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214 転んだなら飛べばいい

◆ ローレイ・ギルドルーム【ロビー】 ◆


「…………で、引っかかれたのがその顔に御座いますか」

「はい」


 すみませんでした。


『( ‘д‘⊂彡☆))Д´)』

「はい」


 深く反省しております。おにーちゃんもエモーションだけは引っ叩いてるけど、クスクス笑ってんじゃないよ。


「リンネ様! 変態さんは、程々にって……カヨコ様が言ってました!」

「はい」


 ティアちゃん……。ティアちゃんのが一番、ぐさっと来る……!!


「反省してください!!!!」

「はい」


 申し訳ありませんでした、リア様……。調子に乗りました……。


「――――リンネ、船はやめよう」

「はい。はい? はい!?」


 いやマリちゃんだけおかしいな? 急におかしいな? どうして急にそうなった!? 船をやめようだって!? もう素材買ったって言ってたよね、代理購入のログも残ってるし! もう200億近く使ってるよねえ!?


「待って待って、船やめるってどういうこと!?」

「我はね、もう一回転生したいなーって思うぐらいの事件があってへこんだ後に、気がついてしまったんだよ」

「はい。それは?」

「…………空、飛んだほうが速いな」

「…………」


 マリちゃん…………。うん、そうだね。海を渡るのにどうしても船じゃなきゃダメってことはないからね。飛行機での移動は人とちょっとした荷物ぐらいだろうけど、何も船でどっさり荷物を運ばなきゃいけないわけじゃないし、それに……。向こう側で『どこでも倉庫』を使えば大量運搬出来るもんね。あ、あっは……あっは……!! は~。


「おお、空に御座いますか!」

『(*´ω`*)!』

「空? ティアも飛べる!」

「海の向こうまでは辛いだろう? それを疲れずに飛ぶ方法を作るのさ」

「すごい!!」

「なるほど~空ですか~。でも、急になんで空に切り替えようと思ったんですか?」

「うっ……あ、ああ、ほら。結構飛べる人が多いだろう? それを見て、こう……閃いたんだよ」


 いや、これは本当のことを言っているけど嘘が混じってますね。私の鋭い直感がマリちゃんがポンコツかましたリカバリープランで空の話を持ち出してきたように感じますね~~。


「それで、どういうのを作るの?」

「え、あ、ほら、その、なんだ……そういうのは、異界人のリンネが詳しいかな~~と思って……」

「船に欠点があったんでしょ?」

「え!? いや、あの、そうじゃないんだ。いやそうなんだが、そうじゃないんだ、あの……ああああああああ…………!!!」


 なるほど~~?? なるほどね~~???? これはこれは……。どん太に寄りかかってもふもふとゆっくり聞かせて貰おうじゃないですか。ほれ、開けギルドポータルよ。


『ギルドポータルを――――』

「どん太~~おいで」

『わう? わうぅん!? (なぁに? なぁにその顔ーー!!!?)』

「勲章だよ」

『ぴぃぃぃ~ぴぃぃぃ~~…… (痛そうな勲章だよぉ~~……)』


 顔の引っかき傷は、気にするな。そのうち自然に治るさ……。これはリアちゃんを全力で吸ったことの証、そしてリアちゃんを全力で愛でた勲章なのだよ。ちょっとね、ヒリヒリして痛い。


『わうっ (よいしょっ)』

「よいしょ」

「よい、しょ……」

『(*´ω`*)』

「よいしょーーっ!! えっへへ、どんどんもふもふ~」

「んぅ? よいしょっ!! えへへ」

「わ、我も――――」

「あ、マリちゃんはどうぞ、そのソファにおかけになられて」

「あっ……あっ……」


 横になったどん太にみんなで寄り掛かりながら、マリちゃんだけソファにちょこーんと座ってる光景。なんだろう、これが……大昔に存在したとされる圧迫面接ってやつ……ですか!?


「では、これより会見を開始します。はい、マスターのリンネと申します。マリちゃんに質問です。船に欠点があったようですが、何が見つかったのでしょうか?」

「あああああ~~~~…………そのぉ~~…………」

「魔鉄鉱石などの……あっ、リンネ殿の従僕の姫千代です。魔鉄鉱石などの高価な金属を買っていたようで御座いますが」

「か、買った、なあ……うん……」


 千代ちゃんが意外とノリが良かった……!?


「ペットのオーレリアです!! 買った金属が高すぎて量が揃えられないんですかーっ!?」

「いや、いや量は足りているんだ、後は内部の機関に使うものを揃えようというところだったのだが……」

『(*´・ω・`*)ノ』

「おにーちゃんは声帯がないため、質問を認めませんっ!」

『フリオニールが【巨大化】を発動しました』

『 ( * ´ ; ω ; ` * ) 』

「なにその微妙に大きくなるだけっていう謎の抗議、え、本当に一回りしか大きくなってないし、なにそれ!?」

『フリオニールが【巨大化】を解除しました』

『(*´ω`*)』


 おにーちゃん、スキル巨大化のサイズってそんなすんごいびみょーーなレベルの巨大化も可能なんだねえ!? 巨大化一発芸、ヤバイ……ツボに入りそう……い、今は堪えるんだ私……!


『わうぅ? (お船、出来ないの?)』

「あっ……そ、そうなんだよ、どん太君……あのね……」

「軽すぎて、横転します」

「そうなんだ、マグナにも見せたら……これじゃ軽すぎて横転するって…………あっ」

「あ、つくねちゃんだ~こんばんは~」

「こんばんは、です」


 およ、つくねちゃんが帰ってきた。どん太達も皆、つくねちゃんにしっかり挨拶するよね。つくねちゃんも皆に慣れたみたいだし、仲良くなれて良かった~~。あれ? つくねちゃんが今なんか、答え言わなかった?

 

「え、横転するって?」

「ミスリルは魔鉄鉱石って名前で呼ばれてるんですけど、軽いんです。それで土台を作ろうとしているので、軽すぎて船が沈みません。鉄の比重は……比重、う~ん……水。水と比べて8倍弱重いんです。その点、ミスリルは4倍ほどです。その設計だと軽すぎて、水の上で起き上がりこぼしみたいになります」

「…………みたい、なんだ」

「な~るほどね~。つくねちゃん詳しいね~!?」

「前の、ネットゲームで……。自分で戦艦とか重巡洋艦とか、もっと小型のものを設計したりして戦うゲームが、あって……小学生の頃から……」

「ほえええ~~~~」


 なるほど、つくねちゃんは前のゲームの知識があって、これじゃダメだってわかったんだ~……。そんなにリアルに設計するゲームがあるんだ、凄いなぁ……。


「口を出しちゃって、どうしようって思ってたんですけど……。つみれが……」

『ぎゅぁぁ~~♡』

「口を出したんだから、最後まで逃げずにやるべきって……怒られて、ごめんなさい」

「ううん、大丈夫大丈夫! 何も知らずに浮かべて即沈没は避けられたと、前向きに!」

「ソウ、ダナ……ウン、我モ、ヨカッタヨカッタ……」


 さっきこっちに寄った時に口出しして逃げて、つみれちゃんに怒られて帰ってきた、と。ありがとうつみれちゃん、そして戻ってきてくれたつくねちゃん!! マリちゃんも、300億が沈没する前に発覚して良かったね~?


「マリちゃん~。失敗したりもっとお金が掛かるようになっても怒らないから、何をやらかしたのかちゃんと教えて欲しいな~~?」

「…………ごめんなさい」

「それで、やっぱり船はやめるの? 空にする?」

「どう、しよう……?」

「じゃあ、船飛ばしましょう」

「なるほどいい考え――――はい?」

「飛空船作りましょう、飛空船。バビロンオンラインに飛空船作っちゃいましょう。わっちもお金出しますから。設計も手伝います」

「ひくう……」

「せん…………?!」


 つくねちゃ、なに、ひくうせん……? いず、なに……?


「お姉ちゃん! 猫だって空を飛べるんですから、船だって飛びますよっ!」

『わう……? (僕も、飛べる?)』

「どんどんは犬だから無理です」

『ぴぃぃぃ~~~ (僕も飛ぶもん~~)』


 どん太鼻を鳴らすの最近のトレンドか? そのぴぃぴぃ言うの可愛いじゃん。いやそれよりリアちゃんよ、その理屈は流石におかしいからね? 猫が飛べるから船が飛べるは何もつながってないのよ。


『( Д ) ゜ ゜』

「確かに、飛行する都市があるほどですから、船も飛びまする。道理に御座います」

『Σ(´∀`;)!?』


 ああ、そういや滅んだらしいけど空中都市メルティナとかあったねえ!? 都市が飛ぶんだから船ぐらい飛ぶか……。じゃあそのうちどん太も飛ぶかもしれないな……。


「リアルな船も作れるゲームでしたけど、ファンタジーな船も作れるゲームだったので……。えっと……戦闘機に蹂躙される哀れな船、でしたけど……ロマンはあります」

「こっちでも蹂躙されるのでは……?」

「こっちには、沢山の魔術がありますから」

「魔術発動書の応用で、魔術砲台とか作ったら強そうですっ!!」

「おお、面白そうで御座いますね」

「待って、待ってくれ、本当に船を飛ばすのか?」

「え? 出来ないの?」


 マリちゃん~つくねちゃんが手伝ってくれるっていうんだから、作ろうよ~~? あれあれ~? 出来ないのかな~~???


「で、で……!」

「ギルドポータル、あけっぱなし。私も、つくりたーーい」

『(*´ω`*)!!』

「あ、レーナちゃん!! すみません、ギルドポータル開けっ放しでしたね!」

「私は、デザインやりたーーい。仕事で、そういうのもやる~外装の、ペイントデザイン~」

「いい、ですね。皆でやったら、楽しそう……です」

「え、聞いちゃった! 聞いちゃったッスけど、混ざっていいんッスか!?」

「あ~~ギルドポータル開けっ放しだったから皆聞いてたんですね~。すみませ~ん、でも皆でやったら楽しそうですね~。ね~~~マリちゃ~~ん??」


 お~お~、レーナちゃんも赫さんも! ギルドポータル開けっ放しで聞こえてたのに食いついてきた~! ほらほら~マリちゃんどうするよ。どうするね~?


「何々~~? 戻ってきたら面白そうな集まりになってな~い?」

「じゃじゃ~ん、エリスちゃん腰痛から完全復活~~」

「おう! 船がどうとかこうとか聞こえたぜ!」

「マリちゃ~~ん???」

「で、出来るさ!! 作れるとも!? 作ろうじゃないか!!!」


 いえーーーい。マリちゃんがおめめぐるぐるになりながら『作る』って言ったーー!!! ふっふっふ~……こうなったらもう、納得の行くものが出来るまで徹底的にお金を注ぎ込んで作るよーー??


『(*´ω`*)ノ』

「おいおい、フリオニールさん。そんなに押さないでくれ。何がどうしたんだ?」

『緊急招集、参上しまし、た』


 おにーちゃんがいつの間にか、マグナさんとグリムヒルデちゃんを連れてきてる!? 


「マリちゃんは空を飛ぶ船を作りたいって。飛空船です!」

「我が言ったわけじゃ――」

「言った言った~! マリにゃん言いました~作るって言いました~~っ!」

『わうわう~~~』

「飛空船か、理論上可能だろうな。莫大なコストが掛かるだろうがな」

『建造、手伝います、か? ヒルデは、最近、暇……です。笑顔の練習、ぐらい? あ、採点を、願います。にこ~っ』


 …………グリムヒルデちゃん、一切表情筋が動いてないんですけど。笑顔、なんですか? それ……で……!?


「こんなに大型じゃ飛ばしても着艦が大変になるから、もっと小型化した方がいい。この素材量なら二隻か三隻行けるだろう。買うのは別の素材になるな、それが高くなるだろうさ……」

『神木、ですか?』

「アレがほしいだろうな」

「神木……。鉄よりも頑丈で、軽く、燃えない木材と聞いたことがあるが……」


 お~お~~なんか、なんか楽しくなってきた~~!!! これは大変なことになったよ、わくわくが止まらない~!! さあ私も、出来る限りの応援が出来るように何が出来るか……何が必要かをリスト化しよう! 毎日毎日、忙しくてバタバタしてて楽しいなぁ~~!!


新作を投稿しました。タイトルは『女神の声は聞こえなくなりましたが、皆様の声が聞こえるようになりました ~もう聖騎士団になんて戻りません! 私は自由に生きます!~』になります。

下記にありますリンクを踏むと掲載ページに飛ぶことが出来ます。どうぞよろしくお願いします。

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