新たなる大地へ
はい、と言うわけで今回で最終話です。
短いながらも良く完走できたなと思います。
ところで、小説を書いている私の手がすっごく冷たい事になってるんですが気のせいでしょうか?
目を覚ますと知らない天上だった、玉露は内心でそう呟いた。
「……あ、目ぇ覚ました?」
リアは玉露が目を開けたのに気付き、顔を近くに寄せてきた。
玉露は軽く溜息を吐き、リアの眼球に二本の指を突き立てた。
半壊したお城に、リアの絶叫が響き渡った。
「いやはや、感謝しかないぞお主等には……」
港でやせ細った王様が玉露とリアに感謝していた。感謝の気持ちだけではない、ある程度の食料に軍艦と言っても良いほどの巨大な食料、海図を貰ったのだ。
「いえいえ、船ももらえたんで大丈夫ですよ」
玉露は王様にそう言って心の中でこう呟いた、想像以上すぎると。
「それに国民全員がお主等に襲いかかろうと……国王として申し訳ない」
「いや、本当に気にしなくて良いから。こんなに立派な物を貰ってるし」
王様の謝罪に耐え切れなくなった玉露はついに敬語を止めてそう言った。
「じゃぁ、僕らはこれで」
「ああ、本当にありがとう! お主等の事は国を救った英雄と言う事でこの国が滅んでも未来に伝わるように伝承を作っていくぞ!」
聞いていて恥ずかしくなるような言葉を背にし、船に乗り込んだ。
玉露が乗り込んだ事を確認したリアは碇を上げて帆を広げ、出航した。
「……リアって結構何でも出来るよね」
「母さんから教わったんだよ。まあ、こんなにでかい船を操縦することになるとは思わなかったけどな」
「それは僕も思っていたよ。小型の船、キャラベルでも良かったんだけど……貰える物は貰っておくから良いんだけどね」
玉露はそう言って船盤の上を回るようにして歩き回る。
「それにリアが船を動かせるとはね〜、これで僕はずっと寝ていても良いんだ〜」
「いや、お前にも働かせるからな。俺だけじゃ色々と大変だし」
「え~……嫌だよ……何ていうかメンドクサイ」
「途中で本音に変えんなよ」
そう言ってリアは歩き回っている玉露に近づき頭を軽く叩く。
「いたっ」
「大して痛くもないくせに痛がるなよ……」
「いや……ちょっと痛かった。リア、変わった?」
「女に変わったなんていうのは失礼だぞ、そこは変わっていないって言うべきだぜ? まぁ、目の色が変わったから変わったって思われても仕方がないけど」
「ううん、そう言う意味じゃないよ。単に、心構えが変わったって言うか何と言うか……まぁまだちんちくりんなんだけど」
「おい」
「ハハハハハ、謝るから殴んないでよ」
玉露は笑いながらリアに殴られたお腹を摩り、俯く。
「…………」
「どうしたんだ?」
「いや、アイツが言った事が気がかりで……それに何であの時僕らを見逃したんだろうかなって?」
「ああ、そういえば玉露は俺が助けに来た直後に気絶したんだったな。確か……『今狩るにはおしい』とか言ってたけど」
「そっか……」
そう言うと両腕を羽に変え、空を軽く跳躍し、二階の手すりの上に乗った。
「強くならなきゃ……他の四人も集めて、あいつに勝てるようにならないと。郷理が生きているかもしれないんだからもう喧嘩してる場合でも無いし」
「そうだ……な」
リアの力の無い返事に玉露は首を傾げる。
いつも元気なリアが何でそんなに力の無い返事をしたのか気になった玉露は聞こうとして、止めた。
聞かない方が良いだろう、と心の中でそう思ったからだ。それと今聞いてしまったらもう二度とこの関係には戻れないとも。
最も、今の彼には聞いても聞かなくても理解できないのだが。
「……そういや」
と、言葉を続ける。
「この世界、やっぱり南の大陸は暖かいのかな?」
「じゃぁ、行くか? 南に」
「そうだね。先を急いでもどうにもならないし……じっくりとリアを虐めゲフンゲフン、鍛えていきたいしね」
「おい、今何か不吉な単語を挟まなかったか?」
「気のせいだよ、気のせい。だから今だけでも平穏な時を過ごしたら?」
「うぐぅ、明らかに不吉が俺を蝕んでいる……」
「まぁ、どうでも良いけどさリア」
「なんだよ」
「あの竜巻こっちに向かってきてるんだけど」
「それの何処がどうでも良いんだよ!! いや、お前不死だから関係ないんだろうけどさ!!」
「アッハッハッハッハ!!」
「笑うなァァ!!」
荒れ狂う竜巻が近寄っているのにも関わらず、二人は心底間抜けに笑っていた。
これから会う滝を除いた二人の性格が異常な事になってるとも知らずに。
二つの駒は海に出る、残った六つは今だ未発見。
次回作、もとい続編は『異世界召喚されてしまった龍と純潔魔王』です。
いつになるかは分かりませんがお楽しみに!




