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それぞれのみち

「あ、付きましたね。こんいちは皆さん。」

支配人のおとこはそう呟く。もうひとりのおんなは横で手を口に添えていた。

そしておんなは「もう、それぞれ武器持ってるのね。」と意味深な事を言った後消えた。

画面の中に残ったのはおとこだけ。

4人はおとこの言葉を待つ。

「さて、お待たせしました。それではゲームの本題に入らせていただきます。」

おとこはそこで一旦言葉を途切らせた。そして再び開いて、

「このゲームではお食事は一切与えられません。お水はお渡しできます。さっきほどのように、ね。」

と言い、ニヤリと笑った。

「ど、どういう意味!?それじゃあ死んじゃうわよ!一ヶ月も何も食べないでなにが友情を深める、よ!!」

秀歌が恐怖に怯えたのか、甲高い声でそういう。芳佳も便乗して泣き喚く。

「......ええ、何も食べなければ最悪死ぬわね。」

おんなは突然4人の背後から現れ、当然のようにそう呟く。

4人は一斉におんなの方に振り向き文句を言い始める。「早く帰せ」「なんでこんなことをするんだ」と。

「誰が野垂れ死ねなんて言ったのよ。その武器はなぁんだ?」

おんなは少し怒り気味で言う。

「......これで、自分の食料を取る」

千夜は勘がいいのか青ざめながらそう言った。

するとおとことおんなは笑いながら揃って「正解」と言う。

"どうやって狩りをしろと言うんだ"

そんなことを4人は思った。その答えを支配人は言わないまま消えた。そして上の方から「火、調味料などは支給されますのでご安心を」とだけ聞こえてきた。

暫く重たい空気が静かに流れる。場の雰囲気を崩したのは秀歌。

「意味が分からないわ。ねえ、皆今日は食べなくても平気よね。きっとここのどこかを探せば狩りを出来る場所が見つかるかも知れないわ。」と言いながら自分を落ち着かせようとしているのか手を握り締めている。

芳佳は秀歌を信頼してるのか全てを信じ「そうだね。じゃあ今日はゆっくり休む!」と言ってベッドに向かった。浦田も恐る恐るだが「分かったよ」と言ってベッドに横になった。

千夜は少し考え込むような素振りを見せたあと、厚い布団に潜り込んだ。

秀歌も横になった。


この日は自らを落ち着かせようと根も葉もない事実を言ったり、無理にそれを信じることで自分を抑えたり、一人違うことを考えていたりする者ができた。

そうすることでしか、自分を落ち着かせる方法がないのだった。

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