ぶらり裏幻想郷 ???編 壱
誤字、日本語がおかしいところを修正しました。
十月?
何だかひどく後味の悪い夢を見た。気持ちよく歩いていたのだが最後にスペルカードをくらった。マスタースパークだかそんなことを言っていた気がする。夢でよかった。
今日はどこに行こうか。妖怪の山の紅葉が綺麗になって来たと聞いた。妖怪の山だと結構時間がかかるな。そろそろ起きなければならないか。布団から出るとしよう。
ん?こんなに柔らかい布団だったっけな。私の万年床はこんなに快適ではなかった気がするのだが。ひょっとするとアホ弟子が部屋を掃除してくれたのだろうか。後で団子でも買ってってやるかな。いや、お菓子はやめておこう。何だか最近お菓子で痛い目にあった気がする。なんだっけな……目を開けるのが億劫でしょうがない。しかし何時迄も寝ているわけにもいかない。妖怪の山が私を呼んでいる。起きるか。
…………広い部屋だ。少なくとも私の記憶にはこんな部屋家にはない。畳は輝いており、障子にはしみ一つ無い。二十畳位はあるだろうか。右手の障子が開いておりそこから庭が見える。外は少し暗い、紫色のようだ。もう夕暮れが近いのだろうか……
いや、此処は何処だ。どうして私はここで寝ていた。どうやって来たのだ。いや連れてこられたのか?そんなことがあるのだろうか。
ここは静かだ。蝉の声も鳥の声も一切しない。静かすぎて頭が痛くなりそうだ。誰もいないのだろうか。
落ち着いて状況を整理しよう。私は起きたら見知らぬ部屋で寝ていた。服はいつも幻想郷散歩に来て行く服だ。と言うことは私は幻想郷散歩の途中でここに来たと言うことだろう。しかし何処へ……
思い出した!太陽の畑に行ったのでは無いか!諸君も覚えていただろう。あれは夢などでは無い。私はマスタースパークをくらったはずだ。 しかし別に怪我もしていないし服も焦げてなどいない。この屋敷の方が助けてくれたのだろうか。
「お目覚めになられましたか」
いつの間にか左に女性がいた。
「あっ、ああ……」
びっくりしておかしな返答をしてしまった。何だか急に話しかけられることが最近多いな。
「ご気分はいかがでしょうか。どこかお加減のよくないところなどはございませんか?」
女性にしては低い、落ち着いた声だ。二つの角のようなとんがり付きの白い帽子、法師が着ているような長袖ロングスカートに青い前掛けをしている。なんと髪と目が金色である。
私が返答しようとするとその前に彼女が喋った。
一体何処までこの廊下はあるのだ。私はさっきの女性の後ろについて歩いている。この屋敷の主人から話があるそうだ。きっとこれでどうして今ここに私がいるのかもわかるだろう。それにしても主人に会いに行くのにもうだいぶ歩いている。この屋敷はどんな作りになっているのだ。いくつもの角を曲がって何回も階段を使ったというのに一向にたどり着く気配が無い。
しかし気づいただろうか、諸君……前の彼女、妖怪だ。布団の部屋では気づかなかったが大きな尻尾が九本も生えているぞ。黄色で先端が白い尻尾、九本。わかっただろう。九尾の狐だ。帽子の二つのとんがりも耳を入れる為の物に違いない。私は九尾の狐を従える様な強大な力をもつ物の元に転がり込んだらしい。これは大変なことになりそうだ…… いや既に九尾の狐の後ろを歩いているという時点でなっているが……
それからまたしばらく歩き続け、えらく広い部屋に出た。さっきまで和室だったのに今度は洋風だ。中央に椅子があり少女が座っていた。
「紫様」
九尾の狐が言った。私はゆかりなどと言う名前ではないし様をつけてもらうような関係でもない。そうなると……
「遅かったわねぇ。随分と"お客様"はお寝坊さんのようで」
目の前のゆかりと呼ばれた、椅子に座ったこの少女が主人のようだ。障子から見えた外と同じ、紫色のドレスを着ている。白いレースで飾られた豪華なドレスだ。九尾の狐と同じように帽子もかぶっていた。紅魔館のレミリアお嬢さんのものとよく似た帽子だ。しかしリボンがひどく細く中央についている。足元には日傘が置かれていた。九尾の狐と同じ金色の髪の毛をリボンで結んでいる。
「藍、下がっていいわよ」
九尾の狐はどうやら らん と言う名前らしい。
藍が部屋から出て行くのを見届けるとゆかりは口を開いた。
「さて、人間。 こんなに里から出て歩きまわって記録して、広めて、 何が目的なのかしら?」
こう言った状況で 早く家に帰せ 、だとか ここは何処なんだ 、とか 刀を抜いて切りかかったりしてはいけない。なんの能力も持たない人間が妖怪に歯向かおうなどと馬鹿げた考えを持ってはいけないのだ。なんで妖怪とわかるかって?人間は話すときに相手のことを人間なんて呼ばないだろう。 それに君だって妖怪に実際に会えばわかる。妖怪にはそこにいるだけで感じられる妖気の様なものがあるのだ。力の強い妖怪ほど妖気も強くなる。
ゆかりはどのくらいか?数々の妖怪と会い、幻想郷を単身で歩いてきたこの私が息苦しい程である。
「……趣味です…」
今でももう倒れる寸前である。かつてこれほどまでに妖気が濃い妖怪がいただろうか。 視界がぐるぐる回り出してきた。 さっきの布団にまた戻ることになりそうだ。 ……戻してくれるだろうか