6 歌 星のこどもの笑い声。
歌 星のこどもの笑い声。
ねえ、見て。
星のこどもが笑っているよ。
なにがあったのかな?
どうする?
聞いてみる?
聞いてみたら、ちゃんと教えてくれるかな?
みんなと仲良くなれるかな?
お友達になれるかな?
なれたらいいね。
そしたらみんなで遊ぼうよ。
あの、広い夜空の中で。
みんなで遊ぼう。
きらきらと光ろうよ。
夜が明けるそのときまで。
みんなで輪になって遊びましょう!
琥珀 こはく
こはくがお医者さんに言われていたとおり、病気で死んでしまったとき、ぼくも死んでしまったのかもしれないと思った。(ことり。私のお願い。聞いてくれる? 私ね。夢があるんだ。ずっとやってみたいって思っていたことがあるの。……、そんな風に、恥ずかしそうにしながら、ぼくに『笑顔』で夢を話してくれたこはくのことを思い出した)
なんだか、ぼんやりとしてしまって、夢を見ているみたいだった。
本当に、ずっと、ずっと、夢を見ていたのかもしれない。
こはく。
……、こはく。
小鳥は一人で、ずっと泣いていた。
暗い部屋の中で。
こはくと一緒にずっと暮らしていたアパートの小さな部屋の中で。
たくさんの思い出のある場所で。
ずっと、ひとりぼっちで、泣いていた。
こはくはずっと笑顔だった。
最後の最後の、……、本当に最後のそのときまで。ずっと、笑顔だった。
それはさ、本当の笑顔だったのかな?
それとも、嘘の笑顔、だったのかな?
こはく。
琥珀。
あなたはこはくとして、白虹こはくとして、みんなを笑顔にする、幸せにする、アイドルとして、笑っていたのかな? (……、本当は、死んじゃうのがいやで泣いていたのかな?)
こはくの笑顔は、(泣いていた)ぼくのための笑顔だったのかな?
ねえ、こはく。
どっちなの?
「大丈夫。もうわかってたことだから。ことり。私のお願い。聞いてくれて、本当にどうもありがとう。大好き」
(琥珀の最後の笑顔は、星みたいに、きらきらと光っていて綺麗だったな)
小鳥は暗い部屋の中で、ひとつだけ光っているところを見る。
それはパソコンの光だった。
その、暗い夜の中で、一つだけ光っている星のような光の中で、『白虹こはく』が、小鳥を見て、にっこりと楽しそうな顔で笑っている。