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俺と彼女の事情4

ひとまず家にかえる。


残念ながらあの場でかっこいいことを出来るほど、俺はできちゃいない。


さて、どうしたものか。


文月は自分の趣味はとても大好きだが皆に言うことは出来ない。

何故ならそれは「自分らしくないもの」だから。

要するに周りの目と言うものだ。

バレなければ良いだけの気がするが、今回の件でどんなに頑張って隠していてもいつかはバレてしまう、と言うことを思ったらしい。

そのせいで今は人とのコンタクトすら取るのを拒絶している。


・・・俺のせいだよな。

やっぱり俺がどうにかしないと。


どうしよう・・・


「頭の中での現状説明ご苦労様。清々しいほど気持ち悪いわね、吐きそうになったわ」


「何度も言いたくはないのだが妹よ、いい加減ひとの心を読むのをやめたまえ。作者が扱いに困る」


「さらっと裏事情を話さないで頂戴。あと、作者の能力不足を私のせいにしないで」


遂には作者もけなし始めた・・・


この妹、自らを神様だと思ってない?


あと、俺のことけなしすぎじゃない?


俺の心が砕けるよ?


やれやれ、と言うため息をつく妹。


「で、どうするのよ。救うんでしょ?」


「当たり前さ。けど、どうすればいいのかで悩んでいるんだ」


何をすれば良いのか解らない。


それがわからない限り、何をしても意味がない気がする。


だから、それを思い付くまでは、こうしてただひたすら悩むことしかできない。


すると本日何度目だろうか、ため息をつかれた。

妹よ、ため息をつくと幸せが逃げていくぞ。


「誰のせいだと思っているのよ、相変わらず頭の中が未完成な男ね。実はネジが10本抜けてるんじゃないの?」


「抜けすぎだ。せめて2,3本で抑えろ」


「抜けてること自体を否定しなさいよ・・・」


ごもっともですね!


「貴方は馬鹿?」


「ついにはバカ呼ばわりですか・・・」


失礼すぎるな。

俺はそこまで馬鹿ではない!

具体的に言うなら赤点は2つにとどめているくらいだ!


「赤点の時点で馬鹿よ。現実を知りなさい、脳味噌の7割が腐敗しているポンコツ」


「ねぇ、君俺のこと兄と思ってるよね?」


「思ってたわ。初めて会ってから3秒くらいまでは」


「思ってないのと一緒だよね、それは」


「解ってるのなら聞かないで頂戴」


「わずかな可能性にかけてみたかったんですよ!」


ったく。この妹はデレを知らないのか・・・?


「と言うか貴方、まだわからないの?」


俺を完璧に見下した発言。

・・・そろそろホントに泣きそうだから勘弁してほしい。


「そんなことも言ってるけどそれだけじゃないわよ。自分が何をしたらいいか解らない?何でそんなことを悩まなきゃいけないの?」


「そんなことって・・・お前なぁ、悩むだろ普通は。それが解んなきゃ救いようがないだろが」


「じゃあ聞くけれど、貴方に出来ることはそんなに多くあるの?」


・・・・・・

無いな。


「そんなに多くないはずよ。だって貴方はどこにでもいる普通のカス・・・人間だもの」


「おいカスっていったろ今」


「とにかく、普通の人間が出来ることなんて限られてるの。貴方が出来ることだって限られてるはずよ。と言うか、一つしかないじゃない」


完璧に俺を無視して話す妹。


俺が出来るたった一つのこと・・・


「話すことだけでしょ?それ以外に貴方の出来ることはない。けど、それさえあれば十分でしょ?だって貴方は」


それで私をこの家に居させてくれたのだから。


小さく呟いたその言葉は、うまく聞き取れなかった。


だが、妹が照れているところからすると結構恥ずかしい事を言ったのだろう。

恐らく聞き返したら殺されるな。


ジーッと妹を見ていると、睨まれた。


「何を呆けているの?ここまで言われたら貴方のすることなんて一つしかないでしょ?」


「だな」


身支度をしてもう一度玄関へ。


「奏、ありがとな」


「お礼は要らないわ。全部が解決したときに1日下僕になってくれるだけで十分だから」


全く・・・

本当にデレを知らない妹だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

「よう、文月」


そして、再び文月家


「本日二度目だね、四十崎君」


申し訳ない・・・


いや、こんなところで謝っている場合ではない。


言わなきゃな。


呼吸を整えて、言う。


「学校に行こう、文月」


暫しの沈黙が出る。


「・・・行けないよ。だって皆にバレちゃったら、皆の私は居なくなるもん。そんなの、私らしくないって、なるよ」


小さな声で、弱々しく話す文月。


全てを諦めているかのようだった。


・・・このままでいいわけがない。


だから、やる。


「じゃあひとつ聞いていいか?」


「?」


「そのお前らしいってのはさ、誰が決めるんだ?」


「え?」


「だから、そのお前らしさは誰が決めるんだよ。先生か?友達か?親か?違うだろ?

お前を決めるのはお前自信じゃないのか?」


「それは・・・」


「周りが決めた文月佳奈は、ホントの文月佳奈か?違うだろ。ほんとのお前は、お前自信しか知らないだろ!」


驚いていた。

そりゃそうだ。

あんまり親しくもない男子が家に上がってきていきなり説教なんか始めたら驚くさ。

俺だったら殴っている自信はある。


けど、言わなきゃいけない。


俺にはそれしかないから。


「文月、お前はお前の趣味をどう思ってるんだ?周りが思っているように、きもち悪いものだと思ってるのか?」


「そんなわけないじゃない!大好きよ!気持ち悪いなんて思わない!」


「だったら!何をそんなに怖がってるんだよ!」


「周りの目よ!それ以外に何があるの!」


「そんなもんで引きこもらなきゃならないほど、お前の趣味はお前にとって軽いものなのかよ!違うだろが!」


プチッと何か音がなった。

文月の頭からだ。


なんの音だ?


文月から黒いオーラが見える。


「ひとのことあーだーこーだ言ってるけど、貴方の方は大丈夫なの?」


?俺のこと?


「持ち物検査で双眼鏡持ってきたり、堂々とシスコン宣言したり、挙げ句実習生にも手を出してるって言う噂があるじゃない!」


「ちっがぁぁぁぁぁぁぁぁう!」


「違わないでしょ!この変態!」


こ、この野郎・・・!


調子にのりおって!


「んなこと言うならこっちだって言わせてもらうけどなぁ!お前メンタル弱すぎだろ!そんなんだからすぐ引きこもるんだよ!」


「なっ!あ、貴方に関係ないでしょ!いちいちうるさいのよ!このお節介!」


ボスッ


枕が顔面に飛んできた。


「・・・ふふふ、このやろぉぉぉぉぉ!」


枕を投げ返す。


こうして枕合戦が始まった。


・・・あれ?俺何しに来たんだっけ?

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ぜぇっぜえっ」


「ハアッハアッ」


喧嘩終了。


理由、スタミナ切れ。


ただいま回復中。


くそっ容赦なく投げやがって。

枕いくつもってんだ?


お互いようやく落ち着いてきた。



そして、


「・・・行くわよ」


「は?」


「学校・・・明日からちゃんといくわ。

まったく、私は何をそんなに気にしていたのかしらね。自分でも馬鹿馬鹿しくなってきちゃった」


ようやく、文月がおれた。

てかこいつ、なんかキャラ変わってない?

いや、別に文句はないけどね。


明日から来てくれるのだから。


「ちゃんとこいよ?仕事が沢山あるからな」


「それは四十崎君一人でお願い」


ナンテコッタァイ・・・


「じゃあ、俺は帰るわ」


用事はすんだ。

明日から文月が来てくれるなら、もうここにいる必要はない。


身支度をして部屋を出る。


「ありがと」


部屋を出るときそんな声が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。





さて、文月ママに挨拶しないとな。


「お邪魔しましたー」


「いえいえ、また来て頂戴ね」


?なんかニコニコしてない?


「ありがとね、四十崎君」


お礼まで言われたよ。


「どうしたんすか?いきなり」


「いやね、始めてみたわ。あの娘が、誰かとあんなに激しく喧嘩しているところ」


・・・・・・・・・。


「元は暗い娘だからね、今でも家では暗いのよ。それが、あの佳奈が、あんなにも誰かと言い合って、大きな声を出すなんて。

何だか嬉しいわ」


笑顔な文月ママ。


泣いたあとが見えるような・・・

気のせいだな。


「またきてね、四十崎君」


「はい、またいつか」


俺は文月家をあとにした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「で、どうだったのよ」


帰宅早々妹が玄関にて待ち伏せをしていた。


「妹よ、普通は『お帰りなさい!お兄ちゃん♪』だろ」


「そのシスコン病は現代医学ではすでに手遅れの段階ね」


もうなにも言わない。


「ちゃんと話せたの?」


「喧嘩してきた」


「・・・・・・」


そんな目で見つめないで!


「・・・いいわ。その辺に関しては私もノータッチでいく。結果としてうまくいったの?」


だいぶ兄を理解してきたな。


「おう!バッチリさ」


「ならいいわ 」


リビングに戻る妹。


ホントにそれだけなのね。


まぁ、いっか。


今日は俺も疲れたし。


さっさと寝よう。


明日にはいつも通りの平穏が待っているのだろうから。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。


教室にはいると、


「おはよ、四十崎君」


文月がそこにいた。


「おう、おはよう」


良かった、いつもの文月だ。


文月がこちらにやって来た。


「あのね」


なんだ?


妙にもじもじしている。


・・・も、もしかしてあれか?告白ってやつか!?


ゴクリ・・・と唾を飲む。


文月の息が、当たりそうな距離まで来た。


口が、開く。


「私の秘密を誰かにいったら殺すから」


・・・・・・・・・・・・


ごめん、ちょっと理解できなかった。


え?なに?脅迫?


てかこんな人だったっけ?


「じゃあね!」


「おい!ちょっと待てよ!」


駆けていくその後ろ姿は、とても元気そうだった。

終わりました。


長編は難しいですね。長ければ長くなるほど落ちが高くなります。

・・・何か前もこんなこといったような気がします。


さて、次はどうしましょうかね。


感想をお待ちしております。


では、

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