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8 空には、なにがあるんだろう?

 三年後。


 風よ。鳥たちよ。

 あなたたちは、どこに飛んでいきたいの?


 ほら。こっちにきて。と白虹こはくは言った。

 大丈夫だよ。怖くないよ。怒ったりしないし、君のことを食べちゃおうなんて思ってないよ。安心して。

 と言って白虹こはくはふふっと楽しそうに笑う。

 いい天気だよね。

 本当にいい天気。

 なんだか、ねむたくなってくるよね。

 ずっとねてたんだけどさ。ねむくなっちゃう。

 そう言って、白虹こはくは、うーんと両手を上に伸ばして、せなかをのばした。

 それから、白虹こはくは、その小さなせなかにある二つの白い翼を、ばさっと一度、大きく羽ばたかせた。

 どうしたの?

 落ち込んでるんだ。

 ふーん。

 なにか、とってもいやなことがあったんだね。よし。わかった。じゃあそのいやなことを私にお話ししてみて。

 ぼくは白虹こはくに、ぼくにあった『いやなこと』を言った。

 ふんふん。なるほどね。

 そんなことがあって落ち込んでいるんだ。

 わかった。

 じゃあ、これから私と一緒に遊ぼうよ。

 君が笑顔になるまで一緒にいてあげる。

 だから安心して。

 もう大丈夫だよ。


 つばさふれんど。

 登録人数。〇〇万人。

 おめでとう。


 空には、なにがあるんだろう?


「空には、なにがあるんだろう。本当は、なんにもないのかな?」とこはくは言った。

「夢があるんだよ。こはくとぼくの夢。そうでしょ?」とことりは言った。

「うん。そうだね。そうだった。ちょっとだけ忘れてた」とにっこりと笑って、こはくは言った。

 琥珀の顔。

 こはくの笑顔。

 その笑顔をぼくは、いつまでも、いつまでも覚えていようと思った。

 絶対に。……、絶対に。いつまでも。

 いつの日か、もう一度、空の中で、ぼくがこはくと出会うときまで。

 そのときにはいっぱいお話をするんだ。白虹こはくが、こはくとぼくの夢が、こんなにもたくさんの人たちを幸せにすることができたんだよって。

 小鳥はこはくと一緒に歩いた道を今はひとりで歩いている。(ときどき、とっても不安になる。とっても怖くなる)だけど、大丈夫。ぼくはきっと大丈夫なんだ。(そうだよね。こはく)

 そんなことを、吸い込まれそうなほど美しい青色の春の空を見ながら、満開の桜の咲いている、桜の花びらの舞っている、買い物帰りの道を歩いていた小鳥はふと立ち止まって、こはくを思い出して、そう思った。


 ことり。あなたならきっと夢をつかむことができるよ。


 白虹こはくは、あきらめない。 終わり

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