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就職活動と占い師

僕は高校3年生の時、人生初の占いをした。料金は五千円でした。

占い師の方は僕の叔母との知り合いだったので安く占ってもらった。


わざわざ、実家まで来てもらい、テーブルの上で『タロット占い』というカードの占いをしてもらう事になった。


占い師の方に何を知りたい?と聞かれ、高校3年生だった僕はこの先の進路を聞きたかったため、こう答えた。


『卒業した後の僕は何をしていますか?』


占い師が『占ってみますね〜』と言い占いが始まった。


顔を香水のようなもので清めてもらい、カードをシャッフルした物を僕に引かせ3枚のカードがでた。


左から過去、現在、未来?のようにそれぞれの場所に意味があるようで、占いが終わる頃には9枚ほどのカードが並べてあった。今ではそこにあったカードの意味もあまり覚えていないのだが今でも覚えている事が一つあった。


その占いでわかった事は『海外に行く』という事だった。


その日は海外に行けるんだ!やったーと無邪気にはしゃいだ。現実を忘れ。


そして次の日にはクラスの全員に伝えた。


『俺は海外に行く』と。


僕はどうすれば海外に行けるのかも全くわからなかったがとりあえず行くんだと決めていた。


クラスのみんなから実際、どう思われていたのかわからないが、『世界のコウヘイ』と呼ばれるようになったのはその時がきっかけだっただろう。


僕はなかなかの問題児で、どれぐらい問題児かというと、授業中自分のワイシャツに世界のコウヘイと書道の墨で書いて学校に親を呼ばれるくらいである。


だが、実は問題児だったのは学校の中だけだった。外では礼儀の正しい優しい子だった。

友達や先生など周囲の影響で自分の性格がどれほど変わってしまうのかを知っているからだ。


あなたの知っている通り、類が友を呼ぶという言葉は実際に起き、高校生になってからは僕に似た変な人が周りに多かった。


そのおかげで、海外に行くという僕の非現実的な言葉を誰一人、否定せず、笑って聞いてくれたんだと思う。


そんな楽しい事がありつつ、周りは受験や就職活動で少しずつピリピリしてきていた。


その時、僕が何をやっていたかというと『就職活動』であった


どうして海外に行くと言っていた僕が受験活動をしていたのか今ではさっぱりわからないが、求人募集の紙を読むのは意外と楽しかった。


学校推薦で仕事につく予定だった僕は先生方からも厳しい指導があり大変だったが、早速1社目の面接に行った。


結構な大企業で給料も中々良く、ボーナスもあった。


面接では人柄も良く、笑顔が絶えない僕が落ちる訳ないと思っていた。


だが筆記試験で落ちた。


見たこともないような計算式が出てきた正直ページもめくる気にはなれなかった。


その一週間後、先生は悔しそうな顔で僕に言った。


『合否の結果が遅いから俺から連絡したんだが落ちてたらしいぞ』


僕はまあ、そうだろうなと思ったが悔しそうな顔をしてこう言った。


『そうですかぁ』


そして2社目を受けるとすぐ決め、今度は筆記試験がないところを選んだ。


面接だけならすごい自信があったため、相手に好印象を与える事ができ、受かった。


だが僕はその会社に行くことはもう二度となかった。


会社に合格して二週間後、体育館でブレイクダンスの練習をしている時A君(マッチョのスキンヘッドのお兄さん)が僕に話しかけて来たのが運命の始まりだった。



A君はドアを開けて逆立ちをしている僕を見て


『君、何してんの? かっこいいね』


まさか、この人が僕の平凡な日常から世界のコウヘイに変えてくれる人だとは思ってもいなかった。






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