三角関係?(一)
屋敷を飛び出して、町へつづく坂を転がるように駆け下りる。
通る人もいない、雑木林に挟まれた丘の道。降り積もったまま凍っていた雪がロッテの靴跡で乱れていく。
(どこに行こうっていうの? お金もないのに)
わからない。でもあそこには――エルヴィンのそばにはいたくない。
屋敷のある丘と、古くからの家並みが残る旧市街のあいだには、ドゥアロ川という大きな川が流れている。その川にかかる橋の手前まで来たとき、道の先に荷馬車が停まっているのが見えた。
御者台に腰かけて手綱を握っているのは、大柄な金髪の若者だ。
その若者の姿を見てとった途端、ロッテは「げ」とつぶやいた。
(さいっあく……!)
よりにもよって絶対に見つかりたくない相手と鉢合わせしてしまった。
とっさに急停止しても、道の真ん中では姿は隠せない。
馬に鞭をくれようとしていた若者は、目ざとくロッテを見つけると、四角張った顔をぱっと輝かせた。
「おう、ロッテじゃねえか! やっと見つけたぜ!」
「……テオ」
テオは馬車を降りてずんずん歩いてくると、立ちすくんでいるロッテの両肩をむんずとつかんだ。
「なんだその格好? めずらしい服着てんなー。まっ、いいや。あんまり親父さんのこと心配させんなよ。さっ、帰ろうぜ!」
「い、いやよ。パパのところにはもう帰らな――」
「なーにごちゃごちゃ言ってんだ。ほれ、早く乗れって!」
「いやだって言ってるでしょっ。ほっといてってば、ばかっ!」
「はっはっは、威勢がいいねえ。どっかで行き倒れてんじゃねえかって思ってたが、元気そうで安心したぜ!」
蹴飛ばしても怒鳴っても、テオの巨体はびくともしない。
丸太のような腕に引きずられ、ロッテは荷馬車に乗せられてしまった。
商店街の大通りはクリスマスを前に混雑していた。
パン屋、肉屋、花屋、菓子屋。オレンジ色の瓦屋根の軒を連ねた商店はどこも賑々しく繁盛している。
テオはパン屋の隣に並んだ小さな店の前に馬車を停めると、有無を言わさずロッテを店内に引きずり込んだ。
こぢんまりした店の壁には、薄緑色をした「ハース製粉」のラベルを貼った小麦粉の袋が陳列されている。パスタやペンネやマカロニといった乾物も、同じラベルを表に向けてきれいに並べてある。川のほとりにある工場で製造した小麦粉を、この直営店まで運んで販売しているのだ。
ロッテはこの店の看板娘をやっていた。ほんの四日前までは。
「ジャックの親父さんにもらった赤ワインがあるんだぜ。持ってこようか?」
なれなれしく肩に回されていた手を、ロッテはパチンと叩いて追い払った。
「そんな気分じゃないわよ」
日焼けした筋骨隆々の腕と、腕まくりした男物の白シャツから、懐かしい小麦粉の香りがした。テオは工場から製品を運んでくる途中でロッテと鉢合わせたのだろう。腰にかけた白いエプロンにも粉がついている。
叩かれたテオは怒りもせず、ますます陽気にガハハと笑った。
「どうした、親父さんと喧嘩したから気が立ってんのか?」
「喧嘩なんてもんじゃないわよ。叩かれた上に、世界で一番ナンセンスなことまで言われたんだから」
「世界一って、そりゃすげえな。どんなことだよ?」
ロッテは四日前の朝のことを――もうずいぶん前のような気がする出来事を、黙って思い出していた。
「クリスマスごろに、ママに逢ってくるわ」
出勤前のあわただしい時間。
ロッテはコートの前を合わせながら、出がけの挨拶のついでみたいに切り出した。
さも軽い話題みたいに、なんでもないことみたいに、さらりとさりげなく。
それでも父親のダニエルは、ロッテの予想通りにふきげんそうな顔になる。
ダニエルが何か言おうとする前に、ロッテは用意しておいた残りの台詞を口にした。
「まだクローゼットにママの冬服が少し残ってたから、届けてこようと思って」
フロックコートのボタンをとめようとしていた手を止めて、ダニエルが娘のほうを向いた。
ハンプティダンプティみたいな丸々した卵形の顔に、神経質を絵に描いたような細い目と、ちょび髭に覆われたへの字の唇が乗っている。
さて、どんな反応が飛んでくるやら――とロッテが身構えていると。
「……ロッテ、今日明日中にテオバルトと婚約しろ。年明けにはあいつをうちに婿入りさせる」
予想していた言葉のどれとも違う返事に、ロッテは両目をぱちくりさせた。
「テオと婚約? 誰が?」
「マルティナは片づいているし、リリィはまだ十二だろう。おまえ以外に誰がいる」
「わたしだってまだ十六よ?」
「女の十六は立派な大人だ。国の法律で結婚を許されとるんだからな」
ロッテは眉をひそめた。なんだか面倒な話になりそうだ。
せっかく今朝はいつもより気分のいい朝だったのに。十六年間ずっとなだめたりすかしたりしながら付き合ってきた頑固な癖っ毛が、めずらしく素直にブラシを通してくれたから。
今日はなんだかいいことありそう――なんて、ほんのり思っていたのに。
一気に雲行きがあやしくなってきた。背中におろしてうしろで軽く結んでいる麦藁色の髪は、今にも父親の強情なパワーに当てられてくるくるとねじれていきそうだ。
(パパの強情さったら、わたしの髪の毛には雨の日の湿気よりも手ごわいわ)
ここは慎重に、けれどきっぱり断らなくては。
「テオは悪い人じゃないけど、結婚なんて考えられないわよ。だって彼は――」
「おまえがどう考えるかなど聞いとらん。結婚式は年明けすぐでいいだろう。挙式までの手はずは俺が整える。それから、その髪はもっとちゃんと縛っておけ。女の髪がだらだらしとるのは好かん」
「ちょ、ちょっと、なんでそんなに急なの? そんなこと勝手に決められても困るんだけど!」
あわてて抗議の声を上げると、目を眇めたダニエルが重いため息をついた。
(あ、いけない)
怒らせたかも、と思ったときにはもう遅かった。
「なぜ素直に『はい』と言わん? おまえは親の言うことが聞けないのか?」
「親の言うことっていうか、誰の言うことでも突飛には変わりないでしょう?」
「口答えするな!」
いきなり片手が飛んできた。
パシリと肌が打ち鳴らされて、ロッテは唖然とした。
力加減は弱くても、頬を張られた痛みはそれなりにあとを引く。
ダニエルは口を引き結び、怒りに顔を突っぱらせている。もともと温厚なほうではなかったが、最近の彼のひとりよがりな荒れ狂いっぷりときたらまったく手に負えない。
せっかくいい感じに落ち着いていた癖っ毛が、今の平手打ちで大いに乱され、不恰好に波打ってしまった。こうなったらもうどんなブラッシングも効かないのに。
「ぶ、ぶつことないでしょ、こんなことでっ」
「おまえがごちゃごちゃと逆らうようなことを言うからだ」
「だって、そんな、自分の結婚も自分で決めちゃいけないっていうの?」
「子供が親の言うことに従うのは当然だろう、誰のおかげで食えてると思っとる!」
「な……っ」
熱くなった頬を手のひらで押さえながら、ロッテはキッと父親をにらみつけた。
きちんと髪をまとめろとか、紺と茶以外の服は着るなとか、寄り道しないで帰ってこいとか、躾と称してあれこれ指図されることにはずっと耐えてきたけれど――。
(ついに言ったわね、この世で一番ナンセンスな台詞を……!)
「ああそうっ。そんなに言うなら、もうパパの世話にはならないわよ! 自分で稼いで自分で食べていきます! それなら文句ないんでしょ!」
「ふん、女のおまえに何ができる。この家の外におまえの居場所があるとでも思っとるのか? 甘い考えだと思い知るだけだな。おまえは俺の言うとおりにしておればいいんだ!」
ロッテは歯ぎしりしながら左右の肩をわなわなと震わせた。
(本当はわたしじゃなくてママに言いたいんでしょ、その言葉全部!)
それを言わないのは、娘の最後の優しさだ。
怒りやら情けなさやらで鳥の巣状に逆立った髪の毛を、片手でバサッとうしろに跳ねのける。
「パパの考えはよーくわかったわ。結婚できる年ってことは、もう大人ってことなんだから、わたしひとりでも生きていけるって証明してみせますっ!」
「ハッ、浅い考えだな。店番程度しかできないおまえを雇うような物好きがいるもんか。社会の厳しさに泣いて帰ってくるのが落ちだ!」
「くっ……!」
にこりともせず鼻で笑われても、ロッテには唇を噛むことしかできなかった。
反論するだけ無駄なのもよくわかっている。このわからずやの頑固親父を降参させるためには、言葉は効かない。文句のつけようもないほど立派に自立してみせるしかないのだ。
(そんなに言うなら自立してみせようじゃないの!)
「今に見てらっしゃい! 後悔するわよ、パパ!」
ゴゴゴゴ、と鳴動する怒りの噴火を背負って、ロッテは家を飛び出した。
そして町の奉公人紹介所に駆け込み、ブランケンハイム伯爵家のメイドの仕事を紹介されたのである――というロッテの大いなる家出の顛末を、ガッハハとやかましく笑い飛ばすテオであった。
「俺が一緒に謝ってやるから心配すんなって! 義理の息子が頭下げりゃ、頑固親父もすぐ機嫌直すからよ!」
ロッテは顔をしかめた。
「誰が義理の息子よ」
「年明けには結婚式だろ?」
「テオ! パパの言うことなんか本気にしないで」
「なんでさ。俺は結婚したいぜ」
「あんたが惚れてるのはわたしじゃなくて、パパの工場でしょ」
図星を突いたのに、テオは悪びれることなく顎を引く。
「そりゃー両方手に入ったら嬉しいさ、俺は欲張りだからな。でもおまえのことだってちゃんと好きなんだぜ。ロッテが俺のかみさんになってくれたら、ハインツ&ハース製粉工場を建てて大金持ちになってみせらあ」
「ハインツ&ハース製粉工場?」
ロッテは眉をひそめた。
そうか、父のたくらみはそういうことか。
カールは次男坊だが、彼の父親はそこそこ裕福な牧場主だ。
(パパがわたしと彼を結婚させようとしたのは、それが狙いだったのね)
テオをロッテに婿入りさせ、ハインツ家の資金援助を受けてハース製粉を大きくさせたいという目論見があったのだ。
旧市街の外郭を流れるドゥアロ川のほとりにある工場は、祖父が粉引き小屋から始めて発展させた努力の結晶だ。地元の町人を主な顧客にした小さな会社だが、鉄道が発達した今では販路を広げるのも難しくないだろう。製品の質の良さは父の自慢だ。国の各地で評判が上がれば、薄緑色のハースのラベルが首都クルトヘルムの有名百貨店にも並ぶかもしれない。
「それは……夢のある話だけど……」
「だろ? だから俺と結婚して、一緒に親父さんを助けてやろうぜ」
諭すように言って、金色の太眉の下で目尻を下げるテオ。
その太い手が、またもやなれなれしく肩に置かれたが、今度は振りほどかなかった。
ロッテはその手に視線を向けた。
ロッテの倍はありそうな、肉厚のソーセージみたいな指。
テオは田舎の牧場で働くより町なかで働きたいからと、親元を出て父の工場に雇われた男だ。その目ざましい働きぶりを買われ、今や父の右腕として製造責任者の地位にある。
(この単細胞と結婚するなんて絶対いやだったけど、ハースのラベルを国中に広げるためなら我慢できるのかな……)
「ロッテ?」
猫撫で声のテオが顔を覗き込んできた。
彼はロッテが折れるのを待っているのだ。「そうね、あなたと結婚するわ」と神妙にうなずくのを。
辛抱強く優しい目を向けてくるけれど、その愛情は信用できない。ロッテがテオのことを男として見られないように、テオだってロッテに不満がないわけじゃないはずだ。ロッテが彼の野望の助けになりそうな娘だから誰にも渡したくないだけで。
「テオは、パパの工場以外で……わたしのどこが好きなの?」
「ふくらはぎだな」
「ふくらはぎ?」
ロッテは眉根を寄せた。人が真面目に訊いているのに、どこまでおちゃらけるつもりなのか、この男は。
能天気なテオはニカッと白い歯を見せて笑いかけてくる。
「おまえより長くてきれいな足した女はいないぜ。まだふくらはぎの真ん中までしか見たことないけどよ、そこより上を見る日が待ちきれねえ」
「何言ってんのよ……」
最悪に下品なことを言われたのに、ほんのちょっと自分の一部を肯定されただけでぐらぐらしてしまうほど、今は心が弱っていた。
この足が長くてきれい? そんなこと知らなかった。自分で思ったこともない。
「……カリーナには似てないのに?」
「おまえだってもうちょっと胸をでかくして、その黄色っぽい髪をブルネットに染めりゃあ、カリーナより美人になるぜ」
麦藁色の前髪の下に、びしりと青筋が立った。
「……いきなり胸が成長するわけないでしょ」
「心配すんな、ちゃんと俺がでかくしてやるからよ」
卑猥なことをさわやかに言いながら、芋虫みたいな五本の指を軽く握ったりひらいたりして見せつけてくる。
こめかみに浮いた怒りの皺が、自分の額全体に広がった気がした。
(ほんっとにデリカシーのない男ね)
デリカシーがないだけならまだいい。
テオの最悪なところは、ロッテを自分の理想の女に仕立てようとして何かと口を出してくるところだ。髪を少し切って黒く染めたらいいとか、胸に詰め物をしたらどうだとか。
そのたびにロッテは神経を逆撫でにされてきた。テオの理想の女性が町一番の美女、グラマラスで妖艶な黒髪のカリーナ、またの名をエンゲル夫人だと知っていたから。
夫人と呼び名がついているからには、彼女には愛する夫がいる。それもお金持ちの、誰からもうらやましがられる実業家の夫が。
だからテオは、身近に残った女たちの中で一番自分を金持ちにしてくれそうなロッテに目をつけたのだ。
理解できないことに、彼はそれを本気の恋だと思っている。そして、いつかロッテが従順に髪を染め、胸を大きくしてカリーナ夫人みたいになってくれると信じている。彼女とロッテは似ても似つかないのに、見た目の雰囲気さえ近くなればそれでいいらしい。
(単細胞男の目には細かいものなんか見えないし、自分以外の人が何を考えて何を望んでるかなんてどうでもいいんだわ。女なんて自分の人生のお飾りでしかないのよ)
こんなふうにテオのことを考えるとむかむかしてくる。テオに悪気はなく、心根は純粋で正直な男に違いないけれど、ロッテを自分の思い通りにしたいと思っているところは父と同じだ。
家を飛び出したのは、結局のところ、そうやってロッテを持ち駒のように扱う男たちに嫌気がさしたからだ。自分にはもっと別の人生があって、自分の手でそれをつかめるはず、なんて根拠のない夢を見て。
(でも結局、今のわたしがいるのはパパの店じゃないの。テオに連れてこられたって言っても……)
ちょっと誰かに傷つけられたくらいで泣きべそをかいて、家族に守られていた場所に逃げ帰ってきてしまったのだ。自分が情けない。これなら足元を固めつつ野望を抱いているテオのほうが、よほど根性があって現実的だ。
ロッテはテオの顔を見上げた。青い瞳は快晴の空みたいに幸せそうにきらめいている。大きな目鼻は大雑把な造りだが、まあハンサムと言えなくもない。会話は全然合わないし、腹の立つことばかり言われるけれど、働き者のところは尊敬している。
お互いに理想の相手とは違う。それなら、テオみたいに細かいことには目をつぶったほうが幸せなのかもしれない。あきらめと打算を前向きにとらえて……。
(そうよ、恋でお腹はふくれないんだから……)
「ロッテ?」
丸々とした太い手が、ほつれたみつあみをゆるゆると撫でてくる。
「なんだ、今日はやけに大人しいな。やっぱ家出なんておまえにゃ合ってなかったんだろ? 素直に俺の腕に飛び込んでくりゃいいのに。いつでも抱きしめてやるのによ」
「……素直に……」
「ここじゃ表から見えちまうから、ちょっと裏で話すか? ん?」
肩を抱く手に力が入った。耳にかかる吐息がいやらしく濁っている。
(なんで男ってこんなに一気にエロい気分になれるわけ? テオもエルヴィンさまも……相手の感情なんておかまいなしで)
でも、テオの熱情に押された体は、その流れに流されていかない。むしろ冷めていく一方だ。欲望に突き動かされて犬みたいにハアハアしている彼が哀れに見えるくらいに。
テオには口づけすら許してない。したいとも思わない。でもみじめな気持ちでいるときに優しくされると、涙を拭くハンカチのように利用したくなってしまう。
(でも、彼と結婚するなら……それでもいいのかもしれない)
のんきな牛みたいにどっしりしているテオは、ロッテが全体重をかけて寄りかかってもびくともしないだろう。繊細でややこしいエルヴィンとは違って。
彼の重みも、エルヴィンのように甘く感じるかもしれない……。
「テオ……」
「なんだよ、今日はしおらしいな。おまえからそんなふうに優しく呼ばれたことなかったぜ、俺……」
ごくりと喉を鳴らしたデオが顎に手をかけ、ロッテの顔を上向かせた。
少し潤んだ碧眼が近づいてくる。
吐息がまじわっていくにつれ、テオの腕に添えていた手が無意識に突っぱった。
(――いや)
やっぱりだめだ、できない――今はまだ。
(同じ人に二度目の失恋をしたばかりなんだもの……)
どんなにひどい男でも、ずっと忘れられなかった初恋の相手だ。せめて一晩くらい大泣きして、悪態をつきまくって、きちんとこの想いに終止符を打ちたい。
ロッテはテオの巨体を突き放すように顔をそむけた。
が、テオは尖らせた唇でもってロッテの唇を追いかけてくる。
「なんだよ、怖がるなって」
「怖がってるんじゃないわ。ただ、今はそんな気になれないから――」
「遠慮すんなって」
「遠慮なんかしてないわよ」
「じらすなよ」
逃げようとしたそばから、腰をがっちり抱き寄せられた。
顔が近い、近すぎる。
毛皮みたいにみっしり生えたテオの睫毛は、すでに伏せられている。
真っ黒な鼻の穴と、たくさんの皺を寄せてすぼめた唇が、「んー」とくぐもった喉声を漏らしながら目の前に迫ってくる。
(ぎょえーっ)
ロッテは背骨を限界までしならせてのけぞった。
悪夢に出てきそうな物凄い光景だ。だが気色悪がっている場合じゃない。
「ちょっとっ、あんたいい加減に――」
「汚い手で彼女に触るな!」
割り込んできた声に振り返ったロッテは、驚いて息を呑んだ。