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187 思い出の地、リュース

◆ リュースの街 ◆


 外の猛吹雪とは打って変わって、ルテオラの街の中同様にリュースの街の中も非常に穏やかな冬の日ぐらいの様相。これが結界石のパワーかあ~……。凄いわ、結界石……。あ、それでもいくらか雪は抜けて入って来てるんだね。結構積もってる……それでも20センチとか深くて40センチぐらい? 外とは本当、落差が凄いね。


『綺麗な雪だけが抜けて入ってくるのですよ。これを溶かして沸かして飲料水にしたり、作物を育てる水として使っているのです』

「へええ~~……。こっちの世界じゃ、空気が汚いから全く抜けてこなさそう」

「ですわね~……。大昔は酸の雨が降るほどの汚染でしたものね」

『自然的に酸の雨が……? リンネさん達の世界は、恐ろしいところですね……』

『Σ(´∀`;)!?』

「え、怖いですっ」

『わうぅん? (ご主人の元の世界、空気汚いなの?)』

「酸の雨が自然に、ですか……。想像もつかない程の恐ろしい世界で御座いますね……」

『よく生きていられますね……』

『(;´∀`)』


 なんかすごい勘違いされてるけど、うーん……! 誤解を解くのが面倒だなぁ!? まあ酸の雨が降ってたのは本当のことだけど、多分カヨコさんやリアちゃん達が考えているような威力じゃないと思うんだよね。ん~~……。ま、いっか!


「…………! カヨコ様! 何十年振りでしょうか、もう会えないとばかり!!!」

『おやおや……。貴方は、ええと……。ジーナ? ジーナでしょう』

「ええ、ええ! まさかカヨコ様に覚えていて頂けたとは! 光栄です!」

『27年振りでしょうか。少し、老けましたね』

「それはそうです、老けますよ……27年ですよ? もう60を過ぎましたもの。カヨコ様に教わって、若さを保つ魔術を使い続けて、多少見れる程度に――――」

「60過ぎに見えませんわよね?」

「30ぐらいだと思ってた」

「今気が付きましたわ。皆様、若々しい方が多いですわ!」

「…………本当だ、多い……ね?」


 この街の人達……皆、見た目が若い!! まさか今言ってた、若さを保つ魔術とやらのお陰ってことですか、これは!? ひょわ~~……。ここはもしかして、カヨコさんが魔術を教えた人が多い魔術師の街だったりしない??


「――――貰った!! はぁああ!!」

「遅いッ!!」

「がっ!? ぐっ……!!」

「勝ちを確信して大振りを出すからそうなるんだ。貰ったってのは、貰ってから言うもんだ」

「…………くぅぅ」

「次!」

「行きます!!」

「あれは恐らく民兵か自警団か、ですわよね……?」

「結構、訓練が……」

「「ハイレベル」」

『(*´∀`*)』


 いや、そこの広場で訓練してる人達の剣捌きも凄いわ。あの「次!」って言って皆の相手をしてる大柄な人、すっごい強いんだけど。ええ……? あの人、天下一に出たりしないの? 多分本戦入ってくるよ、あの動きは。


「はぁあああ!! 六閃連斬!!!!」

「すぐ大技に頼るな!」

「う、うわああ!!!」

「六閃連斬、なかなか鋭い六連撃だったが、がむしゃらに出して良い程に完璧な技ではない」

『(*´∀`*)』

「かの英雄、フリオニール程の腕であれば――――いや、かの英雄はそもそも剣撃が見えない程だった。あれはそう、俺が駆け出しの冒険者だった――――」

「ああああー始まったよ! 団長のフリオニール伝説!」

「長いぞコレは……」

「半端な大技出すからだろボケ……!!」

「今日は当てられると思ったんだよーー!」

「待ち構える敵を次から次へと――――」

『(;´∀`)……』


 ん……。どうしておにーちゃんの正門での戦いを知って…………??!!! もしかして、あの人…………。おにーちゃんが真・氷の宮殿で話してた『正門を任せた新人冒険者』の人じゃない!? 私達がすげ変わった部分の人!


『(*´∀`*)ノ』

「ん? ん?? なんだ、どこの騎士さんだ? 随分と豪華な鎧…………お? なんだ、木刀なんか拾って。やってみたいってかい? 良いさ、英雄フリオニールに憧れ磨いたこの剣技、どこの誰かは知らんがこのアルゴ! 受けて立とう!」

『(`・ω・´)』


 え、おにーちゃんいつの間にか混ざりに行ってるし!!! んぁ~もう自由な人だなぁ~!?


「此方も一つ……あ、いい匂い……」

「おや、カヨコ様のお付きの方、お腹が空いてらっしゃるのであれば、是非――――」

「あ! 大丈夫、で、す……! た、沢山、もってきて、る……」


 こらこら、千代ちゃんは美味しそうなご飯の匂いに釣られてどっか行こうとしないの!


「!!!!! これはこれは、魔神教の上位神官様……!! た、大変失礼を……」

「え? あ、いい、いえ、大丈夫……です、から……あ、カヨコさんど、どぞ」

『おやおや。大丈夫ですよジーナ、彼女は上位神官ではありませんよ』

「そ、そうなのですか?」


 そうだよ、私は上位神官なんて偉い人じゃないよ! ただの通りすがりの冒険者だよ!


『魔神様の大のお気に入り、目に入れても痛くない程に愛されているお方ですよ』

「ひ、ひぃい……!??」

「カヨコさん!?」

『ふふふ……。でも本当のことでしょう? ジーナ、彼女は優しい子ですから。問題ありませんよ……ただ、メルティスと天使を徹底的に嫌っているだけです』

「それは我々も同じで御座いますね。アレはろくなものではない……」

「わかります。ええすごく。滅ぼすべき…………あ」

「…………間違いなく、魔神教信者様ですね」

『そう言っているでしょう』


 カ、カヨコさぁ~ん……。もうぅ~~……。


「リンネ、あの結界石を見てきてもいいだろうか?」

「あ、うん。すぐ移動するかもしれないから、それは気をつけてね」

「ああ。すぐに戻るさ」


 マリちゃんは結界石に興味津々ですか。あの広場の中央の大きな石だよね、あれでこの街の平和が護られてるんだー。


「リンネさん! あのお店、ご覧になって? 凄いですわよ!」

「ん? あ!」


 お……。ここは、本屋さん? お邪魔しま~~す……。 え……? あ……。あ!! ルテオラの影の歴史!? 英雄フリオニール伝記!? 聖メルティス教会の黒い影……!? え、ここの本屋さん全く包み隠さずに売ってるんだけど!!!


「す、すみません……」

「ん? なんだ――――うぉ!? 魔神教の、し、神官様!?」

「あ、その下りさっき、や、やったんで……あの! こ、ここから、ここの本、ください」

「くださいって…………20冊ぐらいあるが? 金は……うおぉおお!?」

『200万シルバーを支払いました』

「こ、これで足りますか……?」

「足りすぎだ! 本はまあ、貴重には貴重だが……それでも半分だ!」

「じゃあ、あの、他の本の維持代で……頂きます……!」

『複数の本を購入しました』

「ね! 凄かったでしょう!?」

「すっごぉい!」


 買っちゃったよ……。気になった本、全部……へへ、うへえ……。リュース最高~~……!!


「っく!? つ、強い……!? 全く、当てられん……!!!」

『(*´∀`*)』

『フリオニールが【無双連斬】を発動、MISS……。自警団団長アルゴ(Lv,95)に当たりませんでした』

「こ、これは……!!! まさか、あんた……。いや、貴方は……!!!」

『(*´∀`*)ノ』

「待っ――――いいや、違うな……! ありがとう、ございましたっっっ!!!」


 お? おにーちゃんの方は終わったっぽい? どん太は……あ、子供たちと遊んでるわ。背中に乗っけて走り回ってるわ。リアちゃんは? 千代ちゃんとカヨコさんと一緒にお喋り中か。あ、終わったみたい。さっきのジーナさん、ペコっとこっちに頭下げて行っちゃった。ど、どうも……。


「戻った。結界石は凄いな、いい勉強になった」

「マリちゃんおかえり~おにーちゃんもおかえり~」

『全員、用事は済んだようですね。では、我々の騎士団が昔使っていた家に行ってみましょうか』

『(*´∀`*)!』

「お~。でも、随分経ってますけど、大丈夫ですか?」

『ルゥが守護方陣を作っていますから。私達以外では誰も近寄れませんよ……ああ、ルゥと言うのは方陣師のルゥ、我々騎士団の安全確保役にして後方支援担当の……元、踊り子です』

「へえ~。踊り子さんなのに、方陣師……?」

『踊りながら陣を作り上げるのですよ。あの時は……残念ながら、移動の隙を狙われて狙撃され、死亡しました。しかしその陣の効果は絶大、ルゥの守護方陣は今でも機能していることでしょう』


 方陣師のルゥさん……。なんとも悲しいなあ……。


『ここです。ほら、全く老朽化している様子すらないでしょう? 我帰還せり』

『照合中――――カヨコ様、おかえりなさいま――――せ――――』

『守護方陣が崩壊しました』

『…………限界ギリギリだったようですね』

『(;´∀`)』

「それでも、27年も……凄いですよ……」

『そうですね……。では、ここは皆様の拠点としてお使い下さい。少し狭いかもしれませんが』


 いや普通に家かと思ったら豪邸ってレベルの家なんですけど。絶対狭いとかないです、安心して下さいカヨコさん……。そしてありがとうございます……!!


「あ、ありがとうございます、何から何まで……」

『いえ。我々もこれを維持する方法がありませんから、皆様に使って頂いたほうが助かります』

「そうですか――――ん?」


 あれ? でもなんだろう、この家なんだか見覚えがあるような……。このお庭に、あの大きな木、それで塀に囲まれてて……遠くに赤い屋根!! あれが吸血鬼の館でしょ絶対、あの赤い屋根!! あそこだけ雪が積もってないから特徴的だったんだ!! ああああぁぁぁああ!! ここだああああ!!!! 


「ここ、こ、こここっ!?」

「鶏ですわ?」

「どうしたんですかお姉ちゃん……。急に……」

『なかなか鶏の真似にしては、その……。下手ですね』

「ここ! ここだよ、ここっ!!! えええええっと……ほら!! たからのちず、なんばー21!!!」

「「「ああああ~~…………」」」

『(*´∀`*)』


 これ、おにーちゃんわかってたんじゃん!! ぐぉぉおお……。さては、見つけて欲しいからあえて反応しなかったなぁ!? じゃあ、この木の根元に宝が埋まってるってこと!?


「この、木の根元だったはず……」

『大正解!!! 【◆たからのちず・なんばー21】の答えはこの場所です! 宝箱が出現します!』

「おおぉぉお!!!?」

「おおーー!!!」


 た、宝箱じゃ……。それも赤黒オーラ付きの宝箱じゃーーー!!! 絶対ヤバイのが入っている、はず!! さあ、ぱんぱかぱーん……だよ!!


「あーちゃん、早く早くっ!! ですわ!」

「ぱんぱかぱーーん!!!」

『【◆◆集合写真】を入手しました! おめでとうございます!』

「あ……」

「あら……これは……」


 こ、れは……? あ……。おにーちゃん達の騎士団、コルダさんを含めて全員が写ってる集合写真だ……。ここで撮ったんだ、ああ…………。たからもの、だね。確かに。間違いなく。



【◆◆集合写真】(スーパーシークレット・スペシャルカード)

・このカードはスロットの空きに関係なく刺すことが出来る

・このカードを刺した時、既に刺しているカードを強化することが出来る

・特定のカードと組み合わせると…………



 すんごい性能してらっしゃらないこれ!? え、待ってよ……? 特定のカードと、組み合わせかあ……。


「…………なるほど。じゃあ、これだわ」

「え、それカード扱いですの?」

「そう。スロット関係なしに刺せるスペシャルカード」

「ええ!? 凄いですわね、何と…………」


 やっぱり、これに刺すしかないでしょ!!!


『【★★★魔王の怨嗟結晶】に【◆◆集合写真】を追加でセットします』

『【思い出の写真】と【◆◆集合写真】が共鳴する!!!』

『【★★★魔王の怨嗟結晶】が【◆英雄の誓い】に変化しました!』

「…………!!」


 

【◆英雄の誓い】(準神器・シークレット・アクセサリー【その他】・空きスロットなし【●◆】)

・【制】装備には【英雄の誓い】が必要

・【呪】素のMND300以上が必要

・敵感知

・消滅系無効

・【思い出の写真】スキル【パーマネンス】使用可能

・【◆◆集合写真】――共鳴中

 ――――いつまでも、楽しい時間が続きますように……。by◆◆◆・◆◆◆◆

 ――――今度は、守ってみせるさ。by英雄フリオニール

 強化不可・誓い【フリオニール】→【リンネ】・重量0.01kg



「あ……。なんだろう、ちょっと泣きそう」

「…………覗いちゃいましたわ。わたくしも泣きそうですわ」


 んっ…………。ちょっと、泣いちゃうかも…………。


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本作をご覧頂き誠にありがとうございます
 宜しくお願いします!
ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~Amazon版
アース・スターノベル様より出版させて頂いております!
― 新着の感想 ―
[一言] 【英雄】の肩書を持っていてこんな事言えるのそれこそ今のフリオニキしかいないんですよねぇ……!(悶絶) (反乱前は聖騎士、反乱後に「守るモノ」なんて残ってない)
[良い点] 今貯めてた20話分みてます [一言] おいらもないちゃう
[良い点] 何もかもを失った英雄フリオニールだけど、確かに遺したものや受け継がれたものがあったのですね。 我、こういう話し、すごい好き。 待ち続けた守護方陣も健気。 [一言] 堂々と隠さず反メルティス…
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