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222 暗中模索

◆ 武王国ガトランタ・コロッセウム・団体戦 ◆


『マッチングが完了しました。出場登録者【ボンド (あなたです)】【コウタロー】【ハマー】【ジャッキー】30秒後にコロッセウムに転送されます』

「いやああ~~っとレート6000台まで上がったわ~」

「ガチで対策し過ぎあいつら。どんだけ俺達に勝ちてえのよ」

「接近前にぐちゃぐちゃーーって作戦ほんっとおもんねえわ。どうにかならんのこの環境」

「まあそれを一瞬でひっくり返せるのが近接4人構成だしさ、そういう点ではバランス取れてるんでね~の?」


 エンハンスソードマンの俺、マーシナリーのコウタロー、チャンピオンのハマー、エレメンタルバトラーのジャッキー……見事に近接4人の構成でよくもまあここまで勝ち進んできた。レート6000!! ここまで来たらほぼ本戦出場ライン超え、もうこうなったら6500ぐらいを目指して確実に本戦入り出来るようにしておきたいところだ。いやぁ~長かった……向こうは良いよなぁ、レベル100になっていい装備付けてさ、メルティス側ハンデきついわーー。


「あっちばっかりレベルも装備も施設も揃っててずるくねー?」

「ログアウト中に都市吹っ飛んでたのマジ草」

「あれはないよなー」

「逆にここまで弱らせてようやくバランス取れると思ってるんでしょ、それだけメルティス側って成長すれば強いってことだってずっと言われてるじゃん」

「それもそう」

『カウントダウンを開始します。10……』


 まあここまでハンデを背負って本戦出場ラインに立ててる俺たちってのが、もはや実質ナンバーワンってことなんだよなぁ~~……。本戦まで期間あるし、その間にレベル100にして装備揃えればもはや差がないってことっしょ? だってこのコロッセウム内部ってレベル100にステータス調整されるんだから。そしたらもうこっちの天下よ~。本戦になったら余裕余裕~。実際、リンネパーティとかってテンプレ構成外だから対策が難しくて勝ててないだけで、結局近接でささっと囲んで殴れば溶けるんよ。スピードとパワーが足りてね~の。


「おし、んじゃ相手が誰でも!」

「速攻で!」

「いつも通りだわな」

「う~し」

『転送――――』

『――――さあ!!! 新たなる決闘者達の入場ですよぉ~~~!!!! 東側からは~~女神メルティス陣営の代表パーティ!!! ギルドエデンの4人が現れましたよォォォォオ!!!!』


 このハイテンションな実況よ……。毎回毎回こんなにハイテンションで疲れないもんなのか……あ? 向こう、なんだ? でけえ……モンスターか!? テイマーか!!! このレート帯まで上がってきてるテイマーは結構居るけど、あーー面倒くせえなぁーー力押し負けやすいんだよなぁ……。


『対する西側!!! もう説明不要でしょうッッ!!! 魔神バビロン陣営のッッ!!!! 全戦全勝ッッッッ!!!! リンネ~~~アァァァァァァァァンッッド!!! どん太ァアアアアアアアア!!!! いつもの二枠落ちですよォォン!!!!』

『ワアアアアアアアアアアアアアア―――――!!!!!』

「あ?」

「えっ」


 あ……? リンネ、どん太って……おいおい嘘だろ! このレートまで来るとぶつかるのかよ!! いやだが、ここで向こうの実力を知るチャーーンス……!! やっぱ一回ぐらいぶつかっておかないとな~~!! ま、スレとかの連中は無理ゲーとか負け確マッチとか言ってるが、相手だってプレイヤーなんだし? 突破口なんていくらでもあるっしょ。それをここで、見つけさせて貰っちゃおうねえ~~!!


『さあ両者揃いましたァ!!! エリアルーレットスタートォ!!! 今回はぁぁぁ~~~~あ~~っと!! 草原エリア~~!! 遮蔽物なしの広大なフィールドでぇぇす!!』


 しかもこっちに有利な遮蔽物なしのフィールド! 最高じゃねえか、接近しやすいぜ!


『張り切って勝負してくださぁぁぁい!!! レディィィィィ~~~~~~????? ファァアアアアアアアアアアアイ!!!!!!!!』

『――試合開始――』

「いけいけいけ!!! 囲んでぶっ飛ばせ!!!」

「デカい方がアタッカーだ!」

「集中攻撃!!」


 おっしゃあ!! スレで無理ゲーとか負け確って言われる相手の実力、見せて貰おうじゃねえの――――って、あら? なんだあいつら全然動かねえじゃん? まあいい、デカい方からぶっ倒せ!!! おし、射程距離!!


「っらあああ!!!」

『【ハイパースラッシュ】を発動しました』

『コウタローが【フルスウィング】を発動しました』

『ハマーが【フルインパクトナックル】を発動しました』

『ジャッキーが【ライトニングスピア】を発動しました』


 なんだ? なんで動かねえんだ向こうは? もしかしてこっちが代表なのを見て手の内を明かさない選択をして捨てゲーか!? それならまあそれはそれでラッキーだ!! 死ねぇ!!!!


『MISS……。どん太にダメージを与えられません……』

『MISS……。コウタローがどん太にダメージを与えられません……』

『MISS……。ハマーがどん太にダメージを与えられません……』

『MISS……。ジャッキーがどん太にダメージを与えられません……』

「え?」

「は!?」

「ああ!?」

「お、え、あ……?!」


 ダ、ダメージが、与えられ、れ、え? あ? なん、なんで……?!


『おおおおおおっっと!!! いきなり猛烈な攻撃がどん太選手に集中ゥゥゥゥ!!! しかぁぁし、どん太選手これにビクともしていませぇん!!』

「敵が倒れていないのに攻撃しない。なんで? まだ私達は生きてるけど」

「あ、あっ、ああああああああ!!!!!!!!」

『コウタローが【高速乱打】を発動、MISS……。どん太にダメージを与えられません……』

『わぁぁうわぁぁ……わふっ……』

『コウタロー選手のラッシュ!! ラッシュ!! ラッシュゥゥゥゥウ!!! しかし効いていないどころか、どん太選手!! あくび!!! あくびが出ています!!!!』


 なんだよ、なんだよこれ、どうなって……チ、チート!? チートか!? いや、ありえない、チートは即BANだ……チーターの平均生存時間0秒のこのゲームでチートは、ありえない!!!


「殺れ」

『ガァアアアアアア!!!』

『どん太が【Unknown】を発動、コウタローが合計1,255Kを受け死亡しました』

『コウタロー選手ダゥゥウーーーーン!!!! どん太選手の攻撃が見えないッッ!!! 正体不明の攻撃によって早くもダウンです!!!』

「なん、なんだよ、くそ!!!」


 こうなったら、リンネの方だ!! 絶対あっちが強化バフか何かを使ってるんだ!! そうじゃなきゃ、だって、だってバランスが……!!


「う、うわああああああ!!!!!」

『【ハイパースラッシュ】を発動しました』

『ワ――』

「問題ない。攻撃に集中して」


 舐めやがって!!! 舐めやがってくそおおおおおお!!!!!


『リンネに79Kダメージを与えました』

「いい斬撃、そこそこダメージが出てる。でもそれじゃ私は殺せない」

『リンネが【通常攻撃】を発動、112Kダメージを受けました』

「がっっ……!?」

『あぁぁぁぁーーーーっとォ!!! ボンド選手、リンネ選手に斬りかかるも更に強力なパンチを返されましたァーー!!!』


 バ、バッファーに、ただの、素手のパンチで……火力が負け、負け……?! 負けた……!? 嘘だろ……? こんなこと、あるわけ――――


「そっちは? 突っ立ってるだけ?」

「えっ」

「あっ」

『ワウッ』

『どん太が【Unknown】を発動、ハマー・ジャッキーが平均1,440Kダメージを受け、死亡しました』

『どん太選手の強力な一撃ーーッ!!! 二人が地面に埋まってダウーーーーンッッ!!! 圧倒的だァーーー!!!』


 ――――は、はは、はははは……! なんだこれ、なんだこれ……無理じゃん……無理だろ……。


「お~今の連撃いいね~。掴めてきた?」

『わうわう~~♡』

「なんなんだ……なんなんだよ、一体……」

「それじゃどん太、最後にどーんってやつやって」

『ワウッ!!!』


 まさか、いやそんな嘘だろ……? レート6000台だぞ? このレートで、性能テストか何かをやってんのかよ……!? よりによって、敵対陣営の代表相手に!!! ふ、ふざけんな、ふざけんなよ……!! せめて最後のそっちの、デカい方だけはぜってえ倒す!! 見せたくなかったが、武器はどうせ対戦後に修復されて帰ってくるんだ! 行くぜ、武器を破壊して発動する最強スキル――――


『どん太が【Unknown】を発動、強制ノックバック!!! 合計2,100Kダメージを受け、死亡しました』


 ――――速、過ぎて、みえ……ねえよ……そんなの……。




◆ ◆ ◆




「――ん~……」

『わう~~……』


 ――――修羅魔狼。これが、どん太に現れた新しい進化先。


「違うスキルを別々に発動させるのはまだ難しいか」

『きゅぅ~ん…… (難しいよう~お腹減った~……)』

「燃費悪いなぁ~~……」


 アイテムの【わんぱく勲章】を消費して、スキルのドッペルとファントムを失ってしまう代わりに、どん太に新しいスキルが追加された。その名も【分身三回行動】…………文字通り、どん太はほぼすべてのスキルが分身して三回連続で発動出来るようになった。

 なぜドッペルとファントムを消してしまったか。それはどん太がカレンちゃんに与えたトドメの一撃、透明化しての攻撃をずーーーーーっと『でもあれは卑怯な攻撃だった』って引き摺ってたから。正々堂々カレンちゃんに勝ちたい、そのための進化にしたいって思いが強く現れたからこういう進化の仕方になったみたい。

 今のところどん太は『分身して同じスキルを三回連続発動』は出来るけれども、『分身して異なるスキルを三個発動する』というところには至っていない。これが出来るようになれば、一手で3コンボするような……例えば最初が『斬滅』、次に『爆滅二段掌』、最後に『魔狼身弾』みたいな感じで出せれば一挙にコンボが繋がって高火力、かつ相手に反撃の隙を与えないアドバンテージが取れると思うんだけど……難しいみたい。


「ん~こうなれば、あれか。私も分身する術を使えるようにして、どん太にお手本を見せるしかないな!」

『わうぅうん!? (僕より先にやる気なのぉ!?)』

「え、出来ないんだからお手本見せないと。ね?」

『きゅぅぅん……? (ぜったい僕のほうが先に出来るようにするね……?)』

「そう? まあ、その方が嬉しいけど」

『くぅん…… (頑張る……)』


 とりあえずどん太のテストはこれで十分かな。さて、他の皆は状態が『良好』なところを見るに、お通夜状態から立ち直ってそれぞれがそれぞれのいいところ、悪いところを指摘し合う反省会を終えた頃合いかな?


「あ! あぁああ!! リンネさぁぁ~~~ん!!!」

「あ、ペルちゃんだ。やっほ~」

「御機嫌よう~~!! しっかりと、レートを稼ぎ終わりましたわ! 7000!! 7000を超えましたの!」

「お~えらいっ! 撫でてあげようか?」

「はい、どうぞ!」

「全く抵抗しない――――どん太よ、ペルちゃんを撫でようとする手に割り込んでくるのはやめなさい」

『くぅ~~~ん…… (僕も撫でて欲しいもん……)』

「じゃあどんちゃんはわたくしが撫でて差し上げますわ! ほら、リンネさんも空いた手で撫でられますわ! そしてわたくしもこの空いた手でリンネさんを撫でられますわ~~!!! なでなでトライアングルですわ~~~~!!!!!」


 テンション高えなぁペルちゃん……。世界でもナンバーワンレベルのお嬢様とは思えない行動に言動の数々よ……。まあ、そこが可愛いんだけど。


「…………ペルちゃん、とりあえずリュースのギルドルーム行かない?」

「あら? どうしてまたリュースですの?」

「バビロニクスは皆が使ってるだろうし、ローレイは飛空艇の制作本部」

「ああ~……あ!!? 落ち着いたところで、二人っきり……!?」

「どん太もいるからね?」

「まあ、まあまあまあ……!! 行きましょう!! 行くわよどんちゃん!!」

『わ、わう』

 

 この落ち着きの無さよ。ん~……こんなんだけど、ペルちゃんは真剣になればすっごく頼れる大親友だし、今私が抱えてる悩みも案外さっくりと解決してくれるかもしれない。ここはとりあえず、落ち着いて話が出来るリュースのギルドルームに行きましょうかね……。地獄パーティで出たアイテムの確認でもしながら、ね。


素敵なレビューを頂きました。ありがとうございます!

作者は少し遅いインフルエンザに倒れて熱を出してぴーぴー言っております。数日更新がなく申し訳ありませんでした。

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本作をご覧頂き誠にありがとうございます
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