表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

6 歌 星のこどもの笑い声。

 歌 星のこどもの笑い声。


 ねえ、見て。

 星のこどもが笑っているよ。

 なにがあったのかな?

 どうする?

 聞いてみる?

 聞いてみたら、ちゃんと教えてくれるかな?

 みんなと仲良くなれるかな?

 お友達になれるかな?

 なれたらいいね。

 そしたらみんなで遊ぼうよ。

 あの、広い夜空の中で。

 みんなで遊ぼう。

 きらきらと光ろうよ。

 夜が明けるそのときまで。

 みんなで輪になって遊びましょう!


 琥珀 こはく


 こはくがお医者さんに言われていたとおり、病気で死んでしまったとき、ぼくも死んでしまったのかもしれないと思った。(ことり。私のお願い。聞いてくれる? 私ね。夢があるんだ。ずっとやってみたいって思っていたことがあるの。……、そんな風に、恥ずかしそうにしながら、ぼくに『笑顔』で夢を話してくれたこはくのことを思い出した)

 なんだか、ぼんやりとしてしまって、夢を見ているみたいだった。

 本当に、ずっと、ずっと、夢を見ていたのかもしれない。

 こはく。

 ……、こはく。

 小鳥は一人で、ずっと泣いていた。

 暗い部屋の中で。

 こはくと一緒にずっと暮らしていたアパートの小さな部屋の中で。

 たくさんの思い出のある場所で。

 ずっと、ひとりぼっちで、泣いていた。

 こはくはずっと笑顔だった。

 最後の最後の、……、本当に最後のそのときまで。ずっと、笑顔だった。

 それはさ、本当の笑顔だったのかな?

 それとも、嘘の笑顔、だったのかな?

 こはく。

 琥珀。

 あなたはこはくとして、白虹こはくとして、みんなを笑顔にする、幸せにする、アイドルとして、笑っていたのかな? (……、本当は、死んじゃうのがいやで泣いていたのかな?)

 こはくの笑顔は、(泣いていた)ぼくのための笑顔だったのかな?

 ねえ、こはく。

 どっちなの?

「大丈夫。もうわかってたことだから。ことり。私のお願い。聞いてくれて、本当にどうもありがとう。大好き」

(琥珀の最後の笑顔は、星みたいに、きらきらと光っていて綺麗だったな)

 小鳥は暗い部屋の中で、ひとつだけ光っているところを見る。

 それはパソコンの光だった。

 その、暗い夜の中で、一つだけ光っている星のような光の中で、『白虹こはく』が、小鳥を見て、にっこりと楽しそうな顔で笑っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ