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俺は元々武器じゃない人だった説明を、まずレオにしないと話が進まない。簡潔でもいいから。
「俺の知識は16年前で完全に止まってるのは、人として16年前に……一応死んだことになるからだ。あくまで人として死んだだけで、武器としてこうしてレオと会話をしている。そこまでは大丈夫だな?」
「はいっ」
レオの返事に、俺は話を続ける。
「剣になった理由はあるんだけどな、これはおいおい……」
「聞かせて下さい。僕、剣さんにお世話になってるのに、何も剣さんのことを知らないんです。僕のことを剣さんの力で知ってるのに、僕だけ知らないって悲しいです」
眼を伏せるレオに、俺はどう説明したものか考えてしまう。
一気に情報を詰め込んだところで、混乱するに決まってるのだ。
「旅の途中で少しずつ話してやる。だから簡単に説明するぞ。この説明だけで夜中にするわけにはいかないからな」
どんな世界なのか、どんな大陸なのか、法律や気候とかとにかく伝える情報は山のようにある。
「わかりました」
「今はそれで頼むな。そうだな、俺の家系はそもそも伝説の武器になれる一族でな、必ず一人が受け継いで世界にも一人しか存在しない。そして武器自身が認めた相手が持ち主になる。今はレオが俺の持ち主になるな」
「人が武器になる……ファンタジーな設定ですね。病室でそんな本を読んだかも……」
思い出そうとしているレオを無視して、俺は話をさらに続けた。
「継承はずーーっと続いててな、俺の祖母が武器だったらしい。継承する年齢は関係ない、武器だった者が命を落とせば勝手に血族に継がれる。祖母の次は父さんに、そして俺に引き継がれた。母さんは血族じゃないから継いでないけど、ほぼ俺の中では母さんの記憶しかないな」
「なぜですか?」
「父親も短命だったからだ。この継承する力の持ち主は総じて短命で、20~30歳ぐらいで必ず死ぬ。俺も覚悟はしてたけど、足掻いてみたんだよな」
「…………死ぬのは怖いですよね」
レオの重い言葉に俺は答えない。
俺もレオも死に直面しているが、種類と覚悟が違う。
「死ぬのはいいんだ。誰だっていつか死ぬし、冒険者を選んだ以上いつ新でもおかしくない。俺がいやだと思ったのは、継承されるってことだった」
そう、俺が死ねばまた血族の誰かが短命になる。
大陸で緊急事態が起きたときに、伝説の武器は強大な力を発揮するだろう。
だけどな、継ぎたくて継いでる力じゃない。
だから俺は受け入れながらも、未来のために足掻いて見せたんだ。