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神話・歴史・宗教

 エクスローという世界がある。

 神や魔のようなこの世ならざる者たちが住まう世界、神界。

 現代地球の存在する、現実世界。

 その間に位置する第三の世界だ。

 この世界における神はすべて人格神である。


 この世界の存在理由は簡単で、二つの両極にある世界のどちらかが大きく何かに揺らいだとき、その均衡を保つために存在している。

 宇宙の消滅、巨大な悪意、意思を超越した神意などが世界にブレを起こした時、それはこのエクスローに流れ込むようになっている。

 形は巨大な渦巻きの中心にあると考えていい。

 外縁部に沿うようにして、神界・現実世界は対局の位置に存在しているのだ。


 エクスローは一つの惑星と三連の赤・青・銀の月により構成されている。

 この惑星が主な舞台だ。

 惑星の表面、内部、並行する様々な空間に十二のかけらは、十二の世界として個別に存在するが、その多くは密接に絡み合い一つの世界を形作っていると考えても間違いではない。

 その名もなぜかエクスローという。


 惑星エクスローは神による管理社会だった。

 最初は六柱の神によりその個体数の調整を成す戦争が行われていた。

 それは神々の遊戯盤と呼ばれる装置で操作され、正しい数値が導き出されるまでその戦争は行われた。

 六柱の神たちが己の種族から代表を選び出し、駒として役割を与えた彼らが、幾度も逆行転生を繰り返し血みどろの戦争をすることで正しい数値を導き出す、恐るべき装置だった。

 エクスローでは無慈悲な神の横暴が、世界を支えていたのだ。

 主要な駒の一つとして使われた神々の王の聖女は、その数百に及ぶ死の記憶を失うことなく操られていた。

 やがて彼女はこんな無慈悲な神の管理など必要ない。

 すべての種族が己の意思で自由に生きるべきだと考えるようになる。

 最後の逆行転生でエクスローを自在に操る『万能の聖典』を手に入れた聖女は、反逆者として立ち上がり六柱の神を滅ぼしてしまった。

 その名を、神殺しの聖女カイネという。

 カイネは『万能の聖典』と一体化することで、このエクスローを創り出した創造神と同じ程の存在へと進化した。

 その誕生は歪んでいた世界の現実を異界にいる神や魔にまで知らしめることになる。

 歪みが認知された時、世界の胎動は始まった。

 創造神の一柱となったカイネは姿を消し、遅くしてやってきた金色の猫の創造神ははるか別宇宙に輝く、白銀の太陽からある女神を代理人として呼び出した。

 その名を女神フォンテーヌという。

 フォンテーヌは青の月を依代とし、そこに神と魔の聖域を設置する。

 

 そして、一万年後。

 エクスローは数百の新しい神と二十四柱の魔王が支配する世界となっていた。

 いつか戻る創造神カイネのためにエクスローを残すこと。

 全種族の願いは皮肉にも、神と魔による全種族の個体数調整という未来を生み出してしまう。

 神は代理人である勇者や英雄、聖女を地上に送り込み、魔王たちは自身で一族を率いて戦いを行う。

 現実世界と神界の歪みを補正するために生まれたエクスローは、このように形を変えて機能していく。

 そこには様々なドラマが展開されていた。

 女神フォンテーヌは神の管理者ではあるが、神の長ではない。


 カイネ以前の六柱の神よりもはるかに古い聖なる者が彼らの王として知られている。

 その名を聖者サユキという。

 サユキは現代地球から異世界転移した女子高校生であり、カイネが反乱を起こした一万年前。

 舞台となるエクスローサーガの時代からすると、二万年前にこの世界にやってきた。

 彼女を送り届けたのは金色の猫の創造神であり、彼は聖者になる前の沙雪にその力を貸し与えることで神の王の座を約束した。

 しかし、この時はまだエクスローが自分の創造した十二のかけらが変化した世界だとは、金色の猫の創造神は気づいていない。

 それに気づくのは、カイネが『万能の聖典』を体内に宿してからである。


 沙雪には、地球に古くから眠っていた虚無の支配者の一人、黒き闇の王である黒狼神ヤンギガルブの力も宿っている。

 ヤンギガルブの双子の子供である、太陽の化身アギトと闇の化身ゲフェトを従え、沙雪は聖者サユキとなった。

 このことにより、サユキ過去から現在に至るまで神々の王と呼ばれている。

 彼女の恋人は金色の猫の創造神がであった、蝕む者と滅する力を持つ男性である。

 サユキの宿命は、エクスローに集められた世界の歪の力を宿した一振りの槍を恋人に届けること。

 これは全異界の意思が策謀した、蝕む者を消滅させるための計画の一つだ。

 彼女は神たちの王ではあるが、管理はせず支配もしない。

 ゲフェトとアギトもこの世界に大きく干渉はしない。

 あくまで大いなる意思が設定したその時間まで、眠りにつく主、聖者サユキを守りながらエクスローが崩壊しないように監視するのが役目である。

 そのため、サユキの姿を見たものはわずかしか存在しない。



 エクスローにはこれといった主的な宗教は一つである。

 神の管理者であるフォンテーヌ神を崇める「教会」が全世界的な組織として機能しているためである。

 知性と理性と重んじるハグーンの賢者の塔、共存共栄を重んじる神の王、聖者サユキとその配下である太陽神・暗黒神の神殿があるだけである。

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