これは現実ですか?ーはい、貴方の妄想です
なんだこの状況は?
目の前にもじもじしている我が妹が・・・
顔を赤くして時折此方をチラチラと見てくる。
上目遣いというやつだ。
・・・ヤバい、萌え死にそう。
「お兄ちゃん・・・私・・・」
おい、今お兄ちゃんっていったか?
ONICHANと言ったのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?
こ、これはもしや・・・
妹の肩にそっと手をおく。
大丈夫、義理の兄妹だから大丈夫。
作品的にはアウツだけど。
「いいよ、お兄ちゃん」
奏がゆっくりと目を閉じ、顔をこちらに近づけてくる。
嗚呼、生きてて良かった。
奏、奏
「かなでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
チュンチュン
朝でした。
あれ?俺の奏は?
俺の妹は?
横を見ると妹が。
何だ・・・良かったぁ。
妹の顔はよろしくないけど。
「夢の中まで何をしているのかしら・・・この変態」
へ?夢?
「何いってんだよ奏。俺らはさっきまで」
「死になさい」
スパーク
朝から刺激的な妹だぜ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うう・・・俺の、俺のスイーツな妹が・・・」
「悪かったわね、ビターな妹で」
先程のあれが夢と知り、俺は涙腺が決壊した。
嗚呼、現実って辛い。
「いつまでも気持ち悪い顔をしてないでさっさと朝食を食べなさい」
「・・・はい」
ビターって言うレベルじゃない毒舌を吐く妹。
これはあれだ、ブラックだな。
「もうちょっと捻りをきかせた上手いことが言えないの?脳みそがチョコレートみたいに溶けてるんじゃないの?」
罵倒大会に出たら文句なしの一位を取れそうだ。
さて、今日は日曜日。
学校と言う生徒を強制収容する監獄が今日は休みなのでこうして朝からダラダラとしている。
何しよっかなぁ・・・
そんなことを考えていると、
ピンポーン
インターホンの鳴る音。
誰だ?
「はいはーい」
ガチャッ
「どもどもっ!一瀬夏樹です!今日は奏ちゃんにお呼ばれされたので颯爽登場しました!」
ガチャッ
・・・高度な幻覚とみなした。
「何で閉めるのよ」
「あ、妹よ!いつの間に!」
ガチャッ
「やあやあ奏ちゃん!そこにいらっしゃるのが噂のマゾでシスコンで迷惑防止条例違反の四十崎亙先輩ッスね!」
「そうよ」
「違うわ」
なんだよ、シスコン以外まるであってねぇ・・・
「取り敢えず上がって頂戴。そしてそこの変態は取り敢えず出てって頂戴」
「ほーい」
「おいまて、ナチュラルに俺を家から追い出すな。危うく出ていきそうになっただろが」
なんなのこの子、俺の事が嫌いなの?
「貴方が家にいると犯罪が起こりそうだから隔離しようと思ったのよ。取り敢えず今日は夕方まで帰ってこなくていいわよ」
「何でお前が主導権握ってんだよ!おかしすぎるだろ!」
追い出されました。
神の慈悲によりお財布と服を着る為に家に入ることができましたので、一応は大丈夫です。
いや、何も大丈夫じゃないけどね?
さーて、どうしましょうか・・・
そんなことを考えながら歩いていると、
「四十崎君?」
文月 佳奈に出会った。
「おう、文月。これから出かけるところか?」
「うん、ちょっとね。四十崎君は?」
「俺か?俺は家を追い出された」
「・・・ゴメン、必死で考えたけどよくわからない」
だろうね、本人もよくわからない状況だもの。
「まぁアレだ。暇人って事よ」
「暇人・・・」
ん?どうしたんだ?
何やらブツブツと呟いている。
しかし、私服姿もいいなぁ・・・
この前家でも見たような気がしたが、道で見るとまたひと味違う。
うん、可愛い。
このくらいのレベルなら胸が少しくらい慎ましくてもアリだな!
「あ、四十崎君!」
「すいませんッ!自分チョーシこいてましたっ!」
「なっ何で道端で土下座してるの!?」
しまった!とっさの反射神経で!
さっきみたいな変な考え事をしていると我が家の虐殺マシーンに半殺しにされるので、その度土下座を繰り返していたのだ。
取り敢えず立ち上がり言い訳タイム。
「いや、なんと言うか日常的に土下座をしているせいで染み付いてしまって・・・」
「それは日常じゃなくて非日常じゃない?」
無理でした。
「そ、それよりもさ。四十崎君」
急にモジモジしながら俺の方を見てくる。
「ん?どした?」
「きょ、今日は、暇なんだよね?」
「ああ、一応夕方くらいまでは」
じゃあさ、
と言ったあと文月は一呼吸置き、
「私と付き合ってくれない?」
爆弾を投下した。
これは現実ですか?
まぁ落ちなんて見えてますけどね(笑)