お目付け役
夜の女王の娘、夜の女であることを捨てた桜は、「女優退場」という幕切れで、一つの落としどころを迎えた。
改心した戸籍上の父親と、父子家庭としての日常が始まっていた。
だが、ここに落としどころのついてない者がいた。
喜多「愛様(怒)」
愛は、自分の両手を見つめて憮然としている。
むしろ、桜の事が一応解決したことで、余計に心が折れたのだ。
喜多「愛様(怒)(怒)」
愛「喜多」
喜多「なんでしょうか?」
愛「無理きいてくれたら、喜多の言うこと何でもきく」
喜多「本当ですか(怒)」
愛は、何度も、喜多の家庭教師から逃げてきた。
愛の大学休学後、祖父のCEOが、週あたりの回数を増やしてからも、隙有らば逃げるばかりだった。
愛「喜多の身体を見てみたい全部」
火に油を注いだのは、言うまでもない。
だが。
喜多「漢…、いえ、女に二言は有りませんね(怒)」
愛「おぅ」
喜多は、上着を脱ぎ、裾の長めのスカートを脱ぎ、……残るは、下着二つだけになった。
最初は、私が、何でこんなことを……だったが、ここまできて吹っ切れたのか。
パンツに手をかけて脱ぐ。
最後に残ったブラジャーを外しにかかる。
つんとした胸が露になる。
愛は、そうしないと怒られると思って、しっかり見つめた。
頭の先から脚の爪先まで、しっかり見つめた。
喜多「横を向きます」
胸との形、おしりの形がよくわかる。
喜多は、ちょっとだけお腹が出ていることを恥ずかしがっている。
喜多「後ろを向きます」
女特有の丸みをおびた身体。
愛は、「夜の女王」の穢れた裸身が消えていくような気がした。
どれだけの時間がたったか
喜多「さすがに恥ずかしいので終わりにしてもいいですか?」
愛「もういい」
喜多「愛様、いいと言うまで、部屋の外へ出てもらいますか?」
正面を向いた喜多が立っていた。
少しだけ出ているお腹を気にしていた。
他は、露のまま……
愛は、言われるままに部屋を出る。
喜多「愛様、お入りください」
愛が、部屋にはいると、喜多は、しっかり正装に戻っていた。
喜多「愛様、さあ、お勉強しましょう」
満面の笑顔で喜多に迎えられた。
これ以上、恐ろしい光景はなかった。