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2.僕は魔法を使うことができない。

「このロボットを通じ、君と意思の疎通ができるだけでもありがたく思わなきゃ」

 そのおかげで、僕は長い間抱えていた孤独から解放されたのだ。

「そうだな。それにしても、そのゴーレムに通信の魔具を装着すると言うのは斬新だった。あなたの知識をぜひとも我が国の者にも教えたいが、思うようにあなたが出られないのではなぁ」

「はっはっは、導師(せんせい)の君になら、似たようなものは簡単に作れるのでは?」

 機械は作れなくとも、それに準ずる魔法生命体を生成できるはずだ。

「しかし、これほど聡明で複雑に動くゴーレムは見たことがない。しかも、魔力を感じぬとは……小型化すれば偵察にも利用できるかもしれない」

「あ、小型化して偵察するやつはありますよ、導師」

 言葉を調べる時はもちろん、この周辺を調べるために使ったのだ。一番最初に、この星に放った機械といっていいだろう。


「僕と導師のよしみだ。古いタイプでよければ偵察用の一式、差し上げますよ?」

 今、僕がこの土地で平穏でいられるのは、彼女の力が大きい。

 彼女が僕のいる森を保護区としたのだ。特に、僕の家は許可のない者以外の立ち入りを禁じる障壁で包まれている。この壁は非常に助かっている。この家が壊され外界に侵されること、それは僕にとって死を意味する。

 彼女と同等以上の魔力の持ち主か、僕の作ったロボットのように全く魔力のないものでなければ、これを抜けることはできない。この国で彼女と肩を並べる実力者は数えるほどしかいないし、この星で生まれ育った生命ならば魔力を持たないなどあり得なかった。巨大な体を持つ魔物でさえ、この家を壊すのは不可能だろう。



「これは、ほんの少しの雷の魔力を与えれば動きますし、操作にはコツがいりますが操作には一切魔力を使いませんよ。最初に与えた雷の魔力がなくなるまで、動き続けます」

 魔法なんて一切使っていない、単なる機械だ。電気さえ供給できれば、魔法で生成された電力でも十分に動く。

「! すでにあったのですか? いいのですか、これはあなたの秘術なのでは?」

「いくら魔法に詳しい導師といえど、これを解体して調べても原理を理解するのは難しいでしょう」

 魔法という力に囚われているうちは。

 電圧を調整する抵抗や、電波を受信し発信する仕組み、組み込まれている集積回路が何を意味するのか、機械を知らない彼らにはわかるはずもないだろう。

分解(かいせき)するのは構いませんが、それで壊しても僕は直しませんよ。それ以外で調子が悪くなったら、調整はしますが」


 僕はロボットに命じ、倉庫にしまってある小型偵察機を持たせ彼女に渡す。この地域に住むの一般的な鳥の剥製をまとわせた、小型機械だ。

「こ、これは。まるで本物のような鳥」

 彼女は驚いている。

「ロボットに鳥の体をまとわせただけです。枝にでも止まらせておけば、遠目からでは偽物と気づかれにくいですよ。この鳥が見たものと、それと近くにいる者の声を数時間分記録することもできますよ」

「あなたの魔法は人知を超えていますね」

「僕から見れば、君らの魔法は想像を絶する現象だよ?」

 地球には、魔法はなかった。僕たちはそのようなものを使えるような進化をしなかったのだから。

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