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化粧師  作者:
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第二話 歪むもの 四

  七



 問答無用で室内に連れ込まれた楡と佐島は、ゴルフクラブを手に仁王立ちになった尚吾を前に、身動きが取れずにいた。妻の八重子は血走った目で包丁を握り締め、嫌な笑みを浮かべた明宏は金属バットを肩に担いでいる。ただ一人咲枝だけが、テーブルの下で震えていた。椿の姿は見えない。

「だからあ。俺ら殺しても意味ないって言って……」

「うるせえ! お前らのせいで、うちは崩壊寸前なんだぞ。今まで折角平和に過ごしてたってのに」

「何が平和だよ、三人も殺しといて。しかも肉親だよ肉親。何考えてんの」

 ゴルフクラブが、二人の頭上を掠めた。叩き付けられた壁からコンクリートの破片が落ちて来る。佐島は小さく悲鳴を上げたが、楡は不満そうに眉を顰めるばかりであった。長い睫毛に破片が掛かったようで、しきりに頭を振っている。

「も、もうやめて下さいよ楡さん……犯人刺激してどうするんすか」

「だってやられっぱなしってムカツク」

「そういう問題じゃな――ひいい!」

 近付いてきた明宏に、佐島は悲鳴を上げた。佐島も大概にして小心者だが、この状況でどうでもいいような不満を垂れる楡の方がどうかしている。

「お兄さん、もっと怖がってくれないかな。俺、そっちの方が楽しいんだからさ」

「奇遇だね、俺もそう思うよ。でも人生、そう上手くは行かないんだよねえ」

 楡の返答に、明宏は怪訝に眉を顰めた。

「うわあ!」

 突然響き渡った悲鳴に、全員が玄関を振り返った。開いたままの扉から入って来たのだろう、大きなカメラバッグ抱えた杉里が、呆然と立ち尽くしている。

 楡がにっこりと微笑んだ。

「やあ杉里さん。今なら正当防衛だよ。俺も佐島くんも証言するし」

「いやちょっと楡さん、何言ってんすか……ひい!」

 包丁を持った八重子が杉里に襲い掛かった。悲鳴を上げたのは何故か佐島だったが、杉里は咄嗟に頭を抱えて、その場にしゃがみ込む。八重子が体勢を崩して廊下へ倒れ込んだ拍子に、手にしていた包丁が床に刺さった。それを見た杉里の目の色が変わる。温厚な彼にあるまじき、剣呑な光が宿っている。

 杉里は無言で、床に刺さった包丁の柄を掴んだ。八重子が何事か喚いているが、その言葉は全く意味を成していない。深々と突き刺さった包丁を軽々と抜いた杉里は、にたりと、唇だけを笑みの形に歪ませた。

 楡が佐島に、逃げるよ、と囁く。八重子の絶叫が木霊した。家人達は蒼白になって杉里を凝視している。

 杉里は八重子の首に、深々と包丁を突き立てていた。かと思えばすぐさまそれを抜き、倒れたままの八重子に馬乗りになる。動脈が傷ついたのか、首の傷口から鮮やかな血が流れ出して廊下を汚した。刃を抜く際顔に散った血飛沫に舌を伸ばして舐め取り、杉里は温厚であった筈の顔を悪魔のように歪めて笑う。

 杉里は忙しなく上下する八重子の腹へと包丁を刺し込み、横薙ぎに腕を払った。細長い臓器が刃先に引っ掛かり、壁に叩きつけられる。衝撃で破れた腸壁から零れる未消化物が、饐えた臭いを辺りに撒き散らす。大きく開いた腹腔に手を突っ込んだ杉里は、さも楽しそうに鼻歌まで歌いながら、ホースのような内臓を更に引きずり出し始めた。

 際限がないように思われるほど長く、ずるずると引きずり出されて行く臓器を千切り取り、杉里はゴルフクラブを持ったまま呆然と立ち尽くす尚吾に、近付いて行く。吐瀉物と排泄物の混ざり合ったような嫌な臭いが鼻を突いてようやく我に返り、近付く杉里を認識した尚吾の表情は、一瞬にして恐怖に歪んだ。

「来るなあああ!」

 楡と佐島は、引き裂くような尚吾の悲鳴を背中に受けながら、廊下へ向かった。目の前で繰り広げられる虐殺に魅せられたか、はたまた単に呆けているだけなのか。呆然とした表情で突っ立っている明宏の横を擦り抜け、楡は行く手を遮る八重子の死体を蹴り飛ばす。佐島は死体を見ないように視線を宙に固定したまま、楡が廊下へ出た事を確認し、ダイニングの扉を閉めて震える息を吐いた。

 殺人鬼へと変貌した杉里は、打ち下ろされたゴルフクラブを難なく左手で掴んだ。間際にクラブの先端が左手に持ったままの臓器を掠め、破れた隙間から更に内容物が零れ落ちて行く。嫌な臭いが室内に漂うが、杉里は笑みを崩さない。

 杉里はクラブの柄を掴んだまま、尚吾の左胸へ刃を突き立てた。目を見開いた尚吾が吐血する。

 杉里は無言のまま、何度も包丁を突き立てた。胸骨が折れて砕けた骨の先端が皮膚から飛び出しても止めない。足の力が抜けた尚吾が倒れて痙攣を始めても止めない。明らかに心臓に達した傷から鼓動に合わせて血が噴出し、裂けた皮膚が飛び散っても止めない。

血に塗れ、脂肪で汚れた包丁の刃は、既に刃物としての用途を成さない程、切れ味を失っている。それでも杉里は傷口を抉る事をやめない。使い物にならない程酷使され、襤褸になった包丁とは対照的に、杉里の目は輝きを更に増していた。

 杉里は楽しそうだが、尚吾が絶命している事は、痙攣の収まった体から明白に見て取れた。没頭する杉里に、明宏がバットを振り下ろした。杉里は掴んだクラブを振り上げて止める。明宏の表情は、憎悪とも悲哀とも、歓喜ともつかない微妙な表情に変わっていた。

 グリップを掴んでいた死体がクラブと一緒に浮き上がった拍子に、その頭へと、明宏が打ち下ろしたバットが当たる。鈍い音が響いて、死体の頭がバットの形にへこんだ。驚くべきは、死体一つを片手で軽々と持ち上げて見せた杉里の筋力であろうか。頭へバットが当たった瞬間、明宏の表情が明らかに歪んだ。

 杉里は明宏に向かって、死体がくっついたままのクラブを振ったが、紙一重で避けられた。死体の手がグリップから離れ、ダイニングの壁に当たる。白い壁紙に、擦り付けたような赤い跡が残った。衝撃で見る影もない程崩れた死体の顔から眼球が零れ、後を追うように床へ落ちた体に潰された。

 杉里は浮かべた笑みを深くしていた。それが何を意味するのかは、誰にも分からない。杉里が動く前に明宏のバットが再び打ち下ろされるが、杉里は空いた左腕で受け止めた。腕から鈍い音がする。それでも顔色を変えない杉里に、明宏はようやく、久しく忘れていた恐怖という感情を思い出した。

 青年は、恐ろしかったのだ。父が居ない時を見計らって帰って来ては、狂ったように母を殴る兄が。駄目だと言っても聞かなくて、結局母は、生活費を兄に渡した。まだ幼かった明宏には、どうする事も出来なかった。ただ部屋の隅で震え、時が過ぎるのを待っているしかなかった。

兄が憎くてたまらなかった。父がそうしていいと言ったから、彼は何の躊躇いもなく兄を殺した。自分から目を背けさせる為に、知的障害者の振りまでした。

 二度目は、伯母の為にやった。明宏も、叔父が嫌いだった。嫌な奴は殺してしまえと、そう思った。一人殺したなら、二人殺すも同じだろうと、伯母は言った。明宏も、その通りだと思った。だから今度も、躊躇うことはなかった。

 三度目は、明宏自身の意思だった。父が憎かった。母を守る事もせず、己の人生を狂わせた、父が。だから殺した。今度は誰も助けてはくれないので、死体は自分で隠した。

 けれど、恐ろしかった。人を殺す事が。肉親を傷つける事が。父を殺した後、明宏は深い自責の念に苛まれた。来る日も来る日も悩む内に、本当に白痴のようになって行った。

 どうして、こうなってしまったのか。

 杉里のゴルフクラブが、明宏の目前まで迫っている。これでもう終わるのだと、明宏はそう思った。

「うわっ」

 しかし明宏が思っていたような衝撃は、なかった。

 発砲音と共に、杉里が驚いた声を上げて仰け反った。拳銃の弾は正確にクラブのグリップに当たり、杉里の手から抜け落ちる。

「正当防衛ですよ杉里さん。ご苦労様」

「いや、やりすぎだろ」

 衝撃で痛む手を撫でながら、杉里は声のした方を見た。ダイニングの扉の前に、国定と九重が立っている。

 握られた拳銃を見る限り、発砲したのは国定のようだった。転がる死体に視線を落として、狐のような目を細めている。その表情は、どこか嬉しそうにも見えた。

「はあ、どうも」

 国定は呆然と立ち尽くす明宏を見て、彼に近付く。

「分かってるね」

 明宏は、暫く呆けたような表情で国定を見つめていた。その目に見る見るうちに涙の膜が張って、遂には頬を伝って流れ落ちる。握り締めていたバットを落とし、明宏は片手で目元を覆った。その頭が、僅かに頷く。

 国定は扉を振り返り、壁に張り付いて硬直している佐島を睨んだ。

「おい木偶の坊、さっさと容疑者連れて行け」

 国定が背中を押すと、明宏は俯いたまま廊下へ出て行く。佐島は恐る恐る顔を上げ、廊下へ出て来た明宏の手をそっと掴み、玄関へと消えた。

「古手川椿はどうした?」

 国定は肩越しに振り返ったまま、そう問い掛けた。楡がのそのそとダイニングに入ってくる。

「知らない。俺らが連れ込まれた時には、もういなかったよ」

 楡は室内を見渡してその惨状を見ながら、国定と同じく薄ら笑みを浮かべていた。

「あら、ここにいるわよ」

 その場にいた全員が一斉に、声のした方へと視線を向けた。そしてそれぞれが一様に凍りつく。

「ごきげんよう」

 ダイニングテーブルに腰掛けた娘は、喪服のように黒い着物を纏っていた。花の顔に、開きかけた蕾のような淡い微笑を浮かべている。十五、六の娘にしか見えないが、僅かに細められた漆黒の双眸にはどこか艶があった。その手には被害者の供述通り、死神の大鎌が握られている。

 彼女の両脇には、白いメンフクロウと黒い猫が畏まっていた。それぞれ心臓と生首を銜えている。

 彼女の足元に、咲枝の首から下が転がっていた。上体へ縦に裂傷が走っている。そこから心臓を抜いたのだろう。いつの間にやったのか、誰も気が付かなかった。そこにいた事にさえ、気付かなかったのだ。

「落首花!」

 怯む自分を奮い立たせるように大声を上げた国定は、両手で拳銃を構える。狼狽する事も臆する事もなく、古手川椿――落首花は、愛らしい仕草で小首を傾げて見せた。

 梟が銜えた生首が、血の気の失せた虚ろな表情で、国定を見つめている。

「撃ってみる?」

 言われるが早いか、国定は発砲した。それは呆気なく落首花の左胸に命中したが、彼女はその美貌に、僅かな翳りさえ浮かべはしなかった。胸に空いた筈の弾痕は、見る間に消えて無くなって行く。

「化け物……」

 杉里が呟いたが、彼も同じようなものだろう。

「無駄よ坊や。あなた、あたしが折角彼は違うって言ってあげたのに、全然気付かなかったでしょう」

 国定は彼女とした会話を思い返し、はっとした。あの人は違うと、確かに言われたのだ。

「あんまり無理すると九重君の寿命が縮まるわよ」

 九重は眉を顰めて、落首花を睨みつけている。国定の表情が、苦虫を噛み潰したようなものに変化した。

「何が目的だ? どうしてこの家に潜り込んだ」

「クズがあたしの真似したから」

 事も無げにそう言って、落首花は猫の前に掌を差し出した。天鵞絨のような見事な毛並みを持った黒猫は、彼女の白い掌の上に心臓を置いた。心臓には、傷一つ見当たらない。

「それに、教えてあげようと思って」

 落首花は手元の心臓に視線を落とし、笑みを深くした。それを口元に持って行き、徐に食らい付く。汁気の多い果実を食うような仕草だった。桜色の唇から覗く舌はやけに赤い。

 白い喉を、溢れ出した鮮血が濡らす。異様であったが、また妖艶にも感じられた。

「あたし別に惰性で心臓抜いてる訳じゃないのよ」

 生の心臓を平らげた美貌の娘は、口元を拭ってから、そう言い切った。その笑顔は少女にしか見えない。

「あたしが生きる為には人の心臓が要るの。ああ別に、言い訳じゃないわ」

 全員無言だった。限りなく人間に近い化け物は、黙りこくった四人を見ながら、鈴を転がすような声で笑う。

「あなたたちを殺したりはしないわ、男は不味いから嫌いなの」

 落首花の姿が、足元から消えて行く。

「あたしは最高捕食者」

 愛らしい声が朧気にしか聞こえなくなって行く。すぐ目の前に長年追い続けてきた殺人鬼がいると言うのに、国定も杉里も身動き一つ取れなかった。

「肝喰い落首花」

 猫と梟と共に、落首花は消えた。

 後に残されたのは三体の惨殺死体と、呆然と立ち尽くす四人だけだった。



  八



「つまりさあ」

 楡はもごもごと口の中のものを咀嚼しながら、国定にスプーンを向けた。汚れたスプーンの先を向けられた国定は嫌そうに眉を顰めるが、楡は気にしない。

「あの人たち全員、明宏さんに殺人示唆してたわけ?」

 現場近くのファミリーレストラン。男四人で顔を突き合わせて飯を食っても、全く美味くないと国定は主張したが、空腹を訴える三人に無理矢理連れて来られてしまった。他のテーブルの家族連れから向けられる訝しげな視線が突き刺さり、国定にとっては恥ずかしい事この上ない。

 何しろ面子は凡庸なスーツの男と汚れた作業服の美青年に、ホストのような二枚目と、大きなカメラバッグを持った小太りの冴えない男である。関連性が全くない。それが白昼のファミリーレストランで殺人だの死体だのと話している訳だから、変に思わないほうが変だ。

 九重は一番高いステーキを口に運びながら、楡を睨んだ。楡の発言よりも、国定はファミリーレストランでそんなものを頼む、九重の神経の方を疑う。

「だからそうだっつったろ。頭悪ィなお前」

「美佐子ちゃんの話を聞く限り、罪の意識もあったんでしょうね、ご主人は。息子さんの人生を、くだらないことで滅茶苦茶にしてしまった訳ですし」

「なら最初から、殺せなんて言わなきゃ良かったのに」

 しんみりと言った杉里にどこかずれた返答をしながら、楡は皿に残ったオムライスを掻き込み、一息吐いた。早々に食べ終えた九重が懐から煙草を取り出す。

 国定は視線を落としたまま、パスタを食う手を止めた。

「後からするから後悔なんだ。……行弘さんはね、家庭内暴力が激しかったそうだよ。特に咲枝さんへの態度は酷かったらしい。近所の方が証言してくれた」

「息子さんが殺人鬼になってしまったきっかけは、母親を守りたいという優しさだったようですね」

 杉里は空になった丼を玩びながら、憂鬱な溜息を吐いた。あれだけ盛大に殺戮を楽しんでおきながら、この男は本気で心を痛めているのだ。

「偽装工作した上、コンクリート詰めにしてドラム缶に入れたのに海に沈めなかったのは結局、彼の心がまだ歪み切っていなかったからだと言えるでしょう」

「同じこったろ。人殺した時点で、どっかしら歪んじまってんだよ。歪みの幅がでけえかちいせえかの違いだろ」

「仰る通りで」

 杉里は大仰に頭を下げた。国定はパスタを巻きながら俯く。

 歪みとは何なのかと、国定は考える。それは誰しもが、大なり小なり心中に抱えてはいるものなのだろう。解放される事のないまま歪み続けた心は、時に奇妙な衝動となって表面に現れたりもする。国定や楡のそれがいい例だ。彼らは何不自由なく暮らして来たにも関わらず、暗い歪みを抱えて生きている。理由なき狂気の訳は、理由なき歪みなのであると国定は認識している。

 しかし杉里の歪みには理由があるのだと、国定は知っている。それは、本人すら覚えていない理由なのかも知れない。杉里の普段の調子からは想像も出来ない事実ではあるが、それを知った時、国定は妙に納得してしまった。

 杉里の年齢は、五十を数える。見た目には三十前後であるのが不思議だが、それも恐らく歪みから来るものなのだろうと、国定は思っている。そうとしか、理由の付けようもない。解明出来ぬ事に関して彼は、解明出来ぬ事のせいにして納得している。

 では自分の歪みには、何が起因しているのだろう。それが国定には判じかねる。ただ無条件に死体が見たいと思う。死体をどうこうしたいのではなく、ただ、見たい。美術品を愛でたいというのと似たような感情だが、全く無意味な行為だ。国定自身死体を美しいとは思っていないし、観賞したところで美術品とは違い、心が満たされる訳ではない。満たされるのは、死体を見たいという理不尽な欲求だけなのだ。無論、好奇心とは別物だ。

 国定には何故なのかと悩んでいた頃もあったが、最近は考える事もしなくなった。それでも構わないと今は思う。それを悪い事だとも、思わなくなってしまった。

 だから国定は、異常な趣味をこの職に就いた理由だと公言している。少なくとも仲間内であれば、それで納得させる事が出来る。上司に問われた時は、父に憧れて、と答えた。こちらもあながち、嘘ではない。嘘ではないが、憧れと表現するのは間違っている。

 真実は、国定本人しか知らない。誰かに伝えようとも思わない。自分でも、その事については触れたくない。

 窓の外に視線を向けたまま煙草を吹かす九重は、思案するような表情を浮かべていた。彼は先程から、どこか上の空だ。

「九重、どうした?」

 煙を吐き出しながら、九重は国定に視線だけを向けた。気の無い表情だ。

「何でもねえよ」

 言いながら煙草を揉み消して、九重は立ち上がった。九重の隣、通路側に腰を下ろしていた杉里も、同じく席を立つ。それを見て二人の意図を汲んだのか、楡も椅子を引いた。

「じゃ、国さん」

「勘定頼むわ」

「ごちそうさまです」

 一人ゆっくりと食事をしていた国定は三人を見上げて、はあ、と間の抜けた声で聞き返したが――諦めて溜息を吐く。

 三人は満足げな笑みを浮かべたまま、店を出て行った。

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