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決意と戦争開始

 あの後、玉露はリアに説教され眠りに付いた。勿論、何度も殴られる羽目になったのだが不死鳥の持つ再生の能力のおかげで何とか無事で済んだ。

 最も、実体が無いような玉露を殴れるようなリアもおかしいのだが。

 そんなこんなで翌日、二人は急いで宿屋から出て来て国を出ようとしていた――のだが。

「見つけたぞ!! 貴族を殺した金髪の男!!」

「大人しく捕まれ!! 魔王の四子!!」

 何故かは分からないが二人は現在進行形でこの国の兵士に追い掛けられていた。

「ちょっとちょっとちょっと!! 何で俺等追いかけられてるんだよ! しかも魔王の子どもだってばれてるし!!」

「知らないよ!! てか走れ! 捕まると間違いなく「ヒャッハー!! 拷問だ! とにかく拷問にかけろ!!」ってな感じで甚振られるよ!!」

「それはお前の中だけだろ!!」

「いや、案外貴族の連中とかそんなの兵器で考えてそう」

 ドスッ! そう言った玉露の背中に一本の矢が突き刺さった。

「お前、俺の後ろを走れ」

「酷くない、それ!?」

「バカか!? 妥当な判断じゃぁああああああああああ!!」

 そう言うとリアは玉露の前に出る、後ろから放たれる矢に自分が当たらないように。

 それを見て玉露は「仕方ない」と言いリアを抱き抱える。

「お、飛ぶの?」

「しょうがないからね……でも今までのように優しく飛ぶわけじゃないから気をつけてね」

 玉露がそう言った瞬間――、リアの目に映っていたのが道ではなく空中になっている事に気付いた。

「へっ? ちょっ、まさか!?」

「じゃぁ飛ばすよー!!」

 玉露はリアの言葉を無視して足から噴出している炎を爆発させて亜音速の速さで加速した。その速さに追いかけていた兵士達はなすすべもなく、遠くに行ってしまった二人をただ黙って見るだけしか出来なかった。


 最も、リアは自身にかかる風圧に耐えなければいけなくなったのだが……自然物で出来た身体って便利ですよね。



「………死にかけた」

 リアはげんなりとした表情でそう言った。少なくとも原因は玉露にあるのだが追いかけられ続けるよりはまだマシだろう。

 そう考えたリアは玉露を怒らないと誓うがどこか納得できていなかった。それは当然だろう。

「あははははは……ごめん」

「ったく……にしても……」

 そんな様子を見た玉露は軽く謝り、リアは周囲を見渡して言葉を失う。

 それはあまりにも酷い光景だった。さっきの綺麗な街並みとは違い、今居る場所はあまりにも汚らしく、そして残飯を漁る子どもの姿があった。

「……酷いな」

「右に同じく」

 その光景に口元を押えるリアと鼻に詰めていたティッシュを取る玉露。一日中、それも滝と戦闘中でも取らなかった詰め物を取ったのだ。

「うん……こっちもこっちで臭い酷いけど……あの街程じゃないな」

 玉露は顎に手を当ててそう言った。土が有るか無いかではかなりの差がある、ここにある土と言う名前の畑があるおかげで汚物が地面に吸収と言う名前の肥料になる。だから臭いはそんなに酷くない。

 と、今居る場所を見てそう二人は思った。

 だが働いているのは殆ど子どもだっだ。しかも中には3歳くらいの幼児や幼女、腕や足を欠損している者も居た。

 もっと正確に言うならば働いていたり残飯を漁っていたりするのは子どもと老人、体が欠損している青年だけだった。

「……これが俗に言う国の暗部ってやつなのかな?」

 何処か達観しているような表情でそう言う玉露、だがその目にはうっすらと怒りが浮き出ている。

 そして玉露は清々しいくらい良い笑顔をしてリアの方を向いた。

「と、言うわけでリア」

「いや、何が「と、言うわけ」なんだよ……一応言っておくけど俺の心臓を止めさせるような事を言うなよ」

「大丈夫!」

 顔を青くして言ったリアに対し玉露は初対面だったら誰もが見惚れるくらい、彼の事をよく知っている人間なら不気味だと言って誰もがひくであろう笑顔だった。

 玉露は口を開け、言い放つ。


「ちょっとこの国を滅ぼすだけだから」


「ああそう、良いんじゃないの? 勝手に滅ぼせば?」

 だがリアは想定していた、的な顔をして軽くそう言った。

「え? ちょ……そこは「えー!?」って驚くところじゃないか!!」

「俺がいつまでもお前のペースに巻き込まれてると思うんじゃねぇぞ」

 冷ややかな目で玉露を見つめる、玉露は「うぐぐぐぐ」と軽く唸ると仕方ないといった表情になる。どうやらリアが驚いた顔を見たかっただけのようらしい。

「じ、じゃぁさ……ちょっと戦争起こすから――」

「戦争って言うより虐殺なんじゃねぇのか?」

「……もう良い……もう出てけー!! 僕一人でやってやるから……とっととこの国から出てけ! あ、これは持っててね」

 子どもっぽくそう言ってる時に唐突に何かに気が付いたかのような表情になり、玉露は火で出来た羽をリアの帽子に着けた。

 それを見て訝しげな表情をし、聞く。

「これは?」

「お守り、かな?」

「必要ない……って言ってもどうせまた付けるんだろ? なら貰っておくよ、綺麗だし」

「へぇ、男勝りな口調しか言わないからそう思わなかったけど……女の子らしい所もあるもんだね」

「そこ! うるさい!!」

 玉露の言葉に顔を羞恥的な意味で真赤にしたリアはへらへらと笑っているその顔に拳を叩き込んだ。

「いた……本当に何なんだよお前……炎の僕に触れるなんておかしいんじゃないの?」

「存在そのものがおかしい奴にだけは言われたくない、それに――」

「ん? 何?」

「――お前の事だから俺の身に危険が及ばないようにしてるんだろ? だから俺にこの国から出て行けなんて言うんだろ?」

 その言葉を聞いた瞬間――、玉露は笑う。

「アハハハハハ……やっぱりばれてた?」

「ばれてるも何も……後ろに居る奴らの視線に気付かないなんておかしいだろ」

「……そうだよね、じゃぁ――」

「分かってるよ、けど……今回はあたしも協力させろ」

「………」

「一応言っておくけど、もう逃げても無駄だぜ。指名手配も受けてるし……賞金も付いてるし」

「はいはい、分かりましたよー」

 そう言って二人は後ろを振り向き武器を手に持つ。その瞬間、隠れていた老若男女の全てが武器を持って二人に襲い掛かった。

「「それじゃぁ――」」


「「戦争開始だ」」




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