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第23話「トラウマととらのあな」「後半全く関係ないよね?」

『トラウマ』

これの説明はまぁいいだろう。

一応言っておくと心に残っている傷的なものだろう。

適当すぎましたね。

まぁ、トラウ〇イスタでも読めば解るよ。


『とらのあな』

これの説明をする意味だよね。

ほんと誰得?

作者も何考えてるのかな?


そんなわけで説明はしない。

知りたきゃWikipediaでも使うんだな。


そんなわけで今回はこれのお話だ。

とらのあなの話ではない。トラウマについてだ。


そう、あの人についての話。


―――――――――――――――――――

ゴールデンウィーク初日。

何故か俺は学校で勉強していた。

朝からである。


おかしすぎるでしょ、俺が何をしたって言うんだ!

せいぜい義妹にセクハラ発言をしているくらいだわ!


と言うのは冗談であって・・・いや、ホントだよ?目の前を注射器が通過したから冗談にした訳じゃあないよ?


さて、何故こうなったのか。

それは前日の夜のこと。


RERERERERERE

ガチャ

『はい、四十崎です』


『明日学校に宿題をもって来い。さもないと骨をすべてへし折る』


『あの、どちら様で』


ツー


『・・・・・・』


要するに魔神に脅迫されました。

宿題に関する一切の信用が無いらしい。


好感度が低すぎたな・・・


で、現在に至る。


因みに監視と言う意味で何故か一瀬麻衣が俺についている。

・・・何故?

死ぬよ?俺。下手したらホントに死んじゃうよ?


だって男性恐怖症だよ?この前少しつかんだら意識が飛んだもん。

あ、腕を掴んだんだよ?


しかも魔神にその治療を頼まれたと言うこの事態・・・


一応あれから色々試してみたが駄目だった。後ろから何気なく触ってみたり(肩をだよ?)

手を握ってみたり、髪の毛ならどうだと思い髪の毛だけを触ってみたりとやったが、どれをやっても俺が死にかけになるだけだった。


何か打開策はないだろうか・・・


「こら、四十崎君!ペンが止まってますよ?」


「あっ、すいません・・・」


考え事をしていたせいか、宿題に意識が全くいっていなかった。

やっちまったぜ。


「んも~!次手を止めたら高圧電流を流しますからね!」


「普通に死ぬわ!」


何てったってここの先生は生徒を天に召したがるんだ。

理解に苦しむ。


やっぱりここは『こら、四十崎君!次やったら先生がお仕置きしちゃうぞ☆』


とかなんとかね・・・、


いやいや、これはもしかすると。発展していくと・・・!


『宿題が終わったら、先生がご褒美ア・ゲ・ル・☆』


とかなんとか来たりして!!


「フフ、ふふふ・・・!!」


「あ、四十崎君?鼻血が出てるけど?あと顔が気持ち悪いけど大丈夫?」


先生のドン引きも気にせず、俺のペンはスラスラと動いていった。

欲望と言うただひとつを求めて。


―――――――――――――――――――

「終わったぁ~」


取り敢えず今日終わらせる範囲の宿題が終了した。

思ったより量があって結構時間かかったけど・・・まぁ無事終わったんだし、良かった。


「お疲れ様~」


一瀬麻衣が飲み物を持ってきてくれていた。

丁度喉が乾いていたのでラッキーだ。

成る程、これがご褒美か。んな訳無いね。


何はともあれ有難い。


「はい、青汁」


「悪意を感じます」


なんだよ青汁って。有り難みの欠片も感じないわ。


因みに一瀬麻衣はドクター〇ッパー。

また癖のあるものを飲むなぁ・・・

俺もそっちが良かった。

頼めば飲ませてもらえるだろうか。


ついでに青汁の仕返しとしてちょっとからかってみるか。


「間接キスがしたいので一口ください」


「ふぇっ!?」


あー、久し振りにみたなぁ、この驚き顔。

相変わらずこういった直球?に弱いらしい。

作戦大成功しすぎだろ。

体が小刻みに震えている。


あ、顔まで赤くなってきてる。


「ハハハ、冗談でゲスフォッ!」


顔面に正拳突き。


「せ、せせ先生をからかうんじゃありません!次言ったら正拳突きですからね!」


「も、もう殴ってます・・・」


つくづく冗談が通じない人だ。






青汁はこの場で飲まないで近所の猫にでもあげておこう。


そんなことを考えながら窓の外の風景をぼんやりと眺める。


もうすぐ5月か。


確か一瀬麻衣がこの学校にいられるのは6月の第1週まで。

それまでに何とかして男性恐怖症を治さないとな・・・


さて、どうしたものか。


「あの、ごめんね?四十崎君」


「いきなりどうしたんですか?」


「いや、その・・・私の体質について考えてるんだよね?」


「あ、まぁ・・・」


目は口ほどにものを言うでは無いが、どうやらバレバレな顔をしていたらしい。

何やってんだよ俺。


「さっきの、その、か、間接キスも私の体質の改善策の一環だったんだよね?ごめんね、気づけなくて」


「・・・・・・い、いえ。そんなことはないですよ」


言えない、ただドクペが飲みたいついでにからかったなんて言えない・・・


ハハハ、と乾いた笑みを浮かべておくのがベストだろう。


体質か・・・

そう言えば一瀬麻衣が男性恐怖症になった原因ってなんだ?

考えてみると、知らないな。

もしかしたらそこに攻略の鍵があるかもしれない。

聞いてみるか。


「あの、何で男性恐怖症に?」


ピタッと一瀬麻衣の動きが止まった。

・・・もしかして禁句(タブー)だったか?


てか、何を直球で聞いてるんだ俺は。

人にはそれぞれ悩みが、抱えているものがある。

文月の時にそれを知ったはずなのに・・・!

ホント、何やってんだよ。


自己嫌悪に陥る。


沈黙は暫く続いた。


謝ろう、そう思ったそのとき


「中学一年の頃だったの」


一瀬麻衣が口を開いた。


「とても元気な男の子がいたわ。運動もできて、勉強もできて、漫画のような、絵に書いたような人気者。私はその人が好きだったの。異性としてね」


昔を思い出して、懐かしそうに語る一瀬麻衣。


「でも、その人は他の女子にもとても人気でいつも周りに沢山の女子がいたの。私はその輪の外にいつもいたわ」


消極的だったのか。


「けどね、ある日その人に告白されたの。好きです、付き合ってくださいってね。とても驚いたわ。もちろん返事はOK

その日から世界の何もかもが違って見えた。輝いていた、と言うのかな?」


えへへ、と無理に笑う一瀬麻衣。

その顔は、とても幸せが続いたことを表しているような顔ではなかった。


「ここまで来ればもうわかるよね?そう、私はその人に裏切られたの。

簡単に言えば二股をかけられていたの。

好い人ほど裏があるって言うのは本当にその通りよね。

ショックだった。はじめて恋をして、はじめてそれが実って、そして一気に裏切られた」


気がつくと、涙がこぼれていた。勿論、一瀬麻衣から。


「その日から男の人が信じられなくなったの。そして、その感情がいつしか恐怖になった。また裏切られるんじゃないか、そう思うと怖くて、距離をとったの。

裏切られるくらいなら・・・此方から距離をとった方が、良い、でしょ?」


溜めていた涙が、溢れ出した。


同じだ、文月の時と。

勝手にひとの事情を聞いて、心の傷を広げて。

俺は何がしたいんだ?


これが、治療に繋がるのか?

ただ、興味本意で聞いただけだろ?

それをもっともらしい理由をこじつけて、正当化しようとしただけじゃないか。


トラウマ。

ひとの心の闇。

決して開けてはいけないパンドラの箱。

大袈裟だと思うか?


けど、そう言うものなんだよ。


結局、俺は泣きやむのをただ待つだけとなった。


―――――――――――――――――――――

下校時間。

校門まで一瀬麻衣と一緒にかえる。


お互い黙ったまま、ただ歩く。


やがて校門に着き、無言のまま別れる。


数歩目で立ち止まる。


そして、振り向く。


俺に気がついたのか、一瀬麻衣がこちらを向く。


「・・・どうしたの?」


「・・・取るから」


「え?」


「責任、ちゃんととるから!絶対、男性恐怖症治してやるから!」


「・・・ッ!うん!」


その笑顔が見れただけでも、言って良かったと思えた。


パンドラの箱の中には、希望が残っている。

なら、その希望がしっかりと役割を果たさないと、開けた意味がないだろ?

ついついシリアスになっちゃいますね・・・


くっ!これじゃあコメディーとは言えないじゃないか!

とか思うかもしれませんがまぁコメディーってことにしておいてください。


感想をお待ちしております。


では!

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