Episode1 亡き人探偵事務所
現在4月1日 朝7時
特別早く起きたわけではなく、かといって普段より早い。
夢のせいで目が覚めたのだろう。
今は両親共にいないから、親戚が面倒をみてくれている。
俺も高3だからある程度1人でなんとかなるが、金銭面の問題は解決出来なかった。
そこは親戚が出してくれている。
今日は不運な事にエイプリールフールだった。
まともに聞き入れてくれる人はいないだろう。
親戚に相談したがものすごく心配されただけだった。
なんせほんの2ヶ月で両親を無くしたのだから、心配されるのも当然と言えば当然だったし、俺は今でも悲しみから逃れられていなかった。
今日は朝からネットで夢に出てきた怪物について色々調べていた。
だが結局の所、特に有益な情報は1つも得られなかった。
俺はとりあえず色々物知りな友人に連絡してみる事にした。
あいつなら何か知っているかもしれない!
そう、淡い期待を込めて…
「ん?どうしたの《たっちゃん》?君から連絡してくれるなんて珍しいじゃん!」
「すまんな涼。少し聞きたいことがあるんだがいいか?」
「全然良いよ たっちゃん!どうしたの?なんか凄く元気が無さそうだけど、大丈夫?」
「あぁ実はな…」
俺は今日に見た夢の事と、両親が出てきた夢のこと、そしてその怪物について話してみた。
「なるほど…たっちゃん小説の読み過ぎだよw」
「しかも今日エイプリールフールだよ?確かに面白いけど現実味が欠けてるねw」
「…」
「ごめんごめん、冗談だよ。からかいすぎた。たっちゃんの話方的にマジな事は伝わった。
うん、そうだね…包帯巻くの失敗した眼球ミイラに角が生えてる。なんて話聞いたことないや!
ゴメンだけど俺にも分からん!」
「そや、そうか…。
まぁ涼が少しでも信じてくれて良かった。」
そんな簡単に良い情報が見つかるわけ無いとは分かっていた。
「だけど少しは力になれるかも。」
「本当か?」
「亡き人探偵事務所って知ってる?」
朝調べてる時に出てきた様な気がする。
確か探偵事務所とか掲げてるなんでも屋で、まともな相談は全て断られるらしい。
探偵がしそうな仕事なら尚更だ!なんて書いてある記事もあったぐらいだから…
「あの自称探偵事務所のことか?」
「間違ってはないけど、たっちゃん面白い表現だね!その事務所に相談してみたらどうかな?」
「え?でもかなりのぼったくりで、まともに依頼を聞き入れてくれないって…」
「依頼の相談は無料らしいから試しに送ってみたらどうかな?」
「わかった。駄目だと思うがやってみる。ありがとな涼。」
「いやいや、全然!だって友のためだし、俺だって竜也がいなくなるのは嫌だ。」
「ありがとう。頑張って足掻いて生きてみせるよ。」
「まぁ、でもあくまで《夢》の話だから、たっちゃんもあんまり真に受けないようにね!」
「あぁ、またな」
「じゃあね、たっちゃん!」
やはり持つべきは信じてくれる友人だ。
いざって時に助けてくれる人は1人でもいると心強いものだった。
涼は陽キャだし文武両道を体現しているような存在だった。
でももう、会うことはない…かもな。
俺は早速メールで事務所に相談してみた。
内容はどうしようか凄く悩んだ。
全てを嘘偽り無く書いたら無視されるのは目に見えていた。
なんせ今日はエイプリールフール。
イタズラだと思われてしまうだろう。
だから俺はこう送る事にした。
《依頼内容》
ここ数ヶ月の事なのですが、父と母が亡くなってしまったのです。これだけでは災難だったと思われるかも知れませんが、父と母がなくなる前にとある夢を見まして、父と母が同じように殺される夢でした。そして本日、私が殺される夢を見てしまいました。その夢が父や母と同じように殺される夢だったのはですが、どうか相談だけでも受けていただけないでしょうか?
無理だとは思った。
この様な文を送ってから10分後のことだ。
《メール》
はい、わかりました。では本日昼ごろにこちらの住所の2階に来ていただけますでしょうか。入られる時はインターホンを押してください。東京都中野区…
驚いた。まさか依頼を聞いていただけるとは思ってもいなかったからだ。
しかもこんなに早く…
俺はとりあえず向かう事にした。
ここからだと1時間はかからない程度の距離だった。
今は11時前、今から向かえば調度良いぐらいには着くだろう。
12時
一階に雑貨屋がある建物だった。よこの階段を伝ってドアの前に立ちインターホンを押した。
「どうぞお入りください。」
男性の声だった。
俺は指示に従って中に入った。
部屋はそこまで大きくなく、人が5人程度で調度良いぐらいの広さだった。
真ん中に大きめのテーブルがあり、その両端にソファーが置かれてあった。
この部屋の一番奥だろう。
社長のオフィスかのよな机の奥に座っている人がいた。
「さぁ、そこのソファーに座ってくれ。」
「はっはい」
俺は座った。
見た目は20代前半ぐらいだが、はっきりと見える程のクマが出来ているせいか若くは見えない。
「君が、竜田竜也か?」
「はい、そうです。」
「わかった。では夢について詳しく聞かせてくれるか」
「ちょっと待ってください!あなたは?」
「名か?俺は亡だ。こんな与太話はいらん。で、とっとと依頼について話せ」
俺は涼に伝えた事と似たような事を話した。
信じてくれるとは微塵も思っていない。
「なるほど、わかった。」
「え? 信じてくれるんですか?」
「じゃあこの資料の中にお前の見た怪物みたいなのがいないか探してくれ。今日はその資料をもって帰ってくれ。」
「え?」
手に取った資料はざっと漢字辞典なみに分厚かった。
「また、明日このくらいの時間に来い。」
「え?」
俺は気が付いたら追い出されていた。
そう、追い出されたのだ。
わけも分からないまま、漢字辞典なみの分厚い資料と一緒に…
午後9時
俺は資料を爆速で見漁りながら、ネットでさらに検索していた。
ネットではやはり有益な情報は何一つ見つからなかった。
が、あの気だるげそうな(亡)と言う人に貰った資料に進展があった。
驚いた。
なんせあの夢に出てきた怪物と同じ様な写真に近い絵がのってあったのだから…




