夜の女王の娘 改3
愛は、第一社宅についた。
CEOは、一階にある会議室へ、商談の相手がそこで待っているようだ。
愛と、桜は、同じ一階の大部屋に。
少し時間がたって、入ってきたのは、喜多だった。
喜多「申し訳ありません、3人でホテルで夕食を済まして来ると思ってましたので、私の拙速な手料理しか用意できませんでした」
愛「いいよ食えれば」
喜多「」
喜多は、イラっと、一瞬顔がひきつった。
桜「ありがとうございます。いただきます」
桜は、喜多の手料理を口にすると、鬱な状態から少し笑顔が戻った。
愛も、憎まれ口はたたいたが、まんざらでもなかった。
桜「ごちそうさま」
愛「ごちそうさま」
喜多は、食器の片付けをして下がろうとしたとき。
愛「なあ、母親と何があったんだ?」
喜多の動きが止まった。
喜多は、愛の世話がかりだけでなく、家庭教師であり、お目付け役でもあった。
桜は、重い口をやっと開き、自分と、姉の「楓」が、いわゆる托卵だということ、家庭崩壊のはてに姉の楓が死亡し、かろうじて灰が残っただけなこと、自分自身に大人の女のあかしがきたことを告白した。
喜多「愛様」
喜多が、愛の異変に気付いた。
喜多「愛様、いっそ、吐いてしまってください」
愛「そんな、勿体ない…」
喜多が、自分の背中をさすろうとしているのをはねのける。
喜多「愛様…」
サクラママのことを単なるとうのたった中年だと思っていた。
だが、「女」という存在の黒い実態、現実を目の当たりにした。
自ら女になることを望み、女になったことを後悔すらした。
そして
喜多「大丈夫ですか?」
愛「なんとか、落ち着いた」
喜多は、愛の布団の隣に、自分の布団を用意して、灯りを付けたまま寝た。