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199 つるつる

◆ 魔神殿・大浴場【女湯】 ◆


「ん゛ん゛~~…………♡」

「ねえ、リアルでも、そうなる?」

「あ、え、ああ! なりますね……」

「すっご~…………」

「なりますわーーー!!!」

「なるデース!!!」

「……どうしてだろう、ぺるぺるときぬきぬの胸を見ても凄いって思わない」

「酷いですわー!!!」

「酷いデース?!!!」


 あ゛ぁ゛~…………お風呂幸せ~…………。過疎チャンネルの大浴場、まさかのプレイヤーもNPCも誰も居ない貸し切り状態! あまりにも不快指数が高い攻撃ばっかり受けたから、お風呂でリフレッシュしないと不快過ぎて何もやる気起きないレベルだったよ。実際は汚くないし臭くもないはずなんだけど、気持ちの問題でね。こうしないとダメだなって思ったわけ。


「ほゎぁぁ…………」

「リアちゃんがお風呂に溶けそう……」

「猫は液体」

「液体ですの!?」

「ネコチャン、抱っこすると伸びるー狭い場所にゅるんするー多分液体ねー」

「狐は固体ですよ」

「ちよちゃんも太もも…………え、凄い。かなりこう、想像より筋肉質かも。お肌つるつるだ」

「あ、え!? リンネ殿!?」

「水面下で行われる悪事。大胆」

「ほえ~……。良い、詰まってる。でも千代ちゃんって、柔軟体操とかってやる? ここ痛い?」

「あだだだだだ……!!? え、じゅ、柔軟、たいそう……に、ございますか?」

「そうそう。ここらへん硬いね。知らなそうなところを見るに、やったことはなさそう。後で服着たら教えてあげるよ。体の柔軟性を引き上げる運動」

「ええ、ええ。あの、そろそろ太ももを揉むのをやめて頂くことは……?」

「もうちょっと」

「もうちょっとに御座いますか……」

「ティアも触りたい!」

「えっ」

「本当! お肌、つるつる!」 


 やっぱり千代ちゃんの太ももはいいね。でも千代ちゃんの筋肉は硬すぎる部分もあるから、もうちょっと柔軟性をつけると戦闘に幅が広がるかも。どんな体勢からでも攻撃を仕掛けられるように靭やかであるべきだよね。


「わっ!? リンネ様!?」

「ティアちゃんは柔らかいね。ちょっと細いかも、ポキっと行きそうで怖いなぁ~……」

「もうちょっとお肉があったほうがいい?」

「ありすぎると高速戦闘の邪魔になりそうだけど、蹴り技とかに不安が残るぐらい細いね。千代ちゃんより二周りぐらい細くない?」

「……細いかもしれない!」

「確かに、ティアは少し細い――――ひゃぅぅ!?」

「マリちゃんはむっちりしてるね。あ、つるつるしてる。でも、ここらへん硬いし、痛いでしょ」

「いだだだだだだ!? リンネ! リンネそこ!! ダメだ、い――――ふぅ……リンネーー…………」

「マリちゃん、これは柔らかくしないと……いざって時に、やらかすかもよ?」

「…………体を動かすのは、あまり得意ではなかったからな」

「では、此方と一緒に柔軟体操……? ですね」

「そう、しようか」


 マリちゃんも千代ちゃんと一緒に柔軟体操だなぁ~これは。どれ、リアちゃんは?


「ひぇおぉお……!?」

「ほっそい~~……。ねえ、ポキっと行きそうで怖いんだけどリアちゃん……」

「そういうお姉ちゃんは太――――あ、あれ、結構引き締まってる気がします……つるつる、ですね……」

「ちょっとわたくしも触りたいですわ!」

「ペルちゃんはリアルで触らせてあげるからいいでしょ」

「そうですわね!」

「「…………」」


 ん? レーナちゃんときぬちゃん、何を見つめ合っていらっしゃるんで? もしかして、太もも鑑定大会に参加したいとかですか? 人間の筋肉で一番太い部分ですから、大事な場所ですからね。運動性の良し悪しはここで決まるまである大事な場所ですよ。


「……おにーちゃん、どん太をちゃんと洗えてるかなぁ?」

「大丈夫じゃないですか? 遠くから楽しそうなわんわんわうわう聞こえますし」

「確かに」

「どん太殿、随分と嬉しそうで御座いますね」

「どん太さん! 泥んこもお風呂も楽しいから好きだって!」

「泥んこになれば洗って貰えるとか変なこと覚えないといいけど」

「ありそうですわね……」


 どん太、おにーちゃんと一緒に入りたいって言うし、おにーちゃんも洗ってみたいってウキウキしてたから、向こうは向こうでお風呂入ってーってお願いしたけど、随分楽しそうだなぁ~。こっちまでどん太の声が聞こえてくる時があるよ。

 

「リアルで触り合う関係……」

「デース……!」

「とてもしんみつ」

「デーーース…………!!!」


 レーナちゃんときぬちゃん、意外と仲良さそうで。何話してるか聞こえないけど、二人で頷き合ってるってことは何か意気投合する何かがあったんだろうね。お風呂に一緒に入って仲良くなれて、良いことだよ……。うんうん。


「――――じゃじゃ~ん。お風呂と聞いて」

「あ! 変態さん!!!」

「酷い~~ねえリアちゃん~~エリスちゃん傷つきました~~~」

「初手で抱きついて深呼吸したのを忘れてない~? エリスが全面的に悪いんだよ、変態さん」

「お昼寝まで言う~~~」

「お風呂に入ってると聞いて駆けつけました☆ うぅ~いちゃん、登場! ですっ!」

「つみれが、お風呂満足して寝ちゃったので……き、来ました……せっかく、なので……」


 わ? わわわ? なんか皆来た!? お風呂大好き女子が、華胥の夢のお風呂大好き女子が集まって来た!!


「いやぁ~それにしても、リアルでは温泉宿でオフ会とかしない限りこんなところで集まるなんて絶対ないよねぇ~」

「ないね~~」

「おふかい……? お風呂会議とかの略ですか……?」

「…………ぐ、ん、ぐっ……!!」

「か、かわ……っ!! かわいいですわ……!」

「あ~~リンネちゃん、オフ会知らないか~」

「オフで会うからオフ会。こっちはオンラインで、リアルがオフってこと」

「あ! あああ~~~!!!」


 おふかいってお風呂会議じゃなくて、オフで会うことですか!! あ、恥ずかし! のぼせちゃう……。何という間違い。オフ会って言葉をお風呂で初めて聞いたし、温泉宿でオフ会って聞いたからお風呂会議の略かなんかかと……!!


「恥ずかし恥ずかし……!」

「リンネが真っ赤だ。珍しいな」

「大丈夫? お風呂、あつい?」

「大丈夫だよティアちゃん! 大丈夫大丈夫、ふぅぅ~~……」

「珍しい表情で御座いましたね」

「なかなかレアですよ、今のっ!」


 純粋に心配してくれるティアちゃんの優しさが、染みる……!! 


「ほれほれ~お昼寝~頭洗わせろ~」

「やーだよー」

「え~いいじゃ~ん! 子供の頃いっぱい洗ったじゃ~ん」

「もう子供じゃないですよ~だ」

「ぶ~~~」

「じゃあうぅ~いが洗ってあげまーす!!」

「「やーだよーー」」

「え~~~!! 洗いたい洗いたーい!!」


 うちのギルドの人、洗いたい派の人と洗われたくない派の人と、洗って欲しい派の子の3パターンいますね……。ちなみに私と千代ちゃんは洗いたい派の方、かもしれない。ペルちゃんレーナちゃんリアちゃんティアちゃんは洗って欲しい派、マリちゃんは洗われたくない派、かな? どん太は洗われる一択だけど。

 

「じゃあつくねちゃん!」

「ひょぇええ!? わ、わっちです、かぁ!?」

「お~洗ったれ~洗った――――わぶっ!?」

「ふっふ~ん。逆にエリスを洗い返しました~僕の勝ちで――――ぶわわあっ!?」

「馬鹿め~それは幻影だ~」

「なんでお風呂でスキル使ってんですか……」

「これは洗うか洗われるかの戦争ですのよ!」


 なんでお風呂でスキルまで発動して本気で洗うか洗われるかの戦いをしてるんですか……。まあでも、楽しいからいっか!


「ティアも、また洗って欲しい!」

「ん~。いっぱい洗い過ぎるとね、髪が痛むんだよ~?」

「髪が痛むと………………つるつるのおじさんに、なる?」

「「「「…………」」」」


 つるつるの、おじさん…………。ハッゲさんのことかぁーーーー…………!!!!


「ぐっ……っふ……!!」

「ひ……ひ……!」

「だめ、笑ったら負けですわ……!」

「ハッゲ……つるつるの……おじ、さん……っく……っく……」

「あっはははははは!!! ダメデース!!! きぬの負けデース!!!」




 ――――その後、定期的に『つるつるのおじさん』を思い出して笑うという、地獄のようなお風呂女子会と……なりました。つるつるのおじさん……ほんと、すみません……。でも笑っちゃう。ごめんなさい!




◆ バビロニクス・ギルドルーム【スイート】 ◆




「おう、皆して入ってたのか」

「…………ぐっ」

「っふ……っふぅ~~……」

「ッスーーー…………」

「ん??」


 ダメだってハッゲさん。今はつるつるのおじさんがまだ燻ってるんですって。良くない、良くないよハッゲさん。頭の上のイカちゃんがふわふわ動いてるせいで頭に注目が行きがちなのも良くない!


 ――――キュッキュッ……。 (頭のヤバイカがハッゲの頭を磨く音)


「今日も可愛いだろ?」

「っぐ、あっ……!!」

「ダメデース!! もう限界ネーーー!!!!」

「つるつるのおじさん! それ、可愛い!!」

「つるつる、の、おじさん!!!!!」

「あっは!! あっははははは!!!!!」

「ダメだよーーー言っちゃダメだってーーーー!!!」

「キュッキュッ、卑怯、もう無理。笑い、とまんな」


 良くないよ、もう駄目、笑い、止まんな、死ぬ……!!! 報酬の分配タイムだったはずなのに、ごめんなさい! 落ち着くまで皆で笑わせてください、本当にごめんなさい! でも限界なんですーーー!!!


――――その日、ハッゲは『つるつるのおじさん』に改名するか……暫く悩んだ。

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