表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイカッパーは流れない  作者: 須方三城
第二部 禁忌超越
18/65

17,心配至極。日本へと舞い戻るブラコンお姉様ッ!!

 暗闇不思議空間の奥深くにて。


 皿助はようやく、全裸で転がるバレネッタを発見した。


「ようやく見つけたぞ……と言うか、何故に全裸なんだ……?」


 とりあえず全裸でいられると目のやり場に困るので、まずは学ランを被せてやろう……そう思い、皿助は学ランのボタンに指をかけたのだが……矢先、それどころではない【ある現象】に気付く。


「……、ッ!? おい、バレネッタッ!! お前、身体がッ……!?」


 バレネッタの身体に、大きな亀裂が走っている。

 よく見ると、足先や臀部は既に崩壊がかなり進行しており、欠落が始まっている状態だった。


「ふふ……さっきまで敵対していたミーに対して、そんなにも本気で案じるボイスを出せるとは……優しいデスね……【知ってた】デスが……」

「言っている場合か!? い、一体何がどうなっている!? まさか俺は……」

「安心してデス。別に、【受肉体】が壊れた所でミー達は死にはしないデス……と言うか、【今のユー】の様な低次元生命体では、どう足掻いてもミー達を殺す事など不可能デス」

「受肉体……そ、そうか……そう言えば、そうだったな……」


 バレネッタ達は堕撫尤タブーとして低次元世界で活動するための受肉体と言う入れ物に入っているのだった。

 今、崩壊しているのはバレネッタ自体ではなく、その受肉体。


「ま、受肉体が崩壊すれば、自動的にミーは【天界星雲】に送還されてしまうデスがね」


 受肉体から解放された高次元生命体は、存在するだけで低次元世界に甚大な影響を及ぼしてしまうと言っていた。

 それを防ぐための措置なのだろう。


「……そうなればもう、しばらくは低次元世界へは堕りては来れないデス……堕撫尤タブーとしての【選別計画】はドロップアウト決定デスね……」


 バレネッタが語っている間にも、着々と受肉体の崩壊は進んでいる。


「さて……タイムリミットはそう遠くないデス。まずは、あの河童レディの匣の開け方を教えるデス。約束デスから」

「ああ。頼む」


 皿助は匣を開けてもらうべく、学ランのポケットから件の虹色の匣を取り出した。


「その匣は、ミー達の首魁ボス、パン・ドーラー様が開けようと念じるか、パン・ドーラー様が倒されれば、開くデス」

「ふむふむ、成程……って、何!? では、今すぐには開けられないと言う事じゃあないか!?」

「イエス☆」

「………………」

「ノー。怒らないで欲しいデス。ミー、別に嘘は吐いてないじゃあないデスか。開ける方法はきっちり教えたデスよ?」


 ……確かに、バレネッタは「匣を開ける」ではなく、「匣を開ける方法を教える」としか言っていない。


「その匣に入っている内はひたすらドリーミー。素敵な夢を見続けるデス。あの河童レディが匣の中で苦しんでいるなんて事は絶対にないデスので、ゆっくりボスを探すと良いデスよ」

「……………………」

「……まぁ、ユーが不服に思うのも【知ってた】デス。でも、こればっかりはミーにはどうしようも無いデス。なので、代わりに良いニュースを聞かせてあげるデス」

「良いニュース、だと?」

「おめでとうデス、ベースケ。どうやら、ユーの未来は【大して】変わらなかった様デスよ」

「!」

「若干の変動はありますが、ユーがミー達の【目的】を阻止できる者である……その運命は変わっていないデス」

「……それは、お前達に取っては凶報ではないのか? 何故そんなに楽しそうに言う?」


 そう、バレネッタは今、笑っている。

 すごく楽しそうに、笑っているのだ。

 どんどん全身の亀裂が広く深くなり、崩壊と欠損が加速していく中、彼女の笑みは衰える所か一秒ごとに濃くなっている感さえある。


「そりゃあ、そう、デスよ……ミーは【賭けに勝った】……【試合ゲームにはルーズしたが、勝負ファイトにはウィンした】……そんな清々しい『してやったぜ』と言う気分なんデスから……」

「賭け、だと……!?」

「これで、もうユーは【堕撫尤タブー全員】と【戦う】事はなくなり、パン・ドーラー様を【葬る】事はできなくなった……最早、ミー達の【真の目的】を阻害する事はないのデス」

「ッ……!? 真の、目的……!? 一体どう言う事だッ!? まさか…お前たちは【選別】以外にも何かするつもりなのか……!?」

「……ふふ…それは……いつか、パン・ドーラ…様、に匣を開けて…もらうついでに…聞く、と良い……デスよ……」

「待て、おいッ!! そう言う事を中途半端に言い残すのは良くない事だと俺は思うッ!!」

「そうは言っても、残念……タイムリミット、デス。それ、では……グッバイ……チュラカワ・ベースケ……ユーは、【善玉役ベビーフェイス】がとても似合うデス……あ、それと、最後に一つだけ。【エデンリン】の阿呆がやり過ぎるデスが、まぁ、程々で勘弁してやってくださいデス。アレは悪ノリが過ぎるタイプなのと気に入った子(フェイバリット)には意地悪く接する弄れた性格のダブルパンチが招く事態と言うか……とにかく、お手柔らかにデス。……そんじゃ、デス」


 それが、最後だった。

 バレネッタの受肉体は粉微塵に砕け散り、どこからか吹いた一陣の風に運ばれ、暗黒に溶ける様に消えてしまった。


「…………最後まで……要領を得ない事ばかりッ……!! モヤモヤするじゃあないかァッ……!!」


 さてはバレネッタ、こっちも未来のネタバレを知っている前提で色々話していたのではないか。

 そう邪推しても仕方無い程に、不親切にも程がある内容だった。誰だエデンリンって。知らんぞ。


 不平不満を叫びたい所だが、バレネッタはもうこの世界にはいない。

 受肉体を失い、天界星雲とやらに帰ってしまった。叫んでも良いが、届かない。無意味。


 腑に落ちない事は多いが……仕方無い。

 ここはさっさと杷木蕗を回収して我が家に戻り、今後の対策を練るのが最善だろう。

 晴華を元に戻すため、そして堕撫尤タブーの【選別】を阻むために、まだまだ戦わなければならないのだから。


 とりあえず、ふと「今は何時くらいだろうか」と気になった。

 あの門をくぐって不思議空間に入ってから、時間感覚が少し狂ってしまっている。美川の人間の感覚すら狂わせるとは、本当、不思議な空間だ。


 皿助はスマホを取り出し、画面を点灯。時刻を確認。


「二三時少し前、か……早く戻らなければ、いくら前もって遅くなると伝えていたとは言え、流石にこの時間は叱られてしまう……って、む?」


 ふと、画面の右端上部を見てみると、【圧倒的圏外】と表示されていた。


 圏外なら見た事あるが……こんな表示があったのか、と皿助は少し感心。

 まぁ、こんな不思議空間にいるのだ。ただの圏外で済むはずが無いのは道理。当然の事……なのだが……


「…………何故だ? 何だかこう……妙な予感がするな……」


 決して悪い予感では無い。だが、良い予感なのかと考えると……そう断言するのはちょっと無理。


 本当、よくはわからない……だが、この【圧倒的圏外】と言う表示が、皿助の胸に妙に引っかかった。すごく。



 そしてその引っかかりは、気のせいなどではない。



 ……これだったのだ。

【これ】こそが……バレネッタの狙っていた【事象】だったのだ。



   ◆



 日本が夜の二三時を迎えようとしている頃。

 つまり、日本より八時間遅れの時差がある地域では一五時頃である。


 そんな日本より八時間遅れ時差の国の一つ、フランス。その南東にある都市、リヨン。

 その街には【SICPO(スィクポ)】……かの有名な世界のお巡りさん連合、【超国際刑事スーパー・インターナショナル・警察委員会クリミナル・ポリス】……通称【超インターポール】の総本山が存在する。


「ちょっ……美川ちゅらかわ警視正ッ!! 困りますッ!!」


 少し日が真上からズレたかな、くらいの快晴の空の下。

 超インターポール本部屋上のヘリパッドにて、半泣き混じりの中年男性の声が木霊した。


 日本人だ。日本産の中年男性が、いかにも「SPだぜ、バキューン☆」と言わんばかりな黒スーツルックでヘリパッドに倒れ伏している。

 実はこの男性、日本警察の【警視】……とてもとても偉い人の一角である。


 そんな警視中年は、今、共にリヨンへと来ていた上司を止めようとして返り討ちに遭い、四肢の感覚を一時的に奪われて動けなくなっているのだ。


「美川警視正はこの後、日本警察の若手陣営を代表して超インターポールの偉い方と会食が……!!」

「知らん。意義も興味も感じない」


 警視中年の命乞いを思わせる様な必死の叫びをあっさりと一刀両断にしたのは、圧の強い若い女性の声。声の芯の太さが異常だ。強気に満ちているにも程がある。声の圧力だけでハムスターをミンチにしてしまいそうだ。


 警視中年をブッた斬った声の主は、その声の印象に実に違わぬ凛とした顔立ちの麗人だった。

 柔らかそうに波打つ黒紫紺の髪は肩甲骨に触れるくらいの長さで切り揃えられ、前髪もその太い眉にかかるかどうかの辺りで思い切り良くパッツン。

 まるで抜き身の白刃を思わせるド迫力の三白眼もかなり特徴的。

 身長は一八〇センチ前後か。出る所は出て引き締まる所はめちゃんこ引き締まった格闘家めいた肢体をワインレッドのレディースビジネススーツでラッピングしている。肩に引っ掛ける形でネイビーブルーのロングコートを羽織っているのも特徴的だ。


「大体な、警察の上層部連中が顔を合わせて悪趣味な豪壮の部屋で高いだけの珍味飯を喰らって、犯罪者が減るのか? 世界が平和になるのか? 馬鹿馬鹿しい。と言うか、まさしく馬鹿の沙汰だ。そもそも、私は重要会議だと聞いたから来たんだぞ?」


 一応、警視正の上にも警視長とか警視監とか警視総監とか、数は少ないながらも上司はいるはずなのだが……

 そんな方々に喧嘩を売る様な発言を、その麗人は欠片も躊躇わず、さながら挨拶程度の気軽さで吐き捨てた。


「まさか嘘まで弄されて、こんな所で飯会に興じさせられるなぞ……未来の警視総監候補筆頭である私に経験を積ませたい気持ちはわかるが……これ程までに見事なありがた迷惑も無いと言う話だ。帰ったら文句を言ってやる。必ずだ。ついでに何人か踏んでおくか」

「そ、それでも、さっきまで『仕方無い……私も良い大人だ。希には付き合ってやるか』って渋々極まる様子ながら納得してたじゃあないですか!!」

「ふん。それは特に予定が無かったからに過ぎない。だが予定ができた。……極めて野暮用だがな。なので日本へ帰る。以上だ」


 言いながら、麗人はズカズカとヘリパッド中央に止まっている超最新鋭超高速ヘリへと進んでいく。

 フランスから日本まで一足飛びに航行できる超性能ヘリだ。所属はSICPOの機体なので国境を跨ぐ際の手続きも不要。乗ってしまえばこちらのモノ。


「ま、待ってください本気マジでッ!! せめて、せめて詳細を!! いきなり日本に帰ると決めたその予定の詳細を教えてくださいッ!!」

「………………」


 胸ポケットから取り出した紫色のタバコを咥えながら、麗人は足を止め、肩越しに警視中年を睨み付ける。

 ちなみにこの紫色のタバコはただのタバコではなく、最近流行りの【アロマシガレット】……要は、タバコの形をしたアロマ用品だ。煙を嗜むためのモノではないので健康面はご安心。


 麗人はアロマシガレットに火を灯すと、「やれやれ時間が惜しいんだがな」と溜息混じりにスマートホンを取り出し、操作。

 しばらく麗人がスマホを操作していると、


『ピーッ。おかけになった番号は、ただいま圧倒的に電波の届かない不思議な場所にいる可能性が極めて高いかも知れない。不思議。ちょっと何か危ない事に巻き込まれているかも知れない。ヤバい。通報した方がこの人のためかも知れない。正味。このアナウンスが流れるって相当な状況かも知れない。他人事ながら私も心配』

「……久々に声が聞きたく……じゃあなくて、なんとなく。本当になんとなくなんだがな? なんとなく、そうなんとなく、電話をかけたら、こんなアナウンスだ。そして実際【波動】も上手く感知できない。すごくすごくすごくすご…いや、違う。今のは無しだ。……多少、心配にもなるだろう。こんなの。直接この目で状況を確認したいだけだ」

「さ、左様で……」

「だから帰る。絶対にな」


 この麗人は、一つの目的を定めた時、そこへ向かうエネルギーが神懸っている。

 本気マジにまさしく、目的のためならどんな手段も躊躇わず選択し、実行し、完遂してみせる。

 これ以上、彼女の邪魔をすれば……部下と言えど、警視中年に何をしてくるかわかったものではない。


 あれは二年前の事だ。

 当時は直属の部下だった彼女を連れて、警視中年がこの国を訪れたあの日。運悪く、野蛮極まるテロリスト集団に日本大使館が占拠される事件が起きた。

 警視中年達はSICPOの指示を受け、現地警察に協力し、この件の解決に尽力する事になったのだが……麗人は「警視殿。誠に私事ですが、明日には末弟の生誕記念祭があります。手早く済ませたいのですが、構いませんね」とだけ言って、ならず者共に占拠された大使館に単独で乗り込んで行ってしまった。


 うん、あれはすごかったなぁ……、と警視中年は今でも時々遠い目になる。


 表向きには「奇跡的な事に、人質は全員無傷で、無事救出された」とだけ報道されたあの一件。

 ……実際の所は「人質(だけ)は全員(身体的には)無傷で(はあったものの)、無事(とは言い難い精神状態で)救出された」だ。


 具体的に何があったかは、明言を避ける。

 ただ「あの日、この女の【R指定が入ったアクション映画でも中々無いレベルの大立ち回り】をライブで観覧する羽目になった人質達は皆【肉料理を見ただけで吐き気をもよおすレベルの菜食主義ベジタリズム】に目覚めた」……とだけ言っておく。

 あと誤解の無い様に捕捉しておくが、テロリスト達も全員生きてはいる。一応。……いや、まぁ「死なせてもらえなかった」の方が正しい気もするが。


「……ッ……」


 仕事熱心な警視中年と言えど、五体の満足は惜しい。しかし、素直に退ける訳もない。

 触り方をミリ単位でも違えば即爆発する核弾頭を抱き上げる様な心境で、警視中年は食い下がる事を決意。


「ぃ……ぃぃ、一体、誰なんですか……その電話の御相手は……!?」

「……誰か、だと……? ふん。弱々しくて可愛らし…じゃあなくて、頼りなく、情けなく、そして可愛らし…ッじゃあなくて、本当にもうどうしようもなく可愛らしくてすごく大好……じゃあなくて……」


 先程までの覇気に満ちた声の芯はどこかへ疾走的失踪。

 麗人はゴニョゴニョと言葉を紡いでは「これ違う」「これも駄目」とセルフでリテイクを繰り返し、やがて自身の中で「これなら良し」と思える表現を見つけた。


「…………………………た、ただの愚弟だ」


 美川家八人兄弟姉妹長女にして序列一位同立(タイ)

 美川ちゅらかわ皿楼べる


 特徴。幼い頃、よく面倒を見た末弟の事がすごく大好き。

 一六年程前、生まれたての皿助の頬っぺをつついて遊んでいた時、その指を皿助の小さなお手手で「ぎゅぅ」と掴まれたのと同時にハートも掴まれ、色々と覚醒したお姉ちゃん。


 でもしかし、美川の長男・長女に対して徹底的に施される帝王教育によって築かれた美川的プライドが【末弟大好きハァハァハスハスクンカクンカ的な醜態】を世間に晒す事を良しとしない。

 美川の長男・長女はいつかどちらかが家を継ぐため、美川の当主らしく、世界の権力者達に「厳格、美川家当主マジ厳格」と思われる人物像を徹底して守らなければならないのだ。故に、身内に対してとは言えど……誰かに温く弛んだ感情を向けるだなんて凡庸的情緒を保有している事を、世間様に知られる訳にはいかない。


 故に、皿助の事を「愛しの愛しの愛しの愛しの愛しの愛しの愛しの愛しの末弟ちゃんですが? すごくすごくすごくすごくすごくすごくすごくすごく心配なんですが? 何があっても絶対に帰って無事を確かめるんですが? 無事じゃあなかったら神を殺して時間を戻してでも無事に救出してやるんですが?」なんて口が裂けて心臓が弾け飛んでも他人には言えない。


「……やはり、末っ子の行動は既に完璧に把握できる様にしておくべきなんだ……だって私達の中で一番幼く未熟で可愛……じゃあなくて……とにかく、そうすべきなんだ。それだのに父上も兄上も……皿助の意思を尊重すべきだと? 皿助はめちゃんこ良い子…じゃあなくて。皿助は愚かなんだから、どんなに不安があって私達を頼りたいと思っていても『大好だいしゅきなお姉たんに迷惑をかけたくないよう、ふぇぇ…』と保護の申し出を断るに決まっているじゃあないか……ってか可愛いッ……今のイメージの中の皿助は一体何……!? 妖精……!? 神妖精……!? あ、いや、じゃあなくて。その辺の気持ちも汲み取って……【事務的】に…あくまで【事務的】に、温く弛んだ感情など一欠片も差し込まずに隅々まで完全保護管理してやるのが、弟妹よりも経験多い我々親兄姉の役目だろうに全く……まぁ良い。この件は、後日また家族会議で進言するとしよう」


 皿楼はそれだけつぶやいて、軽く跳躍。

 足の筋肉で【波動】を起こし、虚空を滑ってそのままヘリへと搭乗。


「よし。操縦士、出してくれ。決して慌てている訳ではないが……そう、決して慌ててなどいないが、野暮用は早めに済ませたい。極力急ぎで頼む」

承知しました速やかにガッテン・ショーチ・ノスケェイ


 ヘリコプターの操縦に半生を捧げたベテラン操縦士は、皿楼の指示に従って速やかにヘリを離陸モードへ移行させる。

 SICPOに専属して数十年の操縦士となると、もう乗客が空中を歩いて搭乗して来たくらいでは微動だにしない。昔は「もうお前そのまんま空を歩いてけよ、ヘリ使うなよ面倒くせぇ」とかいちいち心中突っ込んでいたモノだが。


「……待っていろ、皿助……例え異世界に行っていたとしても、必ず見つけ出してやる……そして必ず抱きしめて安心させてやる……私は、お姉ちゃんだからな……あ、いや、ぁ、あくまで【事務的】にな。うん」


 お姉ちゃん、いざ日本…奥武守町へ。

 ただの(すごく愛する)末弟を、事務的に(強く激しく)抱きしめるために。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ