167 The Original・2
◆ 原初へと続く大穴・3階層 ◆
『カウントがリセットされました』
「す、すまない……。調子に乗って、後先を考えずに……」
「いや~まさかあれで採掘になると思わなかったし、仕方ないよ。いい勉強になったってことで!」
『(*´∀`*)b』
『姫千代が【疲労・弱】状態から回復しました』
「ふぅ……。もう、大丈夫です」
「あ、立ち直り早いね。よいしょ」
「ん、前に頂いた簪の効果でしょうか。反動がかなり抑えられているようで」
「おー。良かった良かった」
ふう……。なんとか3階層に辿り着いた。このダンジョン怖いな~……。不慮の事故で一気に採掘なんかした日には、なんかもう大魔神スライムとか出てくるんじゃないの? いや、流石に限界があるかな。
「アレはレベル100になっただけじゃどうにもならないんじゃないの……? とりあえず、次の階層のポータル探そうか」
「む、スライム……」
スライムとかの雑魚とか、経験値1しか貰えない系のモンスターはもうログすら見なくていいや。プチッとやった。それで十分よ。それよりも今は、次に繋がるポータルを探したいのよね~。こっちは小部屋、こっちが大部屋、じゃあこの奥に続いてる道かな?
「……ないな」
「ない!?」
「確かに、ありませぬ……」
な、無い……。奥に続くポータルが無い!? 何で無いんですか!? え、そんなことある? もしかして、バグ?
『……(*´∀`*)!』
『フリオニールが【隠し通路】を発見しました』
「おお!? おお、この小部屋のちょっと色が違う壁、崩れるんだ! おおーポータルあったよ~!」
「これは酷い……。気が付かねば、制限時間を使い切るではありませぬか」
「しかも採掘をすると光量が落ちる。余計に見分けがつかないから、採掘を先にすると見つけにくくなるということか」
「なるほど……。上手く、出来ておりますね」
『――2分経過』
なるほどぉ~~……。こういう、隠し通路の先に次に繋がるポータルもあるってことね。でも確かにこの崩れる壁、かなり色が違かったし……。このダンジョンの特徴を無言で説明するには良いチュートリアルだね。気がつくかどうかは別としてね。
「さーて、じゃあ今回はどれを採掘していこうか~?」
「さっきの大きなクリスタルがもう少し欲しいな。動力確保にいくつか欲しいんだ」
「なーるほど。じゃあおにー…………」
『(っ’ヮ’c)』
「フォーマルハウト先生、このデッカイやつで……」
『(*´∀`*)b』
「拘りに御座いますね……」
「我の作った最初の子をこんなに気に入ってくれて嬉しいよ」
ん~おにーちゃん、本当このフォーマルハウトを気に入ってるな~……。今後、いつもの鎧に戻ってって言い辛いよね~……。地獄パーティとかだといつもの鎧のほうが嬉しいんだけどな~。
『フリオニールが【★★★巨大パナシーアクリスタル】を入手しました』
『カウントが進行しました』
これは、1階層のと同じサイズのやつだね。これでおにーちゃんのインベントリはー……あっという間に100キログラムとちょいだ~。さっきちゃっかり拾ってた宝石が100グラムぐらいか、軽いもんだね。残り容量が減ってきたら、宝石系のちっちゃい奴にした方が良さそうだねー。
『――――スライム・イヴ(Lv,????)に追跡されました。3階層にスライム・イヴ(Lv,????)が侵入しました』
「……あいつが追ってきた」
「しーっ……! バレていない、探しているようだ……静かに」
「…………もう一度、斬り伏せるしかありませぬ」
「用意、しておいて」
『(; ・`д・´)』
嘘……。あいつ、追いかけてくるの……?! や、やば……。このダンジョンボーナスダンジョンなんかじゃないじゃん。めっちゃホラーダンジョンなんだけど……!?
『ドコニイルノォーーーー???? ドコニイルノォーーーー????』
『アビスウォーカー状態になりました。マリアンヌの影に移動します』
『(マリちゃん、小部屋の入口に向けてレーザー砲の準備。撃ち終わったら追撃でハンドガンを撃ちまくって)』
『姫千代が【神威】を発動しました』
「ああ……!」
来る……。そろそろ、この部屋の入口に姿を現すはず。もう一度、何度でも復活するなら何度でも倒せば良い。来いよ、ピンクのドロドロ……。ぶっ倒してやる……!
『マリアンヌが【チャージレーザー砲】を発射、クリティカル! スライム・イヴ(Lv,????)に6,820Kを与えました』
『キャァアアアアア!!!!!!!』
『スライム・イヴ(Lv,????)が【ダイヤモンドハリケーン】の発動スタンバイ!』
『(; ・`д・´)!!』
『フリオニールが【カーネイジブラスター】を発動、スライム・イヴ(Lv,????)に11,220Kを与えました』
『スライム・イヴ(Lv,????)が【ダイヤモンドハリケーン】の発動に失敗しました』
『ァァアアァァ……クズレル……クズレ……』
「死にぞこないがっ!!!」
『姫千代が【零姫式抜刀術奥義:祓魔居合斬】を発動、Weak!!! 特効! クリティカル! スライム・イヴ(Lv,????)に25,555Kダメージを与え、撃破しました。経験値 0 獲得』
『姫千代が【疲労・弱】状態になりました』
『スライム・イヴ(Lv,????)が復活スタンバイ…………30…………29…………』
倒した――うっ……?! 経験値、ゼロ!? こいつ、復活した奴は経験値が貰えないの!? なにこれふざけてるぅぅぅ……!!! もう、逃げるしかないってこと!? いや、いや待ってよ。待ってね? 戦闘中の召喚系はダメだけど、今戦闘中じゃないよね? 判定的に……。
『【死体安置所・1】から【ジュエルスパイダー(Lv,130)】を投棄しました』
「わ……?! な、びっくりした」
「……入るかなこいつ」
『【死体安置所・1】に【スライム・イヴ(Lv,????)】を納棺しました』
『スライム・イヴ(Lv,????)が復活に失敗しました』
お、おお! おおーー入った! これで復活を防げば良いのか! んで、えっと……出したらどうなるのこれ?
『【死体安置所・1】から【スライム・イヴ(Lv,????)】を投棄しました』
『スライム・イヴ(Lv,????)が復活スタンバイ…………30…………29…………』
「あ、復活しようとするからダメだわこれ」
「なるほど。リンネ殿の棺桶に突っ込めば復活しないのですか。それに最初に比べこの手応えのなさ……」
「経験値全く貰えなかったー。さっさと棺桶に突っ込まなきゃ駄目だねこれは」
『【死体安置所・1】に【スライム・イヴ(Lv,????)】を納棺しました』
『スライム・イヴ(Lv,????)が復活に失敗しました』
『(*´∀`*)』
「ふ~む……。しかし、出した場合は復活しようとするのであれば、リンネ殿の納棺限界に達した場合、これらは納棺しきれず無限に追跡してくるということか」
「…………あ。そっかぁ」
「それに、一体だけ出てくるとも限らない。調子に乗って採掘を続けると、どんどん暗くなって、どんどんこれらが増えるかもしれない。他の種が出てくるかも…………まあ、出しちゃったの我なんだけど……」
「ん~ん~! 遅かれ早かれ通った道だから! 気にしないの!」
なるほどね~こいつらの復活は、死体安置所に突っ込めば防げるんだ。まあそうだよね、死体を安置する場所なんだから、大人しくしてて貰わないとね~。勝手に復活なんか許さないよ。
「よし、当面大丈夫だね。今後、すぐに納棺出来るようにここに何体か死体遺棄していこう~っと」
「何体か入れられるのか。何体ぐらい……うわ、うわ、うわ……」
『【死体安置所・2】から【メタルイータービートル(Lv,130)】を投棄しました』
『【死体安置所・3】から――――』
とりあえず、2から7まで空けておこうかな。なんとなく。これで後6体は突っ込めるから…………。余裕がありますねえ?
『姫千代が【疲労・弱】から回復しました』
「ふぅ……――――」
『姫千代が【心頭滅却】を発動、MPが完全に回復しました』
「はっ!!!」
『姫千代が【神威】を発動しました』
「……? 何か?」
「…………いや、うん、何も言うまい」
千代ちゃん、その一瞬でMPを全部回復して、更に次に発動する攻撃スキルの攻撃力を上昇する状態を発動出来るの、本当どうかしてると思うんだよね。私は。いや、狂ってるな~って……。でも、何も言うまい……。
「そうだ、おにーちゃんさっき拾った宝石み~せて?」
『(*´∀`*)っ』
「この、涙型の黒い宝石と、深い紺色のハート型の宝石が、死の涙石と冥の愛石か~……。用途不明ってしか説明がないよ……」
「エネルギーを変換するコンバーターとして使えるかもしれない。その変換率が――――うん、わかってる。そうだな」
「偉い……! これと同じのあるかな、周りに……」
「あの突出している様々な宝石類がついている岩など如何ですか? 入っているやも」
「ん~……。取っちゃうか!」
「既に1個では歯止めが効かなくなったな。倒せるとわかれば、まあそうか。それに光っているものだけが良いものとは限らないからな」
そうそう。出てくる奴が倒せる、そして追いかけてきても復活阻止できるとなれば……2個も3個も行っちゃうでしょ~!! それに、あいつ経験値メッチャ良かったし! ん~……っね!! やっちゃう!
「満場一致で決定だー! いけーフォーマルハウトー! あの岩を採掘だー!」
『(`・ω・´)ゞ』
よっしゃーフォーマルハウト先生! 採掘を宜しくお願い致します! その、スパッと斬れるレーザーブレードでね!! 突いてよし、斬ってよし、強いなーそのレーザーブレード。しかもそのめちゃめちゃパワーの出るガントレットでぽりぽり割ることも出来ると。凄いわ、採掘にピッタリのマシンじゃん。いや採掘マシンには豪華過ぎるけど。
『フリオニールが【クズ石】を入手しました』
『フリオニールが【鉄鉱石】を入手しました』
『フリオニールが【◆魔の黒玉】を入手しました』
『フリオニールが【★★★プルートパイライト】を入手しました』
『カウントが進行しました』
お、魔の黒玉なんて激レアなのが出たっぽい! いいね~! それじゃ、次の階層に…………。
「来るぞ。さっきと同じぐらいの気配だ」
「出待ち出来るならなんとかなるはず! さっきので!」
まあ、行かせてくれないよねー! 来るよねー!! さて、死体の山が消え去るのが先か、それともあっちが来るのが先か……。
『3分経過』
『ドコニイルンダァァアアア……!!!』
「……ここにいるさ」
『マリアンヌが【チャージレーザー砲】を発射、クリティカル! スライム・アダム(Lv,????)に,7,400Kを与えました』
『グァアアアアアア!!!!』
『スライム・アダム(Lv,????)が【マッスラータイフーン】の発動スタンバイ!』
マリちゃん、投棄した死体の山が消える前に撃った!? しかもクリティカル出してるし、え、本気で心眼とか持ってらっしゃる!? あ、死体消えた! この青黒いキモいドロドロスライムは、イブと反対に物理攻撃で仕掛けてくるタイプか! なるほど、でも攻撃が遅いなら!
『( ・`ω・´)』
『フリオニールが【カーネイジブラスター】を発動、スライム・アダム(Lv,????)に10,880Kを与えました』
『スライム・アダム(Lv,????)が【マッスラータイフーン】の発動に失敗しました』
『――――…………』
「その核が弱点と既に、見破ったッ!!!」
『姫千代が【奥義:無双国落】を発動、クリティカル! スライム・アダム(Lv,????)に11,550Kを与え、撃破しました。経験値 460,000,000 獲得』
『フリオニールがレベル2に上昇しました』
『姫千代がレベル76に上昇しました』
『マリアンヌがレベル60に上昇しました』
倒し――――やっとレベル上がったなあ!? この子達なあ!!??
『【死体安置所・2】に【スライム・アダム(Lv,????)】を納棺しました』
「よーし納棺完了! 次行こう!」
「……素晴らしい射撃能力、まるで死体の山の向こうが見えているかのようでしたね」
「リンネから貰った装備のお陰じゃないか? 向こうは隠れる気がなかったから、気配を掴むのは容易だったよ。相手が隠れて接近して来たら、難しいだろう。用心しないと」
『(´・ω・`)……?』
「なるほど。此方と今度、是非暗闇で的に当てる訓練でも……」
「それは面白そうだ。よし、他に気配はないと思う。少なくとも我にはわからない」
「……行こっか!」
マリちゃん、徐々に『あれ、この子ヤバイどころか、滅茶苦茶ヤバイんじゃない?』感が出てきたね……。ま、まあ、強いのはいいことだし、それにマリちゃんも謙虚で向上心があって用心深いし、うんうん。いいね……いい。この調子でどんどん行こう! あ、どんどんで思い出した……。どん太、大丈夫かな? 余裕がある時につくねちゃんに個人メッセージ送って聞いてみよう。
『4分経過、カウントダウン開始……59……』
「彷徨う亡霊達よ、我等の力となれ。ネクロフォース!」
『5分間、パーティ全員に複数の効果が発動します』
「よし、行くよー」
「ええ」
「ああ、大丈夫さ」
『(*´∀`*)b』
『モンスター検知なし。安全性を確認しました。4階層へ移動しますか?』
「するする。ごーごー」
『4階層へ移動します』
まあ今はちょっと余裕ないから……。後でね! んじゃ、次行ってみよう~!