第4話 私も一言しゃべりたいと言うことで
愚兄ばかりしゃべるのも癪なので、私も喋ることとしましょう。
まずは自己紹介から。
神無月 奏
誕生日は10月10日 年齢は15
その他の情報は秘密よ。知りたければ部屋に来て直接図るといいわ。
と言うのを愚兄に言ったところ、
「え!?マジで!今日にでも行っちゃうよ!」
・・・清々しいほど気持ち悪い。
こんな変態が兄とは虫酸が走るわ。早いとこ警察につき出した方が良いわね。
判決は死刑で。
「ねぇ、さっきからとてつもなく酷いこと思ってない?なにも言われてないのに俺涙が出てきてるんだけど・・・」
変態が何かほざいているが無視をして、私はこれまでの事を振り替えることにした。
ここに来てもう1週間経った。
時が流れるのは本当に早いものだ。つい先日までこの国にすらいなかったのに、今ではすっかり馴染んだ。
・・・嘘をついたわね。本当は全く慣れていないわ。毎日が冒険ね。
朝起きてニコニコ顔で接してくる変態を罵倒し、食事の時も「これは俺が作った料理、つまりおれ自身さ!さぁ、召し上がれ」とか言う犯罪者を通報寸前まで追い込み土下座させ、昼時には「ツイスターゲームやろう!」とか言ってくるセクハラの権化を包丁で脅し土下座させ、夜寝るときに「お休み!いい夢見れるように添い寝してやるよ」とか言う社会不適合のクズをスタンガンで気絶させ・・・
ホントに毎日が冒険だわ。目眩がしてきた。
そんなどうしようもない変態だけど、一つだけ確かな事がある。
優しいのだ。
同情とか、そういったものではなく、純粋に、優しい。
私の為に、一生懸命になってくれるのだ。
この前も、買い物に出かけ帰り途中少し道に迷い、帰るのが遅れた時があった。家につくといるはずの変態が居らず、夕方ごろにびしょ濡れで帰ってきた。
理由を聞くと「いや、我が妹が帰ってくるのがあまりにも遅かったから、川に落ちてしまったのかと思って、急いで川に落ちに行って探したんだよ」
全く意味が解らなかったが、私の為に一生懸命になってくれたと言うことだけは、わかった。
こんな風に、私の愚兄は優しい。
きっと、毎日の犯罪スレスレ行為の数々も、まだなれない私の為を思ってふざけているのだ。と思う。
そうでなかったら110番しよう。
話がそれたわね。
とにかく、私の為に色々としてくれる事が十分伝わってくる。それがとても・・・・・・何でもないわ。
これを口にするのはまだ早そう。
なんてことはないたった一言だけど、まだ、言えない。
いつか、彼の前で私の口からこれを言う日が来ることを、半分願う。と言うことにしておきましょう。
さて、そろそろ昼食の時間ね。
行くとしましょうか。
「おーい、妹よ!今日の昼食はハート型のホットケーキだよー!早く召しあがれー」
・・・・・・スタンガンを常備しておくことにした。
今回は妹目線で話して見ました。
色々とワケありな妹が、この家に来ての感想、というやつですかね、を語る回です。
タイトルが「俺と私の家族物語」となっているので、「私」である妹視点で書いてみたかったのです。
この回で、兄の変態具合にドン引きされた方、安心してください、次回からはこんなにひどくありません。・・・多分。
自分で書いていても妹がなかなか難しいです。もっと良く把握しようかと思います。
若干真面目な感じで続いてきてしまっているので、次回からはオールコメディーでいこうと思います!
感想をどんどんお待ちしております