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アスカニア大陸戦記 旅立ちの大空【R-15】  作者: StarFox
第三章 獣人都市

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第三十話 ハーレム・シティ

 ゲオルグたちは、レジーナとレベッカを連れて再び揚陸艇に乗り込むと、二人の案内で揚陸艇で獣人(ビーストマン)たちの街へ向かう。


 揚陸艇は街の上空に入ると、ほぼ街の中心にある広場に着陸する。


 街の獣人(ビーストマン)たちは、突然、空から現れた帝国軍の揚陸艇に驚き、蜘蛛の子を散らしたように逃げ出したが、揚陸艇が広場に着陸して跳ね橋を降ろし、中からレジーナとレベッカが出てくると、逃げ出していた街の獣人(ビーストマン)たちは、揚陸艇の周辺に集まってくる。


 集まってきた獣人(ビーストマン)の女の子が二人に話しかける。


「レジーナ!? レベッカも! 二人とも、どうしたの!?」


 レジーナ、レベッカの二人は得意げに、周囲に集まる獣人(ビーストマン)たちに対して、人狩りに襲われ、ゲオルグたちと知り合った経緯を話す。


 レジーナは声高らかに宣言する。

 

「さぁ! 帝国の皇子様を族長のところへ案内しないとね!」


 レベッカもレジーナに続いて叫ぶ。


「みんな! 皇子様が通るから道を開けて! 開けて!」


 獣人(ビーストマン)たちは通りの左右に分かれ、揚陸艇から降りてきたゲオルグたちに道を開けていく。


 ゲオルグは、跳ね橋から街の様子を見て、大勢の獣人(ビーストマン)たちが集まってきたことに苦笑いする。


「すごい人数だな」


 クラウディアはゲオルグの隣に並んで答える。


「空から見たとき、結構、大きな街だったしね」




 ゲオルグたちはレジーナとレベッカを先頭に、街の通りを族長の屋敷に向かって歩いていく。


 通りの両脇には、『ゲオルグたちを一目見よう』と大勢の獣人(ビーストマン)たちが集まって来ていた。


 集まった獣人(ビーストマン)たちは、通りを歩くゲオルグたちを見て、次々と口を開く。


「見て! 帝国の皇子様よ!」


「あれが皇子様……」


「皇子様~!」


「美形ね!」


「美形!」


「カッコ良い!」


(つがい)の女が五人もいるの!?」


「良いなぁ~」


「きっと、それだけ夜が強いのよ!」


「ええっ!?」


「そんなに凄いんだ」


 ゲオルグは、獣人(ビーストマン)たちから自分に向けられている熱い視線を感じ取り、前を歩くレジーナに尋ねる。


「なぁ、レジーナ。周囲から『凄く熱い視線』が集まっているのを感じるんだが、そんなにこの街を訪れる人間が珍しいのか?」


 レジーナは少し考えると、ゲオルグに答える。


「ん~。皇子様が『男』だからじゃない?」


「は?」


 レベッカは、レジーナの言葉を補足する。


「この街じゃ、男の人は珍しいから」


 ゲオルグは、二人の言葉を聞いて改めて通りの両脇を見回すと、集まって来ているのは、皆、獣人(ビーストマン)の女の子たちであった。


 ゲオルグは、再び二人に尋ねる。


「街には、どれくらい獣人(ビーストマン)がいるんだ? 男はいないのか?」


 レジーナは、答える。


「ん~。街には一万人くらいいるよ」


 続いて、レベッカが答える。


「街にいる男の人は、族長くらいかな。他の男の人は、傭兵団と契約して街を出て四~五年は帰ってこないし、街に残っていた男の人も、人狩りと戦って捕まったり、死んだり……」


 ゲオルグは、改めて自分を取り巻く状況を認識すると、生唾を飲み込んでから、ひとこと呟く。


「この街は、女が一万人いて、男はオレたちと族長だけなのか……」


 レジーナは悪戯っぽい笑顔を浮かべながら告げる。


「そういうこと! 皇子様に限らず、後ろの二人も気を付けてね!」


 レベッカが続く。


「そうそう。私たち獣人(ビーストマン)は『欲しければ取る』『早い者勝ち』だからね!」


 悪友二人、マティスとオズワルドは、引きつった笑顔を浮かべ、ゲオルグは歩きながら両隣のクラウディア、ゾフィーと腕を組む。


「ゲオルグ様!」


 ゾフィーは嬉しそうに笑顔を見せるが、クラウディアは、普段と様子が違うゲオルグを心配して尋ねる。


「急にどうしたの?」


 ゲオルグは真剣な顔でクラウディアに答える。


「二人とも、オレから離れるなよ。オレは生まれて初めて『男であること』に身の危険を感じるんだ」


 クラウディアは、ゲオルグの言葉の意味を察し、対照的に今の状況に気分を良くする。


 通りの両脇に集まる獣人(ビーストマン)の女の子たちは、ゲオルグに熱い視線を向ける一方で、隣にいる自分とゾフィーに羨望のまなざしを向けていた。


 自分とゾフィーがゲオルグの(つがい)としていなければ、通りの両脇に集まる一万人の獣人(ビーストマン)の女の子たちは『ゲオルグを自分の(つがい)にしよう』とゲオルグに一斉に襲い掛かってくることが容易に想像できた。


 ゲオルグが自分を(つがい)(妃)として必要としていること。


 自分がゲオルグの(つがい)(妃)として、一緒に腕を組んで街の通りを歩いていること。


 将来、自分がゲオルグの正妃となったら、毎日、こういう風に周囲から羨望のまなざしを向けられるだろう。


 クラウディアは、すっかり『帝国第四皇子正妃』になった気分であった。


 ゲオルグたちは四半時ほど通りを歩くと、族長の屋敷に到着する。


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