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すれ違った男
朝、
英風武館の梁は朝焼けの中、荒野を走り街にたどり着いた。
李はドアを叩く音で目覚めた。
ドアを開くと梁が立っていた。
「どうした、梁」李が聞く。
「昨日、陳が道場に来て師範代を倒して行きました」梁が言った。
「行き違いになったのか」李は道場の事が心配になった。
朝、皆を集めて「一旦、道場に戻る」と伝えた。
李は街を出て荒野を走った。
途中、気になる男とすれ違った。
男は唐の道場のある街に行く。
「戻ろうか」と迷ったが自分の道場に行く事にした。
橋を通り城門を潜り抜けた頃、日は西に傾いていた。
道場に着くと皆が待ちわびていた。
道場破りの人相を聞くとやはり荒野ですれ違った男に間違いない、と思った。
「皆が危ない」李はそう思い、とんぼ返りで唐の道場のある街に行く事にした。