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第20話 ラブコメなんてこの作品にはなかったハズで

くそ作者の言う通り落ちなんて見えているわけで、要するにこれから買い物に行くから付き合ってほしいと言うことだった。


いや、解ってましたよ?ホントホント。心なんてミリ単位も動いちゃいねぇ!

ちょっと泣いただけさ!


現実はそう甘くねぇわ。


で、買い物とはなにか。

それは秋葉原にあった。

・・・・・・

知ってるよ?文月がこーゆー人だって言うのは。

ただ俺自身が初めてな訳で、少し緊張すると言うかなんと言うか。

秋葉原なんてアキバ〇トリップでしか知らないからな・・・

いやあれホント面白かったわ。


そんなことは置いといて。


「で、何を買うの?」


そう、肝心の買うものを俺は知らないのだ。


「へ?あ、えーと、ね」


何故か歯切れが悪い返事が返ってくる。

可笑しいな、元々買うものがあったはずだよな・・・?


「あ!あれだよ!ライトノベルの新刊と盗聴機と隠しカメラ!」


「待ちたまえ、最初の一つは理解できるが後半二つはまるで解らん」


犯罪の扉を開こうとする者がここにいる。

明らかに今デタラメにつくったな。


「で、ホントは何を買おうとしてるんだ?」


「う・・・」


明らかに動揺している。

・・・全く。こいつは相変わらずだな。


「文月、俺相手に遠慮しなくていい。やりたいことをやればいいぞ。俺はとことん付き合ってやるから」


「四十崎君・・・」


俯く文月。やはり不登校は治ったとは言え根本的な物は簡単にはなおらないか・・・

まだ自らの趣味をオープンには出来ないらしい。


だからこそ今回は良い機会だ。


これを機に少しずつ文月の問題を治していこう。

そう、もっと積極的になってもらおう。

その為には先ずリラックスしてもらうか。


「そっちに何もないなら俺に付き合ってくれ。ほら、行くぞ」


文月の手を引く。


「え、あっ!」


自分でもらしくないなと思う程の行動だ。

全く、何やってんだか。

これじゃあ只のラブコメだろ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

残念ながら俺は秋葉原の事をよく知らない。

だから行く所なんて自然に決まってくるわけで。


「着いたぞ」


「此処って・・・」


「ああ、そうだ」


そう、ゲームセンター。

此処ならお互いそれなりに楽しむことが出来るだろう。

・・・っても文月はこんなとこ何回も来ているだろうけど。


そんなことを考えながら文月の方を見ると、

目を輝かせていた。


・・・あれれー?おかしいなー

このお姉ちゃん初めてみたいな顔してるよ~?


はっ!いけない!

思わず心の中にいるコナン君が出てきそうになってしまった。

うん、ワケわからないね。


それはさておき。

どうやらゲームセンターは初めてらしい。

目の輝きが尋常じゃない。

このまま倒れないか心配だ・・・


「ま、まぁ入ろうぜ」


「へ?あ、うん!」


中にはいると大量のゲームが乱立している。

これだけあれば飽きはしないだろうな。


「文月、どれやりたい?」


「全部!」


「いや無理だから」


ホントに大丈夫か?この子は。

ゲームやってるうちに失神とかしないよね?


文月は明らかに残念そうな顔をしている。

だが俺もここばっかりは譲れない。

何故って下手したらお財布さんが消滅しかねないから。

今月厳しいんだよな~


「じゃあ・・・あれやりたい」


不貞腐れつつ指を指したその先にあったのは格闘ゲームだった。

ゲーム台が向かい合わせになっているところからプレイヤー同士の対戦も可能らしい。


「おう、じゃあやるか」


「うん!」


お互い椅子に座る。


つまりは俺VS文月だ。


最低と言われるのを覚悟で言うと俺はこういったゲームでは手を抜かない。

それは相手に対する侮辱でもあるからだ。

信じているからこそ全力で戦う。これが俺のポリシー


すいません嘘です。負けるのが嫌いなだけです。


だってやじゃない?手を抜いて向こうが勝った時に見せるアホ面。

そんなものを見るくらいなら全力で叩き潰すわ。


そんなわけで悪いな文月。

ちょっと現実を知ってもらうぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!


『YOU LOST』


開始1分で俺の画面にはそんな表示が出た。


いや解ってましたよ?何となく負けフラグたってたもん。

だから悔しくない。泣いてるだけさ!


てか冗談抜きにこの子強い。

何でしょうね?

ホントに初めて?


文月が椅子から立ち上がって笑顔でこちらを見る。


「四十崎君強かったね!ビックリしちゃったよ~」


「・・・」


この明らかに上から目線な娘に何かギャフンと言わせたい。

いや無理だけど。


椅子から立ち上がる。


「で、次は何がやりたい?」


「えーと、あ!あれ!」


その指の指す先を見るとクレーンゲームがあった。


「了解、それをやれば良い訳だ」


「うん!宜しくね!」


俺任せかよ・・・

まぁいいけど。


「何が欲しいんだ?」


「あの熊がいいかな。目が飛び出て血が出ているところが可愛い!」


「解った。だからもう何も喋るな」


この子は喋る度に好感度がどんどん下がってはいかないだろうか・・・


と言うわけでスプラッターな熊を取るべく100円を投入する俺。

財布のことも有るからな。一発でとる。


ボスン


「ほれ」


「わぁ!ありがとう四十崎君!何も落ちがなかったのが気になったけど」


「俺だってやるときはやるわ!」


失礼すぎるだろ・・・


さてと、次はどうしましょうかね?

そんなことを考えていると文月が俺の肩を叩く。

どうやらもう決まっているらしい。


「あれに行こうよ!」


その先にあったのは・・・


「マジかよ・・・」


プリクラ


この作品はコメディーですよね?

さて、どうなることやら・・・

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