166 The Original・1
◆ 原初へと続く大穴 ◆
『原初へと続く大穴へようこそ。各階層の制限時間は5分です。注意して下さい』
ん……!? ダンジョン内部が割と明るい! 周りが宝石っぽいキラキラ光る石とか、水晶みたいな明かりで照らされてる! 鉱石っぽいのが採取出来るスポットもズラッとある! これは……。制限時間内にこれを採取しろってこと?!
「採掘制限時間ってことかな? いやでも、もたもたしてると次の階層探してる内に時間切れになるかもしれない! 先に次の階層に行く道を見つけておこうよ!」
「そうですね。5分という制限ならば、先に見つけておくべきでしょう」
『(*´ω`*)b』
「見たこともない鉱石ばかりだ……。は、早く次の階層に行く道を見つけよう」
じゃあまずは、次の階に行く道を見つけないとね! 中は、どん太でもらくらく歩けるぐらいの広さの坑道だ。道が枝分かれしてる……。あ、こっちは大部屋に続く道? あっちは小部屋、そっちは奥に続いてるみたい。明るいから先も見通しやすいね。
「ん……。何かいるぞ。液体のようだが……」
「あ。スライムだ……。え? スライム?」
「おばけ殿、出番に御座います」
『(*´ω`*)b』
え、す、スライム? レベル100から行けるダンジョンの敵が、スライムなの? なんで……? いや、見た目がスライムなだけで実はヤバイスライムなのかも! とにかく、注意して……。まずはおにーちゃんに軽くぶっぱなって貰おう。罠の気配とかもないし、多分大丈夫のはず。
『フリオニールが【カーネイジブラスター】を発動、クリティカル! スライム(Lv,1)が消滅しました』
ス、スライムだ……。あれは……。レベル1のスライムだ……!?
「え、よっわぁ……!?」
「……え、本当に、あれで倒せたのですか?」
「倒せたようだ。気配がまるで無い」
『(;´∀`)……?』
ええ、よっわぁ……。もはや経験値が手に入ったとか言う表示すらないし。どうなってんのこれ……? あ、この奥に行く道のつきあたりにポータルがある! 多分あれだよね。とりあえず踏んでみよう? いや、もしかしたらこれがワープエリアで1階層の別な所に飛ばされるかもしれないし。
『モンスター検知なし。安全性を確認しました。2階層へ移動しますか?』
「あ、これ2階行きだ……。え、じゃあ戻って採掘しよう!」
「そう、ですね……」
『(;´∀`)??』
「あ、ああ……」
なんだろう、こんな簡単なダンジョン……。あ!? もしかして週に2回しか行けないから、ボーナスダンジョン的な場所なの!? もしかしたら、そうかもしれない!
『――2分経過』
「とりあえず、これから採掘しようか。この一番光ってるやつ!」
「おばけ殿~」
『(*´∀`*)b』
おにーちゃんがレーザーブレードで一番光の強い青白い宝石を根本から切り落としてくれた。いいね~すんごい量だ~。ごそっと手に入って最高だね! ここは生産職応援のダンジョンなのかな? きっとそうだね。で、これは何ていう宝石なんだろう?
『フリオニールが【★★★巨大パナシーアクリスタル】を入手しました』
パナシーアクリスタル、万能の水晶ってことかな? なんか凄い貴重素材感ある名前だ~いいね~こういうの――――
『――カウントが進行しました』
「……? カウントが進行した……?」
「どうか致しましたか?」
「モンスターの気配が微かに濃くなった気がする。いや、微かにだが」
『……(; ・`д・´)!』
「ん、どうしたの、フォーマルハウト先生」
『(ヾノ・∀・;)』
「ダメ? 採掘しちゃダメなの?」
『ε≡≡ヘ( ´Д`;)ノ』
「これ以上は、やめたほうがいい気がする。嫌な予感がする」
「……じゃ、じゃあ、やめておこうか? いっぱいあって、勿体ないよ?」
「命には変えられない。この階は、よしておこう」
「此方も今感じました。なるほど…………強くなっているようで、御座いますね!!」
え、強く……もしかして、ここって……。
『姫千代が【乱華円舞】を発動、スタースライム(Lv,77)に3,445Kダメージを与え、撃破しました。経験値 1 獲得』
「ん……!?」
もしかして、採掘すればするほど、モンスターが強化されるダンジョンって、こと!!??
『――3分経過』
「急ごう、この階は今の1個で終わりにしよう」
「その方がいい。これ以上は、もっと恐ろしいものが出てくるかもしれない。幸い先程の転移陣までは何の気配もない」
「行こ! 今の一個でこれじゃ、次はレベル100を超えてくる! 私達より強いのが出てくるかも!」
これはまずい、欲望のままに気が付かず掘ってたらあっという間に超強いスライムが誕生するところだった! 皆が気が付かなかったら、せっせと掘り続けるところだったよ。
『モンスター検知なし。安全性を確認しました。2階層へ移動しますか?』
「移動移動! いくよー!」
「ええ、そうしましょう」
「そうだな。次は……元に戻っているだろうか?」
「どうかな……」
『2階層へ移動します』
とりあえず、1階層はこれで終わりね。ふう~……。次もまた、スライムが居るのかな。全くあいつら、私が低レベルの頃から邪魔しかして来ないな! 憎たらしい……。大人しく養分になればいいものを……。
◆ ◆ ◆
『カウントがリセットされました』
「……えい」
『スライム(Lv,1)に5Kダメージを与え、撃破しました』
「戻ってる……。欲を出さずに、1個にすれば良いみたい」
「……欲を出して2個にすれば、持ち帰れる量が倍になるのか」
「虎穴に入らずんば虎子を得ずってやつだね。危険を冒さなければ多くの利益を得られないっていう」
『(´ε`;)』
「引き際が難しいですね……」
「とりあえず次に行く道を見つけよう」
2階層になったら、とりあえず敵の強さは戻ったけど……。いや、倒せずに持ち逃げってのは多分出来ないんだよね。あのポータル、モンスターが周囲に居ると多分起動しない。制限時間が来たら強制退場なのか、それともとんでもなく怖いのが出てくるのか……。
「あったぞ。この奥に見える」
「いや見えないけど」
「見えませんね……」
『(;´∀`)……!!』
「おにーちゃんはギリギリ見えたかー」
マリちゃんがとりあえずポータルを見つけてくれた。んじゃまた採掘……。こっちの大部屋には、さっきの階層よりももっと大きいのがあるね。多分さっき採掘したパナシーアクリスタルのデカい奴。ということは、これを持って帰ろうとすると一気にカウントが進むってことだね。そういえばさっきのやつ、重さは……。30キログラム、おにーちゃんまだまだ持てるね。おにーちゃんは200キログラムまで持てるから、後170キログラム。これはさっきより大きいから、40はあるかな?
「これ、持ってく……?」
「強力なエネルギーを感じる。機械の動力源として使えそうな気がするな。エネルギーを取り出しやすいように研磨して使えば――いや、制限時間があるんだ。急ごう」
「そうだね。じゃあおにーちゃん、これお願いします!」
『(*´∀`*)b』
『フリオニールが【★★★超巨大パナシーアクリスタル】を入手しました』
『カウントが進行しました』
「出たな、そこだっ!!」
『マリアンヌが【爆裂重狙撃魔導弾】を発射、クリティカル! ジュエルスライム(Lv,86)に1,880Kダメージを与え、撃破しました。経験値 1 獲得』
「おー凄い凄い。いいセンスだねえー!」
「凄まじい爆発音、対象に直撃後に爆発する弾ですか。もはや大砲よりも恐ろしい威力ですね」
『(*´∀`*)!』
おおーマリちゃん凄い。出てきた瞬間に倒したね~! いや~マリちゃん頼もしいなあ~……。遠距離職ってレーナちゃんを見てきた頃から強いと思ってたけど、やっぱり強いわ~!!
『――――カウントが進行しました』
う…………? なん、で? なんでカウントが進行したの? おにーちゃん以外、誰も採掘してないよ……?
「カウントが、し、進行した、みたいなんだけど……」
「…………今の爆発で、何か宝石類を巻き込んでしまったのでは?」
「まさか、いや……そ、そうかもしれない……! マズい、途轍もなく強力な存在が、居る気がする!」
『(;´∀`)!?』
い、今の爆発で、なにか巻き込んで、採掘判定になったってこと!? や、それは、マズいって……ヤバイでしょ絶対……!!
『――2分経過』
「急ごう! さっきのポータルに行けば、リセットのハズだから!」
「あ、ああ……いや待て! もう、もうここに向かってきている!!」
「はああ!!!」
『姫千代が【神威】状態になりました』
ヤバイ、ヤバイ来てる、来てる来てる……!!! この小部屋に何かヤバイの来てるみたいなんだけどぉ!!!??
『( ・`ω・´)!!』
「二の矢は此方が!」
「彷徨う亡霊たちよ、我等の力となれ! ネクロフォース!」
『5分間、パーティ全員に複数の効果が発動します』
『アビスウォーカー状態になりました。マリアンヌの影に移動します』
『(マリちゃん! チャージレーザー砲! 用意しておいて!)』
「ッ!? あ、ああ!」
被ダメ無敵と、ステ150ぐらいやっておこう! 私も、ヴラドを用意しておこう……。万が一に備えてアビスウォーカー状態で撃とう!
『…………ミィツケタァ』
『Σ(´∀`;)!?』
『フリオニールが【カーネイジブラスター】を発動、スライム・イヴ(Lv,????)に11,220Kを与えました』
『キャァアアアアアアアーーーー!!!!!! イタイイタイイタイイタイ!!!!』
『スライム・イヴ(Lv,????)が【ダイヤモンドハリケーン】の発動スタンバイ!』
なんだあれ……!!? 人間の形をした、スライム……足元はぐちゃぐちゃ、ドス黒いピンクのボディ、この……気持ち悪さ……!!! まともな感じがしない!
『(撃って!!)』
「ッ!!」
『マリアンヌが【チャージレーザー砲】を発射、クリティカル! スライム・イヴ(Lv,????)に6,660Kを与えました』
『スライム・イヴ(Lv,????)が【ダイヤモンドハリケーン】の発動に失敗しました』
『ァァアアアアアアアァァァアアアア!!!!!!』
「っはぁあああ!!!!」
『姫千代が【零姫式抜刀術奥義:祓魔居合斬】を発動、Weak!!! 特効! クリティカル! スライム・イヴ(Lv,????)に25,555Kダメージを与え、撃破しました。経験値 460,000,000 獲得』
『姫千代が反動により【疲労・弱】状態になりました』
『レベル109に上昇しました。おめでとうございます』
『マリアンヌがレベル55に上昇しました』
『スライム・イヴ(Lv,????)が復活スタンバイ…………30…………29…………』
『アビスウォーカー状態を解除します』
「復活しようとしてる!! 逃げるよ!!」
『ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ』
「ええ……あっ!」
「千代ちゃんは私が背負うから! 走るよ!」
「ああ!! 周囲にはもう何も居ない、はずだ!」
奇跡的な相性の良さで倒せた、でもまだ居るかもしれないし……それに、復活されたら間違いなく追ってくる! その前に、逃げよう!
『フリオニールが【◆死の涙石】を入手しました』
『フリオニールが【◆冥の愛石】を入手しました』
――――おにーちゃん!!?? 逃げながら何を回収してんの!? あ、さっきマリちゃんがふっ飛ばしちゃったやつを回収したってこと!? 器用なことしてるこの人、ちゃっかりしてんなぁ!?
『モンスター検知なし。安全性を確認しました。3階層へ移動しますか?』
「移動移動移動!! 早く!!」
『3階層へ移動します』
『スライム・イヴ(Lv,????)が復活しました』
間に合った……!!! 間に合ったァーーー!!!!