画書みたいだよ~」

「ふむ……。確かに今は材料不足で作れるものが限られているからな……。これなら、行けそうだな」

「期待してたよ~リンネちゃん」


 千代さんの故郷に行くための船を、既存の船を改造して……か。面白いな、リンネに期待されているし、これは頑張らないと。


「では、行ってくる」

「頑張ってね~お金の支援は僕もしておいたから、自由に使ってね~」

「た、助かります……」


 お、お金……。もういくら使ったのか、数えていないな……。帳簿、誰か付けているって言ってたな……。うーん、見たくない……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91yBAKrtvML._SL1500_.jpg
本作をご覧頂き誠にありがとうございます
 宜しくお願いします!
ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~Amazon版
アース・スターノベル様より出版させて頂いております!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ