169 The Original・4
◆ 原初に続く大穴・5階層 ◆
『休憩エリアに到達。時間制限は15分です』
『取得したアイテムを帰属化する場合、この階層に設置されている倉庫に収納してください』
『先に進む場合、赤色のポータルへお進み下さい』
『お帰りの場合、青色のポータルへお進み下さい。ダンジョンの外へ転送されます』
『全員の覚醒の使用制限が解除されます』
『全員のブレイク状態が回復しました』
『全員の覚醒クールタイムがリセットされました』
――――ふう。ちょっとは落ち着いた。それで、ここは休憩エリアかー12畳間ぐらいの部屋かな~? 結構広いね~。時間制限はあるけど、ふう~一息つける~……。あ、倉庫だ! 倉庫あるね~~。使わせてもらおうね~!
「だ、ダメだ!! あれは使っちゃいけない!!」
「え? 倉庫ダメなの?」
「……なるほど。リンネ殿、あれはリンネ殿が使っている倉庫ではありませぬ」
『Σ(´∀`;)』
「もう、大丈夫だから……。お、降ろしてくれるか? よ、っと……リンネ、こういうことだ」
うんうん……。どういうことなのかな? いや、もしかしてなんだけど、あれって……。
『マリアンヌが【爆裂重狙撃魔導弾】を発射、クリティカル! チェストミミック(Lv,150)に2,550Kダメージを与えました』
『ゲギャァァァァ!!! ガギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!!』
「うわ、うわうわうわうわ……!!」
『フリオニールが【カーネイジブラスター】を発射、チェストミミック(Lv,150)に7,770Kダメージを与え、撃破しました。経験値 100,000,000 獲得』
『マリアンヌがレベル69に上昇しました』
「うわ~……」
うわぁ……完全にあれだ、人食い箱じゃん……宝箱の中から腕とか舌とか出て来て、しかも中身はノコギリ状の歯がぎっしりだ……うわーこれに飲み込まれたらミンチだね、多分。
となると実は、休憩エリアってのも実は嘘? いや嘘は言ってないのか……。ここは休憩が出来るだけであって、確かに一言も『セーフティエリア』とは言われてないわ……。いや~~ここのダンジョン、本当に性格が歪みに歪みまくった人が作ったでしょ、絶対。
「倉庫に化けたモンスターということだ。わかればどうと言うことはない……それと、いきなり出てこなければ」
「あの悍ましい見た目の液体生物が突如後ろに現れれば、腰を抜かすのも無理はありませぬ」
『(*´∀`*)』
「あれは、そうだね。慣れていくしかないね~」
「リンネに、声を掛けて貰わなかったら、錯乱して撃ちまくっていたかもしれない。危なかった」
「それは危なかったね……。まあまあ、今後に繋げていこう? 先に恐ろしいものを見て、それを倒せるだけの力があるってわかったんだから、今後はその経験を自信に変えていこう」
「そう、だな。わかった。善処するよ」
「ん、頑張ってね!」
マリちゃん、さっきは腰を抜かして震えてたけど、今は乗り越えて落ち着いた感じだね。この調子で経験を積んで、徐々にしっかりとした強い心になっていくと良いな~……。んで? この階層に倉庫があるんでしょ? それは?
『Σ(´∀`;)……』
「おばけ殿、そこが崩せそうな壁ですか」
『(*´ω`*)』
『フリオニールが【フルリペア】を発動、右腕の武装が復元されました。HPが完全に回復しました』
「……壊れた時の修理のこと、考えていなかったな。これも、考えておかないとな」
「あーそうだねー。レーナちゃんは緊急修理キットっていうアイテムで回復してるって聞いたな~。でも、あれはアルティメット装備も修理できるって書いてあったけど、シークレット級になるとどうなんだろ……」
「どうだろうか。高性能な修理キットを作れば、とは思うが……。しかしそうなると、もはや別の装備を作ったほうが良いのでは無いかという疑問も感じるな。高コスト装備を運用するために高コストな修理キットを作り、結局無駄にコストばかりかかるようではな……そこも、考えておこう」
「課題がいっぱいだね~」
「ああ、楽しいよ」
その課題が楽しいと思えるなら最高だね。マリちゃん、今とっても活き活きとしてるなあ~……。目が輝いてる、前の絶望どん底で何もない状態の瞳とは大違いだ。綺麗だねー……。
『隠し通路を塞ぐ壁が崩壊しました』
『(*´ω`*)!』
「む……いえ、今度は本物のようで」
お、隠し通路の先に倉庫あった。は~……。なんという性格の悪さよ……。そっかそっか。この部屋に倉庫あるんじゃなくて、その階層にあるのね。これも、嘘ではないわ。
「一応撃っておくか」
『マリアンヌが【倉庫】に攻撃しましたが、効果がありませんでした』
「……本物、らしい。危ないとも感じない」
「大丈夫っぽいね。さっきの見てからだからちょーっと怖いけど……ほれ!」
今度はしっかり倉庫だね。これで誰も感知できないミミックだったら私泣いてたよ。一生トラウマだったかもしれない。どれどれ~? とりあえず、千代ちゃんのお腹を満たすためのご飯を……あんまり入ってないんだった……。ハンバーガーしかないけど、これで我慢して貰おう。そしておにーちゃんのインベントリにある鉱石もここに収納して貰って、入れたやつを私がマリちゃんタブに移動してーっと、整理整理ー……。あ、ゴミ装備も取り出して死体安置所を空けようかな? いい考えだと思う。ゴミ装備あったっけ……? あ、随分昔に処理が面倒で残してたタブにあるわ~……うみのどーくつ初期時代のかも。レザー系の防具ね〜。
「よし、これで作っちゃうか。なんとなくアダムから行くか……」
「おや……? 呪物に御座いますか?」
「左様に御座います~」
「……むむっ! 真似っ子された気が致しまする」
「可愛いから真似っ子しちゃいたくなるの! はい、千代ちゃんのご飯。おにーちゃんとマリちゃんのも、はいはいっ」
「おお、おお……!! 頂きまする、頂きまする……!!」
『(*´ω`*)!』
「ああ、すまない。頂くよ――――ん?」
和服でハンバーガー系を頬張る光景……。なかなか、何でかわからないけど背徳感がある光景だ……。おにーちゃんはそういやどうやって、あ。霊体化しないと食べられないのね。前は兜ぱっかーんと開けてもしゃもしゃ食べてたけど、こっちだとイチイチ面倒だね~。マリちゃんは、バーガー系をどうやって食べて良いかわからないって顔してる!? 千代ちゃんをチラッと見て『ん、あ……ああ、なるほど……?』って戸惑って食べてる!! か、可愛い!!! ふ、ふふ……。さっき気分が悪くなったのが癒やされるぅ~……。さあ、気分良く、気味の悪い連中の呪物化……いってみよー!
「よ~し……。捧げよ!」
◆ ◆ ◆
【◆ジェリンセス・グラス】(オリジナル・シークレット・頭・空きスロットなし【●】)
・【呪】装備するには【◆◆系】スキルが必要
・【呪】カードを抜き取った時、装備とカードが破壊される
・【呪】物理耐性-25%
・【呪】魔術耐性-25%
・スキル【ブラインドアイ】使用可能
・感知能力系+150%
・クリティカル攻撃力+70%
・ダメージカット率+0%
・【ジェリンセス・ジェリーナカード】基礎攻撃力+2,500
――ミィツケタァ♡
強化不可・装備登録者【マリアンヌ】・重量0.1kg
【★★★ラヴァー・イヴ】(オリジナル・アルティメット・体・空きスロットなし【●】)
・【呪】装備するには【MND+400】以上のスキルが必要
・【呪】カードを抜き取った時、装備とカードが破壊される
・物理耐性+50%+0%
・魔術耐性+50%+0%
・ダメージカット率+30%+0%
・【スライム・イヴカード】攻撃時、全耐性無視
強化可能・装備登録者【マリアンヌ】・重量0.3kg
【◆ジェリンセス・インナー】(オリジナル・シークレット・体2・空きスロットなし【●】)
・【呪】装備するにはカルマ値-700以下が必須
・【呪】カードを抜き取った時、装備とカードが破壊される
・【呪】ジェリンセス装備を3点装備しなければ全ての効果が発揮されない
・スキル【オートリザレクション】自動発動
・ダメージカット率-20%
・【ジェリンセス・ジェリーヌカード】常時【原初の加護】状態になる
強化不可・装備登録者【マリアンヌ】・重量0.1kg
【◆ジェリンセス・ブーツ】(オリジナル・シークレット・靴・空きスロットなし【●】)
・【呪】装備するにはカルマ値-700以下が必須
・【呪】カードを抜き取った時、装備とカードが破壊される
・【呪】物理耐性-25%
・【呪】魔術耐性-25%
・物理攻撃力+50%
・常時【悪路走破】状態になる
・ダメージカット率+0%
・【ジェリンセス・ジェリーネカード】体術スキル攻撃力のTEC依存化
強化不可・装備登録者【マリアンヌ】・重量0.2kg
ヤバイ装備がね、出来ちゃった……。マリちゃんが装備出来たんだわ……。どんな装備なのかこっそりアバター脱いで見せてもらったら、赤色のレンズのサングラスに、赤と黒のピッチリしたボディースーツみたいなのと、黒いレザーっぽいようなエナメルっぽいようなブーツ。スライム装備つっよ……え、つっよぉ……。いやね、全部これイレギュラー2回も発動して出来上がった奴なんだけど、イレギュラーにも程があるでしょ。
サイバーティック装備よ、短い……短すぎる活躍だったな……!!! いや、リネームカード10枚近くあるし、もったいないから誰か使わないか聞いて売っちゃお。実際強いし。射撃職にはバッチリだよあれ。
「見た目以上にしっかりした素材だ。ピッチリとしているが、嫌な感じはしない。それに、重要な箇所は保護されているような感覚だ」
「原初の加護って機能が、頭とか心臓とか、他にも急所に当たった時のダメージを分散、軽減してくれるみたいだね~。それにしても、この頭装備が装備出来て良かった~~」
「何か、スキルが必要だったんだろう? 良かった、我が所持しているスキルで」
「ほんとにね~。じゃあ、こっちの装備はしまっちゃうね?」
「ああ、ありがとう。本当に短い間だったが……」
「ほんとにね~~!!! ん、まあまあ。今度はリアちゃんの装備でも作ってあげないとな」
「あの子か、いつか……仲良くなったら、撫でてみたいな」
「…………割りと隙があるから、シュッと行けば撫でれるかもよ?」
「や、やってみよう……」
とりあえず、この姿のマリちゃんはとーーーっても格好良いけど、人目を引きすぎるから……。アバターを着てて貰おう。ティスティス様から貰ったやつね……。
「お? ああ、元の服に戻ったのか。あのままでも良かったのだが」
「あれは、だ、ダメでしょ……」
「ダメ? ダメなのか?」
「…………今は私だけにしか見られてなかったけど、ローレイに帰ればものすごーーーーく注目される見た目してたよ」
「え、そ、それはダメだ。でもさっきの方が戦闘がしやすそうだった。動きやすいというのかな、本気の時は脱いだほうが、絶対にいい」
「そう? じゃあ……このダンジョン中は脱いでおく?」
「そうしたい」
「じゃあそうしようか……ほれっ」
なんと、本気で戦闘する時は脱ぎたいと申されるか。うーん、でもこんなに強い装備が作れるなら、もっともっと狩って作りたいよね~。アダムとジェリンスを先に使って全滅させたの、失敗だったなあ~……。逆にイヴとジェリンセス成功したのは良かった良かった。ん? あれ? 今気がついたけど、実はイヴよりジェリンセスのほうが強かった……? MVPって出てたし、強かったのかも……。イヴ・アダムは出なかったもんね。
『10分経過』
「あ、10分も過ぎてた。千代ちゃんはお腹いっぱいになったかな~?」
「はひっ……! んぐっ……ぐぅ……ふぅ。満足致しました!」
「もう食べ物がないから慎重に行こうか。10階まで行ったら、帰ろうね!」
「およよ……。承知いたしました」
『d(*´ω`*)b』
「よし、今度は無様な失態は見せないように努力す」
「ず、随分と、その、わわ、わぁ……!?」
『( ´゜ д゜ ` )』
「…………あ、改めてそう反応されると、は、恥ずかしいな」
やっぱり恥ずかしくなってるじゃんマリちゃん!! 着る? 着るか!? お姉ちゃまに貰った服、着るかっ!?
「い、いや! 少しずつ慣れていこう……。我は、これで大丈夫だ!」
「大胆、で……御座いますね……」
「でしょ……。あっちのほうが戦闘するのに良いからって、脱いだんだよ。多分引くに引けなくなった」
「なるほど……」
「違う、そんなんじゃない! そ、そんなんじゃないからな!」
『(*´ω`*)』
マリちゃん、変な所で素直じゃないなぁ~~……。ふふふ……いやでも、そこがマリちゃんの可愛い所よ。よおし、じゃあ恥ずかしいとか何だとか言ってられないようなところに、再突入しようか~!!
『6階層に移動しますか?』
「よし、行ってみよ~!!」
◆ 原初に続く大穴・6階層 ◆
「ウルフ…………?」
「狼で、御座いますね……」
『Σ(´∀`;)?!』
「モンスターが、変わった…………?」
――――6階から、モンスターが……変わったァ…………!!!?