二人対一国、蟻と恐竜の戦い
パソコン復活!!
後新しい小説書きます!
「うぉおおおおおおおおおお!!」
男は斧を振りかざし、玉露の頭目掛けて振り下ろした。だがそれが当たる事はなく、逆に切り裂かれていた。
「あ、あれ? ど、どうなってるんだ? お、俺の斧があんな細い剣なんかに斬られるなんて」
動揺し、震えた声音でそう言った。恐らく脳が理解していないのだろう、だがそんな男の顔面に玉露の拳が突き刺さる。
「はい、邪魔!」
「キーファッ!?」
玉露に殴られた男はそのまま気絶する。そんな男を気にする者は誰も居なく、むしろ玉露を攻撃する巻き添えになろうとしていた。
最も、玉露自身もその男に対して何の感情も浮かんでいないのだが。
「ああもう……!! うっとおしい!!」
玉露は自分の体に付着する血を拭いそう言った。液体が付着すれば不死鳥にダメージを与えられるようになる。そんな危ない液体は速く拭った方が良いだろう。
戦えば戦うほど苦戦する羽目になる。不死鳥はそういう生き物なのだから――。
「火山神楽!」
地面から火柱が何本も立ち、襲い掛かってくる人間を撃退する。
それでも、まだ沢山居る。それを全て撃退するのには大分時間がかかりそうだった。
「死ね!!」
と、唐突に氷柱が玉露に襲い掛かる。水の魔法だった。
「っち!」
玉露は舌打ちをして、避けようとするが周りに居る人間のせいで避ける事が出来ない。その為刀で周りの人間を斬り捨てて防ごうとしたのだが――
「はぁ!」
――リアが魔力を纏わせたバスターソードで氷柱を払い落とした。
すると氷柱は地面に落ちる前に元となった魔力に戻り、霧散した。玉露はそれを見て唖然とする。
(今、リアの魔力に触れて相手の魔力が霧散した?)
と、心の中でそう思いすぐに否定する。
(いや、違う……魔力が霧散したんじゃない。魔力そのものが消えた?)
家族や異世界に来たばっかりの知識でもそんな魔法は見たことが無かった。
いや、聞いているだけで見たことのない物もある。正確に言うのならば、後一つだけ見ていないだ。
「……まさか、ね」
玉露はそう言って自分を貫こうとしていたボウガンで放たれた矢を掴み、投げ捨てる。
そしてリアに剣を持って襲い掛かろうとしていた男の喉元を切り裂く。
「これでさっきのはチャラだよ」
「分かってる!!」
リアは玉露の言葉に返事をして自身に迫るナイフを避けて女性の鳩尾に肘を入れる。女性は苦しそうに息を吐いて地面に転がる。
「本当に埒がねぇなおい!」
「同感だよ!! 本当にね!」
二人はそう言って一度退く。そんな二人を見て老若男女はしめたと思い武器を持って追いかける。
だがそれは間違いだった。そう、間違いだったのだ。
玉露とリアを追いかけていた人たちは次第に意識が薄れていく事に気が付く。そして息が苦しくなっている事も――。
そんな彼等は薄れ行く意識の中で最後に見たものは――
「――暫く寝てろ」
そう言って嘲笑うような表情をしている玉露だった。
「ああ〜……疲れたぁ〜」
玉露は人の気配が全くしない林の中、一人木に寄りかかっていた。
そして何処と無く、苦しそうだった。そんな玉露を見てリアは心配そうな表情で玉露に水が入った水筒を渡す。
「疲れた……って言うより苦しいんじゃねぇのか?」
「うん、確かにそうだね。でも僕からしたら疲れた、と言うのも正しいんだよ。火を燻らせないと一酸化炭素……人体、いや、生物にとってきわめて有害な毒素を作り出す。それが僕の技『炎素・壱炭』だ」
『炎素・壱炭』それが玉露が襲いかかってくる相手に使った技だ。技の原理はいたって単純、ただ炎を燃やして一酸化炭素を生成し、死なない程度にばらまく事だ。
最も、自身も巻き添えを食らうため玉露自身も使いたがらない奥の手なのだが……。
「でも俺は全く苦しくなかったぜ?」
それなのにリアはいたって普通にそう言った。そんな
「それはお前が異常なだけだ。いや、魔人なら全員かな? そこら辺はよく分からないし」
と、玉露が水を飲みながらそう言った。
「……うん、回復したな。さてと――」
玉露はそう言って鞘から刀を抜き、後ろに居て剣を振り下ろそうとしていた男の首に突き刺した。そして血が自分にかからないように移動した後刀を抜いた。
男は刺された場所から大量の血を噴出し、息絶えた。
「――本当に休む暇すら与えてくれないのかよ……」
「そうは言ってるけどお前きっちりと倒してるよな、おい」
「悪かったね」
玉露はリアに水筒を投げ渡す。その際に「間接キスゴチソウサマ」と言い怒らせたのはまた別のお話。
「でも、最悪だな」
「ああ? もしかして俺との間接キスがか!?」
「違う違う。間接キスは最高だったよ。でも僕が言っているのはそうじゃない、僕が言いたいのは今、この状況が最悪だって事だよ」
子どもに教えるように今自分達が置かれている状況を説明しようとしたその瞬間――
『居たぞー!!』
「―-本当、説明する暇も無いのかよ!!」
――左手を炎に変換し、襲い掛かってくる兵士達と二人は対峙した。
空に月が昇る頃、街のいたる所から爆発音が鳴り響き、爆煙が立ち込めていた。
その音が鳴る度に人々の断末魔や叫び声が木霊した。そんな人々の叫び声を迷惑がる上流層の貴族たちはその雑音を耳に入れるたび、顔を歪めていた。
「全く、これだから下民は……使えない」
「その通りですな、たかが旅人に時間をかけるとは……」
「そもそもその旅人が貴族を二人も殺したと言うのは不意打ちだからではないか? それに魔王の子どもと言ってもまだ覚醒前なのでしょう? だったら完全に不意打ちじゃないではありませんか?」
「違いない違いない、フハハハハハハハハハハハハハ!!」
貴族達はその手に持ってるグラスの中に入った高級ワインを飲み干しながらそう言い、高笑いをしていた。
そんな時、入り口がある場所の扉がバンッと、乱暴に物凄い勢いで開かれる。その音が鳴った瞬間、下卑た笑い声は止まり――
「こんばんわ」
――玉露の高らかな声が響き渡った。
「そして……」
玉露は左手を炎に変えて後ろに引き――
「燃えろ!!」
-―勢いをつけて炎となった拳を放った。
炎は巨大になり、そのまま加速し貴族達を飲み込んだ。そしてこの場に居た全ての貴族を炎が飲み込んだらそのまま上に上がっていき、天井を壊した。ちなみに、テーブルの上に乗っている食べ物はまだ残っている。恐らく食べる為だろう。
玉露はその炎が見えなくなった瞬間、手を叩く。すると遠くの方で爆音がした。
恐らく時間差なのだろう。不死鳥の炎は好きに温度を変えられる上に昨日戦ったタキとの戦闘を見た結果爆発させる事も可能だし。
そうリアは思いつつ玉露を見る。玉露は炎の結界を作り、テーブルの上に置いてある食料を無造作に掴み口に入れた。
汚いなぁ、とリアは思ったが理由が理由なのであえて口に出さず、自分もそのまま手で掴み食べた。
朝からずっと追われ続け食事をとろうにもとる事の出来なかった二人にとって、これはある意味疲れを癒す為と飢えをしのぐための行為でもあった。
「………はぁ……はぁ」
「おい……本当に大丈夫か?」
「大丈夫に見えるようなら目がおかしい、って言うかリアは何でそんなに体力あるのさ?」
「いや、表情だけは冷静に見えるけど結構きつい」
と、二人の体力は完全にガス欠だ。少なくともここまで持ったのが奇跡だと言うべきだ。
「はぁ……で、さっきお前が言いたかった事って何なんだ? 今この状況が最悪って」
「ああ、これを見れば大体分かると思う。いや、バカには分からないけどリアは結構頭良いからすぐに分かるよ」
そう言って玉露は一枚の紙を渡す。その紙には玉露とリアが載っており、内容が『生きて捕縛できたら三億ソル+貴族爵』とかなり豪華なおまけが載っていた。
「なるほど……玉露がやろうとしていた事って」
「その通り、平民や奴隷にはっぱかけて貴族や兵士達を足止めしてもらって王様の首を貰おうと思ってたんだけど……この通りさ」
「確かになぁ……で、どうするんだ?」
「う~ん……まぁこうなったら――ッ!!」
そこまで言った瞬間、玉露が張った結界が破られ大勢の兵士達が武器を持って斬りかかってきた。
二人は武器を持ち、走り出す。この数と今戦って勝ち目など無いから。
「こうなったら、何!?」
「直接王家に行くしかないだろ!! もうそれしか方法無いんだから!!」
その言葉を言った玉露と聞いたリアの二人の目元には涙が浮かんでいた。




