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219 Welcome! HELL PARTY・15

◆ 第3階層・準備エリア ◆


『きゅぅぅ~ん……』

「どんどん、もう少し! もう少し我慢してください!」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーー」

「リンネ様を、ここまで苦しめるなんて! 宝箱は悪いもの!!」

『(;´∀`)』


 宝箱は悪くないんだよティアちゃん。悪いのはね、見つけられなかった側が悪いの……。でも蓋に隠しなんて、こんなの前はなかったじゃん……。なかった、なかったって……。


「なるほど、凄いぞリンネ。これは非常に面倒な仕掛けが施されている。一度開けただけでは隠し蓋が外れず、二度開けることでロックが外れて、二重底を外すことによって隙間が開く仕掛けだ。そして見てくれよ、この蓋裏の爆薬の量を。無理に叩き壊そうとすれば、どかーん! ってわけさ」

「この仕掛けかたを見るに、完全に技術を見せびらかすのが目的で御座いますね……。上手く開くことが出来ればご褒美にというわけですか」

「ああ、もはや収納が目的じゃないな。この宝箱を開けようとした相手が失敗するのを楽しみにしている様子が目に見える。でなければ爆薬の包装に【IDIOT(まぬけ)】なんて書かないだろ、普通」

『。・゜・(ノД`)・゜・。』

「マリにゃんヌ、他には仕掛けつきの宝箱はないんですか?」

「待て、なんだその呼び方――――」


 そうだ。マリにゃんヌになってよマリちゃん。


『【★★ぴょこぴょこアニマルアバター選択箱】から【★★ぴょこぴょこ猫耳 (髪色同期)】を取り出しました』

「お、リンネが復活し」

「マリにゃんヌに、なあぁ~~~ぁれっ!!!!」

『マリアンヌに【★★ぴょこぴょこ猫耳 (髪色同期)】を装備しました。アイテムがマリアンヌに帰属します』

『Σ(´∀`;)!!!????』

「あ!!!」

「あっ」

「わぁ~!!」

『わうぅ?』

「リンネ……? リンネ……?」


 わぁ~い。マリちゃんがマリにゃんヌになった~。わ~~~~い。猫は吸っていい。


「なん、ちょ、待って、あっ!?」

「っっすぅ~~~~~…………」

「猫は吸われる運命です」

「狐も吸ってよろしいのですが」

『(;´∀`)……!』

「吸うと、元気になるもんね!」

「そう。吸うと元気になる。これで吸えないのはおにーちゃんとティアちゃんだけか……ティアちゃんは今度、狼の耳とかつけようね」

「えっ?! ティアも、吸われちゃうの……?」

「駄目です! ねこがいいです!」

「狼がいいね」

『(;´∀`)……?!』

「まて、本当に我の……あっ……は、生えてる……!!」


 これでマリちゃんも合法的に吸えるようになった。マリちゃんに対してこういうタイプのハードなスキンシップってあんまりやらないから、いいなぁ~……新鮮でいい……。マリちゃんのピッチリしたスーツの肌触りもいい。え、マリちゃんスタイル良すぎない? すご。え、すご。


「リンネ~~!!! ど、どこ触ってるんだぁ!!!」

「ふともも?」

「誰か、助けてくれないのか!?」

「まんざらでもなさそうなので」

「そうで御座いますねえ……」

『(*´∀`*)』

『わう!! (もふもふされると気持ちいいよ!)』

「ティアも今度、もふもふされたい!」

「ティアちゃんも今度、もふもふしてあげようね! 今はマリにゃんヌだ……」

「リンネ~~~~~!!!!!」

 

 いいね。いいと思う、こういうぐっだぐだした時間がたまにはあっても。ただやってる場所がね、地獄パーティの真っ最中ってのがね。うん……。まあでも、さっきのカレンちゃん戦でガチガチになったのをリラックスさせるにはちょうど良かったのかもしれない。


「じゃあ~みんなリラックスしてきたところで~発表がありま~~す……。次は、恐らくルテオラ魔術師団に入る前の吸血姫絶頂期のカヨコさんが相手で~す」

「え」

「今なんと」

『?????!!!!!(´゜д゜`)!!!!!?????』

『わぅぅん!?』

「カ、カヨコ様、ですか!!??」

「本当に、本当なのか……!? あ、耳裏だめ! 触るなリンネ!」

「ここが弱いか~~マリにゃんヌ~~ごろごろごろごろ~~~」

「ぅ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

「え、なんですかその声。どこから出たんですか?!」


 いやほんと、その声どっから出たのマリにゃんヌ。あ、凄い。宇宙の真理を悟ったみたいな表情で固まってる……。スクショスクショ……。


「昔のカヨコさんに勝てるかどうかは不明だけど、ティアちゃんは手加減なし本物の吸血姫の戦いが見られるだろうし、術師としても頂点レベルのカヨコさんが全力で相手してくれるなら、リアちゃんもいい経験になるでしょう?」

「確かに……」

「昔のカヨコ様の、本気! 見たいです!」

「一応ミッチェルさんからカヨコさんの行動ログを貰ってるから、これを元に作戦を立てようと思いまーす」

『(*´ω`*)b』

「なるほど。相手はあのカヨコ殿、此方達のことなど全く知らぬ完全なる敵として現れるのであれば……」

「そう。聞けば、最初から大きいのを撃って来て、勝ち確定した時点で舐めてかかってくるような動きになるから、その隙を狙って大打撃が与えられれば……と、思って――――」


 皆にあーだこーだと説明しながら、リアちゃんの使い古して機能を失った魔導書の残骸に予想されるカヨコさんの動きを書いてると、それを皆がじーっと真剣な顔で見つめて目で追うの。この、皆が同じ動きで顔を動かして目で追ってる様子ね、可愛い。今てきとーな絵をぐにゃ~~~っと書いてて、最初は皆目で追ってたけど『あれ? お姉ちゃんふざけてる?』ってリアちゃんが最初に気がついて、次にマリにゃんヌとちよちゃんが『んん??』ってなって、おにーちゃんが私を『(*´ω`*)?』『(´゜д゜`)!』『(*´∀`*)』って三度見してふざけてることの確認。そして未だにどん太とティアちゃんはね、目で追ってる。


「ふふ……」

『わうぅ~~……? わぅぅぅ~~……?』

「はわ……はわ……」

「どん太君、ティア、リンネに遊ばれているぞ」

「あ~~」

『わうぅん!?』

「えっ?!」


 おおっと、マリにゃんヌにバラされてしまった~。いやぁ、どん太とティアちゃんは純粋で可愛いなぁ~……。


「気が付かれては仕方ない。さて、大体初手の行動は理解できたかな?」

「まずディスエンチャントを全体発動で、こっちの全員の良性補助を打ち消しから、ですよね」

「次にヘルジャッジメント、逆十字が頭上から重くのしかかってくる。これは迂闊にテレポートで避けようものなら、カヨコさんのことだから引き寄せるかトラップを起動するなりしそうだからやめておこう、だったか」

「エリアが吸血鬼の館っていうのがポイントだと思うんだよね。多分エリア自体にトラップ系が複数仕掛けられてると思う。それと、いくら侵入者が来たからってカヨコさんが自分の屋敷ごと吹っ飛ばすとは思えない。恐らく最初からアナザーディメンションで異空間に飛ばされてのスタートだと思うんだよね」

「なるほど、完全に向こう有利の環境ということですか」

「恐らく、だけどね」


 さて、本気でカヨコさん対策を組まないとね。と言っても向こうも臨機応変に対応する能力はとんでもなく高い。こっちが作戦は『これだけは当たらないようにしよう』とか『これはやらないようにしよう』とかそんなレベル。でもこれを最初に決めておくだけで結構変わるんだよねえ……。最悪の選択をしなくなるってだけで生存率上がるからね。


「相手の行動が完全に予測出来るなら、これが来たらこうしようって作戦になるんだけどね? 相手の行動が予測出来ない場合は、これが来たらこれはしないようにしようぐらいしかないんだよね。とりあえずわかってるのは、遠距離攻撃に対してはカウンターミサイルが来るの確定。ディスエンチャントは、こっちがパーマネンス積んでたらやって来ない可能性があるから未確定。カヨコさんは目が良い(・・・・)からね」

「あっ! そういえばそうですね、目が良い(・・・・)ですからね!」

「相手の技量の大凡を見抜く、あの目ですか……」

『(;´∀`)……』


 そしてカヨコさんの一番厄介なのは目。恐らく一目でスキルがバレて、要注意人物といつでも処理出来る人物に分けられて、面倒なのから処理される。間違いなくおにーちゃんか千代ちゃんが真っ先に狙われると思う。


「私がカヨコさんなら、まず真っ先に千代ちゃんかおにーちゃんかな」

「一撃の重い、特効攻撃持ちの二人からですか」

「なるほど……では、どちらかが生き残る為に、二手に分かれるべきでしょうか?」

「逆に、二人でピッタリくっついて動けばカヨコさんは嫌がるんじゃないかな。二人同時に潰そうとするなら大きな攻撃が必要になる。その隙が生じればどん太なりティアちゃんなりが横槍を入れることが出来るはず。二人揃って動いたほうがいいと思うよ」

『(*´∀`*)!』

「わかりました! では、そのように致してみましょう!」


 まあ、ここで『あれだこれだ』と決めても実戦ではどうなるかわからないんだけどね。そして決めすぎもあんまり良くないから、これもある程度にしておかないとね~。カヨコさんの行動パターンが100個あるとしたら、これ全部に対応パターンを組んだら『あれ? どれにどれをするんだっけ?!』って逆にパニックになるからね。ある程度の作戦を決めたら、後はアドリブでなんとかするしかないのよ。


「じゃあ、とりあえず今言ったところまで動けるようにしておこうか――――」


 それじゃあ動きの確認をある程度やったら、次はいよいよカヨコさんと決戦だ~!! ん、あっ! そういえばあまりのショックで手に入れたもののことを完全に忘れてたわ。麒麟の杖だっけ? これの効果見てなかったわ、どれどれ~??



【◆◆◆麒麟の杖】(神器・トップシークレット・召喚杖・スロットなし)

・【呪】召喚士のみ装備可能

・【呪】超越者のみ装備可能

・【呪】麒麟の試練を突破しなければならない

・【呪】麒麟の試練開始時、装備が【試練の杖】に変化する。

・【呪】素のステータス-50%

・全攻撃性能上昇+Lv%

 ┣物理・魔術

 ┣属性・状態異常付与成功率

 ┗クリティカルダメージ・クリティカル確率

・スキル【召喚:麒麟】使用可能

・悪性状態異常完全無効

 ――――大いなる力を授けるには、大いなる器が必要なのだ……許せ。by麒麟

 強化不可・試練突破者【――】・重量0.8kg



 全攻撃性能上昇って何? 召喚士、え、あ。許せ……? え、はい。えっ……? 悪性状態異常完全無効って何? ん、ちょっとよく、わかんない。こんなヤバイ装備今まで見逃してきた可能性があるってこと……? お、吐く……! いや、カヨコさんとの戦闘前なんだから引きずってたら本気で負ける、メンタルをリセットして挑まねば……。よおおぉおおし!!! リアにゃんとマリにゃんの猫耳もちょもちょして、行くかぁ~~!!!


「ひゃぅう!?」

「ん゛っ゛!!」



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本作をご覧頂き誠にありがとうございます
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ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~Amazon版
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