1「双子」
文明の発展により、私たちは一人に一体ずつ、自らの姿によく似た人工生命体を所持するようになった。
機械とはいえど、彼らは見た目も振る舞いも人間と全く変わりない。電気信号が神経を通るか、回路を通るかの違いくらいかしら?
私のアンドロイドも当然私と瓜二つで、私たちは幼い頃から一緒に育ってきた。私の成長を模倣して形態を変化させ、彼女はいつだって私の傍にいた。
喧嘩とも縁はない。私たちは誰よりも堅い絆で結ばれた双子であり、唯一無二の親友だった。
でも彼女はそうは思っていなかったみたい。
私が十五を迎えたこの日、彼女は刃物を持っていきなり私の胸を貫いた。あなたの偽物として生きるなんて真っ平ごめんだわ、と声を荒らげて叫びながら。
私は応えず、目を丸くして自らの胸に空いた穴を指し示した。
「ねえ、これってもしかして動力コア?」
私の胸でどくん、どくんと脈打つそれは、どう見たって機械のそれである。
なるほど、どうやら両親は私たちが幼い頃に、どちらがタンパク質の娘でどちらが金属とシリコンの娘だか分からなくなったらしい。
幸運にも胸を貫いたくらいじゃ停止しないアンドロイドだった私と、人間の彼女は、すぐに仲直りした。
おかしいと思ったのよね。だって私、今まで一度だってあなたに攻撃的な感情を抱いたことはないわ。