Episode2
【8時間前 東京都 奥多摩天祖山】
現在時刻は12時前ぐらい。
なんせ電波が悪くて正確な時間がわからないからなんとなくでしか答えられない。
こんな時間に天祖山で何をしているのか?と問われたら俺は答えれない。
自分ですら何をしているか分からないからだ。
俺はこの探偵(?)である(亡)に言われてついて行っている。
20~30kg程はありそうなバッグを担ぎながら30分近くこの山道をひたすらに進んだ。
だが、目的地も何もかも俺は教えてもらえてない。
助けてやるとかいっちょ前にほざいておきながらその対象である俺に対しての説明は無いに等しい。
俺達はただひたすらに歩いた。
木々は俺達を見下すかのように暗闇から覗き、地面すら俺達を嘲笑っているようだった。
それはまるで
(こんな真夜中に来るなんて頭でもおかしいのかな?(笑))
と言っているようだった。
「着いたぞ」
そんな時、(亡)がその口をようやく開いたと同時に目的地にたどり着いたらしい。
「ここは…」
俺がこんな発言をしたのは目の前の光景に圧倒されていたからかもしれない。
絶景ではない。ましてや美の象徴などでもない。
俺の目の前にあるものは、まるで悪魔か何かが住んでいるのではないか?と疑問を持つほどに不気味で恐ろしかった。
大きさはそこまで大きくない。
きっと誰かが使い古した小屋の一つなのかもしれない。だが今はその何の変哲もない小屋からおぞましい嫌悪感が漂っている。
今時の現代ではTPOと言う言葉を義務教育の中で一度は聞くだろう。
TPOとはTime(時間)Place(場所)Occasion(場合)の略称であり服装やら言葉遣いなんかに使われる。
意味は服装や言葉遣いなどは時と場所と場合を考えて選びましょう。みたいな事だ。
俺は今このTPOと言う言葉が今のこの状況にぴったりな言葉だと思った。
もし、時間が昼だったら。
もし、この小屋が新しくこんな山中ではなかったら。
もし、今日が俺の命日と言われていなければ。
死ぬのは当然…当然かどうかは分からないが俺は怖いし死にたくない。
こんな早くに死ぬのはごめんだからだ。
30までは生きていたいものだ…
「おい、こっちに来い。」
「今からお前は知らないところに行くかもしれない。だがこれだけは伝えておく。そのバッグをしっかりと持っておけ。もし危なくなったらそのナイフでも使え」
そう言って俺が担いでいるバッグの横についてるポケットの中に入っているナイフを指さした。
「そして何があっても生き残ることを最優先で行動しろ。」
俺は正直理由がわからなかった。
言っている意味ではない。何を指して、何に対しての警告なのか。
これから何が起こるのか。
何をさせられているのか。
考える間も無く俺の意識は遠くなっていった。
その時の(亡)は片手にピエロのような仮面を持っていた。
俺は暗闇の中へと溺れていく。
もしここが終わりだとしたら、少し…ほんの少しだけ心地よいと思えてしまった…




