226 今日はどうなってるの?
◆ リュース・ギルドルーム【談話室】 ◆
今日は散々だよ~……。学校に行く途中でカラスに襲撃されて突かれるし、学校では用務員さんが零した水で滑って階段から落ちる、服が濡れて気持ち悪いのに着替えが無い、真弓がキレて暴走しかける、購買部で急遽買った着替えはキツイ、周りの視線が気になる、帰り道のクレープ屋はやってない、帰って来たら来たでクリーニングマシーンが故障する、家政婦さんが冷凍庫の扉を閉め損ねてて氷が溶けてて冷蔵庫も故障、真弓に連絡したら遂に完全にキレて雷が落ちたよ……。
急いで手配に来た吉田さんがもの凄い勢いで頭を下げてるから何事かと思ったら、今日はいつもの家政婦さんが用事があって来られなかったみたいで、違う人が代理で来てたみたいなんだけどその人を手配したのが吉田さんだったから真っ青だった。イケオジがショボショボオジになってたね。倍以上生きてる人に土下座の勢いで謝られると胃が痛くなるよ。こんなことなら報告せずに自分で処理すればよかったなぁ……。結局、吉田さん手配の元溢れた物とか駄目になったのとか今回の家政婦さんの諸々を片付けて貰っちゃった。そしてお風呂、溜まってなかった。がっかりしながら自分で入れて、今さっきお風呂から上がってログインしたんだけど……。
「…………」
『(*´∀`*)?』
「今日はどうなってるのよ、おにーちゃん」
『(;´∀`)』
どん太と千代ちゃんは、修行の旅に出た……。お互いに極めたい技があるから、それをものにするまで修行だって。ちなみに修行先は地獄化した元ステラヴェルチェ砂漠の各地……『大量のモンスター相手に極限状態になれば何かつかめるんじゃな~い?』とかてきとーなこと言ったら、イヌ科勢がビビッと来てすっ飛んでっちゃった。あ、ちなみにお腹減ったら帰ってくるって。修行の旅とは?
リアちゃんは古代語のお勉強。古代神術に手を出したいらしいよ? 私のピアリスとリトルブラックホールが見たい時は念話を送るって。いま一生懸命、涙目になりながら頑張ってると思う。
ティアちゃんはね、今日は私の膝枕でねんねしてる。急に戦闘の次元が上がって心がついて来られなかったみたい。カヨコさんも怖かったみたいだし。心に余裕が出来るまで上限解放はせずに、出来上がった道を少しずつ歩かせるステップに入ろうと思う。厳しくしまくっちゃったから、甘やかすのも大事よ。
え? マリにゃんヌ? 『つくる。つくる。つくる。つくる』ってオリビエさんみたいな状態になったレーナちゃんにとっ捕まって、今はローレイの地下巨大造船所に缶詰よ。ローレイの魔神殿NPCがほぼ全員代理NPCに代わってて、魔神殿で何かあったのか? って騒然となってたわ。いらない装備とか売ったりとかして金銭と物資の支援はバンバンしてるんだけど、それよりも今は手が足りなくて大変みたいだね。一応、華胥の夢以外にも同盟ギルドの人たちにマグナさんの試験を突破出来た人が結構現れたみたいで、今はプロジェクトを一緒に動かして貰ってるよ。
『(`・ω・´)b』
「言いたいことの全てを圧縮したサムズアップありがとう、おにーちゃん」
『(;´∀`)』
今日は千代ちゃんと一緒にへるほえ君をやっつける日だったんだけどなぁ~……。吸血神姫カーミラ状態のカヨコさんの圧倒的な力、カレンちゃんの極小挙動での極大破壊力を味わって、刺激されちゃったんだろうなぁ~……。勝てるとわかりきってる相手と遊んでも上達するものはないからって、辞退されちゃった。
天下一の予選も、おにーちゃんと一緒にペナルティが発生しなくなる最低の5戦だけやって来たし、真弓は今日のトラブルに関して大爆発したついでにこれまであったトラブルにも誘爆しちゃったからログインして来られそうにない、して来ても遅いだろうし……。本当にもう暇になっちゃったんだよね。んじゃあもうあれだ、予定繰り上げておにーちゃんと一緒にうみのどーくつ行って、へるほえ君と遊びに行こうっか?
「おにーちゃん、ヘルホエール号やっつけに行く?」
『(´・ω・)っ』
「ティアちゃんもお散歩がてら……あれ? てぃあちゃん~?」
『完全に眠っていますね』
『(´・ω・)』
「うん~。どうしようっか、あれ……? え、あっ――」
『( ̄ b ̄) 』
いやいや、ティアちゃん完全に寝てるなーどうしようかな~と思ったら、なんか今声が増えたと思って振り返ったら居たよ。お友達が。いやぁ~~~びっくりした、もうね? ソファーに腰掛けてる真後ろよ? もうちょっとで首筋にガブッとされるぐらいの距離にとんでもねえ美人が居ましたよ。
「カ、カヨコさん……驚きました……」
『あら、ここは元は我々の拠点、そして私の屋敷のある街ですよ? 居ても、おかしくはないでしょう?』
『(;´∀`)!』
「た、確かに……!」
そうか、いやそうだよね。ここは元々そうだったね……カヨコさんが居ても何にも不思議じゃないか……!
『そぉそぉ~。サリーちゃん達が使ってたとこだもぉん……♡ くっひひ……! 可愛い、可愛い……!』
『う、ぐ、ぅぅ……!』
『るっせえ、起こしたら殺す』
『ぐ……!!』
「あ、こんばんは~……!」
うぉおっ……サリーちゃんとクーガーさんも居た……! 気が付かなかったァ……!!
『はぁ~い♡ 可愛い子ちゃんを寝かせてる可愛い子ちゃぁ~ん♡ ねえねえ、サリーちゃんともお友達になるよねぇ? なって? なれ?』
「ア、オトモダチ、デス」
『無理強いはいけませんよ』
そしてサリーちゃんの凄い圧ッッッ!!! サリーちゃんとお友達になるのは何にも問題ないんだけど、まだサリーちゃんの好物とか何だとか一切知らない仲だし、いいのかな……。
「あの、ま、まだ、その……。サリーちゃんのこと、何も知らないのにお友達になっても、いいんでしょうか……?」
『あ? それを知るためにお友達になるんじゃなぁ~い♡ つくねちゃんとはもうだいぶ前にお友達になったしぃ? いいでしょ?♡』
「あっ……! そ、そう、なんですねぇ……! じゃあ、えっと……ふちゅ、不束者ですが……!」
『んふっっっ…………♡ よ・ろ・し・く……ねっ♡』
『【サリー・ヘルメスの大事な人】になりました』
おぉおぉおおお…………っ!!! サリーちゃんの名前が、フレンド欄に増えてる!!! すっごぉい!! サリーちゃん、ヘルメスって……家名があったんだ。
「よろしく、おねがいしますっ」
「んぅ……んっっっ……」
『んっふふっ……♡ その子、預かってあげようっかぁ~……♡ あ、何もしないから、採血もしないし、変な薬をぶすっと注入とかもしないから、ね? ね?』
「えっ」
『大丈夫ですよ。サリーはとても面倒見が良いですから。それに、ティアもサリーには懐いていますので…………』
『さっきまでこの子の寝顔独占するつもりだったくせによく言うわね~♡』
『あ、そ、それは、言わない約束……!!』
『ぐぉ……』
これは、サリーちゃんも預かりたい上にカヨコさんも遠くで見守りたいって感じかぁ……! 私としては嬉しい申し出なんだけど、後でティアちゃんがしょんぼりしたりしないかな……?
『後で上手いこと言ってあげるからぁ~。やりたいことあるんでしょぉ? やって来たらぁ?』
「わぁぅっ……!」
「あっ……」
『あっ』
『(;´∀`)!?』
『うっほぉぉ……!!』
『あらあら……』
ティアちゃんが、両腕を胴に回してガッチリホールドして来た!? 寝てる? 寝てるわ、完全に寝てるってステータスに表示されてる……。これは、しばらく離れられなくなっちゃったねえ……?
「離してくれるまで、昨日拾ったアイテムの整理でもしようかと、思います……」
『それがいいわねぇ~♡ あ、それサリーちゃんも見たいなぁ~。見たい見た~い』
『昨日お会いした後に手に入れた物ですか。どのようなものを手に入れたのですか?』
『(*´∀`*)!』
「実はまだ詳しく見てなくて、名前だけしか……ええっと……」
こうなったら昨日手に入れたトップシークレット装備三種、今ここで性能確認大会を開催するとしよう! 一本目は麒麟の杖、これは既に確認済みだけど……。
「まずはえっと、これです。カヨコさんの前で手に入れたんですけど、使い手が居なくて……」
『強力な存在が封じられた杖ですね。恐らくこれを手にする資格がある者がこの杖に封じられた存在に挑み、それを超えられれば力を手にすることが出来る。そのようなものでしょう?』
「え、そうです。麒麟の杖っていう、伝説上の生物を召喚できる杖、みたいです……」
『召喚杖かぁ~。ルゥが詳しかったわよね~』
『ぐ、ふ……あだっ!?』
『( ー`дー´)』
『リーダーにゲンコツ食らってやんのクーガーってば、ば~かば~か♡』
『副団長、ティアの寝顔が可愛いからとデレデレし過ぎです。恥を知りなさい』
『(´゜д゜`)』
『え、どの口が恥を――むぐっ……!?』
うん、スルーしよう。多分カヨコさんもさっきまで人に見せられないような顔をしてたんだろうね、間違いなく。それにしても一目でこれが召喚杖ってわかるなんて、凄いなぁ……。トップシークレットとは……? ああ、でも召喚できる相手まではわかってなかったのか、一応秘匿されてるのね。ルゥさんが詳しかったんだぁ……。
『ルゥ達は今、バビロン様のお手をあまり煩わせないよう、出来る限り復活に必要な物はこちらで集めています。まだまだ足りませんが』
『そ。半分以上生き返ったんだもん、せめて出来るメンツが集まったんだから最後ぐらい自分達でねえ~?』
『そう、だな。しかし、ヴァルハラの花などの入手困難な代物はいつ集まることやら……』
「ありますよ」
『は?』
『いまなんと?』
『なん、だって?』
え、ヴァルハラの花ですよね? ローレライ戦のMVP報酬で貰ってたような……。
「ありますね。はい、これで――――」
『根がまだ生きてる。間違いない。劣化品でも模造品でもない、偽物じゃない。香りもいい、品質最高。どこで手に入れた?』
「え、え、っと、あの……」
『サリー』
『サリー!』
『あ…………ごめぇ~ん♡ 怖かったよねぇ~? 元々咲いていた天界でも枯れたこの花を、どうやって手に入れたのか気になっちゃって~♡ 昔はサリーちゃんが培養してたんだぁ~……劣化品だったけどね』
「とても強い相手を、倒した報酬といいますか……」
『咲いてたのを見つけたわけじゃないんだぁ……あ、ごめんねぇ? 奪い取るように取っちゃってぇ~……』
あんなに本気になったサリーちゃん、初めて見た……それだけ本気で欲しいってことだよね。
「それ、差し上げます」
『え゛……い、の……? か、返せって言われても、返さないけど、いいのぉ……?』
「ルゥさん達の復活に必要なんですよね。使ってください」
『ぁ……あ、あり、がと……ありがとぉ~~♡ んん~~っっ♡ リンネちゃんだぁいすきぃ♡』
『貴重な代物ですよ。大丈夫ですか?』
『昔はこれで小さな街が買える程の代物だ。いいのかい?』
『(*´ω`*)』
え゛……そ、そんなヤバイ高価な代物なの、その花……!? どんな効果があるんですか、それ……。
『生者が口にすれば不老長寿、死者に与えれば蘇る、そう言い伝えのある花です』
『実際、間違いじゃない。これだけが必要なわけじゃないんだが、触媒の一つなんだ』
『ふ……ふ……ふ……本物、初めて触った……。ねえ、培養してもいい? いいわよねぇ?』
「大丈夫じゃ、ないです……か? 出来る、なら……」
『(;´∀`)……』
『サリーは、出来ますよ』
そんなヤバイのまで培養出来るんですか、サリーちゃん……。ひえええ~~……!!! サリーちゃんの目がキマって来てる、怖い怖い怖い……。
『他にはぁ? まだ何か手に入れたんでしょぉ?』
「あ、はい。これと、これです」
あの目で『他にはぁ?』って言われて、素直に出しちゃったよ~~。怖いよぉ~~。
『指輪ぁ……? あ、これいいなぁ~』
『指輪のようですね。しかし、私にもこれが何なのかは…………。こちらは、書物ですか?』
「そうなんです。指輪のほうの名前は【降霊の指輪】で、そっちのは【大怪盗の手帳】って名前はわかるんですけど、効果も中に書いてある文章もわからないんです」
『エルとイルだなぁこれは』
『エルとイルですね』
『エルちゃんとイルちゃんねぇ~これは』
『(*´∀`*)』
満場一致でそっちの手帳に関しては『エル』と『イル』に決まったんですけど、ええっと……あ!! 双子の子!!!
「双子ちゃんですか!」
『ぴんぽ~ん♡ 大怪盗エルとイル、恐らくその師匠の書いた手帳よねぇ~』
『こいつはそのまま読める文字じゃない。暗号だな』
『弟子にしか読み方を教えていないはずです。我々が幾ら頭を悩ませても、これは読めませんよ。尤も、何かしら手がかりが残っている可能性はありますが……』
「エルちゃんとイルちゃんを復活させたほうが、早そうですね! 私も頑張って協力します!」
『あら~嬉しい~~♡ 早く皆揃いたいなぁ~♡』
『だなぁ……』
『楽しみですね』
「んぅ……? りんねひゃぁま……? ひゃうにゃんぁう……ぁぇ……ぅ……んっ」
「…………離してくれましたけど、幸せそうな寝顔ですねぇ」
『ふ……ふっ……』
『カヨコ、そこから気合で耐えて。口はもう崩壊寸前だから』
『(*´∀`*)!』
カヨコさん……!? 今のティアちゃんの寝言は破壊力抜群でしたね! クールなお顔がふにゃってなってますよカヨコさん!! ティアちゃん大好き過ぎますねカヨコさん!
『こ、降霊と、言うぐらい、ですから、死霊術師のリンネさんには、も、もってこいの代物……ふ……ですね……』
「あ、この指輪は……。バビロン様から授かった指輪で……あっ」
『……降霊の指輪が、リンネさんの指輪に吸い寄せられてますね? 身につけている方を確認なさっては?』
「は、はい」
え、なんか指輪が引き寄せられてるんですけど、独りでに動く指輪とかちょっと怖い。ホラー過ぎない? とりあえず確認しないと、深淵なる死の欲動の方を……ほいっ! あああああ!!!??
【★深淵なる死の欲動・オブ・アイツ】(????・レジェンダリー・指輪・空きスロットなし【●】)
・【覚醒済み】覚醒による深淵化済み
・【待機状態】真覚醒待ち (解放条件:超化地獄パーティクリア・覚醒が必要)
・【待機状態】超越待ち (解放条件:スキル【禁忌を破る超越者】取得・真覚醒が必要)
・装備者を不死属性にする
・基本攻撃属性を不死属性にする
・スキル【アビスウォーカー】使用可能
・【金色のアイツカード】ボス属性を付与する
――まだ~??? 早く気がついて~~??? by魔神バビロン
解除不可・破壊不可・重量なし
いや、そうだよね。いつまでもレジェンダリーなわけないか、この装備……。うわぁ~……滅茶苦茶待たれてるじゃん…………。ええ…………。詳細は、この待機状態をポチッと押せばいいのね。すみません、お待たせしちゃったみたいで。それポチっとな……。





