196 カエルの歌・3
◆ レイドダンジョン【沼地の王】・9時方向【ハッゲ視点】 ◆
さて、どうする。すげえデカいのが一匹に、後は楽器が違う黒スーツにグラサンのイカしたカエルが40は居る。面で攻撃か? いや、何かしら対抗策がありそうだな。だが――――
『つくね☆が【パーマネンス】を発動、自身にかかっているパーマネンス効果を打ち消しました』
「すぅぅぁぁぁ…………!!!!」
『ぴゅいぃぃ~~♡ (頑張れー! やっつけちゃえー♡)』
『つみれが【ふれふれ☆】を発動、応援効果によりつくね☆が次に発動する攻撃スキルの効果が強化されます』
おい、マジかよ。こっちが考えるより先に行くぜこれは。だが確かに、さっきのゲコメタルエレキショッカーが何回も飛んできたらどんちゃんが危ねえ。どんちゃんが盾になってくれたから俺はノーダメージだったが、一発でペネが50も割れるとは思わなかったし、277K強のダメージも正直ヤベえ。どんちゃんのHPバーが40%ぐらい吹っ飛んでるように見える…………いや、そんなにあんのかって逆に驚いてるのもあるが。
「ガァァアアアアアアアーーーッッ!!!!」
『つくね☆が【サンドストームブレス】を発動しました』
『ゲコメタルバンドが【メタリックマイハート】を発動、全員が硬化し防御態勢になりました』
やっぱりあったか、範囲攻撃に対する防御! だが向こうの動きは随分と鈍くなったな。ダメージは受けないが、攻撃も出来なくなるって奴か? だとしたら、距離が詰められる分こっちが有利だろ。これ以上なにも無ければ、だけど――なっっ!? どんちゃん!? 急加速する時は言ってくれぇ!!!
『Weak!!! ゲコメタルバンドに合計平均1,887Kダメージを与えました』
効いてんじゃねえかよ!! なんで……防げる威力を突破してんのか! この砂嵐の吐息、あの硬化したゲコメタル連中の体がゴリゴリと削られてるぜ! つええ、強すぎんだろ!
「どんちゃん! 雑魚も蹴散らせるか!?」
『わうぅん!? きゅぅぅん!? (え!? 誰!? あ、つるつる! 居たんだった!)」
「嘘だろおい……」
俺が乗ってるの忘れてたのかよ……。ショックだぜどんちゃん……。しかも、つるつるって……。俺の認識、つるつるかよ……。
『わんっっっ!! (大きいの、どうするの! つるつる!)』
「俺が殺る、近くまで寄ったら飛び降りるぜ!」
『がうっっ!! (頑張って!)』
「つよい! 今ので死なない!」
「かなり、かたい。足場が砂漠化したから、沼より戦いやすいはず」
「はぁぁ……はっ!!!!」
『ティアラが【シャドウウェーブ】を発動、Weak!!! ゲコメタルバンドに合計平均558Kダメージを与えました』
待てよ、これもしかして……あの状態だと打撃弱点か? ってことは、つくねちゃんのさっきのも打撃属性含んでるのか。いやアレは多分全部だな……斬、打、突、地の複合だ。しかも遠距離って感じじゃねえ、範囲直接物理って感じがするな。
『ゲコメタルバンドが硬化を解除、演奏準備を――――』
『ガァァァァァァァ…………!!! アォォォオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!』
『どん太が【魔狼咆哮撃】を発動、ゲコメタルバンドに合計平均1,554Kダメージを与えました。一部を除き【失神】状態になりました』
『ゲコメタルバンドが演奏に失敗しました』
――――ぉ……? い、意識が、飛びかけたぜ……。なんだ、今の威力は。遂にあの咆哮が攻撃スキルになったのかよ。聞いてねえよそんなの。うお――――まだスピード上がんのかよ!?
『どん太が【地獄行き魔狼身弾】を発動、ゲコメタルエレキ(Lv,200)に合計1,994Kダメージを与え、撃破しました』
『ガァアアア!!! (行って!)』
「後ろは、任せて、デカいの集中で大丈夫、です!」
『ぎゅぁぁ~~~!! (つるつるがんばれ~~!!)』
「つるつる、頑張って! ティアも頑張る!」
どいつもこいつもつるつる言いやがって。それに行ってって、このスピードの中飛び降りろってのかよ!? 無茶言うぜ!! だが……やってやるぜ!!
『ゲゴッ?! (デカイ、ツルツルニンゲン、キタ?!)』
「っと……来てやったぜ全身ツルツル野郎。今からお前を、料理してやるぜ」
おめーも俺をつるつる呼ばわりか。ええ? このスキンヘッドの良さがわからねえか、まだまだガキンチョだな。そんじゃあこの大物は俺が殺るって言ったし、任されたんだ。期待に応えてやろうじゃねえか。あっちの武器は、フライングV……エレキギターだが、随分とVの部分が鋭利だな。剣とも槍とも斧とも言い難いが……さすまたみてえに使えそうだな。ああいうゲテモノ武器を使いこなしてる奴は、用心しとくべきだな。
「先手は譲ってやるぜ。かかってこいよ、ツルツル野郎」
『ゲゴッッ!!! (シネ!!!)』
『ゲコメタルバンドマン(Lv,????)が【メタルスラッシュ】を発動しました』
さすがカエル、初動の踏み込みがすげえ速い。あのクソ太い後ろ足を伸ばした瞬間、バネが弾くみたいに吹っ飛んで加速出来るわけか。まっすぐ来るのを避けるのは簡単だが…………あえて、真っ向から受ける!!!
「ふんっっっ!!!」
『【まな板シールド】を発動、あらゆる攻撃を一度だけ無効化します』
『ゲゲッ!? (ナンデ!?)』
青ざめたか? まだそれには、早えぜ!! この、アップグレードした【魔改造巨大フライ=パーン】、そして【百萬力戦鬼の包丁】の威力、見せてやるよ!
『【漢のフルスウィング】を発動、ゲコメタルバンドマン(Lv,????)に3,498Kダメージを与えました。【生き埋め】になりました』
『ゴ、ゲ…… (グル、ジイ)』
「うぉぉぉおおおおっらぁああああ!!!」
『【漢の真っ二つ】を発動、ゲコメタルバンドマン(Lv,????)に5,411Kダメージを与えました。【致命的な出血】状態になりました』
まだ死なねえか! 流石に硬え――――!!!
『ケ゛コ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!゛!゛!゛!゛!゛』
『ゲコメタルバンドマン(Lv,????)が【デスボイスシャウト】を発動、超即死! ガッツ! 瀕死状態で耐えました!』
超即死持ちかよ! ガッツは、パーマネンス中でも発動するのか! これがラストチャンス、一撃で決めるしかねえ。なら!!
「てめえが死ぬか、俺がくたばるかの勝負だ! 行くぜおい!! 燃えろ、フライ=パーン!!」
『ゲ、ゴッ…… (マダ、シナナイ、ナンデ)』
『【漢のフルコース】を発動、Weak!!! ゲコメタルバンドマン(Lv,????)に4,255Kの火属性ダメージ、3,221Kの斬属性ダメージを与えました』
『ゲ、ゴ―― (モウ、コエ、ガ)』
『ゲコメタルバンドマン(Lv,????)に5,550Kの斬打複合属性ダメージを与え、撃破しました。反動で現在HPが50%減少しました』
「うお……。た、倒した……! HPが、2しかねえぞおい……!」
た、倒した……。なんて硬さだ、こんだけバフ貰ってやっとかよ。HP回復ポーションは、確か――――やべえ、なんかこっちに流れ弾来て……!!!
『ティアラが【エレキテルショッカー】を受け、122Kダメージを受けました』
「うっ……!!」
『ティアラが【ブラッディヒール】を発動、HPが100K回復しました』
「つるつる!!! 大丈夫?! 怪我、酷い!」
「どうって、こたあねえ! それよりティアラちゃんがやべえだろ! こいつ吸っとけ!」
「……! ありがとう!」
『ティアラが【ブラッドドレイン】を発動、吸血槍でゲコメタルバンドマン(Lv,????)から血を吸い上げ、HPとMPが完全に回復しました』
助かった、助かったが、今の完全にティアラちゃん死ぬ一歩手前ぐらいまで行っただろ……。この子、仲間思い過ぎるぜ。献身的なのは良いが、ちょっと危ねえな今のは……。でも、助かった。ありがとうな!
「こいつら、電気で回復、します」
『ぎゅぃぃぃ~~ (ずるい~~)』
「頭は殺ったんだ、ここで負けたら笑われるぞ!」
『ゲコメタルバンドが硬化を解除、演奏準備を――――』
『ガウゥゥゥゥ…………!!! アォォォォオオオオオオオーーーーーーーーン!!!!』
『どん太が【魔狼咆哮撃】を発動、ゲコメタルバンドに合計平均1,551Kダメージを与えました。一部を除き【失神】状態になりました』
おし、頭は殺ったんだ、それにこのチャンス! 逃すわけには行かねえ、残党狩りだ! 行くぜ!
◆ レイドダンジョン【沼地の王】・3時方向【クーガー視点】 ◆
さて、こっちを任されたのは良いが、正直言って弱いな!
『ケロロロ…… (ハヤイ、ハヤイ……)』
「おっせえんだよぉぉ!!! あっは!! あっははははは!!!!!!」
この、法衣を纏ったカエル共、サリーに対して相性が絶望的に悪い! カエルが歌おうとしたら口の中に爆弾を突っ込んでドカン! グスタフの突進に対して障壁を張るが、障壁が弱すぎて簡単に突破出来る! カヨコの補助魔術の強力さもあるが、それ抜きでもこれは相手にならんな。弱い。弱すぎる…………。弱いと何も守れない。
「死にたい奴からかかってこい。どうした、声も出ないか? 声も出なくなったら歌も歌えんぞ」
「その紙切れ!! その紙切れ!! いつまで続く!? いつまで耐えられる!? カムイに後何回斬られても平気!?」
『ケ、ケロ、ケロッ……! (チ、チカヨルナ、クルナ)』
あの一番偉そうな法衣を着た奴、カムイの斬撃に対して本を開いて、紙切れを盾のようにして攻撃を防ぐ不思議な障壁を使えるようだが、無限に使えるわけじゃないだろうな。
「排除」
『ゲロゲ――』
「排除。汚物。排除。汚物。排除」
スージーは完全に殲滅モードだ。弱った奴が次々と頭をぶち抜かれる、こっちはもう後数匹とあの偉そうでデカいやつだけだな、相手にならない。
「うおぉぉおおおお!!!!!」
「グスタフ! 沼の泥を巻き上げるな、汚いだろう……がっ!!!」
『ゲ……ゴォ…… (ドウ、シテ、ウシロ、ミエナイ、ハズ……)』
「俺には丸見えなんだよ」
「あ……。もう終わりか? もう出せないのか? じゃあ死ぬしかない、死ぬしかないな」
『ゲゴォ……!! ゲゴォォオ!!!! (ダレカ、ワタシヲ、マモレ!!)』
「お前は美味しくなさそうだから、ばらばらにする」
『――――…………ッ』
片付いたか。さて、皆はどうか! あの鉄のカエルは、まだ戦闘中か。5匹組のカエルもまだ健在だな! 反対側の方角のイカした漢とドラゴンガール達の方は、残党狩りってところだろうか。ここが最速か! うむっ! では助太刀に――――おお!?
『(中央、雑魚が出現。四方に散らばっていますが、私が駆除しましょうか?)』
「いやーーーー!!! 俺たちが向かうぞーーーーー!!!!!!」
「っるっせぇ!!! カヨコの念話に大声で返すバカが居るか!!!」
「騒音迷惑。雑魚、射殺?」
「サリー! 反対まで飛ばすぞ! 助けてやってくれ! スージーとレオンは鉄のカエルだ! まずは行くぞ、サリー!」
「いつもので飛ばしてよねぇ~~???」
「用が無くなったらスキンヘッドの彼に飛ばして貰え! おーーーーっりゃ!!!」
「――――なーーーーいす!!♡」
「移動、開始」
「俺は投げ飛ばしてくれ」
「よし、任せろレオン! いくぞーー!!!」
よし、サリーはこれで反対まで飛んでくだろう! あっちにはイカした彼が居るからな、必要なくなればサリーを俺と同じように飛ばすことができるだろう! レオンはスージーのように走るよりも俺が飛ばしたほうが速いからな、投げよう。スージーはああ見えて足が速い!
「俺たちはあれを迎撃するぞグスタフ!」
「うぉおおおお!!!」
「いい加減人語を喋ってくれないか!」
「うおおおおおおおお!!! カエル気色悪いんだよおおおお!!!!」
「わかる!」
「カムイ、向こうに飛びたい。あの雑魚だけ強そう」
「5匹組の方に行った雑魚か、カムイ! 頼んだぞ! いくぞーーーー!!!」
マスターリーダー側に向かった雑魚だけ、確かに動きが速いな! カムイを向かわせよう、斬り足りないらしいからな! それでは、残りの大量に流れてきた雑魚は……俺とグスタフだな! いやあ、ここだけむさ苦しいな……。女性陣が四方に散ったからなあ……。ルゥか、双子ちゃんがいないと華がないな……。
「よし、行くか! あのぐらいなら、俺のチョップで一撃だろう!」
「うおお!!」
「だな! しかし、女の子が居なくて寂しいな!」
「うおぉぉおおおお!!!」
「そうだな!」
グスタフもこう言っていることだし、とりあえず殲滅するか!