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黒幕が多すぎる。

作者: スゞラ



この作品は黒幕ラスボスが多すぎる。


黒幕ラスボス。大抵、ストーリーがある作品には登場するそれ。大人気作から私のようなしがない老いぼれ作家が創るものまで幅広く登場する。



加藤和宏、67歳。ーー自称、漫画家。



漫画家としての収入、


(ゼ〜ロ〜♪)※某ニュース番組のテーマソング風


「……」


(いかんいかん)


才能はいつ開花するか分からない。60代でも花開く人はいると信じて、今日も創作に励む。


(しかし、どうしたものか……)


今描いている作品は我ながら自信作である。まだ発表はしていないが、出せばきっと大ヒット作になるだろう。コンテストで大賞を取り、ニマニマ微笑む私の姿が目に浮かぶ。


そんな自信作だが、ひとつ致命的な欠点があった。


黒幕ラスボスが多すぎる」


伏線を貼りすぎたが故に、黒幕ラスボス候補が大量発生してしまった。黒幕ラスボス候補のキャラクターたちは、皆黒幕になりたそうな顔をしていた。


(さて……)


長い戦いの始まりである。



黒幕ラスボスは10人も要らない。集団黒幕ならまだ致命的ではないが、主人公と一騎打ちにしたい。


主人公とタイマンを張る相手が10人も居たら、収拾がつかない。


(誰をクビにしようか……)


昔、同僚をクビにした上司もきっとこんな気持ちだったのだろう。じわりと汗が滲み、申し訳ない気持ちで一杯になった。


しがない老いぼれ漫画家、67歳。


こんなやつにクビにされてたまるかと言わんばかりにキャラクターたちは睨みを利かせる。



結果的に2週間近く悩み、自分が生み出したキャラクターたちに、リストラ宣告を行った。



しかし、締め切り直前で、応募しようとしていたコンテストが1年前のものであったことに気がついた。結局、せっかく描いた作品をお蔵入りにせざるを得なかったのだが、この時の私はまだそれを知らなかった。

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