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ポートモレスビー攻略戦(13)

 万全の体制で、夜明けと同時に日本軍に痛撃を与えるため燃料、爆弾を満載して出撃準備を行っていた航空機が、滑走路が次々に炎上する。



「艦砲射撃だ!シィィット!全員滑走路から待避!パイロットども!さっさと逃げろ!」



 発進準備に当たっていた指揮官は罵声を浴びせながら滑走路から兵員の待避を指示する。初撃で滑走路を捉えた精度の高い砲撃だ。悠長に航空機を待避なぞさせていたら吹き飛ばされる。これ以上、兵員を減らすわけにはいかない。



「大口径(の砲弾)じゃない。巡洋艦か駆逐艦が接近しているはずだ!見張りは何してやがった!」



 砲火の威力から(砲撃元が艦船だとすると)意外と小火力だ。巡洋艦、駆逐艦からの射撃だろうが、盲目撃ちにしては恐ろしく精度が高い。とすると、かなり陸地に近づいているはずだ。巡洋艦、駆逐艦での夜間高速突撃は当初から想定されていたので、魚雷艇(PT)で対応するよう対策は行っていたはずだ。

 それをかいくぐって砲撃を仕掛ける事は普通では考えられない。どのような手品(マジック)を使ったのか?

 幸い、航空隊主力は巧妙に隠蔽された掩体壕の中や駐機場にある。まだまだ挽回は可能だ。滑走路さえあれば、敵に痛撃を喰らわせることができる。しかし、その間にも滑走路が次々と燃え上がり、航空機に満載のガソリンと、爆弾、銃弾を巻き込みながら次々に燃え上がった。一か八かで離陸を敢行する爆撃機、戦闘機の大半は滑走路に開いた穴に突っ込んで、被害をより深刻なものにするだけだった。



「(滑走路上の)機体はあきらめろ!それよりも滑走路を復旧させろ!ブルドーザーを出せ!砲撃中だと?気合いで避けろ!滑走路が使えなければ俺達はサンドバッグになっちまうぞ!それと…飛び上がった機体にどこから砲撃してくるのか確認させろ!砲撃元が確認されればPTで応戦できる。駆逐艦程度なら砲撃は30分も続かん」

「通信が妨害されています!海岸の部隊への無線通信は困難です。おまけにレーダーも役に立ちません!大規模な通信妨害です」

「クソッタレが!どこまで準備周到な奴らだ!これだけ撃ち込まれているんだ、どこから撃ってきてるかぐらいはわかるだろうが!探せ!真夜中だ!海上で光ったところがヤツらの居場所だ!」



 悪態をついた瞬間、彼の脳裏にモレスビー防衛計画が排除した「ある可能性」が浮かんだ。



「もしかして…ヤツら…」



 彼の予想はある意味最悪の形で肯定された。



「砲撃は北!陸側からの砲撃です」

「(やっぱり)そうなのか!ヤツら、山脈を越えて重砲を運んで来やがった!そんな馬鹿な!そんな馬鹿な!」



 ポートモレスビー攻略戦は、日本軍にとって最良の、連合軍にとって最悪の状況で火ぶたが切られた。


ご無沙汰しております。「何とかせにゃならん」と思いつつも、「何ともならんかった」状況から脱出するために、短めですが投稿しました。

全く更新してないのに1日3桁のPVがあるのは大変ありがたいと思っております。

今後とも生暖かく見守ってやってください。

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