197 カエルの歌・4
◆ レイドダンジョン【沼地の王】・12時方向【07XB785Y視点】 ◆
『ボスが2体討伐された為、増援が発生しました』
聞いてなぁいいぃぃ…………。うわ、本当に雑魚湧いてる……。ああああ、あの攻撃は絶対またゲロゲロビームだ……。あ、リアちゃんの方行った……あの二人はワープ持ちだから避けられてずるい。私だけ当たる、もう浴びたくない、もう帰りたい、もう嫌だ絶対来たくない。
想像もしてみて欲しい。だって目の前がゲロゲロで埋め尽くされるんだよ、ペネ効いてるから直接浴びてないにしても、臭いも気にならないにしても、視界いっぱいにゲロゲロ。トラウマ。無理。思わず悲鳴上げちゃった。後でリアにゃんを吸うか、リンネに抱きつかないと無理。ストレスで死にそう。
『スージー(Lv,197)が【シードショット】を発動、キャノンフロッグ(Lv,150)に445Kダメージを与えました』
ん、猫ちゃん大好きスージーにゃん。応援に来てくれた、凄く嬉しい。でも威力がちょっと低いかも、あれじゃ何発か撃たないと死なない……。やっぱり雑魚処理行ったほうが良いかな、ゲロゲロビーム嫌だし……。
『シードバレットが花を咲かせました。キャノンフロッグ(Lv,150)に7,665Kダメージを与え、撃破しました』
『スージー(Lv,197)が【シードショット】を発動――――』
うわぁ……。あれ、当たった後に着弾点で爆発する弾丸だ……。だから種なんだぁ。ひえ~怖い~~。それにしても、あのメカエル……どうやってダメージ与えれば良いんだろ。
『姫千代が【一刀断鉄】を発動、Resist……。装甲機蛙メカエル(Lv,????)は斬撃ダメージを無効化しました』
「っく……!」
「にゃんだーーー!!!」
『オーレリアが【雷撃猫】を発動、Resist……。装甲機蛙メカエル(Lv,????)は風属性ダメージを無効化しました』
『ゲーゲゲゲ、コ? コ、ピーーーーー……ガガガガガ』
『装甲機蛙メカエル(Lv,????)が【オタマジャクシュート】を発射スタンバイ!』
出た、オタマジャクシュート。腹部からおたまじゃくし型のミサイルを発射してくるやつ。あれがホーミング性能があって嫌なの。
「今だっ!!!」
『オーレリアが【禍津焼夷猫】を発動、クリティカル! 装甲機蛙メカエル(Lv,????)の【オタマジャクシュート】に誘爆し、8,550Kダメージを与えました。【火だるま】状態になりました』
『ゲー……ガガガガガガ…………』
『装甲機蛙メカエル(Lv,????)のバリア発生装置が破損しました』
『装甲機蛙メカエル(Lv,????)の武器管制システムが破損しました』
「やりました! お姉ちゃんに相談して良かったです!」
「流石リンネ殿、あんな場所からでも指示を!! あんなに丈夫だった外皮が溶け落ちておりまする!」
おえーー……?! リンネ、あんなに遠くからリアちゃんに何か知らせた。凄い、何を教えたんだろ。戦闘ログだけ見て、それっぽいやつにあたりをつけて誘爆狙えってでも言ったのかな……。あっちの戦闘、他の地域に比べてどう見ても苛烈なのに。凄い、よく指示なんて飛ばせる……。
『ガ、ガ、ガ……』
『装甲機蛙メカエル(Lv,????)が消火システムを起動、【火だるま】状態から回復しました。【ずぶ濡れ】状態になりました』
「その一番光る物か!!」
『姫千代が【牙突紫電】を発動、Weak!!! 装甲機蛙メカエル(Lv,????)が11,050Kダメージを受けました。コアが大破しました』
『装甲機蛙メカエル(Lv,????)のコアが破壊されたため、機能停止しました』
あ。死んだ……? でもまだ、消えずに残ってる……。これはもしかしたら、機能停止しただけで、破壊しないとダメなのかも。修理系のカエルが出てきたら復活するかもしれないし、破壊しておこう。
「リアちゃぁぁ~~ん。それ、復活する、かもしれない。今から吹っ飛ば――――」
「え! それは困りますのでふっ飛ばします! 燃えろーーー!!!」
『オーレリアが【まがちゅ焼夷猫】を発動、メカエルスクラップ(Lv,????)が損傷しました。【火だるま】状態になりました』
「ん! 今のちょっと弱火だった気がします!」
「リア殿、雑兵がこちらに抜けてきておりまする」
「これはこのまま燃え尽きそうですね! じゃあ、ザコザコを蹴散らしに行きましょう~!!」
あれ……。私、良いところ、ない? ゲロゲロビームを被っただけ……? う~~……、せめて雑魚退治だけでもいいところ見せないと~……。
ん~。前に作ったこの装備、こんなに早く皆の装備と差がつくと思わなかったかも。デザインは一緒で、もうちょっと重くてもいいから武装を強化すべき? 単品でも強いミスティック装備とかを組み合わせたり、8点ないし補助武器とか全部を一気に組み合わせないとダメ、かな。メイン武器のザミエルの性能に、防具が追いつかなくなってきちゃった。
「んぅぅぅ~~…………! 今度、マグナに相談しよ……」
とりあえず雑魚掃除しないと、後でマグナに装備更新プランを相談とか……しないと。あ~~、またチケット買わなきゃ~~……。
◆ レイドダンジョン【沼地の王】・6時方向【リンネ視点】 ◆
――――強い。
「このっ!!!」
『ペルセウスが【アルテマセイバー】を発動、カエルヒーロー(Lv,????)が【ジャストガード】を発動し、攻撃を無効化しました』
『甘いっ!!』
『カエルヒーロー(Lv,????)が【閃光斬】を発動、相殺! フリオニールが【アルテマバスター】を発動し、相殺しました』
『出来る……!』
『(`・ω・´)』
『一旦距離を取るのよ!』
『攻撃の幅が広い! 前に出すぎるな!』
『げこり~げこげこ~……トルネード!!!』
『カエルウィッチ(Lv,????)が【トルネード】を発動、MISS……。対象がいません』
「このっ!!」
『NP1を消費し、【ニュートラル・ランス・オブ・ヴラド】を発動。MISS……。対象がいません』
「あっ!? わたくしに当たりますわ!? 危ないですわ、リンネさん!!」
それを深追いしたら死ぬよペルちゃん……。そっちはダメだよ。
『っく……!』
「あら!?」
ペネトレイトは貼る意味がない。ヒーローの閃光斬、ウォーリアの爆裂斬がペネトレイト特効持ちなのかわからないけど、ペネトレイト50が一撃で粉砕された。ペルちゃんのパーマネンスを剥がしてアイギスを掛け直しさせようと思ったけど、これは使うと逆に不利になる。パーマネンス状態を維持してる方が間違いなく良い。
それに、一旦距離を置く為に仕掛けてくるウィッチのトルネードとかアイシクルバースト、これのせいで踏み込みきれない。ペネがあれば強気に出られるけど、出たら間違いなくペネを削られてフルボッコにされる。それに大魔術に合わせてアサシンが姿を消して、単身でこっちに突っ込んでくる。間違いなく大ダメージを与えてくるタイプだから、あれは警戒しないとダメ。
「焦れったいデース!!!」
『きぬが【明鏡止水】を発動、MPを完全に回復しました』
「ぐぬぬ……!! カエルのくせに……!!」
『(マリちゃん、次はウィッチの詠唱中を狙って爆発するやつ撃って。カウンターミサイルを張ってるけど、信じて。狙撃後はすぐにハンドガンに切り替えて)』
「ん……!? ああ……」
攻撃の仕切り直し役は間違いなくあのウィッチが要になってる。ただ、カウンターミサイル、デコイトラップ・エクスプロージョンなんてのが用意されてる。恐らくあのデコイトラップ・エクスプロージョンは、トラップを消すディストラップに対する反撃魔術。消した時にエクスプロージョンが発動するっていうカウンターだと思う。あの手この手で色々用意してる辺り、本当にこいつらは強い。アンチテレポートバキュームがあれば、あの爆弾転送戦法が使えるんだけど……。
ペルちゃんが『カエルのくせに』って言ってるけど、こいつらはカエルの皮を被ったガチガチの勇者パーティ。恐らく、勇者ソルなんかとは比べ物にならないレベル。見た目に騙されてはいけない。なんせ知能が高い……『人語を話す』って時点で私の警戒レベルは最大まで上がったよ。なんだったら、ここまでよくペルちゃんときぬちゃんを落とさずに頑張ってきたなってレベル。
「トルネードが止みましたわ!!!」
「くらえーー!!」
『きぬが【水遁:氷塊落としの術】を発動しました』
『げこり~げこ――――』
『(今!!)』
思ったより早くそのタイミングが来たけど、この拮抗状態を崩すのはここしかない! ペルちゃんときぬちゃんが暴れるなら、埒が明かないのなら! 思う存分暴れられるように埒を明けよう!
『マリアンヌが【爆裂重狙撃魔導弾】を発射、カウンターミサイル! カエルウィッチ(Lv,????)が攻撃を反射しました!』
『無駄よ! ストーンウォ』
――――カウンターミサイルを信用し過ぎなんだよ。
『NP1を消費し、【カーススピア】を発動。【爆裂重狙撃魔導弾】に直撃、爆発しました』
『カエルウィッチ(Lv,????)が爆発に巻き込まれ、3,550Kダメージを受けました』
『きゃあああああーーー!!!!!』
『何!?』
「おお……! なるほど!」
『マリアンヌが【十字砲火】を発動、特効! カエルウィッチ(Lv,????)に6,772Kダメージを与え、撃破しました』
『蘇生を!!』
蘇生だぁ? カウンターミサイルがないくせに、ウォーリアーが盾構えた程度で防げると思うなよ~~?? この、暴走お嬢様二人をね!! それに、忘れてない? そのカエルウィッチは自分の仕事を……全うしていないんだよ!!!
『【水遁:氷塊落としの術】が炸裂! Resist……。カエルヒーロー(Lv,????)に320Kダメージを与えました』
『Resist……。カエルセイント(Lv,????)に330Kダメージを与えました』
『カエルウォーリア(Lv,????)に1,110Kダメージを与えました』
『カエルアサシン(Lv,????)に755Kダメージを与えました』
『『『『うわぁああ!!!』』』』
『アビスウォーカーを解除しました』
「ヒーローとセイントが聖! アサシン闇! ウォーリア不明、推定無属性!」
「行きますわよ行きますわよ!!! 覚悟はよくって!?」
『く、来る!』
こいつら、揃いも揃って全員水属性じゃないと来た。ダメージは大したことないかもしれないけど、重量のある攻撃ってのはノックバック無効とかでも積んでないと体勢を崩すもんよ。それも本来は防げるはずの攻撃だったから警戒してなかったろうし、なおさらね。仲間を信じるのは良いことだよ、でもね……お前たちは信じ過ぎ。それはね……ウィッチが防いでくれるだろうっていう、甘えの信頼だよ。
『調子に乗るな、悪党!!!』
『カエルヒーロー(Lv,????)が【閃光斬】を発動――――』
『フリオニールが【フリスビー】を発動、カエルヒーロー(Lv,????)が0.1Kダメージを受け、【閃光斬】の発動に失敗しました。激昂状態になりました』
『げごッ!? お前、お前……!!』
『m9(^Д^)9m』
『フリオニールが【プロヴォーク】を発動、カエルヒーロー(Lv,????)が【怒髪天】状態になりました』
『お前がぁああああ!!!!』
いいね、久々に炸裂したねぇ! フリスビーに、挑発のコンボ!
『お、落ち着くのよ! いと慈悲深き――』
「現在を固定せよ、恒久不変! パーマネンス!」
『カエルヒーロー(Lv,????)が【パーマネンス】状態になりました』
「ええ!? 何してるデース!?」
『汎ゆる不浄を祓い給え! エクスキュアー!!』
『カエルセイント(Lv,????)が【エクスキュアー】を発動、カエルヒーロー(Lv,????)が【パーマネンス】状態の為、状態異常を解除出来ませんでした』
『うぉぉぉおおおおおおっっっ!!!!!!』
『щ(゜д゜щ)カモーン』
パーマネンスにはね、良性バフを固定化する以外にも使い方があるんだよ! 頭に来た状態が解除されないヒーローが、見事に釣られて突出して来た! アサシンは私がずっとマークしてる、隠れられない。さあペルちゃん! やっておしまい!! 主に、ヒーローじゃない方だと嬉しいんだけど!
「任せましたわよ!! さあ、受けてみなさいな!!!」
『俺の後ろに!! かかってこい!』
『ペルセウスが【トゥームセイバー】を発動、Weak!!! カエルセイント(Lv,????)に7,740Kダメージを与えました』
『クリティカル! カエルウォーリア(Lv,????)に5,561Kダメージを与えました』
『きゃああっ! い、痛いっ!!!』
『あ、足元、だと、がは……っ!? しかしっ!!』
『カエルウォーリア(Lv,????)が【アースインパクト】を発動、ペルセウスが155Kダメージを受け、強制ノックバックしました』
「きゃあああーー!!!? やってくれましたわねーーー!!!?」
うわすっごい衝撃……地面を殴打であの威力! あ、ペルちゃん飛んでった――――おい、ドサクサに紛れて隠れられると思うなよ。
「穿て、カーススピア」
『【ニュートラル・カーススピア】を発動、カエルアサシン(Lv,????)に1,440Kダメージを与えました。【ステータス-10%】状態になりました』
『っく……!?』
『カエルアサシン(Lv,????)が【血煙隠れ】を発動、姿を消しました』
「残念、丸見えさ」
『マリアンヌが【十字砲火】を発動、特効! カエルアサシン(Lv,????)に6,774Kダメージを与え、撃破しました』
「ナイスマリちゃん!」
「んっ……ああ」
さすがマリちゃん、まさか血を利用して隠れるスキルがあるとは思わなかったけど、マリちゃんには丸見えだったね。
『ま、マズいわ、このまま全滅だけは……!』
「逃さないデース!!!」
『きぬが【風魔手裏剣・花吹雪】を発動、カエルセイント(Lv,????)に合計2,551Kダメージを与え、撃破しました』
「デーーーーーーッス!!!」
『きぬが【電光石火】【二刀:交差一閃】を発動、カエルウォーリア(Lv,????)に4,400Kダメージを与えました』
『くっ!? だ、が、お前だけで――――』
『クリティカル! 【風魔手裏剣・花吹雪】により、カエルウォーリア(Lv,????)が3,780Kダメージを与え、撃破しました』
「隙をしょーじる? にだんがまうぇデース!!」
「隙を生じぬ二段構えね」
「それ!!」
きぬちゃん……。忍者らしい攻撃だったよ今の、すっごく……! まさかセイントに投げた奴、上空でUターンして戻ってきてウォーリアにザクッと当たるとは……。間違いない、あれは結構な精度でコントロール出来るんだ。強いなあ…………で? おにーちゃんは? まだやってる?
『こいつ!! こいつ!!』
『(^v^)』
『カエルヒーロー(Lv,????)が【流星剣】を発動、カウンター! クリティカル! フリオニールが【マルチカウンター】、カエルヒーロー(Lv,????)に1,550Kダメージを与えました』
『っく、ぅぅう……! ぁああああああ!!』
『カエルヒーロー(Lv,????)が【疾風剣】を発動、カウンター! クリティカル! フリオニールが【マルチカウンター】、カエルヒーロー(Lv,????)に1,550Kダメージを与えました』
『щ(゜д゜щ)カモーン』
ああ、遊ばれてるわ……。
『かくなる上は!!! 俺に、力をーーー!!!!』
『カエルヒーロー(Lv,????)が【ビッグヒーロー】を発動! 巨大化します!』
『 ど う だ ! 怖 い か ! こ れ で も く ら え ! 』
『(;´∀`)』
ああ…………5倍ぐらいにでっかくなれるんですね。3グスタフぐらいかな……。あの~すみません、ヒーローさん。
『フリオニールが【巨大化】を発動しました』
『 ( ; ´ ∀ ` ) 』
こっちも大きくなれるんですよ……。5グスタフぐらいかな……。
『 な め る な ぁ ー ー っ ! 』
『巨大カエルヒーロー(Lv,????)が【閃光斬】を発動しました』
『巨大フリオニールが【無双連斬】を発動しました』
『巨大フリオニールが巨大カエルヒーロー(Lv,????)に14,550Kダメージを与え、撃破しました。元のサイズに戻ります』
『(;´∀`)』
あ、すごい。圧倒的におにーちゃんのほうが速いわ。閃光斬 (笑)だったわ……。巨大化した分、威力も上がるんだー……。そりゃそうかー……。それにしても、凄い剣の風圧だったわ。
「やるじゃんおにーちゃん強いじゃん」
「リンネー! 今の語呂が良いデース! やるじゃんおにーちゃんつよいじゃーん!!」
『(*´ω`*)b』
「凄かったですわ! 強いですわー!!!」
ん! 無事暴走お嬢様二人が健在の状態で倒せたね! それじゃ、一旦中央に戻ろう。カムイちゃんが雑魚処理してるし、私達も加勢だー!
「いやいやいや!!! でっかくなったデース!? 今の、今のなんデース!? 気になってきぬ、夜しか眠れないヨー!?」
「んー、ヒーローには秘密がいっぱいなんですよ」
「オーウ……!! ひみーつ、ネー?」
「そう、秘密。カムイちゃんがまだ戦ってますから、加勢しないと」
「そうですわ! 行きますわよーーー!!! リンネさん、わたくしの活躍! 見ていてくださいまし!」
「ペルちゃんは暴走しすぎ。ちょっと冷静に――――行っちゃった」
『(;´∀`)』
「元気過ぎる、納期さんだ……」
うーん、ペルちゃんが元気過ぎる……。一緒に遊べて嬉しいのかもしれないけど、もうちょっとお淑やかになって頂きたい所存……。まあ、元気がないよりは何百倍も可愛いけどね! それじゃ、カムイちゃんの加勢に行きましょっかねー! は~レイド楽しかった~…………ん? あれ? なんか、忘れてるような…………気がする?