(1)
潮風漂う港街に 今日も人魚は佇む
眼下に映るは希望の光 飛び立つ鳥のさえずりに情愛の音を重ねて
奏でる奏でる 人魚は奏でる
竪琴を弾き 黒き髪を梳き流し
愛しき男を求め 募る想いに恋焦がれ
人魚の歌声は 大海原へと響き渡る
(2)
夕日に沈む港街に 今日も人魚は待ち続ける
胸中を揺るがすは不安の色 行き交う汽笛に憂愁の音を重ねて
奏でる奏でる 人魚は奏でる
竪琴を震わし 青き瞳を揺り動かし
愛しき男を求め 募る想いに恋焦がれ
人魚の歌声は 大海原へと微睡む
(3)
月夜に眠る港街に 今日も人魚は沈み行く
身体を撫でるは嘆きの風 波打つさざなみに悲嘆の音を重ねて
奏でる奏でる 人魚は奏でる
竪琴をかき乱し 白き頬を泣き腫らし
愛しき男を求め 募る想いに恋焦がれ
人魚の歌声は 大海原へと溶けていく
(4)
潮騒の港街に 人魚の姿はついに消える
海辺に遺こるは懐かしき日々 彼の日に旅立った想い人の面影に後悔の音を重ねて
奏でる奏でる 人魚は奏でる
竪琴を置き去り 涙を拭い去り
愛しき男を忘れようと 募る想いを泡に委ねようと
人魚の歌声は 今日も大海原を廻り続ける