DOUBT 2.5(幕間)
例にもれず読まなくても本編には関係ありません。
銃や口径への印象、コメント等はキャラクター個人のものですので、世論等とは一切を切り離してお考えください。
上記をご了承頂ける方のみ御覧ください。
「俺の武器選びについて?」
俺たちが覚えのある教会を出た日の夜、野郎2人で夜警に名乗り出てた。
つっても何が起きるわけもなくて、あんまりにも暇だもんで前々から気になってた事を訊いちまおうってわけだ。以前は協力関係ではあっても、そこまで時間も取れなかったしな。
「まあ……隠す理由も無いが」
「あンな銃を使う奴ァ他にいねえからな。ずっと気になってたンだぜ?」
「あんな? ……ああ、ZIPの事か?」
ZIP.22
こいつが昔から使ってる珍妙なピストルで、22口径を使う欠陥品って事くらいしか知らねえんだが、俺が調べた限りだとこいつ以外に使ってた犯罪者がいねえ。使って貰えねえくらいの欠陥品ってのは確かだ。
「オートマチックのくせに2発目はほぼ撃てねえ、理由のわからねえブルパップ、マガジンはすぐズレる、トラブルが起きたら直しづれえ。しかも22口径だ。なンであンなもン使ってたンだ」
「撃てない事に意味がある。俺は無差別に、無遠慮に殺しているわけではない。真に殺すべきかどうかは神の意志で決まる」
「あー、いつもの脅しか」
「ZIPは殺すためではなく、裁くために使うものだ。神が殺せと言うならば十全に動くだろう。……そう言っておけば、稀に自首する奴も居るからな」
こいつは連続猟奇殺人犯──って事になっちゃいるが、実態はテロリストだ。
不正を働く奴だけを狙って、大半の場合は1度逃がして猶予を与えてる。次はないぞと言われて尚歯向かうか、それとも従うか。前者が圧倒的に多いが……稀に自白する奴も居る。
こいつが望んでるのは殺すことよりも……世と法に裁かれることなんだろう。だからこそ、2度目の襲撃でもその場で自首すれば見逃してる。
「動作不良が主の思し召しってのも、皮肉だよな」
「”主は我らが行いの全てを見ている”。そうだろう? 罪を受け入れ懺悔し改心する余地があるのなら、主は機会を与えてくれるものだ。お前ら教徒の言い分ではな」
「……そういや、テメエは無神論者だったか?」
「俺は人の云う神を信用していないだけだ。神が居ないとは言わない。だからこそ、お前達に則って神の鉄槌を下してる」
一部じゃこいつが信仰対象になっちゃいたが、珍しくこいつは他の神の存在を否定しない。が、神が居るとも言わない。
なんのポリシーがあんのか知らねえが、こいつはいつもそうやって相手の信仰を利用して来る。稀に居る自首する奴らってのは、大抵は信心深い奴だ。ようは主の導きに報いてるってとこだろ。
最初から、んなことしなきゃいいだけなのによ。
「鉄槌なァ……。まー、なンだ? ZIPの不良が主の導きだってのはこの際もういいンだが、なンで22口径なンだよ。弾だって安物のバルク品だろ? 他の弾はえっらい拘ってンのによ」
「……45口径信者め」
「るッせえぞ9ミリ至上主義。22口径の話だ」
「単純に捜査の手掛かりになりにくいのと、現地での補給、携行数、パワーの少なさだ」
「……なンでだよ?」
「脅しがてらに撃つからな。急所は外すが、もしも脅しで死なれたら困る。それに……俺は徒手格闘が強い方でもない。仮に奪われても、この組合せなら被害は最小限にできる」
22口径は拳銃弾の中でかなり小さい部類になる。
そのせいで威力はねえが反動は小さいし、単価も安くて流通は世界中、そんなだから基本的には初心者の訓練用とか女子供向けの弾だ。そのパワーの低さを保険にもしてるってとこか。
ま、最近じゃ小柄でも使いやすい9mm拳銃は多いけどな。
「けどよ、22口径だと相手を止めらンねえだろ」
「撃ち合いには使わん、脅しと裁きにだけだ。人を行動不能にする力は元から期待してない」
「……やっとしっくりきたぜ」
22口径は戦闘───興奮状態の相手を止められるほどの威力は持ってねえ。もちろん当たり所にもよるが、急所以外じゃ他の口径と比べるのが酷なくらいだ。
だから、どうしてこいつがそんなのを使ってるのか疑問だったが……そういうこったか。
そりゃ確かに22口径で足りるわけだぜ。戦闘外でしか使わねえって事は、熱も冷めてアドレナリンも納まってる頃だろ? そんな状態じゃ22口径でもひでえ激痛だ。
そのくせ急所以外じゃあ損傷が小さくて簡単に死ねねえとか、こいつ悪魔か。
「ンじゃ理由とかはいいとしてよ、ZIPの使い勝手はどうなンだ?」
「アレを世に販売できたプライドを疑うな」
「ボロクソじゃねえか……」
「使い捨てるためにいくつも予備があるが、正直まともに動作するよう調整する気にもならん」
俺が使ったことねえからよくわかンねえが、とにかく酷いらしい。
知ってる限りじゃ圧倒的過ぎる動作不良率と構造上の整備性、あと単純に使いにくいっつーどうにもならなさがあるンだが、ソレ以外だとどうなンだか。
「マガジンの脱着は力技、動作不良への対処も力技。22口径だから許せるが、グリップ変わりのマガジンも握りにくい事この上ない。テストをしたなら販売はしないレベルだ」
「…………詐欺かよ」
「近いな、あれは」
盛大に溜息をついてる姿を見ると、どうしてそこまでして拘ってンのかがわからねえ。いや、そのクソさを逆手に取って使ってるってのは今聞いたばっかだけどよ。
「ンじゃ、あのライフル弾を使う奴は」
聞いてても愚痴しか出てこねえだろうから、気になってたもう1つのピストルに話を切り替えた。
あっちならまあ、それなりにまともなコメントもあるだろ。
「……あれは────」
本当は9mmVS45口径論争とかを入れる予定だったんだけど、きのこVSたけのこもいいとこなんで今回は見送りました。
次回幕間はたぶんPLR-16についてです。




