おーぷにんぐ
気が乗ったので書いてみた一作
不定期で書きたくなったら書いていくので
読みたくなったら読んでみてください
目が覚めた、なぜだろうか目を開けているのに前が見えない。
おかしい、私は進学先からの合格通知が来て家族で祝ってそのまま布団に入ったはずだ。なのになぜ私は目の前が見えないのだろうか、真夜中?いや、そんなはずはない月の光が入ってきて家の中が見えるはずだ。
それに先ほどからずっと声が出せないし体が動かせない…いやそうでもないな、手と足は動かせる、ただ起き上がることができないようだ。幸い家は五人家族、手と足だけでも暴れればだれか気づいてくれるだろう。
家族が気づくことを願って腕を振り上げ続ける。しかし、誰も起きないようだ、それにしても先ほどから床がものすごく硬い、家は畳を敷いていたはずなんだが。
ふむ誰も来ない、かれこれ30分ぐらいは叩き続けたんだが、このままでは壁殴り代行ならぬ床殴り代行になってしまうではないか、というかさっきから叩いてるこれの音が岩叩いてる感じなんだが、冷たいし硬いし。
ん?今明かりが、いや誰かがこっちに来ている?
やっぱりそうだ!誰かがこっちに来ているんだ!母か?姉か?父か?兄か?はたまた曾祖父か?いや、曾祖父は先週葬式を挙げたんだったか。
まぁそんなことはいい早く助けてくれないだろうか、硬い場所に寝っ転がっているから体が痛いのだが…
数分程たったころだろうか明かりはどこかに消えていった。
待ってくれ明かりがあったら気づくだろう普通!しかし、実際明かりはどこかに行ったみたいだしなぁ。
そういえば明かりができたので一度周りを見回してみたのだが、どうやら私は麻袋のようなものをかぶされていたようだ…
これは誘拐なのではないだろうか、よくよく考えてみれば家に硬い床などないし、自慢はできないが懐中電灯などの手持ちの明かりもなかったのだ、つまりこれは誘拐というやつなのだ。
しかし、わざわざ人の家に忍び込んで誘拐する必要はあるのだろうか?いや今はそんな事を考えている暇はない、ここは一度落ち着かなければ…
いや、落ち着けるわけがない!此方は寝たと思ったら誘拐されているのだぞ?落ち着けるわけがないだろう。
とりあえず、ここからどうするかだ…誘拐される前はいろいろな状況に備えて妄想をしていたというのに肝心なところで役に立たないのだな私の頭の中は!いや、ここは私の知能の低さを悲しんでも仕方ないか。
それにそうこう考えているうちにだいぶ自分でも落ち着いたように感じる。やはり波の音というのは人を落ち着かせるのだな。
ん!?波の音!?つまり私は今船の中ということか!?おかしいだろう!?まさか、私が寝ている内に身代金の交渉を終えているというのか!?おのれ優秀な誘拐犯め!このまま身代金を受け取った後で私をブロック状にして海に投げ捨ててミネラルにするつもりだな!?足の着きづらい計画的な犯行じゃないか!海上保安庁に見つかってしまえばいいのに!
そんなことを無駄に考えてるうちにどこからか足音が聞こえてきた、それも大量に…
誘拐犯か?それとも救助が来たのか?一番うれしいのは人質解放ということ、最悪なのが用済みとして消されることだな!
結局のところ足音の正体は救助とかではなかった…最悪の状態でもないっぽいのがまだ良いのだが
いや良いとは言い切れないな…なぜか?それは暗く麻袋のようなものを被っているはずなのにその正体がはっきりとどんな者なのか認識できるからだ…異常、なのかもしれない人型なのにタコのような顔、カニのハサミのような腕、エビの尻尾のような両足、亀の甲羅のような胴体…
ごめん、異常だったわ…そもそも何でこんなのを人型だと欠片でも思ってしまったのだろうか…
『ふむ、人間か…』
声が聞こえる、だが残念だったな…私は!今!声が!出せない!
「助けて!」
出せたわ…今までの苦労が何だったのかっていうくらい普通に声出せたわ
むしろ、今が一番声出しちゃいけないんじゃないかな?これはワンチャングロテスク大好きZ級映画みたいな展開になってしまうぞ?
『しゃべるな、醜い種族よ…とはいえここに来れた事は誉めてやろう』
なんか褒められた、いや褒められてないのか?醜いとか言われてるもんな…
なんにしても物凄い偉そうに接してくるではないか、思わず反抗したくなってしまった…
まぁ反抗したら多分ミネラルに等価交換まで一直線だろうからしないけどね!
『褒美として、この庭の我が眷属…いや行き過ぎか?よし、魚と会話する権利をやろう、それでも行き過ぎかもしれんな?よし、魚とだけ会話ができれば良かろう?次に目が覚めた時は貴様のいるべきところにいるであろう…』
全然ご褒美じゃないんですが?っていうかここ夢だったんですね、良かt良くない!え!?夢なんですね!?それなのに感触あるんですね!?夢は感覚ないって聞いたんですが!?それと!魚とだけ会話できればって!いらないんですが?魚に詳しくないのに!大道芸人になれってか!?そもそも魚が言うこと聞くかどうかすらわからzzz
『しかし、人間程度がここまで来れるようになるとは…大分状況が悪くなってきたと見える…一体、天からの使いとやらは何をしているのだ…』
んぅう、寝ていた…完全に寝ていた…今は何時だ?
そう時計を見ようとしたときに気づく、おそらく材質:石であろう壁にティラミスされている事、手錠と足枷がされている事、そして見える範囲の同じようにティラミスのように挟まれている恐らく同じようになっている人達…
あ!これ僕ゼミかなんかの教科書で見たことある!!奴隷船だ!やっぱり誘拐されてたんだぁ!
…夢じゃなかったのか、絶望とショックによりまた目の前が真っ暗になった…