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異世界パトロール  作者: ばん
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プロローグ

かつての日本では異世界に転移したり転生する小説が流行っていた。人間の想像力は時として正解することもある。現実に起きれば超能力だチートだと馬鹿には出来ない。


「先輩、また古臭い異世界モノですか」


僕が大学のカフェテリアで読書をしていると後輩の佐藤歩がやってきていつもの批判をしてくる。


「ああ。本当に人の想像力には際限がない」


「そんなの純文学でもSFでもそうですよ」


彼女はどうも異世界モノは肌に合わなかったらしく馬鹿にしている。

うっかり勧めるんじゃなかったなぁ。


「わかってるよ。粗っぽくて都合のいい事しか書かれていないって言うんだろう?そこが面白いんしゃないか。異世界モノには人間の欲望が詰まってるのさ」


「下品な欲望ですけどね」


なら、上品な欲望ならいいのか、と思わず言いたくなったけどそんな欲望を僕は知らなかった。


「・・・・・・それで、君がわざわざ来たんだから僕に何か用があるんじゃないの?」


「私じゃなくて高槻教授が、ですよ。」


なんだ、がっかり。デートの誘いかと思って損した。


「研究室?」


「はい。それと先輩とデートなんてしませんよ」


お堅いことで。読書の邪魔はされるしデートには断られるし、教授から呼び出されてるし散々じゃないか。


「勝手に人の心を読まないように。プライバシーの侵害だ」


「以後、気をつけまーす」


心の篭ってない返事を背中で聞きながらカフェテリアから移動する。

ああは言ったものの、何故か改善されない。これだからチート持ちは。

力に振り回されているだけじゃないか。


僕達が生きている2150年の現代においては異世界モノは実に多くの示唆に富んでいる。

時空転移実験の成功によってパラレルワールドの存在が確認された。

確認されただけでその日、世界に衝撃が走ったぐらいの驚きだった。


あれから五年、未だパラレルワールドをどうするか結論は出ていない。

迂闊に手をださない方がいいという慎重論派が多いけど、調査をしてどれぐらいの差異があるのかとか研究したい積極的賛成派などもいる。反対派はそもそも存在自体を信じていない。

情報不足過ぎてシュレディンガーの猫箱状態だ。

そんな中で僕は1番の少数派は異世界派。あちらとこちらがそのまんま平行してるわけもなくこちらの世界にもオーパーツなど不明なものもある。そしてなによりチートの存在。なぜここ数年で超能力やチートをもつ人類が現れたのか。

人類の進化?突然変異?そんなものはナンセンスだ。科学で証明できないのなら魔法で証明できるはずだ。


案外思っていたより早く結論が出るかもしれない。

そんな直感を漠然とこの時、僕は信じていた


異なる世界の存在を。

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