第36話 関係
お久しぶりです。そしてすいませんでした。
「で、今日はどこにいこうと言うのかしら?」
朝食を済ませた俺と奏は旅館の廊下を歩いていた。
「今日は・・・色々する」
「・・・・・・」
視線が痛いです。
「もしかしてだけど、ノープランな訳ではないわよね?」
「ハハハハ!その通りさすいません御免なさいこの通りですッッ!」
叶、お前のお兄ちゃんは今、廊下で土下座してるぞ・・・。でもな、世の中には頭下げなきゃいけないときがあるんだ。
どんなときかって?こんな時さ。
一方の奏は呆れた顔で俺を見下している。
「貴方ねぇ、本当にやることがないの?ノープランだったの?何なの?死ぬの?裂けるの?砕けるの?」
「いや、奏様。最後の三つはどれ選んでも俺死にますよね?」
砕けるってなんだよ。人体砕けるとか。俺は自然系の悪魔の実食ってねぇからな?即死だぞ。
「黙りなさい。誰がしゃべっていいと?次許可なく喋ったらズボンプレッサーで貴方の舌をプレスするわよ」
「・・・・・・」
「宜しい」
無言の土下座により舌が器用に畳まれる危機は去った。
最近この子恐いよ、マジで。
「さて、どうしてくれましょうかね」
腕をくみ、土下座する俺を見下ろしながら絶対零度な表情を浮かべる奏。
大衆の場で土下座と言う、人としてアウトかセーフかの狭間をさ迷う様な行動をしているのに更に何かさせる気なのだろうか。
そこのお嬢さん、指を指して笑わないで。
そこの若者、ケータイで撮らないで、後で携帯ごとへし折るよ?
そこのおっさん、羨ましそうな目で見ないで、色々と心配になるから。
様々な人から痛い視線を浴びているのに気がついたのか、奏は取り敢えず許してくれた。その場での処刑は。そして、部屋にもどると
「それじゃあ・・・・・・」
そんな台詞と共に、色々と出てきた処刑道具。
そのあとはどうなったかって?
ハハハ、ジョン、そいつは言わない約束だろ?
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「で、どうするのよ。今日は」
「そ、そうだな・・・とり、あえず・・・そとに、でるか・・・・・・?」
意識が朦朧とするなか、辛うじて聞こえる奏の声に、俺はなんとか返答する。
今の僕は人間としての形を保てているだろうか?
子供とかが見たら間違いなく泣くなぁ・・・。R-18、お子さまにはちょっと刺激が強いぜ?
「そうね。取り敢えず外に出て考えてみましょか。じゃあ着替えるから出てって」
「え、ちょっ、・・・このナリで?」
こんな姿で出たら確実に火曜日の2時間スペシャルな展開になるだろ。もちろんR-18指定で。
「だって、こっち向くなっていても、向くでしょ?」
「勿論!」
廊下に蹴っ飛ばされました。
その後、この旅館でモザイク化け物が出没すると言う噂が流れたそうです。
怖いね。
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「もう世の中歩けない・・・」
「今歩いてるじゃない」
あのあと、廊下で人に見られると言う最悪の事態に陥ったものの、あまりにも形が人間からかけ離れていたため、誰だったのかと特定されなかった。
その代わり、俺はなにかを失った気がした。
そんなこんなとあったが、こうして無事に外に出て歩いている。
え?どうやって傷が戻ったかって?それはあれさ、小説パワーさ。
いや凄いよね、小説パワーって。
あんまり連呼すると不味い気がするからここら辺にしておこう。
「何をぶうぶういってるの?気持ち悪いわ」
「おいなんだブウブウって、人を豚みたいに扱うな」
「あら、失礼。しゃべる様がなんだか豚っぽくてつい・・・」
「おれは油本と同格なのかよ・・・・・・」
ヤバい、なんか親近感わいてきた。嘘だけど。
「外に出たのは良いけど、これからどうするの?」
「そうだな・・・」
外に出たのはいいが、ぶっちゃけまだこれといったことが決まっていない。
このままぶらぶら宛もなく歩くと言うのもいい気がするが、奏が許さないだろう。
うーん、と暫くうねっていると奏がため息をついた。
「そうね、貴方に期待すること事態が間違っていたわね」
失礼極まりねぇ・・・。
じゃあ、と奏が振り返り俺と向き合い
「今日は義妹のお願いを聞いてくれるかしら?」
そう言った。
「・・・・・・ハッ、」
そーゆーことか。確かに、昨日は妹ばっか相手してたからな。
それに、もともと旅行にいくに当たっての約束もあったし。
「おう、今日はお前の兄がどんなお願いも聞いてやるよ」
過去は過去、今は今。
過ぎ去ったものに思いを馳せても、なにも変わらない。
俺の過去に何かあったとしても、彼女の過去に何かがあったとしても、それはもう訂正できない。悔やむことができても、泣くことができても、変わらない。
だから、今を変えていこう。
俺の彼女の関係を、言葉だけの関係でなく、本当の兄と、妹になれるように。
なんか「俺たちの戦いはこれからだ」的な感じになってますが(なってないと思った貴方は大丈夫です)まだまだ続きます。
これからもよろしくお願いいたします。




