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207 最高にいい気分

◆ ローレイ・ギルドルーム【ロビー】 ◆


 最近は皆、ローレイ側のギルドルームは使わずにバビロニクス側のギルドルームを使ってるから、こっちには殆ど誰も来ないんだよね。つまりロビーで堂々と鑑定してても! 誰にも! 迷惑が~かからな~~い!!! そしてハッゲさんは最近こっちのキッチンを使ってないから、これを借りてお姉ちゃま特製クッキーをレシピ通りに作っても~~だいじょ~~ぶ!! なので、作りましたっ!!


「わぁ~……! 本当に、どんどんだけでやっつけたんですか?」

「そうだよ~どん太だけでやっつけたの~。ね~どん太!」

『わうっ!! (そうだよっ!)』

「本当に本当に、お姉ちゃんのアドバイスとか、サポートの魔術もなしですか?」

「なしなしだよ~。ね~どん太!」

『わうんっ!! (そうだよっ!!)』


 そしていつもはソファの後ろとかの広いところを見つけて寝そべってるどん太も、今日は皆が談笑する場所の近くで寝そべってても邪魔にならな~い! こうやって全員でロビーを占拠してゆったりお喋りする機会ってあんまりなかったから、なんか新鮮な感じかも!


『わうわうぅん! (ご褒美に大きなお肉貰ったの!)』

「ほう」

「あっ」

『(;´∀`)!』


 あ、馬鹿なやつよどん太……! 千代ちゃんの前でそれを口に出すとは……! 


「して、此方の分は何処に……」

『わうん……?』

「…………ここに御座いますか? 全部、この、もちもちぽんぽんの中に入ってしまったので御座いますか?」

『わうぅぅん♡ (くすぐったいよ~~)』

『(;´∀`)!』

「お、そ、それは、ダメだろう……!」

「んう……?」

「この笑顔に免じて許してあげて、千代ちゃん……!!」


 お願い千代ちゃん、片手は刀に手をかけたままどん太のお腹をなでなでするのはヤメテェ!!


「明日は此方が参ります。リンネ殿、明日は此方です」

「あっ、あっ……」


 そして千代ちゃん、残念なお知らせがもう一つあるのよ……。


「明日は~~~私で~~す!! 先着順で~す!」


 そう、明日はリアちゃんが先に『明日は私が行きます! へるほえ解体行きます!』って約束しちゃったんだよねぇ……。


「ううう~~!! 此方もぉ~~!! 此方も行きまするぅ~~!!! 此方もお肉食べたいもん!!!」

「もん!?」


 ……もん!? 千代ちゃん!?


「あ! おっきいお肉出たら持って帰ってきてあげましょうか?」

「…………それではリンネ殿と一緒に行けないではありませんか! リンネ殿にご褒美で貰いたいのです!」

「え~お肉がメインなんですか? お姉ちゃんがメインなんですか? ちよちよ欲張りです~」

「どっちも! どっちもに御座います!!」

『(*´∀`*)』

「リンネは一人しか居ないんだから、無茶ばっかり言ってはリンネが困ってしまうだろう」

「リンネ様、早いもの勝ち?」

「早いもの勝ちで~す!!」

「じゃあ、今日はティアと一緒にこれから遊ぼ、リンネ様!」

「リンネはこの後我の研究を見に来てくれる約束だぞ」

「え! じゃあ冥神降臨の書を使っての解読はどうするんですか!」

「ティアも遊びたい……」

『わうぅん……?』

『(*´∀`*)!』

「おにーちゃんとじゃ嫌ですぅ~~っ!!」

『(´;ω;`)』

「わ……わわ~……」


 なんだこれは、どうして私がいつの間にか皆に引っ張りだこ状態になっているんだ……? おかしい、珍しく全員が駄々っ子モードっていうか、欲望に忠実っていうか、なんかおかしい!!



・どん太:絶好調、ローレイ・ギルドルーム【ロビー】、究極に親密

・オーレリア:いい気分、ローレイ・ギルドルーム【ロビー】、究極に親密

・フリオニール:良好、ローレイ・ギルドルーム【ロビー】、究極に親密

・姫千代:いい気分、ローレイ・ギルドルーム【ロビー】、究極に親密

・マリアンヌ:いい気分、ローレイ・ギルドルーム【ロビー】、とても親密

・ティアラ:いい気分、ローレイ・ギルドルーム【ロビー】、どきどきする



 ――――いい、気分……だと……!? どん太とおにーちゃん以外がいい気分になってる原因は何!? どうして……!?


「どんどん! どんどんはクッキー食べないんですか!! お姉ちゃんが焼いてくれたクッキーですよ!」

『わう~~ (お腹いっぱいだも~ん)』

『(;´∀`)!!!』

「では此方が頂きまする」

「あ! ズルいぞ、我の分だ。そのハート型の!」

「ティアはお星様のが良い!」

「ねこちゃん! ねこちゃん私のです!!!」


 こ、これか……?! まさか、いや嘘でしょ? だってこれ、至って普通の材料で作ったクッキーだよ? あのキッチンにあった、普通の……。鑑定鏡まで使って、ごく普通の素材アイテムだってのを確認して作ったはず。これじゃない、これなはずが……。


「お姉ちゃん! おまじない、切れたかもしれないです! アレやってください、さっきのアレ!」

「アレ!? さっき何かやったのですか?! 此方も見とう御座います!」

「我も見たい」

「ティアも!」

『わう? わうん! (なにかしたの? 見たい!)』


 アレ? ああ、お姉ちゃまのレシピに書いてあった美味しくなあれの魔法ね。そのぐらいなら別にやってもいいけど……。確かえ~っと……。レシピの後ろの方に書いてあったはず。


「ん、んんっ! お、美味しくな~れ~、ローヴェ・フォル・アウル!」

「ほら! ハート型のぽわぽわが出て可愛いんですよ、これ!」

「おおお~~。可愛いですね! これでますます美味しくなったに違いありませぬ」

「なるほど。何かを発動する時に、専用のエフェクトが発生するのもいいな。テレポーターで物凄いことをしているように見せるエフェクトを発生させるのも格好いいかもしれない」

「可愛かった!! ぽわぽわ~~!!」

『(;´∀`)!!!!?????』

『わう!! (ぽわぽわ~!!)』


 これこれ、結構ウケる。淡いハート型のエフェクトがぽわぽわっと出て、ぱちぱちっと消えるの……かなり……う…………? あれ、なんだろ、すっごい体がダルい……。


「あれ? お姉ちゃん?」

「む……?」

「…………おい、リンネ。大丈夫なのか? 顔が真っ青だ」

「わ! リンネ様、凄く辛そう……疲れた……?」

『きゅぅん…… (大丈夫? 疲れちゃった?)』

『(;´∀`)!!』

「ちょっとおにーちゃん、なんですか? 今お姉ちゃんが大変なんですけど……」


 え、この症状は何? リアルの方の私の体調が反映されてるとか? いや、バイタルは正常だし特に異常検知はされてないけど……。じゃあ、ゲーム内か……。ステータスになにかついてる? 特に何もないと思うんだけ――――どおおおおおおお!!!!???


・ステータス

【HP】1/10 

【MP】770/770,000 

【NP】20/20

【状態異常】

 ┣【解読成功】マナ枯渇症・2段階

 ┗【解読成功】禁忌・2段階

 

 ママママ、マナ枯渇症!? 禁忌ぃ!? しかも2段階って、段階進んでるんだけど!? なにこれ、ログに載ってないよ!? 解読成功、まさかこれって……古代語で表示されてる状態異常とか!?


「なんだそのぐちゃぐちゃと、変な字の……状態異常になにかあるが……」

「え? マ、マナ枯渇症? お姉ちゃん……?!」

「んぅ……? 何見てるの?」

『わう?』

「マナ枯渇症……。マナが体に戻らなくなり、終いにはマナが完全に抜けきり抜け殻のようになってしまうという……恐ろしい奇病に御座いまする……」

『(´゜д゜`)』


 やっぱりこれ、古代語だ! リアちゃんにしか読めてないってことはそう、間違いなくそう! まさかさっきのハート型のぽわぽわって、迂闊に口に出しちゃいけない類いの言葉だったんじゃないの!?


「とりあえずマナが自然に戻らないなら、にゃんにゃんにゃんにゃんえきど~にゃっ!! えい!!!」

『オーレリアが【えきどにゃの秘術】を発動、MPが完全に回復しました』

「お……」


 お……? お! 体調がバッチリ戻った! でもマナ枯渇症と禁忌、戻りません!!!


「体調が戻った……。ありがとうリアちゃん!」

「えっへん! 撫でてくれてもいいですよ!」

「偉い!!」

『(*´∀`*)』

「だが、そのぐにゃぐにゃの字が消えてないということは、マナ枯渇症とやらは治まっていないのではないか?」

「此方達には何を見ているのか、さっぱり見えませぬが……」

『(;´∀`)』

『わうぅ~』

「でも、元気になった? 大丈夫?」

「元気には、なった――――あ、え、ヤバ……」

「ええええ!! お姉ちゃん、マナがダダ漏れじゃないですか!?」


 さっきMP全回復したのに、もうMPが10パーセントぐらい減ってますけど!? 枯渇症って、回復しない上に漏れ出ていく症状なの!? ええ、ええやば……。どうしよ……。あ、こういう時こそ状態異常の詳細表示じゃん。ほい!


【【解読成功】マナ枯渇症・2段階】

・段階進行時、マナが大幅に減少する

・秒間2パーセントずつMPが減少する状態

・死ねば治る


【【解読成功】禁忌・2段階】

・死ななければならない

・死ななければならない


 なんだこの死ね死ね集団。腹立つ~~~…………!!!!


「リアちゃん、さっきの何回出来る?」

「え? えっと、生命力を削ってマナに変えられるので……後9回ぐらいですかね?」

「アルスさんが売ってる一番質のいいポーションとか使ったら、どう?」

「ん~……何回でも出来ると思います!」

「よし。言ったね」

「おいおい、正気か……?」

『(;´∀`)!?!!?』

『わうん?』

「んうぅ?』

「ま、まさか、本気ですかリンネ殿!?」


 おうおうおう~~本気も本気よ~。こうなったらとことんやってやる、どっちが折れるか勝負してやろうじゃあないの~。ええ~~???


「千代ちゃんマリちゃん、悪いんだけど下の階行ってアルスちゃんから一番良いポーション買ってきてくれる?」

「しょ、承知!!」

「我には無茶するなっていうくせに~!」

「マリちゃん、これは矜持の問題なのよ。この頭に来る症状と私のね!」

「ふ……! 面白い。見せて貰おう!」

『Σ(´∀`;)!!』

「おにーちゃんも回復スキル準備か、応援してくれ~……!!」

「回復すればいいの? リンネ様を?」

「限界は考えて下さいねティアにゃん! あ、私を回復してくれたほうがいいです!」

「わかった!」

『わう~~!! (なんだかわからないけど、頑張れ~~!!)』


 おらおらおらおら、覚悟しろよ枯渇症と禁忌の死ね死ね軍団! どっちが先に折れるか、勝負してやろうじゃあないの!!


「じゃあ千代ちゃん達が来るまではこの、いつ買ったかわからないポーションでよろしく!」

「はいっ……はいっ!?」

『Σ(´∀`;)!?』


 おーし、行くぞーーー??? こういうのはね、勢いよ勢い。勢いが大事なのよ。


「おいしくなあれ――――」

「あ、多分そこいらないです」


 そ、そう……? でも、大事だと思うよ……?


「…………ローヴェ・フォル・アウル!!!」


 いでよ! ハート型のぽわぽわ! ほれ、見してみ? 3段階に進んだっしょ。ほら進んでるーーーはい進んでるーーー。


【【解読成功】マナ枯渇症・3段階】

・段階進行時、マナが大幅に減少する

・秒間3パーセントずつMPが減少する状態

・死ねば楽に治る


【【解読成功】禁忌・3段階】

・死ななければならない

・死ななければならない

・死ななければならない


「リアちゃん、ぷり~ず……」

「にゃんにゃんにゃんにゃんえきど~にゃっ!! えい!!!」

『オーレリアが【えきどにゃの秘術】を発動、MPが完全に回復しました』

「ありがと!」

「ここからはお礼なしで、バンバン行きましょう!」

「オッケー!」

『(;´∀`)!?』


 マナの回復が絶望的でどんどん減っていくなら、それを上回るスピードで回復し続ければいいじゃない! 幸い私はね、HPを回復してもMPが回復する、MP統括管理型なんだよォ!!!


「ローヴェ・フォル・アウル!!!」

「にゃんにゃんにゃんにゃんえきど~にゃっ!! えい!!!」

『オーレリアが【えきどにゃの秘術】を発動、MPが完全に回復しました』

『( ‘д‘⊂彡☆』

『フリオニールが【シャドウアスパーション】を発動、全員のHPを50%回復、【ペネトレイト・5】状態になりました』


 おらぁ! どうだぁ!


【【解読成功】マナ枯渇症・4段階】

・段階進行時、マナが大幅に減少する

・秒間4パーセントずつMPが減少する状態

・死ねば楽に、すぐに治る


【【解読成功】禁忌・4段階】

・死ななければならない

・死ななければならない

・死ななければならない

・無駄なことはやめなさい


 無駄なことはやめろだぁ~~~???? これ、メルティスだ。メルティスだろう? こんな癪に障る内容を書いてくる奴はメルティスだよ。間違いないね。


「リンネ殿! 買ってきました!」

「秘密研究所の奥から、とっておきのものまで譲ってもらってきたぞ」

「おお~~ありがとう! からのローヴェ・フォル・アウル!!!」

「にゃ!? にゃんにゃんにゃ~んえきど~にゃっ!!」

『オーレリアが【えきどにゃの秘術】を発動、MPが完全に回復しました』

「そしてローヴェ・フォル・アウル!!!」

「ええ!? にゃ、にゃんにゃ~えきど~~にゃっ!!」

『オーレリアが【えきどにゃの秘術】を発動、MPが完全に回復しました』


 これで6段階……お、流石に減るスピードが速く感じてきた。秒間6パーセントは伊達じゃないね。そして大幅に減少って書いてあるけど、これMP400Kちょいぐらいしかへらないわ。多分444,400かな? よし、ここからはローヴェ・フォル・アウルを使う時はヘルスとマナ回復ポーションを同時に使用した瞬間にしよう。


「ポーション使った瞬間にハートのぽわぽわ出すようにしていくね。いくらか減少がマシになるはずだし」

「わ、わかりました。これ、マナを直接分配するんじゃなくって、生命力を変換してマナにして渡すものなので、私は生命力が……!」

「だからヒールすればいいんだ!」

「そう! ティアにゃん大正解! 花丸満点!」

「やった!! んう~……? はなまるまんてんって、なぁに……?」

「それはまた今度ね!」

「はいっ!」

 

 ここからはリアちゃんとの連携もしっかりしていかないと。千代ちゃんとマリちゃんにポーションを次々と用意して貰って、おにーちゃんはタイミング見てシャドアスパ。これで行こう。


「おにーちゃんはポーションとにゃんにゃんが間に合わない時のリカバリーね!」

『(`・ω・´)ゞ』

「リアちゃんと私の詠唱後にすぐ、千代ちゃんとマリちゃんはポーションをどんどん渡して!」

「え、ええ! 承知に御座います!」

「わかった!」

『わうぅん……? (僕は~?)』

「応援!」

「ティアは!?」

「無理のない範囲でリアちゃんにヒール! ポーション自分で開けられる?」

「大丈夫、開けられるよ! 頑張りますっ!」


 よ~し…………。んじゃ、行きますか……。覚悟しろよ、古代語の死ね死ね状態異常軍団!!! 


――昨日は投稿できずに申し訳ねえでした……!

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