第32話 俺と私の温泉(えっ!マジで!?)
妹に抱きついてワンワン泣いた。
・・・死にたいほど恥ずかしい。
マジで穴があったら入りたい。
そんなことを思いながら帰る俺と妹。
互いに無言だった。
妹はうつ向きながら相変わらず俺の数歩後ろを歩いている。
俺の今の気分を察してなにも言わないのか・・・
それとも、俺が抱きついたことで兄萌と言う新たなジャンルを開いてしまい、困惑しているのか・・・
違うね。うん、解ってるよ?
いや後半だったら嬉しいんだけど。
まぁ、大体の予想はつく。
突然妹が立ち止まる。
「あ、あの」
「言わなくていいよ」
「へ?」
「お前がこれまでどんな人生送ってきたとか、自分が抱えてきた秘密とか、言わなくていいよ」
「・・・でも」
「俺は、俺が話したいと思ったから話したんだ。それで後悔はしてない。
だからお前も自分から進んで話せる位の時に話してくれ。それまで待ってるから」
「・・・うん」
全く、真面目なやつだ。
俺が自らの事を言ったから自分もって思ったんだろう。
そんなこと、しなくてもいいのに。
「んじゃあさっさと帰るか」
「ええ」
旅館につくまでに交わした最後の会話がこれだった。
ーーーーーーーーーーーー
旅館に着くと既に日は暮れていた。
今日はもう何もすることがないのでゆっくりしようと言うことに成ったのだがあの後なのでお互い話しづらい空気だった。
夕飯が来るにはまだ早い時間、なにも話せない。
そんな空気を脱するために出た結論は、
「フフ、フフフフフ」
そう・・・風呂!!
この時をどれ程待ったことか・・・!!
一万年と二千年前から待っていたんだよ!!(まぁ嘘だけど)
その夢が、ついに叶うときが来た!!!
いやぁ何かシリアス続きだったからね!
ん?覗きだなんてことしませんよ?
マジマジ。
そんなゲスい気持ちでやりませんよ、もっと崇高な目的でやるんです。
そう、俺はただ読者の心を汲み取ってドラえもんの様に叶えてやろうと思っているだけなのだ。
決して、妹の裸を見たいわけではない。欲情なんてもっての他。
そう、これは言わば任務だ。(只の覗きです)
フフッ、男は辛いよ全く。
「レッツゴーイングトゥー、マイパラダイスッ!」
全速力で脱衣場を駆けて浴槽のドアをあける。
ガラッ!
「いらっしゃぁぁぁぁぁぁい!」
キャラクター紹介!
剛健 宏
性別♂
趣味♂
好きなもの♂
「ギャァァァァァァァァァ!」
解ってたけどね?
だってこの作品結局コメディーだもん。
「はっ!ここは!?」
何だろう、色々と危ない目にあっていた気がするが・・・
取り敢えず助かったんだろう、うん。
見渡すと旅館の部屋の中だった。
時刻は00:40
「マジか・・・」
どうしようか、多分もう妹は寝ているだろう。
部屋も真っ暗だし。
本当は夜這いを仕掛けようと思ったのだがそんなことをしたら輸血パックがいくつあっても足りない事態に陥りそうなので止めた。
うん、風呂に入ろう。
汗臭いのはやだしな。
脱衣場に到着して辺りを見回したが、誰もいなかった。
時間が時間だし、当然か・・・
ま、ゆっくりできるからいいか。
風呂は露天風呂だった。
月夜の下で(雲に隠れてるけど)誰もいない風呂に入れるってのは何か得した気分だ。
・・・ホントならあの薄い境の向こうにエデンの園が有ったのになぁ。
泣きてぇ!!
そんなことを考えながら風呂につかっていると誰かが岩影にいることに気づいた。
誰だ?
てか、浴槽で確認したときは誰もいなかったハズ・・・
「あ・・・」
向こうも俺の気配に気がついたらしいく、湯につかったままこちらを向いた。
誰だ・・・?
暗くてよく見えん。
ちょうどそのとき、雲に隠れていた月が顔を出す。
それにより視界が明るくなった。
一緒に温泉に入っていたのは・・・
「か、かかかかかかなでっ!?」
何故か妹様だった。
「え?あっ、ちょっ!」
顔を真っ赤にしている。
どうやらこう言ったハプニングには慣れていないらしい。
いや慣れてたらそれはそれで問題なんだが・・・
てかこの状況は俺も色々ヤバイぞ。
「な、何でここに!?」
「この時間帯は入浴者が少ないから混浴に成るのよ!!知っておきなさいよ!」
全く知らんかった・・・
「それよりもっ!は、速く出ていきなさい!」
「無茶言うな!タオルもなにも身に付けてないこの状況で湯から上がったらお前俺を猥褻罪で殺すだろ!」
「まぁ」
「あがれるかっ!お前があがれよ!」
「そんなことしたら貴方確実にこっちを見るでしょ?」
「まぁ」
「論外よ!貴方に裸体を見られるくらいなら青酸カリを服用する方がマシよ」
「死ぬほどやだってこと!?」
「何を今さら」
「今更なの!?初耳ですけど!!」
こんなやり取りを暫くして出た結論は、取り敢えずお互いゆっくり湯に浸かりましょう、だった。
にしても、
「・・・・・・」
「・・・・・・」
気まずッ!
どーすんだよこの状況!
会話をしようにも話題がない。
何かないか何かないか・・・
「ねぇ」
「はい!何でございましょう!」
「そんなに構えなくてもいいわ。とって食おうって訳じゃあないし」
「さ、さいですか・・・」
別に恐怖した訳じゃなく、考え込んでるときに話しかけられたからびびっただけなんだけどね。
「で、何か?」
「私のはなし、聞いてくれない?」
「お前のはなし?」
「ええ、私自信の話」
「だからそれは話さなくて良いって。言ったろ?お前が進んで話せるときが来たらでいいって」
全く、まだ引きずってんのか・・・
「別に全部を話そうって訳じゃないわ。ほんの触りの部分よ」
「さわり?」
「話の枕ってやつかしらね」
「落語かよ・・・」
しかし、話の枕ねぇ。
要するにほんの一部だけ自分の事を話すと言うことか。
まぁお互い突然のハプニングを向かえて気まずい状況下におかれている今、話す必要が有るかどうかは知らんが話したいと言うのから聞いてやらなくちゃな。
「わかったよ。で、何だ?」
「そうね・・・じゃあ私と言う人間がどのような環境で育ってきたかを話しましょうか」
「いやそれもう大分核心に触れちゃうから」
何考えてんのかこの妹は。そんなこと話したらこの小説一気に最終回迎えちゃうから。
まだ50話も行ってないから。
どうでもいいけど大分と大分って見分けつかないよね。
「冗談よ、Germanyジョークよ」
「聞いたことねェよそんなジョーク」
何だよドイツジョークって。
ベジタリアンジョークしか知らねぇよ。
「いちいちうるさいわね、口にチャックを縫い付けて文字通りお口チャックしてやりましょうか?」
「恐ろしいこと言わんといてください」
話が進まねぇなぁ・・・
「じゃあちゃんと話すとするわ。
次回で」
「次回ってなんだ!!」
・・・いや、一応こう言っとかないとね?
遅くなりました。
冗談抜きで最近めっちゃ忙しいです・・・
なのでこれからは投稿が不定期になるかなと思います。
作品を続けようとは思っているので気長にお待ちいただけると何よりです。
では!




