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ANXIETY 4-3

ハリケーン怖い。

「────……ぁ……?」

「っ……お気づきになられましたか、カイン様」

 エレインの眼下で、その男は声を漏らした。

 顔が見えないために目覚めたのかも分かりにくいが、眼光が動いて辺りを見渡しているのだからきっと覚醒したのだろう。

「ああ……? なにか、あったか」

「カイン様が突然倒れてしまわれたのです。お声がけしても返事が無かったものですから、まずは安静に……と思った矢先、目覚めてくださいました」

「そう……だったか。手間をかけさせてしまったか」

 体を起こそうとしていた力を抜き、カインはエレインの腿に身を預け直した。そうして軽く腕を上げて時計を確認するも、証言通りと言うべきか時間はほぼ変わっておらず、推測するにものの数分だろう。

「お体の具合がよろしくなければ、このまま……」

「……夢見は最悪だったが、やることがある。休息はそれが終わってからにしょう」

「ですが、また倒れてしまわれては」

「体の限界は自分がよくわかる。おそらくは精神的なものだろう。異世界だの魔獣だの魔物だの、理解し難いものがこうも続けば負担にもなったようだ」

 そう言ってカインは大きな溜息を吐いたものの、起き上がる気配は感じられなかった。

 むしろ、眼前にそびえるエレインをじっと見つめているような気すらしてしまう視線は本人も感じ取っているようで、どこか気恥ずかしそうに頬を染めていた。

「あの、カイン様?」

「……なぜ、そんな顔を」

「顔、ですか?」

「その表情には覚えがある。だが、その顔になんの感情が込められているのかがわからない」

「感情と申されましても……」

 時折口にする”そう学んでいる”という言葉や、どうにも他者に対して冷たい態度、誰かを心配するのが理解できないような口振りは疑問が残る。

 ある意味では失礼に当たる言葉に即答することもできないが、それでも必死に考え、ある疑問が浮かんだ。

 彼に、人並みの心と共感覚は有るのだろうかと。

「有る。と、私は考える」

「──っ」

 エレインは思考を読まれたような錯覚すら抱いたが、違う。知らず口に出していたらしい。

 狐面が外れているせいで口元すら見えないが、その声はいつも通り……いや、それよりも穏やかなものだ。

「少なくとも、私はこの世界に来てから2度感情で行動した。……そう解釈している。1度目は勇者にマリーが召喚されたと聞いた時、2度目は先日森の中で魔獣に誘われた時。何度思い返そうともなぜその選択をしたのかはわからないが、私は確かに利害や合理性ではないもので突発的な選択をした。加えて、こちらに来る以前にも経験がある」

 淡々とした口調からは読み取れないが、エレインには彼が困惑しているのはわかった。その上で答えを求め、されども手掛かりを得られずにいるのだと、触れているからこそ感じ取れるものがあった。

 彼にはそれがわからないのだろうか。生きていれば誰しもが、動物と呼ばれるものがおよそ持ちうるものが。

「勇者に関しては今思い返しても結果は同じだが、魔獣の提案には一考の余地があった」

「提案? 魔獣が言葉を発したのですか?」

「一緒に勇者と戦わないか、と言われたな」

「魔獣が人の言葉を……。200余りと若輩の命ではありますが、噂ほどにも聞き及んだことがございません、よほど高等な種だったのでは」

「おそらくは。私の世界でも同じ……あるいは極めて類似する種は高い知能をもつことでよく知られていた、手段さえ違えど人間と会話もしていたからな」

 もしも魔獣となることで寿命や知性が伸びるのであれば、それもありうるのだろうか。あるいは魔素にそういった効果があるのか。それらは推測を出ておらず憶測にも等しいが、可能性として捉えることはできる。

 そうだとすれば、あの時カインが無下に断ったのが正しい選択かはわからない。ヤコから提供された情報──勇者の次の目的地が魔王領王都であるとの証言──は彼女らが逃げてくる前の、つまりは幾分か古いものだ。それに対してあのゴリラはこれから起こりうる未来を提示していた。

 追って討つか、備えて待つか。どちらもリスクを伴うにしても、彼が出した答えはそれらを一蹴していた。

 とても理性による判断とは言えないものだ。

「どちらがより良い選択だったかはわからない。……生きていれば、そういった選択はいくらでもあるがね」

「わたくしはカイン様を信じております。例えその道になにがあろうとも」

「過剰な信頼は懐疑を生みかねない、やめておきなさい」

「いいえ。過剰ではございません」

 柔らかな髪を揺らしながらにエレインが首を横に振ると、その目は極めて真剣で、それが本心の様にも見えてくる。

 虚をよしとしない戒律から考えても、本心なのだろうが。

「この耳を見せたその時から、わたくしはカイン様に己を捧げたのです」

「……なんだそれは。まるで預言者に従う者たちのようだ」

「あっ……ええと。これはエルフに伝わる習わしで、改宗した今のわたくしには相応しくないものかと思われます」

 くすりと笑って見せていたが、要するにエルフ内の宗教的習慣なのだろう。他の宗教に鞍替えしたエレインには確かに相応しくないかもしれないものの、発祥が宗教に依るものでも根付いてしまっているのなら仕方のないこと。

 改宗しても禁忌に当たらないのなら、気づかないものだろう。

「耳を出す、というのはエルフにおいて何を意味するものなんだい」

「婚姻です」

「そうか。婚……は?」

「成人となった女性のエルフが耳を公に晒すのは、伴侶の傍らでのみとされています」

「…………頭痛がしてきた」

「ですから、少しお休みになられた方が」

「休んで治るものではなさそうだ」

 募りを覚えながらもカインが体を起こし、思い当たる問題の多さに嫌気こそ感じつつもそれらを振り払って立ち上がった。

 何事もなかったようにとまではいかないようだが、元の作業に戻ってしまったカインの半歩後ろにエレインが立ち並び、その姿を静かに見守っていた。足元はしっかりしているし、つい先ほどまで倒れていたなど言われても信じられない程にいつも通りの姿に安心するべきなのか、あるいは虚勢なのかは判別もできないが構いやしない。

 彼女はただ見守っていたいだけなのだろう。だからか、それからは何も言わずカインに従うばかりだった。

 あれこれと指示されたものをダンボール箱に詰め、いつしかカインですら持ち上げるのに腰を心配する重さになったそれを軽々と片手で支える様は驚きすら通り越していたのか、なにをコメントするでもなく漠然とカインは受け止めていた。

「この筒は何に用いるのでしょうか?」

「その筒の中を弾頭が……君が杭と言った物の先端が通り抜ける道になる。使うには下で2人に渡した物と組み合わせる必要があるがね」

「では、そのために?」

「そういうことだ。……アクセサリーはこれで十分か。さて、戻るとしよう」

「そちらもわたくしがお持ち致します」

「そこまでされてはかなわん」

 2人は同じ大きさの箱を抱えてはいるが、中身は一見してわかるほど量が違う。エレインの箱からはライフルのアッパーセットが4本と、よく似たアッパーが装着されたライフルが1本、他にもマガジンだなんだと沢山の物がはみ出ているのに対し、カインの持つ箱は手の平ほどの大きさの部品がごちゃごちゃと詰め込まれているのものの、重量差は圧倒的だ。

 肉体の基礎的な部分が違うとしても、大きく頼るのは気が引けるらしい。

 そういった思想があるあたり、進言通り心があるのだろう。改めて僅かな実感を得るエレインだった。

「足下には気をつけなさい」

 足元が荷物で見えづらいが、エレインはまるでお構いなしに階段を下っていた。エルフにそういった認知能力があるのか、それとも本人の素養か。どちらであれ、そこらの人間よりか極めてスムーズな足取りだ。見知らぬ建物だというのに足を着く場を探っている様子すらない。

 幾分か余計な時間がかかってしまったが、カインとエレインが戻ってきた時には下にいた2人はライフルを組み終え、何やら談笑していた様子だった。

「確認は済んだか」

「あ、おかえり」

「どちらのトリガーも癖がある。しっかりと馴染ませておけ」

「あー、その事なんだけどよ」

「早速注文か?」

「言うよりやってもらった方が早いかな。これ、動作確認してみて」

 箱をワークベンチに置いてからライフルを受け取ったカインがチャージングハンドルを引くと、妙な空白と違和感があった。原因にすぐ気がついたのかストックを折り畳むと、予想通りとあるパーツが欠落していたのだ。

 そうしてワークベンチに目をやれば、組み込むべき部品がそのまま置いてあった。

「……すまん、私の説明不足だ」

「解決すンのか」

「このピストンのような部品があるだろう。アッパーを組んだあと、これをアダプターからボルトキャリアに差し込む必要があった」

「延長?」

「そうだ。フォールディングアダプターを咬ませた分生まれる隙間をこれで埋める形になる。が、これはアッパーを組みつけた後に差す必要があったんだが、それを言い忘れていた」

 アベルにライフルと部品を渡し、ヴァースにも配るとストックを折り畳むように指示しはじめた。

「ストックを畳むには根本のボタンを押し込みながらだ。……細かい仕様については体で覚えてもらうとして、このフォールディングアダプターを組み込んだことで初歩的な分解に大きな違いが生じる、そればかりは最優先で覚えろ」

「ンで? 手順は」

「違いはフレームを開く(テイクダウン)時だけだが、フレームのピンを抜く前にストックを折り畳んで、今配ったボルトキャリアエクステンションを脱着することだ。これもアダプターのボタンを押し込みながらだ」

「じゃねェとひっかかるわけか」

「大した手間じゃないね」

「だが、大事な事だ。やってみろ」

 アベルとヴァースがそれぞれフォールディングアダプターからボルトキャリアエクステンションを差し込んでストックを延ばしてみれば、今度はチャージングハンドルを引く時に違和感は 無く、慣れ親しんだ動作をしていた。

 念には念をとカインがそれぞれのライフルの動作確認をしてみるが、これといって気になる所は無かったようだ。

「フレームを分離してみろ」

「……っと? キャリアがくっついてきてやりづれェな」

「キャリアごと抜いてからの方がいいんじゃない? ほら」

「あー、そか。後ろには抜けンのか」

 少しばかりもたついたものの、2人はエクステンションを抜き取ってフレームを分離させた。あとはこれを繰り返し行って染み込ませるだけなのだが、悠長なことをやっている時間はない。

 だからこそ、最優先で覚えろということなのだろう。

「ひとまずはそれぐらいだ。途中、私の指示で分解させるから忘れるな」

「うえぇ。基礎訓練時代に戻ったみたい」

「そういやテメェら、なンかそういう組織に居たンだったか」

「ああ。2人で動き始めたのは抜け出した後だが」

「そりゃ準軍事活動部隊で手に負えねェわけだ。お前らの相手をした奴の中にゃ、”あいつら、実はチーム6か秘密警察じゃねえのか”なンて愚痴る奴もいたぜ」

「国籍は秘密でーす」

「金やプライドを原動力にするような奴らと一緒にするな」

 もはやその規模の話を越えている気はするが。

「ともかく、我々の背景を明かす気はない。推測は勝手だが、少なからずカオナシとツラハガシは如何なる組織にも帰属しないな」

「組織的援助なしであれだけの活動ってのも、ほンっと恐ろしいなテメェら」

「援助はあったよね?」

「主に各国官僚からな。軍や警察から増援を派遣されたこともある」

「……そこは聞けるか?」

「隠喩だけなら構わん。ナイト、ボーニャ、ジェロニモ、アルファ、クラウン、ホーク、グロンツ、サッチャー、ゲイザー、他多数。世界中が我々を政治に利用していたが、こちらも最大限利用させてもらった」

「いくつか思い当たるのは聞かなかったことにすンぜ……」

 よもや祖国の部隊と思える名前が出てきたのは信じたくなかったのか、ヴァースはやつれた表情になりながらも嘘が無いのを確信してしまった。

 どれもこれも、情報が完全に秘匿されているか一部に問題を抱えているか、あるいは政治的暗躍が噂されているような部隊ばかりだ。彼の活動をある程度コントロールできるのであれば政治利用は難しくなく、ある意味においては現実的かつ実用性のある最悪の手段だろう。

「世話話はここまでだ。まずはトリガーの感覚を覚えろ」

「バイナリーなンちゃらってのが組んであンだよな?」

「お前のにはな。ともかく使ってみるのが早い」

 カインは壁際に積まれた箱を1つ取り、中に入っていた.22LR弾のバルクと専用のAR用マガジンをそれぞれ2人に渡した。

 それに2人が黙々と弾を込めている隣のレーンで、エレインはカインにスピードローダーの使い方を教わっているようだ。カインが仕切りのついた紙製の箱に納められた弾をひっくり返すように専用の器に入れ替え、備え付けられたポンピングレバーの反対側にARマガジンを取付たかと思えばレバーを何度か前後させ、あっという間に30発の.300BLK弾をマガジンへ入れ終えていた。

「これはどのような装置なのですか?」

「あいつらのように手指を痛めず、楽に弾を込めるためのものだ」

「弾、と言うのはその杭のことでしょうか?」

「そうだ。その容器に当たるマガジンは、矢筒のような物に脱落防止の抑えがついていると思えばいい」

「複雑なのですね……」

「だが、極めて有効だ。意味のある防具を持たない人間相手ならマガジン1つで10人は殺せる。動かない相手なら20は殺せるだろう」

「……恐ろしい、と言うべきなのでしょうか。頼もしいと思うべきなのでしょうか」

 エレインの言葉に返答はなかった。

 如何なる道具、武器、装置も使い手次第でその結果を大きく変えてしまう。なら、それを畏怖するかどうかもまた人それぞれだ。

 だからこそカインは弾の入った箱と空のマガジンを用意してしまう。

「君が何を感じ、如何なる結論に辿り着こうと自由だ。自分の考えを信じなさい」

「……カイン様は自由をなんとお考えでしょう」

「国家の転覆であろうと、世界を滅ぼそうとするも、善悪を問わず全てを。例え誰かが私を殺そうとするのもな」

「それでは蛮行を許すことになってしまいますが……」

「如何なる行いをも看過するとは言っていない。思想の果てに行動するかどうかは本人が利害を考えた果てに移すべきものであり、法に背いて実行すれば相応の報いが下るだけだ。私を含めてな」

 エレインに渡した物とは違う棒状のローダーに弾を並べていたカインがハンドルを一気に押し込み、マガジンへ弾を装填していく。エレインに使わせているものが楽に見えるが、どちらのローダーにも長所と短所があるものだ。

「ところで、耳は痛くないのかい」

「え? ええ。カイン様のお貸し下さった耳当てのおかげで」

「……そうか。というか、つけていても問題無く会話ができるとは、やはり凄まじい聴力だな」

 コツコツとカインが耳元をつついてみせると、エレインは耳殻のはみ出たイヤマフを取っていつもの微笑みを向けていた。

 普段着用させているイヤーチップに、更に防音性だけに特化したイヤマフを上からつけさせていたというのに会話が成り立っていたのだ、人間とは比べものにならない聴覚なのが伺える。

 50口径による轟音へ備えてつけさせていたものだが、どうやらそれで正しかったらしい。でなければ難聴かそれ以上の障害に至る可能性すらある。

 とはいえ、耳の形が違うせいではみ出しているのもあり、遮音性がどの程度維持出来ているかもわからないが。

「しかし、そうなると今後はもう少し性能の良い耳栓(チップ)に変えるべきか……」

「いえっ、これ以上ご迷惑をおかけするわけには」

「君の耳は私より格段に優れている。それはとても心強い事だ」

「そう仰って頂けるのはありがたいのですが……」

 施しを受けることに抵抗でもあるのか、どうにもエレインは遠慮がちだった。

 とはいえ、こればかりは銃を扱う者なら当然と考えるものだ。一瞬ではあっても強烈な音は耳を痛めるし、場合によっては聴覚機能を破壊してしまう、そうなっては大事な周囲探知能力(センサー)を1つ失うことに他ならない。

 いくらカインの耳が常人離れしていても、あくまで"音がしたかも?"と気がつくだけだ。判別まではできない。その点、やはりエルフの耳は驚異的と言える。

 使いようによっては非常に頼れるものだろう。

「納得はしなくても構わない。その代わり、今はただ従ってくれ」

「……承りました」

「こっちは準備できたぜ」

「いつでもいいよー」

「エレインは引き続き弾の用意を頼む。──標的は前方にある鱗の残骸だ、当てなくとも構わん、トリガーの感覚を確実に身につけろ」

 指示と同時に2人がマガジンを差し込んでチャージングハンドルを引ききり、セレクターをセーフティポジションに切り替え銃口をレーン内の床に下ろしたままゆったりと構えた。

「そのバルクで足りなくとも在庫は十分にある、安心しろ」

「使い切れる気はしねェな」

「数は聞きたくないかも」

「だろうな。自由に撃て」

 そう言って軽く手を鳴らしたのが合図になったのか、射撃場は銃声に満たされた。

 たった2人、それも感触を確かめながらの射撃であっても凄まじいものだ、間隔こそ違えど残響が切れるより先に次が響き渡り、慣れていない者なら会話すら不可能だろう。サプレッサーの有無と周囲の環境でその音響は大きく変わるし、現状は最悪に近いほど音が響く。これでは耳栓(チップ)だけだと心許ないが、22口径なのが幸いか。

 エレインはこれまで経験してきた数回の発砲音とは大きく異なる鋭い音に驚きを隠せないでいたものの、まるで意に介さないカインを見て「そういうものだ」とでも納得したのか、その手元はスピードローダーの操作に戻っていた。

「ああ、そうだ。お前ら、今後は絶対にアイウェア(バイザー)をつけろ」

「ンあ? なンでだよ」

「今まではガスルートにレギュレータを挟んでいたが、使わせる予定の一部アッパーにはついてないからな」

「……それがなンでバイザーに繋がンだ」

「サプレッサーを使うからだが」

 撃ちながらに平然と交わされた言葉が理解できていないのか、ヴァースは眉を顰めるばかりだ。隣で会話を聞いていたアベルも不思議そうにしているだけで、その理由にまでは行き着いていないらしい。

「まさかとは思うが、これまでライフルで使ったことがないのか」

「おう、ねェな。この世界(こっち)に来てからが初めてだ。ピストルでもほとンどないぜ」

「……そうか。なら、無知も仕方ないか」

「ねえねえ。サプレッサー使うと音以外に何か違うの?」

 マガジンを空にしたアベルがぬるりと間に割って入り、カインの肩を引いてヴァースから遠ざけていた。

 気にした様子もなくヴァースはマガジンを抜いて1発撃ち、チャージングハンドルを引いてライフルを置いてしまう。

 2人とも話を聞く事を優先したのだろう。

「原理的な副作用……とでも言うべきか。AKのように開放的なものは除くとして、銃声において最も強烈なのは、原理上発生するガスが銃口で解放されることによる衝撃が大きな割合を占める」

「それを解放しないようにしてンだっけか」

「正確には解放を緩やかにしているだけだが、それによってガスが抜ける速度は大きく落ち、いわば栓をされたような圧がかかる」

 ガスの流れを再現するように手を滑らせ、パッと開いた指をもう片方の手で包み込んだ。

 それに意味があったか2人は注意深そうに頷いてみせ、頭の中で現象を再現していたもののあまり理解はできていないのか、少しばかり眉を寄せていた。

「あ。ってことは逆流?」

「それに近い状態だ。動力部(ガスルート)への供給過多で何が起こるかはわかるな」

「反動増加……だよな?」

「さっぱりわかんない」

「脳がエピネフリンに支配されているお前らのことだ、撃たないと理解もできないな、すまん」

「今さらっと莫迦にしたか?」

「エピネフリン……?」

「いや、いい。忘れろ」

 余計な混乱を招いたことに呆れたか、あるいは理解されなかったことに反省でもしたか、カインは小さく溜息を吐いて話を切り替えた。

 消化するべき項目が多く残る現状で無駄話を続けるのは得策ではない。集中させるべきと判断したんだろう。

「それで、トリガーはどうだ」

「悪くねェな。落ちる手前で一気に重くなるおかげで、切れるタイミングもわかりやすい」

 満足気に指先を動かすヴァースはニカリと笑みを見せ、現状なんら不満がない事は明らかだ。

「咄嗟に指をかけてもブレにくいのはいいんだけど、これライフルだと効果薄くない?」

「お前は片手(ワンハンド)で撃つことが多いだろう」

「そこまで考えてくれてるなんて、おねーちゃん感激っ」

「以前のように大事な場面で弾を外されては困るからな」

「うっ、おねーちゃんの胃が」

 何か思い出したくないものでもあるのだろうか。そそくさと自分のレーンに戻ったアベルは試射を再開し、2人は思わず肩を竦めていた。


 その後はヴァースも順調に試射を進めていき、いつしかカインもがその隣でなんらかのライフルを撃っている姿がちらほらと見られるようになっていった中、急に発砲停止の命令を下したのだ。

脱弾確認(アンロード)簡易分(ディバイド)解始め(テイクダウン)!」

「って、今かよ!」

「いじわるぅー」

 唐突な指示に驚いていた2人は即座にマガジンを抜き、チャージングハンドルを引き切ってそれぞれライフルの簡易分解へと移った。

 ……のだが、2人のライフルが上下に分けられたのは倍近くの時間差ができた頃で、圧倒的なまでにアベルが素早く分解していた。

「気がついただけ及第点とするべきか、悩ましいところだな」

「素の操作が染み付いちまってンだ、勘弁してくれ」

 ヴァースはフレームを開く際にボルトキャリアエクステンションを抜き忘れ、そのせいで遅れたのだ。

 訓練中だからこそ許せる範囲ではあっても、実戦の中では危険を伴う。そんな場面がないことが一番ではあるが。

「まあ、今後の指針が1つ見れただけいいだろう。ライフルを組み変えろ、次はこのアッパーだ」

「ハンドガードが穴だらけだけど、あんまり奇抜な形はしてないね」

「どうせ見た目だけだろ」

「期待に応えられないようで悪いが、中はほぼいじっていない普通のアッパーだ」

「マジかよ……ありえねェ」

 カインの手元にあった長短2本のアッパーフレームセットの内、アベルに短いものを、ヴァースに長いものを渡してそれぞれ組み換え始めた。

 多くの面に肉抜きを施されたハンドガードはバレルを隠してしまう程に伸び、先端から銃口(マズル)ではなくサプレッサーが飛び出ている姿はやや不格好のような気がしなくもないが、各所の着脱可能なレールにつらづらと並べられた追加のデバイス(アクセサリー)はそれら全てが特定の目的に最適化された結果であることを物語っていた。

「MCXライフル。……の、アッパーセットだ。動作方式が変わるものの、僅かばかり手を加えればARロアーが使える。今回はそれだ」

「またエラいもンを。調整は」

「本来なら次の裁きで導入する予定だったからな、試験も調整も済ませてある」

「……説明はそれだけ?」

「あまり言うことは無いが、一応説明はしておこう。バレルは16インチ及び6.75インチの2種、共通として対応弾薬を7.62x35ミリ弾へ変更し、ガスレギュレータは使用する予定の亜音速弾(サブソニック)で最も効果を発揮する流量に調整済みだ」

 2人が組み上げたアッパーセットは長さこそ違うが、それ以外の相違点は上部に乗せられた照準器(オプティクス)くらいだろうか。各部レールに乗せられたオプションもほぼ同じバランスの配置になっている。

「……倍率つきのショートスコープに、こりゃ赤外線(IR)か? 暗視装置(NV)も無しにどうすンだ」

「今後は持ち込むだけだが」

「いや、持ってねェって話だったろ」

「合衆国製はな。私では登録適正が無いそうだ。おかげで王国製しかない。密売品は高すぎてダメだ」

「てっめ、誤魔化しやがったな!?」

「さて、どうだったか。歳のせいか物覚えが悪くてな」

「それ言ったら俺はどうなンだ!」

「ボクもどうなるの?」

「お前はややこしくなるからやめろ。──本題に戻るぞ」

 やいのやいのと始まった雑談を区切るように目線を流すと、2人は優先すべきことがわかっていたようですぐにライフルへ視線を戻した。

 見た目の操作感こそ理解できようと、説明も無しに知らない銃を実戦に持ち込むのは危険だ。まして、今回はろくな訓練時間もない。

「見ての通りAR準拠のアッパーだ。とはいえ本来はエンドプレート等を専用のものにする必要があるが、そこは調整とフォールディングアダプターでクリアしている」

「ンな役割もあったのか。……MCXってこたァ、こっちにゃあの小さいエクステンションは要らねえのか?」

「ああ、不要だ。組んだ時に短いボルトキャリアが見えたと思うが、そもそもこのアッパーにバッファーチューブは要らん」

「推奨されてねェ組み合わせっぽさが滲み出てンなァ……」

 そのために必要なのは、運用レベルを超えて教練を行える程に熟知した者からの指導だ。

 幸い、撃つ事に必要な操作は2人が慣れ親しんだARと変わらないために、諸々の諸注意だけで終わりそうだが。

「アッパーを戦闘地域で随時組み換えるなんぞ特殊部隊でもそう簡単に出くわす場面ではないが、残念なことに異世界に遭難した我々にはそれが求められた」

「異世界って怖ェな」

「全くだ。中でもこのアッパーは対人用に用意したもので、戦闘(コンバット)強襲(アサルト)暗殺(アサシネイト)に対応可能な汎用性がある。ヴァースの16インチバレルであれば、600メートル程度なら人型に当たるの(マンターゲット)が期待できる」

「ボクのはー?」

「有効射程の差は出るが、精度に期待はできるだろう。……アベルは馴染みが無いだろうが、付属するアクセサリーについて話しておく。基本的には共通するものだ」

 アベルに渡したアッパーとほぼ同じ長さのアッパーが組まれたライフルをカインが取り出すと、ボルトを後退位置にロックした上でセーフティを掛け、銃口が2人にも見えるよう天上へ向けて抱えた。

 全長はアベルのものと変わらないが、ハンドガードが異様に長い。バレルどころかサプレッサーの先端と同じだろうか、その先端は見事に揃えられていた。

「サプレッサーだが、これはフルオートにも対応したモデルだ。携行予定のマガジンを最速で撃ちきっても過剰加熱(オーバーヒート)はしない」

「今のってそんなに丈夫なんだ」

「ああ。時代が違う」

「30年は開きがあンだよな」

「技術の進歩って凄いねー」

 30年。

 短いようで長いような、そうでもないかもしれない微妙な時間。

 世代1つとも言える時は技術を大きく飛躍させたが、この時代が特別だったとも言えるだろう。様々な分野で驚くべき進化が乱立し、世界が大きく動いた30年だったのだ。

「あの当時なら溶解していただろうな。さておき次だ。2人で形は違うが、ハンドガード先端に付いているのは装着式補助光源(ウェポンライト)複合型投光機(マルチイルミネーター)で、後者は今後使用する暗視装置と組み合わせる事になる」

「まるで使ったことねえンだが」

「隣に同じくー」

「暗視装置使用中はつけっぱなしでも構わん。どうせ敵に暗視装置はない。が、アベルは可視光の使用を制限する」

「え、なんで」

 不服そうなアベルが口を尖らせていても、それすらもふざけ半分のようにしか見えない。

 制限されたことというより、待遇の違いに対して不満があるような姿だ。

「光源を用いた戦闘訓練はまともに受けていないだろう。使い方を誤れば自他を問わず危険に晒すことになる。許可した時以外は使うな」

「なら……仕方ないかな? 光なんてなくても敵の場所はわかるからいいけど」

「化け物かよ」

「私やアベルは僅かに特殊な体質でな。健常者とは少しばかり感覚器官に割り当てられている脳機能の配分が異なる。私の場合、目と耳が良いだろう?」

「あー、異常に夜目が効いたり莫迦みたいに音に敏感だよな」

 言われて納得してしまうあたり、彼らという存在を理解していると言うべきなのか、あるいは1週回って諦めているのか。そんな奴の姉だか妹だかとなれば、多少の人外的要素も許容範囲なのだろう。

 とはいえ、彼とて人類の枠から外れた知覚はしていない。多少暗闇に目が適応しているのと、音に対して過敏なだけだ。

「その代わり、私の痛覚と味覚は壊滅的だ。おかげでマリーに美味いものを作ってやれた試しがない」

「え、そのへん話していいの?」

「ただの視聴覚障害だ。機密には当たらないだろう」

「ん、んんん……。まあ?」

「テメェらの出生の秘密ってとこか? 興味本位で首突っ込ンだら死ぬだろ。訊かねェよ」

「そうしておけ。知った所で気分の良い話でもない。──毎度毎度話が逸れるが、次だ。今のところフォアグリップはつけていないが、いるか」

「おう、くれ」

 ハンドガードの下面をコツコツと叩いて示せば、すぐにヴァースが答えていた。

 彼に渡された16インチバレルならば自重で銃口の跳ね上がり(マズルジャンプ)の大半を抑え込めるが、制御はともかく慣れ親しんだ構え方というのは異なるものだ。

「種類は」

「ハンドストップ──じゃねェ方がいいか。この組み合わせ(アセン)だと角度つき(アングル)垂直(バーティカル)短い奴(ショート)で頼む」

「どちらもあるが」

「マジか。なら角度つき(アングル)だな。あと……このハンドガードってM-LOKだよな? カバーはあンのか?」

「ああ、ある」

「ンじゃそれも」

「あとで持ってこよう」

 アベルには要望すら訊かずに見慣れたグリップと小さなレール単体を用意し、カインはライフルを受け取って取り付けてしまう。

 彼女の生涯において、今現在使用されているレールプラットフォームは存在しなかった。ましてやそれを着脱可能にしたハンドガードも、それに影響を受けにくいバレルも、全てが越えられない溝として存在し続けている。

 それを理解しているのか、それともただ要望を聞く気が無いのか、彼の場合はそのどちらもかもしれないが。

「お前にはこのグリップが使いやすいだろう」

「素のARと同じグリップだ!」

「A2グリップたァ珍しいもンを……」

「可能な限り使い慣れているほうが良いだろうからな」

 本来であればフレームにつけるはずのグリップを、無理矢理にレール規格へ対応させたフォアグリップだ。

 短い全長に集約された姿は野暮ったさが残るものの、アベルは受け取るなり目を輝かせていた。こうしていれば年相応……とまではいかないが、幾分か”らしく”は見えるものだ。

 残念ながら顔立ちが凛々しすぎるが。

「弾薬は2種類、戦闘用の他に少数だが暗殺用を持ち込む」

「もう決めてンのか」

「ああ。1つは対装甲弾に決めている」

「ンで、もう1つがさっき言ってた亜音速か?」

「そういうことだ。前者は一般的な盾や鎧対策を含めた多用途に、後者は暗殺及び殺傷用になる、鎧を抜けるかはわからん」

「……よくそンなに弾持ってンな。普段は5.56ミリか22口径ばっかなくせに」

「これらは次から使おうと思って準備していたからだ。ある意味では丁度良い」

 ぬらりと差し出された2つの弾薬は違う形状の弾頭を携え、極めて見慣れた色の薬莢に収まっていた。

 片方は誰しもが見たことのあるであろうスピッツァーFMJに見える。見た目からは弾頭が黒い事以外に異質さなど存在しないほどにありきたりな、銃弾の中で最も普遍的なものだろうか。

 だがもう1つは違う。シルエットこそ近しいが各所に刻まれた切り込みや色から推測できる限り、おそらくこれまでの弾頭の中で最も攻撃的な──

「クラウンバレット……」

「その亜音速版だ。まあ、やはり知っていたか」

「そりゃあな……あンだけ世論が荒れたンだ、嫌でも知ってるってェの」

「好都合だ。これは対人用途(ソフトターゲット)に対して極めて効率良く内部破壊を行える弾頭だが、俗称ではなく名を覚えろ、リップだ」

「ホローポイントと何か違うの?」

「弾頭が体内で分裂し留まる仕組みだ。(コア)だけは貫通するがな」

「うわっ、えげつない」

 R.I.P.OUT弾頭。

 かつて、極めて残酷であるとされ条約で戦争利用が論議された手製改造弾薬に似た性質を持ち、更に攻撃的と言える凶悪な弾薬だ。

 本来なら致命傷を免れる角度で撃たれたとしても体内で分裂し、飛散する断片が多方向の内臓を引き裂くことで致命傷に至りやすい性質を持つ上に、核の部分は直進する事で貫通し傷をより複雑にする。

 外傷からでは、あたかも貫通して抜け出ているかのように見えるのも凶悪な点の1つだろう。

「つっても暗殺用ってなァどういうことだ?」

「ね。映画じゃあるまいし、使えそうもないけど」

耳栓(イヤープロテクター)を全て外せ。それでわかる」

 疑問に思いつつも2人が耳を露出させると、カインは自分のレーンに立てかけてあったライフルを取ってチャージングハンドルを引ききり、件のR.I.P.OUT弾(クラウンバレット)を直接装填してみせた。

 警告も無しにそれを発砲した瞬間、これまでとは全く違う音が低く響いたのだ。

「……どうだ」

「耳に刺さる感覚は比べるまでもねェ」

「なんだろ、コンガとかを思い切り叩いた感じ?」

「バットで壁を殴った時にも似てンな。よく響くクラップ音程度か」

「捉え方に何を言うつもりもないが、まあ、そういうことだ。専用弾を用いる特種消音銃ほどではないにしろ、極めて高い静音性があるだろう」

「評判は聞いてたがここまでたァな……。全部これじゃダメなのかよ?」

 確かにそう思えそうなものだが、カインは静かに髪を左右へたなびかせた。

「貫通力に難がある。威力を確保するには、せいぜい木製のドアぐらいが限度だ」

「FMJなら」

「殺傷力を犠牲にしろと?」

「あー……。殺意高ェなおい」

「殺害用途と言っただろう。とはいえ主体はもう片方の弾だ。これはあくまで特殊用途としてのものになる。対して主要な弾頭だが──」

 今度は黒いスピッツァーFMJを備えた弾薬を装填して撃てば、これまで使っていた7.62x39mm弾よりも小さく弾けた音が響いた。

 亜音速弾に比べてしまえば雲泥の差がある音量だが、それでも耳栓(チップ)無しで耳に異常を感じない程度の音量にまで引き下げられている。

 円滑な会話をするには何らかで保護をしたほうが良いだろうが。

「110グレイン、装弾筒付徹甲弾(APDS)、通称CBJ弾薬。これが今後の主力だ。硬標的(ハードターゲット)への貫通力はレベルⅢを超え、肉体に対しても極めて高い直進性を持つ。特殊な標的──魔獣だのであっても、ある程度は問題ないだろう」

「ちょっ、待ておい。ブラックアウトの貫通力は7.62ミリと5.56ミリの間ぐらいじゃねえのか!?」

「雑な覚え方だが、それに間違いはない。これは装甲貫通(アーマーピアシング)の性質が極めて高い弾頭でな。この形状の弾道係数(BC G7)が0.3を超える極めて素直な弾道のおかげもあって、次期主力として多く購入していて良かった」

「この口径で0.3超えって……毎度毎度恐ろしいもン引っ張り出してくンなテメェ。まあ、言っても仕方ねェか」

「仕方ない、のですか?」

 なにを疑問に思ったのか、黙々とマガジンのロードをしていたエレインが口を開いた。

 いや、正確には銃声の度にぼんやりと開いていたのだが。

「失礼とはお思いしますが、その……人を傷つける事を嫌っているようにお見受けしておりましたので」

「だな。俺ァそンなことしたくねえ」

「でしたら、どうして」

「格好つける気はねェが、自分であれ他人であれ、何かを守る時にゃ相手を傷つける事が最も効果的な時もある。そンだけだ」

 やれやれといった様子でカインとアベルが肩を竦め、少しの不安と同じだけの希望にも捉えていた。

 ヴァースという男は、良くも悪くも正義に囚われた存在だ。

 正確には正義というより法律だろうが、彼にとって己の掲げるべき正義とはベルトに着けたバッジであり、それはつまり人を律すべき法であり、それを遵守させ、逸脱する者から他者を庇護する事に他ならない。

 悪を捉え、裁きの場へと連れ出す。悪の手から人々を守り、そのためならばやむを得ず殺めもする。

 カインとヴァースでは大きな隔たりこそあれど、彼もまた人を殺せる存在である。”明確な意思の下に人を狙い、人を撃つために”引き金を引ける人は貴重なのだ。

 そうせざるを得ない、それが最適である。そんないくらかの認識さえ与えてしまえば有望な戦力へと変わる。

 問題はそう上手く事を運べるかどうかといった所だが。

「良い覚悟だが、お前の命中率は散々だからな」

「あの夜のこたァ忘れろ! 今はまともに当たるだろうが!」

「どうだかな。……最終的なゼロインはテスト後に外で行う。それまではスチールターゲットに金属粉整形(フランジブル)弾を用いて各種の慣らしだ。私のプライドに賭けてそのトリガーは誤連射(バースト)しないと言いたいが、絶対は存在しない、充分に注意しろ」

「今までバーストしたことってあるの?」

「ピストルを組んだ時に経験がある」

「ん。気をつける」

「マガジンは既にエレインがいくらか用意しているが、今後は自分でも込めろ。何か質問はあるか」

 カインが3人へ視線を送るも、普段通りの微笑みを貼り付けているか、あるいは頷いているかといったつまらない反応ばかり。けれどもそれで構わないらしく、1度だけ手を叩いて鳴らせば銃声に塗り潰された。

 その音は1つ1つが紡がれることはなく。

 されど埋もれる事もない。


 憑ぬ筆は走り続ける。

 彼らがなぞる歴史故か。

 あるいは、彼らが綴った喧騒故か。




カオナシ

自称:カイン

本名:???

種族:人

職業:無職

特技:キャベツの千切り(料理が上手いわけではない)・スキニング

特殊技能:無顔の呪い(被害者)



エレイン・カーボネック

種族:エルフ

職業:弓の教官→神官

特技:裁縫・交渉(笑顔ごり押し)

技能:神聖魔術・弓



ヴァーテル・スレイム

種族:人

職業:刑事

特技:錆落とし

特殊技能:刑事の勘



ツラハガシ

通称:アベル

本名:???

種族:人

職業:無職

特技:お姉ちゃん特権(ワガママ)

特殊技能:???






AR モジュールロアー

通常のロアーフレームとは違い、マグウェルが別体になっているロアー。これを基にトリガーガード接続部が完全に削り落とされ、アベル用ロアーが組まれている。

主に特徴的な部品は以下。

・スタビライジングブレース:5段伸縮式安定機。

・フォールディングストックアダプター。

・ローラートリガー:競技向けスピードハンマーとの組み合わせ。プルは4.5ポンド。

・PDWグリップ:ピストルのように角度が立っているシンプルなもの。

・両利き用セレクタ:左側面がロング、右側面は先端が薄くスライスされているハイブリッド。


AR ポッディウムロアー

形状は通常のロアーフレーム。のはずだが、どこにも刻印等が存在しない妙な品。削り落とされたか密造されたかは不明。平均的な物よりやや軽量。ヴァース用に組まれた物。

主に特徴的な部品は以下。

・ショックアブソービングストック:チークレスト付き。バットストックの形状を変更可能。

・フォールディングストックアダプター。

・バイナリートリガーシステム:引いても放してもシアが働く特殊なトリガー。通常の"引き"にのみ3ポンドと8ポンドの2ポジションプルが組み込まれた改造品。

・ポッディウム:グリップとグリップガードとマグハウジングを兼ねたバイポッド。

・アンビセレクター/ボルトリリース。


MCXアッパー 16in/6.75in

SIG MCXのアッパーセット。口径は7.62x35mm。

レギュレータの流量を最適化されており、使用予定の弾薬に合わせた開度に調整されている。

またハンドガードのレールにはいくつかのアクセサリーがセットされ、ナイトヴィジョンの併用も前提に考えられている。


MCXライフル

全長やハンドガードのアクセサリーはおおよそアベルの使う6.75inと同じに作られているが、ハンドガードが標準の物よりも長い。

本来ならば他と同様、部品共有のためにARロアーを使用した組み合わせになる予定だったものの、空いているフレームが無かったこと等を理由に標準のロアーが使用されている。

ブレースは差し替えられフォールディングストックを装着。

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