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202 ログイン12日目 ~充実した休日~

◆ 東京某所・【NYAONショッピングモール】 ◆

 

 凄い。あの真弓がこんなまともでごく普通な場所をデートスポットに選ぶなんて。1泊2日でロンドン観光デートなんて狂った行動をしようとした過去から比べたら、途轍も無い進歩よ。


「なんだか、ショッピングモールというよりは、もはやアミューズメント集合施設みたいになりましたわね〜」

「リアルで集まるのが好きな人のためにある場所だから、モール内の店舗もそういうのが多いね。大体のお買い物はVRでよくなっちゃったし、生鮮食品が欲しいなら小規模なスーパーのほうが強いし。こういう所はもう殆どなくなっちゃったんだっけ」

「そうですわね。昔はどの町にも一つはこうした大型ショッピングセンターやモールがあったそうですけれど。時代の変化とともに、大きく数を減らしましたわね。そして各所、内容も大きく変化していって、ショッピングモールというよりもアミューズメント施設に変わったようですわね」

「ん~…………。VRでショッピングも楽しいけど、やっぱり実際こういう場所に来るって行動自体が、楽しいよね」

「そうですわね!!」


 VR技術の発展によって、こうした大型のショッピングモールは数が激減しちゃったんだって。まあそもそも各町に1つ以上こんな大規模なショッピング施設があるのが異常な気がするけどね。適切な数まで減った、っていうのが正しいんじゃないかな。昔は食品ロスも凄まじいことになってたって授業でやってたなぁ~……。店の数だけ売れ残りが発生するんだから、それはそうだよね。

 それにしても、本当に人が少ないね~。あ、ここのカラオケ潰れたんだ。まあカラオケとかはVRで集まってやった方が気軽だし、暴れたり叫んだりしても迷惑にならないし、そもそもVR内だから喉を傷めないし。リアルでやるメリットがあまりにも少なくなってしまった店の一つだよね。反対にビリヤードとかダーツとか、リアルの良さが求められるものは逆にVRの方が人気がなかったりね。室内アスレチック施設とかはリアルとVRの両方共人気だったり、何がどう生き残って、どう変化して、どう廃れていくのか……VR技術っていろんな分野に革命が起きた技術なんだな~って、こういう所に来るとヒシヒシと感じられるね。


「あーちゃん? ボウリングなんていかがかしら?」

「ボウリングかー。いいね、やろやろ~。あれ? 私、初めてかも」


 ボウリングか~。ボウリングも、VRよりもリアルが人気なものの一つだったね。ん……周囲の店舗……。『ボウリング中の「ちょっと食べたい」に! ボウリングたこ焼き!』、『空腹にストライク! 元祖焼き鳥』、『初代もちもちたい焼き』、『ボウリングのボールみたいなアイスクリーム!』…………がっつり人気店に乗っかってるわ。ああ、しかもまだ朝の9時ちょい過ぎだっていうのにそこそこ人入ってるし。しかもこのモール内で結構人が通り抜ける場所なんだ、ここ。なるほどね、昔ながらの方法で変わらず生き残ってるところもしっかりあるんだ。ちょっと感動……。


「初めて…………? あ、ええ! 初めてでしたわね! では、わたくしが手取り足取り教えて差し上げますわ!」

「手取り足取りの足取りの辺りで太ももも触っとく?」

「え゛っ゛!! さ、触りますわ!」

「太ももへの執念が凄い」

「絶対触りますわ! それも、さり気なく!」

「じゃあ触った瞬間が私にバレたら負けね」

「え!? 勝ちますわよ? 絶対!」


 ボウリングのスコアで勝負じゃなくって、太もも触ったのバレたかバレてないかの勝負が始まるのおかしくない? まあ私も私で、真弓がメッセージで触りたいって送って来たから珍しくスカートで来たんだけどね。じゃあ、勝負しようか……。




◆ ◆ ◆




 ――――大変信じられないことに、4回も触られていました。それも結構ガッツリと。真弓が手に色つきリップをこっそり塗ってたらしくって、太ももに色つきリップの色が残ってたわ。やるなあ真弓……! バビロンオンラインでもこのぐらいこっそりと、慎重に行動出来ないもんかねえ!?


「やっぱり、少し教えただけです~ぐ上手になりますわね~」

「そう? 最後のほうでも真弓よりスコアが50とか40ぐらい低いけど」

「わたくしはほぼパーフェクトなのですけど? 初心者が200点後半出していいはずがないのですけど??」

「真弓の教え方が上手いんじゃない? ほら、手取り足取り教えてくれたし? 4回も」

「ふっふ~~~ん♪ 完全勝利ですわ~~!!!」

「あ、なんか悔しい……!」


 まあまあ、真弓が嬉しそうにしてるからいいっか。いや~遊んだ遊んだ、遊んでるうちにもうお昼近くなってたんだ。お昼はどうするのかな? このモール内のどこかの店舗で食べていくのかな?


「むっ! お昼の時間が近いですわね! 予約してありますから、行きましょうか」

「あ、さっすが~……。予約してたのね」


 さすが真弓、バッチリ予約してあったのね。どこを予約しててくれたんだろ、高級レストランとかだと、またガタガタ震えながら味もわからずに食べてどこに入ったかわからないうちにおしまいってなるから、出来れば普通でいられるような場所がいいなぁ~~……。


「このモールの最上階の、和牛レストラン篝火というお店ですわ!」

「…………た、高そうなんですけど?」

「食べ盛りの女子高生向けの、ボリューム満点のランチですわよ!」

「ねえ、どう考えても食べ盛りの女子高生向けの店名してないよね。高級スーツでばっちり決めたおじさまが行くような店名に聞こえるんですけど」


 食べ盛りの女子高生が食べるお肉はね、焼肉エンペラーとかの食べ放題コースとかで食べるお肉だと思うよ。絶対に和牛レストラン篝火とかいうしっかりし過ぎた名前のお店で食べるお肉じゃないと思うなーーー。


「さあ! 行きますわよ!」

「え、完全に無視した!? ねえ、実は焼肉エンペラーだったりするんでしょ? ねえ、ねえ!?」

「篝火ですわーーー!!」

「ああああ~~~…………!!!!」




 ――――メニューに値段が書いてませんでした。でもあの、凄い……美味しかったです。脂少なめのしっかりした赤身が、とっても柔らかくて…………。あ、お土産に『大満足和牛サンドセット』を渡されました。夜に、美味しくいただかせて頂きます……。




◆ 自宅 ◆




 ボウリング行って、和牛づくしフルコースを食べた後に、ネイルサロンに行くとか正気なのでしょうか、うちの真弓ちゃんは。ネイルサロンで『あ、お肉食べてきたなこの人達』って絶対思われてたよ。しかも手のほうだけかと思ったら、足の方もやることになっててびっくりよ。歩かなくなった現代人の足の特徴が出てないとか、足の形が綺麗だとか、そんな事を店員のお姉さんに言われても、こっちは『は、はあ、ええっと……はい……あっ……え~っと……』ってしか言えなかったよ! 真弓みたいに『そうでしょうそうでしょう? わたくし、頭の先から足の先まで美しいでしょう!』っていい切れるようなメンタルは私にはなかったよ!!

 後はね、エステサロンに連行されたね。あのショッピングモールの最上階って、高級店舗ばっかりじゃん。しかもあそこ絶対、真弓が頻繁に利用するお店が集められてる階層だわ。だって『ま、真弓様?! 本日はお一人ではないんですね』って店員に言われてたもん。そしてその瞬間の真弓の顔よ……『(こいつ、余計なことを言いやがりましたわ!!!)』って顔にでっかく書いてあったね。そしたらその様子を見た店長っぽい人が奥から吹っ飛んできて『これはこれは真弓様! こちらにいらっしゃるのは、珍しいですね!』なんてフォローを飛ばしてたけど、うん。もう遅いね、常連ってわかるよ……わかるぅ……。

 まあそれはさておき、あのエステサロンよかったなぁ~……。最近体を動かし始めたのとか、最近になってVRダイブマシンの利用が増えたのとか、そういうのが体を触ればわかる~って、それに合わせて色々とやってくれたもん。こっちが言わなくても体に聞けばわかるとか、あの店長さん凄いよ……只者じゃないね。ただね、スキンヘッドだった。ハッゲさんとは違うタイプのオネエなお方だったけど、ついつい思い出しちゃったね……つるつるの、おじさん……。エステ中ヤバかった。


「…………この、食べ合わせ、絶対ヤバいわ。いちごクレープに和牛サンドって……ヤバいわ……」


 ところでね、学校の帰り道にあったクレープ屋……あのショッピングモールに『二号店』が出来てたよ。そこで『あ、このショッピングモールは真弓の城だ』って確信したね。真弓が気に入ったお店とかで大半が埋まってるんじゃないかな、あの場所。いつもならもっとボディーガード多いはずなのに、今日は黒田さん一人だけだったし。

 それにしても黒田さん、最後にいちごクレープを真弓に差し出されて酷く困惑して『困ります……。手が塞がるのは、問題が……あの、そんなに押し付けないでください。お嬢様、困ります……』ってすっごい困ってたの、失礼だけど凄く可愛かった。スーツ姿でクールな美人のボディーガードが可愛い理由で困ってるの、なんか……良いよね。

 まあ黒田さんがそんな状態だったから、手が塞がるのが問題なら食べさせてあげようと思って、スプーンで掬ってあ~んしてあげたら、真弓が横から掻っ攫いに来たのも可愛かったね。秒で食いついたよ。手ごと食われるかと思ったね。


「真弓にもう一回、お礼送っとこ……」


 そんなこんなで、今日はすっごい楽しかった。気がつけばもう夕方よ……お土産で貰った和牛サンドといちごクレープが夕食って、この食べ合わせは絶対ヤバいわ、狂ってる……。頑張れ、私のお腹!!


「よし、送信っと……。これでこの後は、お風呂入って歯を磨いて、バビロンオンラインやって寝るだけ? 休みが、休みが……一日が短すぎる……」


 楽しい時間はあっという間に終わっちゃうよね。真弓が学校に居ない日が体感で一番長く感じて、逆に真弓と一緒に遊んでる時間が一番短く感じるわ。はあ…………あ、色つきリップが6箇所も増えてる……!? エステサロンで落としたはずなのに、あれから6回も触られてたってこと!? へ、変態……ッ!! 流石に2桁も触ったらアウトだよ! じゃあ今度、私がガッツリ触っても何も問題ないよね? だって10回だよ? 10回は反撃に、ガッと触っていいでしょ。


『わたくしも最高の1日でしたわ! 凄く、あの…………よかったですわ!! バビロンオンラインで待っていますわね!』


 まあ、真弓なら許してあげよう……。あ~……今日もいっぱい奢って貰っちゃったなぁ~……。うう、いつまでも真弓に奢って貰ってばっかりじゃ、将来が不安だ……。アルバイトとかして、逆に何かプレゼントとか――――いやあ、真弓が喜ぶようなレベルのプレゼントが、高校生のアルバイト程度で買えるわけないね。冷静に考えて。

 ん~~…………。じゃあ、せめてものお返しに! 真弓の明日のお弁当を作ってあげようか! 簡単な料理なら出来るから、大丈夫大丈夫……。時間の掛かるやつは今日のうちに用意しておこうかな。よぉし、作っちゃお~~……あ! 辛いのはダメなんだっけ、辛いの抜きね。危ない危ない……。




◆ ◆ ◆




『――――バビロンオンラインのプレイがリクエストされました。バビロンオンラインへアクセス中……リンク完了』

『わんわぅ~! わうぅぅ~! (おかえりなさい! ご主人様から預かり物です!)』

『バビロンちゃん (の、代理のモッチリーヌ3世)からの! デイリーログインボーナス11日目【マテリアルランダムボックス】』

『わうわ~う! (またね~ですよ!)』


 さて、今日もやりますかー! バビロンオンライン!! まずはちょっとサボってた天下一の予選にでも! 今日は誰と一緒に行こうかなー?? どん太? おにーちゃん? どうしようかなーー??


「…………リアちゃ~~ん?」

「んにゃぁ…………?」


 リアちゃんはー…………。うーん、凄い。どん太の背中の上で、伸びてるね。凄い伸びてる。猫ってそんなに伸びるんだっけ……? あ、猫って液体なんだっけ……そりゃ、伸びるかぁ……。猫、猫ってなんだ……? なんだっけ……。


「今日は、如何お過ごしでしたか……?」

「おひさま、ぽかぽか、あったかいでした」

『わう~ (ずっと寝てたよ!)』

「充実した、一日だったのね」

「はいっ」


 ずっと寝てたのか~……! うんうん、夜に大変な作業があったもんね。ありがとうね、リアちゃんも……充実した一日を過ごしてたんだねえ……。


「あの本、大変だったでしょ? ありがとうね」

「…………すみません、枕にして寝てました。よだれついちゃったかもです」


 わあ~…………!?



納期が迫っている緊急案件に追われている為、今週は更新が遅れたり出来なかったり、冴えない内容だと書き直したりすると思います。更新頻度が下がってしまって申し訳ありません。

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